2016/06/07 のログ
■五代 基一郎 > 「このような話でなければ、よかったのですが……」
なかなか気さくな、砕けた人なのか。
一言二言聞けば概ねこの灰須ヘラという人物の雰囲気は伝わってくる。
同居している菖蒲にしてもこのような人がいるなら、そういった健全な日常というものには
穏やかで優しい日々があるということを想起させるような人だ。
そして薦められるままに、膝を折り正座の形で席につけば……
そのヘラの言葉から続く様に話を始めた。
「先に前例と言いましたが……その案件の際の”面倒事に引っかかりに行った”ことはさておいてなのですが
遠条寺菖蒲という人間自身、その周囲に対して異質な雰囲気があります。
何かご存じではないか、という話しでして。」
何かしら探るべき相手であるならば、ここで切るところなのだが。
「気になった所ですが、生徒会から遠条寺菖蒲個人に対して異能の使用許可が云々という話がまず一つ。
所属していた経験からもありますが、生徒会は無闇にそういった個人に干渉を行わない組織です。
であるならば何がしかの思惑を持った内部の個人が思惑を持って行っているか……
或いは外部の人間から干渉を受けている内部の個人がと思われる点が一つ。
これは彼女の異能について何がしか知識のある人間が関与している可能性が高いと推察します。
であるならば遠条寺菖蒲個人に近い人間が浮上してくる。」
この家の雰囲気や彼女自身の雰囲気を察してもう少し具体的に伝えようと
気になった点を二つ伝える。
「第二に現在の役職です。
ハッキリいれば無かったような役職を今頃出してその長にというのがあまりに不自然すぎる。
監査も組織に対する干渉でありますから。そういう部署であっても関与するのはおかしい話であり
実際そうであったから潰えたのでしょう。それに監査があろうと主だった出さない組織にとっては何があろうと問題ありませんから……
というのは差し置いてもそういう関与が発生しないのならば
いてもいなくても、という組織をまた作りそこの長に遠条寺菖蒲を置くのは幹部候補といえど不自然です。
本人の話を聞きましたが仕事で充足しているようですが、そういった忙殺をさせるような
意図的なものを感じます。何者かの遠条寺菖蒲を鳥籠に入れておくような遺志を。」
■遠条寺菖蒲 > その言葉を聞いて、ヘラは顎に手を当てふむ、と考え始める。
少し立ち上がり歩いたかと思えばマグカップを3つに紙パックに麦茶と書かれたこの雰囲気に不似合いのものが出て来る。
なんとなくそんなものがメイド服の彼女には似合うように見えるだろう。
マグカップに目の前で麦茶を入れ、自分を含めた三人の飲み物を用意する。
他の二つのマグカップは白色だが自前のマグカップらしい一回り大きな灰色のものを手にして席に戻る。
「さて、そうね。ま、身も蓋もない言い方をすると菖蒲ちゃんってこの島の一部の上の方からしたら『観察対象』の1人で態々手に入れた相手らしいからねぇ……」
麦茶を一口飲み、さらっとそう言い出した。
「菖蒲ちゃんの上についてる奴がそういうところと絡みがあるんだろうね。今の私じゃ昔ほど生徒会の内情なんて知れないし……菖蒲ちゃんの異能については、逆にあなたは何処まで知ってるの、と言うのがあるかしら」
そこまで言うと一呼吸間を置いて、左指ピースサインを作り「第二について」と口を開く。
「菖蒲ちゃんが選ばれたのは、ごめん……多分ソレ私のせいでもあるわ」
と頭をかいて謝りだした。
後押し程度の理由だろうけどね、と語り始める。
「これでも私にも学生だった頃がありまして、生徒会で昔の監査局の局長やってたんだわ。これでも現役時代は《交渉役》なんて呼ばれてたんだけどね。まあ、それだけじゃ菖蒲ちゃんが選ばれる理由にもならないけど一応私の今の住居やら職業的に菖蒲ちゃんを観察してる連中には私のことは筒抜けで、彼女が困ったときの相談役とかなんなりで都合がいいというのもあるんだろうね。後の細かい理由は恐らく相手にとっての都合の良さ、なんだろうね。
監査局という部署についてはどう思うかは人それぞれだけれど、文化と社会を持つ人の歴史において相互監視による牽制は各組織腐敗の抑制には必要不可欠ではあるよね。それが他の委員会所属でなくて生徒会にあるのが組織図としては大事なんじゃないかな。ま、過去の監査局は私の次の代で組織が腐って本部に潰されたのは悲しい話ではあるけど。
それに聞いた話じゃ今の監査局は昔と違って提出書類による異常の確認が主のようで書類集め以外で出歩く事も稀そうだし去年の事を考えれば不安なのも分かるけど、動かない分は危険なことは少ないと認識するかな。
ま、それでも前は危険な目に合わせておいて今度は籠の鳥状態じゃどう考えても怪しいとは思うよね」
現在、二十代も後半を迎えた家政婦灰須ヘラも菖蒲がこの島に来るより少し前は女学生と言う職業で生徒会に所属しているエリートと言える 少 女 だった。
実を言えば彼女は自分の経歴を菖蒲に話したことはなかったので隣で聞く菖蒲はそんなの知らないとばかりにヘラの顔を見ているが、当の本人は無視を決め込んでいる。
そんな菖蒲の追求したそうな瞳から逃れるようにヘラは先程の話に付け加えのように言う。
「まー……監査局を今更って事に関して深く言えば、去年は風紀も公安も色々問題あったという建前で何を仕出かすか分からない組織の情報を僅かにでも確保したいと言うのと無警戒だった部活動等についても情報を集めやすくするのが狙いなんじゃないかしら、表向きは。諜報、情報収集なら裏組織みたいのはあるけど、ヘイト稼ぎに目立つ表組織というのが必要なのは確かだしね―――と言うのが私の見解ですね。
それに直接的に動く組織と違って何を考えてるかこっちは予想しか出来ないなんて生徒会じゃある意味珍しくもないんじゃない?」
つまりは本人がちゃんと警戒してくれないとこちらとしても正直やりようには困ってる、と言うように最後は少し困り顔を見せた。
■五代 基一郎 > 麦茶を飲みながら……というかこれどう見ても
コンビニで買ってきた奴だな……よく使うけど……
客に出すやつではないだろうな……とも思いながら。
「監査局というものがどういうものかは理解しておりますし、その機能の必要性も。
先の所感は……まぁ、主に現場的な人間からのもでもあるのですが。
ただ問題なのはそれが出来れば相互の関係上生徒会を監査となる組織が必要となるのですが
それが見当たらない辺りで何が問題かは明白でしょう。生徒会本部により囮潰しになったのが先代のようですが
それは外部からのではありませんしね。加えて言うならば、そも第一の件に連なり
個人が個人の思惑に沿って組織……監査組織が融通される時点で既に腐敗していると言っていいでしょう。
局長をされていた過去のはさておき、現在は私が言うまでそういった問題に対し声が上がらなかった時点で明白かと。」
ヘラの話を聞いて出たのがまず第二の質問に対する回答のものへのだった。
実情はさておきどこの組織も内部には監査機関は備えてはいるだろう。
問題は生徒会という組織に対して機能する第三者機関がないというところなのだが。
何も干渉しない代わりに何も干渉されないのがその特質なのだろうし。
「話の焦点としては全て最初の質問に集約されますね。
遠条寺菖蒲の異能。どこまで、と言われても詳しくは知りませんが
先の前例の際に立ち会った人間としては他に類を見ないものというのは察せられます。
遠条寺菖蒲本人も知らないことでしょうし、それについて伺えませんか。」
実際のところ彼女に関わる全てはそこが始点であり原点になるだろうことは推察できた。
というより問題の全ての解答がそこにあるのだろうか……?
馴染みのある味の麦茶を飲みつつヘラの様子を伺う。
ご案内:「遠条寺菖蒲宅」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「遠条寺菖蒲宅」から遠条寺菖蒲さんが去りました。
ご案内:「Free1」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「Free1」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「病院」にベッドマンさんが現れました。
■ベッドマン > 白衣の男が二人ならんで談笑している
黒髪のサイドを刈り上げた青年に小太りな蛙顔の男
場所は病院の喫煙所か
部屋には煙が充満し分煙機以外には何も見えない
広いようにも見えるし狭いようにも見える
壁の存在さえ不確かだ
■ベッドマン > (―――というわけだよ)
『へぇ。そうだったんですか。おつかれさまです』
何の話をしていたのだったか
へらへらと投げかけられる話題
普段なら情報収集として詳しく聞いたのかもしれないが今日は別の目的がある
適当な相づちを打ち本題に入る。
『そういえばですけど例のベッドマン。彼女の具合はどうですか』
■ベッドマン > そう ベッドマンだ。
(おまえ彼女のことをそんなに気にかけてたっけか?)
あまりこういった話をする方ではなかったか、いぶかしげな視線を向けられる。
『私でもたまには患者のことが気になったりもするんですよ。』
(担当医でもないのにか?まぁいい―――眠り姫はな―――)
好奇心と思われたのか職務への使命感と思ってくれたのか、何とかごまかせたようだ
蛙顔の男は顎に手を当て何かを思い出しているようだ。
たちまち立ちこめていた煙が晴れ光に部屋が充ち満ちる。
目を開けていられない。
■ベッドマン > 気付けばそこは完全な別室。
クリーム色の壁紙に少女には不釣り合いに大きなベッド。並んだ計器。
乳白色で統一されている。
窓の外だけが塗りつぶしたかのように青い。
そう、寝ているのは少女だ。
そしてここは彼女の病室だろう。
みれば蛙顔の男は真剣な顔でカルテを見ており先ほどまでの軽薄そうな顔はない
(今度はCRPの数値が異常だな。これとこれ追加で20ミリ
本当に手のかかるお姫様だよ)
そう言いながらカルテを手渡される。
担当医でもないものにカルテを見せはしないだろう。
そう、私は看護婦だ。
髪を丁寧になでつけている。
■ベッドマン > 彼女の肌は青白く陽にあまり当たっていないのだろう。
とても不健康そうだ。
良いように言えば儚げといったところか。
体は少し成長したようだ。
だが身長はほとんど伸びていない胸ばかり成長しているようで気が滅入る。
体に少し跡が残っているようだがほとんど完治しているようだ
だが、体の中は未だにボロボロだ。
カルテの数値もそれを示している。
■ベッドマン > もっとエネルギーがいる。
そっと少女の額に手を置く。
(なんだ珍しいな。お前もいつもそのくらい患者に親身になってくれれば―――)
男が何か言っているが耳に入らない
彼女は身じろぎもせず眠り続けている
私は身じろぎもせずに眠り続けている
■ベッドマン > この少女は私だ。
医者の夢をとおして自分自身を見ている。
こうでもしないと私は私自身の体を把握できない。
こうでもしないと自分自身を認識できない。
それにこうやって狙った人物の夢に入ることが出来る機会はそう多くはない。
これは定期的に欠かすことの出来ないルーチンワークだ。
用事は済んだ。
『先生。もう午後診の時間になりますよ。
こんなところで寝ていて良いんですか?』
(なにを―――……!!)
かけられた声にはっと気付いたような顔になる。
驚いた顔はますますカエルめいてすこしかわいい。
世界が 歪み 滲み 霞み出す
■ベッドマン > 寝過ごしたのではと言う衝動、気づきは簡単に用意できてお手軽な眠気覚ましだ。
急激な高揚は肉体を活性化し目覚めの時を近づける。
ああ、目覚めは近い。
まもなく蛙顔の医者は中庭のベンチではっと目を覚ますことだろう。
わざわざ早めに教えて上げて上げたのは少しばかりの良心と恩返しだ。
ああ、世界が融ける 解ける
消える 消える 霧散する
ここ二ハモウ ナニモナイ―――
ご案内:「病院」からベッドマンさんが去りました。