2016/09/04 のログ
五代 基一郎 > そう、幸せな未来が待っている。
そのそれらの一つ……それが実態として現れれば
諸々の問題があろうが些事に思えてくるのだから、その影響力は大きい。
しかし現実として現れればある程度論理的なとは思うが
たった一つのことでもそれらを吹き飛ばすような威力はある。

故に今、言葉としては例えようのないものが確かにあった。
そして……一つ、これでもう、自分はもう自分の意志でどうこう出来る分水嶺を越えてしまったことが確かになる。
一つの終わりが始まり、一つまた新しいものが始まるのだと……

「俺個人のはそうないし、四年の後記だから仕事も引き継ぎしていくから
 そうだな……標準的なのでいいんじゃないかな。家の間取りは卒業前のお試し期間と思ってさ。
 行くにあたって俺も色々用意するものはあるけど、やっぱり色々不安だよな……」

その不安を打ち消すように、なのか。
それとも不安などそもそもない自信からか、じゃれるように口づけすれば
甘えるように、甘えられればまた唇を求める。


「夏終わったからもうあっというまだろうなぁ……
 えぇと年末には三か月だから、やっぱり見てわかるようになるかな……」

親になるというのはどういうことか、なんてわからない。
家族という形も幼いころにいただけだ。見た事はあるが、自分と
自分の相手がいるその世界はまだ見た事のない光景で一緒に住めば
よりリアルに思い描けるのだろうかとも思うが
来年の今頃にはそれこそ父と母、近いのに遠く感じるような
遠いのに近く感じられそうな距離が、むず痒い。

「お母さん、なんだよなぁ」

そして笑いかけられればそのまま、合図のように唇を求めて
体を持ち上げるように起こし、行儀悪くテーブルへ音音を乗せて
また手をそのままにぐるりと一回転させれば向かい合うように位置を変えて

「双子かはわからないけど、やっぱり二人いたほうがよくないかなお母さん」

綾瀬音音 > (まだ重みも膨らみもない腹部だけれど、ここには確かに命が一人、いて。
それを愛して、守って、幸せにして。
その為になら何でもしてあげたい――そんな気持ちになる。
勿論、考えなければならないことは沢山あるし、
乗り越えなければいけないことも沢山あるのだろうけれども。
やってやろう、と言う気持ちになるのである。

だって、自分は――自分達は、親なのだから。

自分だけではどうしようもないこともあるだろうけれども、
それもこの人となら乗り越えていけると思うし、きっと“この子”だって。
少しずつ、でも確かに変わっていく数多の物を、思う)

私も多いのはお洋服くらいですかね……。後は標準より少ないんじゃないかなって。
じゃあそんな感じで、そのうち下見にでも行きましょう。
……まあ、何とかなりますよ。
音色ちゃんは味方になってくれると思いますし、お父さんとお母さんは――さっぱりですけれど。
(片割れは間違いなく味方になってくれるという自信があった。
不安はあるけれど、それも今は何度も交わす甘いくちづけに埋もれていく)

どうでしょうかね……。
その時のお楽しみ、でもいいじゃないですかね。
もうちょっとしたらちゃんと病院に行ってこないと
(妊娠検査薬で調べただけなので、正確な診断等々はまだだ。
妊娠三ヶ月、その頃はどんな風になっているのだろうかと、そわそわとした柔らかな不安がある。

自分とて、まだ告げてはいないけれどもまともな環境で育ってきたわけではない。
それでも、きっと、この人となら――。
ちょっとどころではなく速いスピードで駆け抜けるような展開だけれども、
恋人から家族になって、親になって――その先の未来を見れるのだろうと思う。
来年の今頃は、嫌になるくらいに騒々しいに違いない、と、そんな幸せな確信を持って)

そうですよー。もうお腹にいるんですから
(なんて、笑った所に求められて。
テーブルには易易と載せられてしまう。
もうしばらくしたら身体も重たくなるだろうから、そう簡単には行かないですね、と笑って。
向い合って、見つめ合って)

個人的には許せば三人でもー、って思いますけれどね、お父さん。
(でも今からはそんなに作れないですけれど。

そんな事を言うくせに、求めるのは暖かな彼の体温なのである。
腕を伸ばして、彼を抱きしめるように。
今度は溺れるようなそんなくちづけを求めつつ。

幸せな今と未来に、それこそ溺れるように)

ご案内:「異邦人街安アパートの一室」から五代 基一郎さんが去りました。
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