2016/06/08 のログ
ご案内:「ホテルGolden Dawn」に高峰 士さんが現れました。
高峰 士 > 高峰士がとっている宿のロビー。
名前こそ立派だがよくある普通(よりもちょっと安い)ビジネスホテルである。

「なかなか、思うようには進まないようですねぇ……」
『仕方ないよね、姉さん素直じゃないから』

高峰 士 > 取り立てて特徴があるわけでない。
普通にフロントがあり 少し離れてテーブルやソファが置かれている 本当にごく普通の安ホテル。
ちなみに朝食バイキングも一応やっている。

ソファに腰掛けながら、ぶつぶつと呟く。
「色々面白い事になっているようですし……さて、どう動きますかねぇ」

ご案内:「ホテルGolden Dawn」に水月エニィさんが現れました。
高峰 士 > 「高峰 士としては、現状維持が精一杯でしょうかね。
 あの事件を知っていると都合が悪い」

そういう結論に落ち着いたらしい。
暢気に紅茶でも飲むとしようか。

「さて、そういえば待ち合わせの時間はそろそろでしたか」

この間、高峰 司を探して欲しいと頼んだ少女、エニィからの連絡があり段取りを付けた時間が……そろそろなのだ。

水月エニィ >  一人の少女が士へ近づく。
 視線を向ければ、待ち人そのものだと分かるだろうか。

「遅くなったわね。」

 時間としてはちょうど程度だが、
 少女は軽い詫びの言葉と共に向かい側のソファーへと座った。
 

高峰 士 > 「構わないですよ、できる事もそうそうありませんから」

微笑を浮かべながら会釈をする。

「僕の方は進展なしです。
 知っている人が少ないのかな……姉さん、素直じゃないから」

水月エニィ > 「本当、そうね。こっちは進展アリ、と言いたいんだけど、そうね。――
 貴方たちの事情に踏み込むつもりはなかったのだけれど。
 ――素敵な女の子からお話を聞いてね。士クンの事情に踏み込まざるを得なくなったわ。」

 先日のポニーテールの少女――凛霞を脳裏に浮かべて、頷く。
 言葉そのものには思う所はあるものの、全体を通して見た場合――

(ああなったらもう建前通して見ぬフリは出来ないもの。
 ……筋を通す上でも、私も、ちょっとだけ私の意思で振る舞うわよ。)

 腕と足を組み、右手の人差し指を頬に中てる。
 分かりやすい怪訝さを示してから――

「……刑事モノのようなヤヤコシイ言い回しは止めにしましょうか。
 貴方、何者? 必要ならばツッコミどころを挙げるけれど。
 誰でもよかった、とはもう言えないの。」

 

高峰 士 > 「ややこしい言い回しから、言質をとるのがセオリーだと思っていたんですけど。
 その手のドラマだと真相に一気に切り込んだら次の犠牲者になりますよ?」

茶化した答えを返しながらも。

「高峰 士。 頼んでいた高峰 司の弟です。
 正直に言いますと、恥ずかしい事ですが姉と高峰家は本当に仲が悪い……というレベルを通り越してます。
 姉さんは、高峰家の跡取りだったんですよ」

水月エニィ >  
「この世界がドラマみたいに綺麗ならいいんだけれど。
 ま、どっちにしてもあの手の名俳優みたいにはなれないわ。相棒だっていないもの。
 ……まぁそこまでは云わなくても察するし、"高峰家について"それ以上は聞かない。
 動機は聞かない事にした。手を出すなと釘を刺されたから、今は聞かない。」

(ここで切ってしまうのもアリだけど……)
 分かり切ったことを告げられれば、大きく息を吐く。
 瞳を閉じて思案してみせた後、眼を開く。
 
「言質を取るには踏み込み過ぎてしまうのよ。だから貴方の瞳も放っておいた。
 だけどそうもいかなくなった。そうね。家の事だけなら、彼女に任せるわ――
 ――って言うかここまで探り当てた貴方が進展なしってのが嘘くさいのだけど。」

高峰 士 > 「まず、高峰家と僕の意思は別ものですよ。
 確かに僕は高峰の人間ですけれど……まぁ、確かにこれは関係ありませんね」

苦笑して小さく肩を竦めた。

「この島は一種の治外法権なんですよ。
 僕の……いえ、高峰家の伝手でわかったのは島に入った事と島を出ていないという事。
 その上で、高峰の息がかかった人間を多く送り込むと察知されて逃げられてしまいかねない。
 だから、僕なんです。
 高峰で姉さんにもっとも血が近く、もっとも才能がない僕なんです。
 きっと姉さんは僕の事を覚えもしてないし警戒もしないでしょう。

 瞳は……なんというか、赤いのは高峰の血筋ですよ?」

水月エニィ >   
 黙って聞き流し、片眉を顰める。
 聞かないことにはしているが……

(分かっててやってるわね……。
 いえ、振った私も私だけど、やけに高峰家を強調してくるもの。
 吹っ掛けてきている以上、探り合いでは勝てないわね。何時もの事だけど。)

 内心で自嘲をしてみせれば、それは軽い笑みへとして表に零れた。

(仕方ない。最後に一つだけ仕掛けて、踏み込めなければこの段階で切りあげましょう。
 不躾(すなお)過ぎてなにかしでかしそうの推察だけで踏み込めるものではないわね。)

 ――思う所はあるが、どうしようもない。
 例え推察は立てていても、結果のあるものではない。

「……では、もう一度瞳を良く見せて頂戴。
 大体10秒位で良いから。」
 

高峰 士 > 「僕に惚れるなよべいべー なんて」

似合わない冗談を口にしたせいか、少しだけ頬を紅潮させた。
素直に帽子をとり、瞳を露にさせる。
エニィの全てを覗き込むような深い深い紅色の瞳。
少しだけ何かが揺らめくのが見えるかもしれないし、気のせいかもしれない。

水月エニィ >  
(まぁ、こうなるわよね。)
 
 ……息を吐いて、立ち上がる。
 帰り支度を始めた。

「悪いけれど、高峰家のことからは一旦手を引かせて頂戴。
 ……その上でこう聞くのは悪い気もするけれど、
 最後に貴方の"意思"を、この島で最終的に何を成すつもりなのかを、教えてほしいわ。」
 

高峰 士 > 仕方ないとばかりに肩を竦めた。

「姉さんと直接話がしたいんです。
 何を言おうとか、そういうのはまだ定まってないんですけど……。
 姉さん、僕からしたらいきなり消えちゃったから。
 僕が気持ちの整理をつけたいだけかもしれません」

水月エニィ >  
(……ダメね。)
 
 疑う事は好きではないが、少し考えれば分かる。これは私も"よくやる"。
 嘘は言わない、言っていない。そう筋を通すための、曖昧な言葉だ。

(ま、何が変わる訳でもなし。
 ……恐らくいずれは辿り着くかその前にさえぎられるでしょうから、立ち去りましょう。
 裏が無いのなら楽に去れるのだけど……)

「悪かったわね。
 ……まぁ、良いお友達では居ましょう。」

高峰 士 > 「いえ、僕のほうこそ手間を取らせてしまって申し訳ありません。
 協力ありがとうございました。
 ……その素敵な女の子のことを教えていただくのは……無理でしょうね」

仕方ないとばかりに頭を振った。

「はい、お願いします。
 エニィさんみたいな可愛い方とオトモダチになれる機会はそう多くないですから」

はにかんだ笑顔を見せた。

水月エニィ > 「……本当にその女の子を知らない?
 知らない風には思えないのだけど……ま、知らないと言えるならいずれ会えるんじゃないかしら。
 彼女だって、ずっと逃げてもいないでしょう。逃げそうになかったけれど。で、どうなのかしら。」

 去り際に言葉を投げかけられれば一度止まり、言葉を返す。
 そうしてから、柔らかい調子で、あたりまえのように言葉を継ぐ――

「ええ、またクレープでも食べましょう。
 新しいトッピングが入ったみたいだから、一つや二つは奢ってあげるわ。」

高峰 士 > 「姉さんがこの島に着てからの足跡は追えてないんですよ……。
 その人が有名人なら名前くらいは聞いたことがあるかもしれませんけど」

高峰 士が知っていていいのは伝聞での名前だけだろう。
魂(ルギウス)は全てを知っているのだろうけれど。
あと、漢字の画数が多くてPLが空で書けないのは絶対に秘密だ。

「今度は、僕に奢らせてくださいよ。
 ちょっとくらいカッコつけさせてください」

笑いながらそう答えて。

『また今度』

と見送った。

水月エニィ >  
 
「それは嬉しい事を聞いたわ。
 ――贅沢に食べるつもりだから、嘘でない事を祈るわよ?
 ま、その時はたらふく奢ってあげるわ。可愛い子は嫌いじゃないもの。」

 ――見送られて、去った。

ご案内:「ホテルGolden Dawn」から水月エニィさんが去りました。
高峰 士 > 「手加減はして欲しいんですけどねぇ……。
 まぁお金はどうにでもするのですが」

ああ、疲れたとばかりに背を伸ばす。

「さてさて、もうしばらくは……姉探しでも楽しみますかねぇ」

ご案内:「ホテルGolden Dawn」から高峰 士さんが去りました。
ご案内:「研究区・異能研究特室」にダリウスさんが現れました。
ダリウス > 『隔壁遮断急げー!』
『何やってんだ!はやく退避しろ!情報圧に飲み込まれるぞ!!』

赤い警報ランプに照らされた廊下、次々とシャッターが降りてゆく
異能研究特室はちょっとした騒動に見舞われていた

「いやぁ…まさかこんなことになろうとは、
 ……ヘタなものをつつくとろくなことになりませんね」
額の汗をハンカチで拭いつつ、大きなため息をついた

それは、遡ること数分前───

ダリウス > 『室長、例の検体。今日から解析を始めてんでしたっけ?』

ギシッと椅子を鳴らして、壮年の男が振り返る
その先には白髪の、初老の男
この異能研究特室の室長であるダリウス・W・雪城その人だ

「えぇ、既に検体サンプルの解凍は終わっていますから。
 とりあえず特殊波形による異能の痕跡とか、そのへんから…って、
 ダウロくん、何を食べているんですか」

口をもごもごと動かす部下に苦笑する

ダリウス > 『あ、これですか?
 隣から頂いたんですよ、何でも日本土産とかで。
 コンブアメって言うらしいですよ、結構趣のある味です』

そう言ってダウロと呼ばれた男は土産らしいお菓子の袋を見せる

「はは、眠気覚ましには良さそうですね、
 ボクも後から一つ頂こうかな」

緩やかに過ぎる昼下がりの時間
まさかこの後、あんなことになろうとは

ダリウス > けたたましいエラー音と共に、分析用の機械から警告が発せられる

『室長!!検体サンプルS-MT1が突然増殖を!!』

「なんだって!?コールドスリープ状態から復帰したばっかりだぞ!!」

慌ただしくなる室内
バタバタと、室長を含めた数人が実験室の方へと走る

そこで見たものは───

「うっ…」

ダリウス > それは名状しがたい光景だった
たった一欠片だったはずの肉片、それが───

「実験室から避難しろ!隔壁降ろせ!」

そう叫び、皆が部屋から出ると、壁に付いていたガラス張りのボタンを叩き割る

すさまじい音と共に冷却ガスが噴出され、強化ガラスの向こう…
培養実験室は真っ白にホワイトアウトした

ダリウス > はぁー…と、一様に胸を撫で下ろす研究員達
しかし室長の表情は未だ険しい

「検体のPB反応を追ってください。
 あの分裂速度は普通じゃない、遺伝子レベルを遥かに超えている、アレは……」

情報レベルでの、増大

「最初の検体を単体として扱い、暫定的に"S"と呼称します。
 以降は連番で、PB反応を確認次第、状況を報告してください」

研究員達が慌てて席に戻り、キーボードを忙しく叩いてゆく──

ダリウス > 「………」

ガスの噴出される音と、キーボードを叩く音だけが昼下がりの研究室に響く

『室長…アレ、なんなんすかね…』

研究員の一人が、ぽつりと呟く

「ボクも今、状況を整理しているところだ。
 ……果たしてあのガスで分裂を止められているかどうかもわからない。
 ………止まってなかったらどうしよう!?」

『室長?!』

取り乱す室長に慌てる研究員達
この人が取り乱すなんてよほどのことなのである

ダリウス > 『落ち着いてください室長!
 今まで室長はありとあらゆる生物の検体を扱ってきたじゃないですか』

『そうですよ!その中には変なのもいっぱいあったじゃないですか』

室長を落ち着けようと、皆の励ます言葉が並ぶ
なんとチームワークのとれた研究室だろうか

ダリウス > 「そうですね……」

人間に留まらず、異能を持つ可能性のある生物は片っ端から検体を集めてきた
その中には神話の住人すらも含まれる
およそ科学の及ばないエリアだって、恐れず立ち向かってきた
それはこの異能研究特室の誇りでもある
だからあんな…

さみゃ… さみゃ…

「いいやあんなモノ見たことありませんよボクはぁ!」

『室長?!』

ダリウス > それが、わずか数分前までの出来事であった

その後PB反応の取得完了と共に隔壁は崩壊、強化ガラスが破砕し、
室長も研究員も、みな廊下へと追いだされしまった
廊下の隔壁は、"炎の巨人事件"以降かなり頑丈に造られている
しばらくは時間が稼げるだろうが…

「…状況はどうです?」

ダリウス > 『現在S128まで確認しています…あっいや、S161…S584…2731…うっ…』

『はやすぎる…』

研究員達は一様に顔を曇らせた

「……情報質量が圧壊するな」

止める手立てがない

「やむなしです。研究区画全域に避難勧告を───」

『あっ!』

ダリウス > 『PB反応が…減少していきます』

「なんだって?」

皆がこぞって端末を覗き込む

その画面の中で、中央に陣取ったマークはどんどんと数を減らし、
最終的には1つになる

『…S1に収束しました』

「見れば、わかる……」

この場の誰一人として、理解できない事象であった
いや、一つだけ…存った

「みんな…ビッグクランチ、というのを知っていますか?」

ダリウス > この広大な宇宙は常に広がり続けている
それは原初の爆発、ビッグバンと呼ばれるものから初まり、今も尚続いている

比類なき速度で広がり続けるそれは、やがて自らの質量に引かれて、等速を以って縮小をはじめる
原初の1へと戻るまで

『…あれが小型化された宇宙だとでも?』

「そうは言っていないけどね。
 理解しようにも比較できるものが宇宙しかありませんでした」

漏れるため息、そんな中で…

『あっ!? ……検体、S-MT1が…消失しました……』

ダリウス > 研究員達が部屋に戻ると、そこはまるで何事もなかったように
壊れた隔壁と強化ガラス、そして、なんだか漂う磯臭さだけが残っていた

研究員の中には安堵の息を漏らすもの
貴重な検体の消失を悔やむもの、それぞれの反応を見せる

室長ダリウスといえば…

「(なんだったんだろう、あれ)」

なんとも言えない表情で眼鏡を曇らせていたという

………

……


ダリウス > この事件は異能研究特室の避難訓練として処理され、外部に情報は漏れていない
検体Sを除けば、破損箇所以外に消失したものもなく、
大きな事件になることもなく幕を閉じたのだった

いや、唯一失われたものがあったとすれば、それは……

『あれー?俺のコンブアメ、ドコいった…?
 室長ー、もしかして食っちゃいました?』

ご案内:「研究区・異能研究特室」からダリウスさんが去りました。