2016/06/05 のログ
ご案内:「商店街のカラオケボックス」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 小さな個室、安っぽいミラーボールの下で少女がアップテンポの歌を見事に歌い上げる
…普通にプロで通用するんじゃないか?ってレベルの完璧具合である

「あー!やっぱり大声で歌うときもちいいよねー!
 司ちゃん歌わないのー?」

たまにはカラオケ、と思ったが誰も捕まらず、
司とふたりきりで歌いに来ていた
まぁ、司には真っ先に声をかけている上に、さっきから歌っているのは自分だけなのだけど

ご案内:「商店街のカラオケボックス」に高峰 司さんが現れました。
高峰 司 > 「…………」

とても曖昧な顔で黙っている。
理由は単純……この高峰司、カラオケで歌うような歌を知らないのである。

「オマエな、アタシがカラオケで歌うような歌知ってると思ってんのか?」

むすーっ。なんとなく置いてあるタンバリンをシャンシャン鳴らしながら不満げに言った。

伊都波 凛霞 > ふすーっと空気の抜けるような息をついて、一旦マイクを戻してソファに座る

「司ちゃんだって音楽とか全く聞かないなんてことないでしょー?」

首を傾げながらそう問いかける

さすがに歌えない曲がないとは思えなくて

高峰 司 > 「オマエ、大雑把にアタシの経歴話したよな?」

と言っても、本当に出がルーンの大家で、その後を継ぐべく専門教育だけを受けてきた、という所だけだが。

「ルーンに歌の概念なんてねーんだ。そればっかりに特化した教育受けてきたアタシが、歌に明るいわけねーだろ」

それに、家を出た後は世界中の召喚獣を探し回っていたのだ。
それこそカラオケで歌うようなメジャーの歌を聴いたり、覚えたりする機会が無かったのである。

伊都波 凛霞 > 「聞いたけどさー…」

自分の人生と照らしあわせてあまりにも違いすぎて、
目の前の少女そうやって生きてきた、と聞いても実感として得られるものが少ないのが現実である

自分も、幼い頃から古武術の継承者として生きてきたけれど、
それでも、自分だけの時間、自分のやりたいことを阻害される人生ではなかった

「じゃあ…カラオケは誘わないほうがいいかな…?」

少し困ったように苦笑して、
司の話ぶりでは、今から歌を覚えるという気もないのだろう
無理に付きあわせてタンバリンマンというのも気が引けてしまう

高峰 司 > 「…………」

目深にしている帽子を更に目深にする。
そして、しばしの沈黙。黙りながら逡巡して……

「……なんか教えろよ」

むすっとした様子のまま、じーっと見上げて口にする。
見たくないのだ、こんな困ったような顔を。この人は、いつも笑顔なのが似合うというのに。
それに、だからと言って誘われないのも、なんか、嫌なのだ。

「凛霞が教えるってんなら、覚える。だからほら、なんか」

急かすように、相変わらずの仏頂面で畳みかけた。

伊都波 凛霞 > 「え?」
ちょっと意外な答えに思わず聞き返してしまった
きっと聞き返すなって怒られるなと即座に思ったので

「うん!じゃあ───」

満面の笑みと共にその手を引いて、ディスプレイの前まで引っ張っていく

一緒に歌えば、覚えられるしきっと楽しい
そうして、幾許かの時間
慣れない司と一緒に歌を楽しむ
もちろんカラオケに馴染みのない司は音も外すだろうし、歌詞も間違えたりするだろうけれど
そんな笑いもまたたのしい一時で

………

……



「あーっ、楽しかったーっ」

どふーっとソファにもたれかかって、

「喉乾いたぁ~、司ちゃん何飲むー?」

メニュータブレットを手に問いかける

高峰 司 > 「……あいよ」

笑顔になったのを見て、少し俯く。
その後、色々と歌を頑張って歌った時間。
難しく、失敗もして、変な声も出て。
そんなのだったけれど、多分この感情は。



――――――――楽しかった。そう言うのが、適切なのだろう。



「アタシは疲れたよ……」

ふぅ、とこちらは溜息。素直に楽しかったというのも、なんだか嫌だ。

「あ”ー……茶でいいよ、茶で」

ソファでぐでーっとしつつ、投げ遣りに声を投げる。

伊都波 凛霞 > 「あっはは、慣れないことって疲れるよね。
 でもありがと、付き合ってくれて」

じゃあ、とウーロン茶を2つ注文する
間もなく、失礼します、店員が訪れ
大きめのジョッキにストローつきで、ウーロン茶がテーブルへと置かれる

「もう、結構経ったね。遊ぶようになってから」

初めて司と出会ってから、それなりに時間が経った
最初のうちは司にとっては、仕方なしの"ごっこ"だったのだろうけれど

先日の言葉はきっと嘘でもなんでもない、本心

「もう、例の契約をしたとしても、
 司ちゃんとの関係は、お友達のまま変わらないよね?」

高峰 司 > 「いいよ、気にすんな」

手をぷらぷら。
ウーロン茶でこくこくと飲みつつ、凛霞の言葉を聞く。
……正直、実は。

「……あ”ー実はだな。契約の事なんだけどなー……」

俯く。思いっきり顔を隠して、小さな声で口にする。

「忘れてた。契約がどうこうより、オマエの方が心配で。
だから……絶対、変わんねぇ。契約しようがしまいが……オマエがそうあっていいと言ってくれるなら、アタシはお前の友達だ」

恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしい。自分でも顔が紅潮しているのが分かる。
でも、一度言ってしまったことだ。素直に、正直に……言ってしまおう。

伊都波 凛霞 > 「?」

顔を隠す司に首を傾げる
何か言い難いことでも出来たのだろうか…、なんて思っていると…

「…あっははは、やっぱり!
 前までは会う度に契約ーって言ってたのにおかしいと思ったんだ。
 ……でも、そっか…そんなに、心配してくれてたんだなぁ……」

天井を仰ぐ
安っぽいミラーボール、原色の光が少し眩しい

「恥ずかしいことじゃないよ、司ちゃん。顔あげて?
 契約の内容は前にしっかり聞いて覚えてるし…、私は、ただ司ちゃんとこうやって遊んだりがなくなっちゃうのが寂しいなと思ってただけ。
 だから、契約しても構わないよ。私なんかで良ければ、だけど」

そう言ってにっこりと笑みを向ける

高峰 司 > 「…………悪いかよ」

俯いて、むすーっとしながら言う。
だが、顔を上げて、と言われると、ゆっくりと真っ赤になった顔を見せて。

「なら……その契約内容、ちょっといじっていいか?」

赤い顔のままで、そんな事を口にする。
『最初の友達』にしか許さないであろう、特別な契約内容。
それを提案しようと考えたのだ。

伊都波 凛霞 > 「ん?いいよ」

即答である
もはや司のことを信頼しきっているからこその、安心しきった答えだ
自分が困るようなことになる気は全くしなかった

どう変わるのかな?
と素直に興味をもちつつ、言葉を待つ

高峰 司 > 「オマエな……」

少しは警戒しろよ、と溜息を吐きつつ、改めて追加する内容を口にする。

「……内容を追加したいんだよ。アタシの契約は、エオローのルーンを用いてアタシが『仲間の助けを借りる』形で呼び出す召喚契約だ。だから、基本的にアタシから呼び出す事しか出来ねぇ。
ん、だが……契約に『逆召喚』を追加したい。つまり、凛霞がルーンを刻んで念を込める事で、アタシを召喚出来る契約だ」

司が凛霞を呼ぶだけでなく。
凛霞が司を呼べる、そんな契約。相互に助け合える、平等な契約。

「困ったらアタシを呼べ。オマエは、オマエが何と言おうとアタシが守る。そのための、契約だ」

次はない。
今回は、総じて後れを取った。自分は後手に回り、烏丸にいいようにやられてしまった。
だから、次はない。一番早く、近くで、友達を守る。
そんな決意をにじませていた。

伊都波 凛霞 > その提案は、意外だったわけではない
ただそういう召還形態がある、というそれ自体少し驚いた

そうか───
自分のことを友達だと認めてくれた、この少女は
自分のために、必死で奮迅したのだ
それは遅れというよりはすれ違いだったのかもしれないけれど

それでも、この提案は…今の"高峰司"という少女の在り方、
そして、彼女の中での自分の重みを客観的に知るに足る、そんなもので

「そんな契約、こちらこそ喜んで、だよ」

笑顔のままに、そう答えた

高峰 司 > 「契約、成立だな」

言いながら、自分の掌のエオローのルーンに魔力を込め……

「あ、そうだ。凛霞、手ェ出せ。掌が上で」

ちょいちょい、と凛霞の右手を手招きしながら口にした。

伊都波 凛霞 > 「手? はい」

掌を開いて上に向け、差し出す

契約に必要な何かがあるのだろうか、と不思議そうに見て

高峰 司 > 「よし、ちっと借りるぞ」

手を取り、そして魔力を込めた指先で、凛霞の掌に「エオロー」のルーンを刻む。
エオロー。仲間や友人からの助けを呼ぶルーン。それを刻んだ後、魔力魔力を込めてルーンを励起させる。

「後は、アタシの胸に手ェ当てろ」

言いながら、自分も凛霞の胸に手を当てる。膨らみの差がちょっと腹立つ。

「で、アタシに続いて同じ内容を詠唱しろ……名前は入れ替えろよ?
……『我、高峰司は、伊都波凛霞を真なる友として認め、彼女が窮地に陥りし時、あらゆる障害を越えて助けに向かう事を此処に誓う。此処に契約は成れり、我等は断金にして永久の友なり』」

詠唱すれば、司の掌のエオローが輝きを増し、凛霞は『何かしらのパス』が司とつながったのを感じ取るかもしれない。

伊都波 凛霞 > 「えーと…」

言われるがままに、司の慎ましい胸へとその手をあてて、
次は詠唱文、そんな長いの何かに書いといてよ、とちょっと苦笑い

「『我、伊都波凛霞は、高峰司を真なる友として認め、彼女が窮地に陥りし時、あらゆる障害を越えて助けに向かう事を此処に誓う。此処に契約は成れり、我等は断金にして永久の友なり』
 これでいいのかな…こういうのって日本語で大丈夫なの? …あ」

唱え終わった、その時に
言葉には表せないような、繋がりの感覚を得る

高峰 司 > 「しゃーねーだろ、忘れてて用意忘れてたんだよ」

むすっとして口にしつつ、自身にも繋がりを感じる。
これで契約は完了した。

「で、なんか繋がった感覚があったろ。それがアタシらの召喚パスだ。
そこに念を込めれば、アタシと繋がる。アタシからもだな。で、そこでアタシを呼ぶと強く念じながら右手を出せば、アタシを呼べる。手が封じられてると呼べねーから気を付けろよ」

逆召喚について説明。
しかし、逆召喚を許したのは初めてで……自分でもなんだか不思議な気分だった。
まさか、こんな説明をする相手が出来るとは。本当に……本当に、想像もしていなかった。
それを思うと、少し、ほんの少しだけ、顔がほころんだ。

伊都波 凛霞 > 「うん、なんて表現していいかわからないけど、確かに …あ、笑った」
一瞬の顔のほころびも完璧お姉ちゃんの洞察力は見逃さない

「えっと…念を込めれば、司ちゃんと繋がって…、
 司ちゃんこっちに来て、って強く念じながら右手を出す…ふむふむ」

いざ必要な時に使えなくては意味がない、
さっそく言われた通りの手順でやってみるのだった

……距離が近過ぎたらどうなるんだろう、という興味もなかったわけではないけど

高峰 司 > 「うっせ、細かいとこ見てんな!」

笑った、と指摘されれば顔を赤らめて目を背ける。
司に自覚はないが……随分と表情豊かになったものである。これまでは、仏頂面か悪い笑みくらいしか、表情が無かったというのに。
そして、凛霞が念を込めても、その場では何も起こらない。

「……この距離だと何もねーぞ。少なくとも、お互いが目視出来てない状態が条件だ。試してみるか?」

言いながら、カラオケルームの外に出て、お互いが見えないような状態になってから。

「いいぞ、呼んでみろ」

中に声をかけた。

伊都波 凛霞 > 頬を染めた司を見れば、ふわりと微笑む
この子は、ただ自分で自分を追い込んでしまっていただけである
複雑な家庭環境も、過去の出来事も、一人で払拭できない汚れなら、手伝ってあげればいい
今までは誰もいなかったのだろう。そしたら、こんなに愛らしい顔が見れたというのに

「あ、そうなんだ。目視できてないのが条件、か…」
色々な条件があるものだ、と素直に感心する

司が部屋から出て行くと、言われたとおりに
右手を前へと出し、強く念じる
司にこの場へ来て欲しいという念を、強く、強く───

高峰 司 > 「見えてるとこなら、素直に助け呼べっつー話になるわけだな……っと」

パスが繋がる。
瞬間、司の胸に刻まれたエオローと、凛霞の右手に刻まれたエオローが僅かに輝き……

「……召喚に応じ参上した。なんてな?」

珍しく。本当に珍しく、冗談めかした口調で。
テレポートのように、凛霞の目の前に姿を現した司が、口にした。

伊都波 凛霞 > 「わっ…凄い、文字通り条件付きのテレポーテーション…?」

転移魔術のほうがいくらか認識が近いのだろうが
特にそれほど魔力を消費した感覚がない、気がする

「魔術、かじりはじめたところだから何だけど、
 かなり特殊、なのかな……転移魔術の系列だともっと魔力消費するだろうし…」

高峰 司 > 「ま、そんなところだな……エオローのルーンの効果を拡大解釈した特殊術式だ。契約による『双方の同意』を条件に織り込むことで、魔力消費を軽減する術式になってる。まあ、強大な相手だとそれでもかなり魔力食うんだけどな……」

故に、切り札のイフリート辺りとなると、ルーンを一から刻んで呼ばなくてはならないのだが……人一人程度なら、大した問題ではない。

「で、だ。呼ばれたくない時は、召喚に応じない事も出来る。これは対人用の特殊契約で、本来は一定の条件を付けて、それに適合するタイミングでパスが閉じる様にするんだが……オマエのは、特別だ」

そう、今回結んだ契約内容はさらに特殊。
普通ならあり得ないが、凛霞の方に任意の召喚拒否権があるのだ。

「アタシが呼んでも、行けない、行きたくないって時は拒絶すればいい。それで召喚は不成立になる。まあ、条件付けしなかった分、一度呼び出しはいつでもかかっちまうけどな」

伊都波 凛霞 > 契約による条件付けによって魔力消費を軽減、
魔術界隈に於いて契約は重いものとされているのは知っていたけれど、なるほど納得がいく

「特別?あー……」

そういうことかー、と
実際、お風呂に入ってる時とかに喚び出されてもも流石に即座に応じるのは難しい

「…逆に、私が行っても危ない、そんな時は私が司ちゃんを喚ぶことで緊急回避みたいなこともできたりするのかな?呼びかけが必要だけど」

リンクとやらが機能していればそれくらいは応用で出来て然りだと思った
あれ、これ電話いらなくない?と内心思いつつも、それはそれ

「でも、重ね重ね言うけど私で良かったの?
 そりゃあ一班の生徒よりは戦いの経験はあるけど、古武術といっても人間技だよ?」

魔獣や神々といった召還とは比べるべくもない

高峰 司 > 「ああ、それも出来るな」

こくん、と頷く。実際、一度ムニンに『逆召喚』の権利を限定的に与え、いざという時緊急脱出に使おうとしたことがある。
勿論今は剥奪しているが。
そして、ラインが繋がっていれば、呼びかけのための念話が可能……実際、電話要らずである。

「ったりめーだ。そもそもな、人間ってのは要所で役立つんだよ。他の連中と違って、相互に意思確認しながら作戦行動がとれるし、戦略の幅も大きい。それに、特別なタレント持ってる奴もいるしな」

そう、人間は遣いどころが限られるが、上手く使えばかなり強力。
また、人間であることが求められる場合も多いので、そう言う時も使える。いて損はないのだ。
そして何より。

「それにだな……オマエは、アタシの友達だろ。アタシが唯一、心を預けれるのがオマエだ。信頼して任せれるのが、オマエだ。だから……頼りにしてるぜ、凛霞」

契約による従属ではなく、友達として自分を守ってくれる存在。
それの、なんと心強い事か。単純な強さ以上の物が、そこにあるのだ。

伊都波 凛霞 > 「なるほどなー…ふふ、遊ぶ時にも便利だね?」

くすっと笑って、ウーロン茶のストローを咥える

人間、の有用性を説かれれば、そういう見方もあるんだなぁと感心する
まだまだ実戦経験の浅い凛霞にはそういった、
所謂小回りの効く戦力の重要性が意外に感じたのだろう

「そこまで言われちゃ、任せといてとしか言えないよね。でも…」

ことん、とジョッキを置いて

「唯一、っていうのは、今はまだいいけど今後はどうかな?」

どんな友達ができてくるかわかんないよー、と笑うのだった

高峰 司 > 「ぁー、待ち合わせ要らずだな?」

そんな事に契約召喚を使う、と言うのも変な話だが、しかしそれもいいな、などと考えつつ。

「……オマエ、自覚ないだろうけどな。アタシみたいなのを連れ回して友達だー、なんていうの、オマエくらいだぞ」

ジト目で返す。
思い返せば、随分翻弄されたものだ。せっかく人を寄せ付けない雰囲気を出していたのに、それを完全に無視して連れ回してくるのは、本当に意外な話だった。

伊都波 凛霞 > 「そうかな?」
首を傾げてみせる

「司ちゃんは出会った頃から、なんだかんだ誘えばついてきてくれたし、
 私が大変な目にあってたら、なんだかんだ助けてくれたし、
 今日はこうやって契約を交わしたりしたけど、歌える歌もないのになんだかんだカラオケに付き合ってくれたし…」

うーん、そんなに変わってるかな?と再び首を傾げる

どうやらこの少女には 人を寄せ付けないオーラ という区分のものが一切目に入っていないようだ

高峰 司 > 「……そりゃあ、最初は召喚獣候補だったし、その後はその、まあ、友達だったし。そもそもこんなツンツンしてる女に近寄ってくる奴が稀なんだよ」

少し恥ずかしそうにしながら口にする。
と言うより、本当になんでだよと思うので聞き返すのだが……

「寧ろ、オマエ本当によくアタシなんかを友達って言おうとしたな……アタシ、取っ掛かり辛かったろ?」

意図的にそうしていたのだから、当然その筈なのである。
こちらから声をかけたにしても、親しくしようとは思えないハズ、なのだ。

伊都波 凛霞 > 「んー……」
自分の頬をとんとん、と軽く指で叩く
凛霞が言葉の選択を悩む時のサインである

「素直な気持ちを言うと…私って結構話しかけられないほうなんだよね」
容姿端麗、才色兼備、所謂高嶺の花
近寄りがたいという雰囲気こそないものの、それでも遠巻きに見る人間の方が多い

「だから二年生になってからも、それまで仲良くしてた子達中心の交友関係だったんだけど、
 そんな私に初対面からスッと話しかけてくれたんだよね、司ちゃんは。
 あはは、もちろんその理由は、召還契約が目的だったとしても、だよ」

くすっと笑って、向き直る

「それは私としては十分なきっかけになったし、それに…どことなく雰囲気が妹に似てたから気になった…っていうのもあったかな…」

妹には会ってるんだよね?と付け加えて

高峰 司 > 「あー……成程、な」

そういう事か、と頷きながら納得する。
人は、相手が優れていると認識すると、近寄りたい反面、近寄りがたく感じるものだ。
伊都波凛霞は、間違いなく優秀。あらゆる点で優れていると言っても過言ではない人間だ。故に、周囲も近寄りがたさを感じていたのだろう。
……その後の言葉には、呆れ顔を返すしか出来なかったが。

「オマエな……それがきっかけになるんなら、悪徳勧誘もきっかけになるだろーが。だからあのクズにいいようにされんだよ」

根本がお人よし過ぎる。もう少し、悪意に敏感でいいのではなかろうか、と溜息。

「妹……あの妹と、かぁ?アタシが?似てる、かぁ?」

そして、そちらには首をかしげる。
情報では、おどおどしていて他者と話すのも一苦労の人見知り。実際に会った印象は、シスコン。
どちらも、あの時点の高峰司とは似つかない様に思えるが……?

伊都波 凛霞 > 「悪徳勧誘はメリットしか言わないでしょ。
 ん…まぁ、私に甘いところがあったのも事実だけどね」

くすくすと笑って

「そのものは似てはいないと思うよ。
 司ちゃんもそんなつもりはないんだろうけど、なんだか寂しそうに見えてつい。
 私の一方的な勘違いだとしても…まぁ結果オーライってことで勘弁ね!」

そこまで言って、勢い良くソファから立ち上がる

「それじゃあまぁ新しい友情の門出というか新しい出発点みたいな感じで、まだまだ歌おう!」

そう言って2つあるマイクの片方をとって、司に押し付ける

高峰 司 > 「まあ、そりゃそーなんだが……」

その点、確かに司の契約は真っ当なのである。全てを詳らかにし、その上で求めるのだから。
その後の言葉には、首をかしげる。

「あー……アタシが寂しそう、なぁ……」

そんな事はない。と、言い切れもしなかった。
ずっと孤独だった。愛など受けず、故に契約と打算のみを信じて生きてきた。
だからこそ……どこかで、寂しさがあったのかもしれない。それを読み取ったのだとしたら、観察眼おそるべし、と言うことになるのだが。

「……いいぜ、こうなったら今日はとことん付き合ってやる」

少し笑って、押し付けられたマイクを手に取る。
慣れない事も、友達と一緒なら案外楽しいものだ。

伊都波 凛霞 > いつもの彼女なら んなことねーよ と即座に返してきた気がする
自分に対して、だけではない
それ以外にも、この学園での色んな出来事が彼女を変えてきつつある、そう感じて

「よーし!門限ギリギリまで歌うぞぉー!!」

慣れないことに付き合った司の喉に若干の心配を残して、
少女二人のカラオケ大会はもうしばらく続いたのだった

ご案内:「商店街のカラオケボックス」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「商店街のカラオケボックス」から高峰 司さんが去りました。