2016/09/06 のログ
ご案内:「落第街へと続く道」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 「はぁっ、はぁっ……はぁ……」

息を切らせた少女は打ちっぱなしの建物、その壁に手をついて項垂れる
じっとりとした汗を流して、わずかに膝が震えている

歓楽街の駅から全速力で走った、けれどこのあたりが限界
運動神経抜群といっても、ペース配分を間違えればこんあものだ

ずるりと道端に座り込んで、回復を待つ

伊都波 凛霞 > 「…………」

───あれから毎日、妹の…悠薇の病室にお見舞いに顔を出した
妹の表情が大きく変わることはなかったけれど、
それでも自分が妹と一緒の時間を増やすことは無駄じゃないと信じて

真っ二つに割れた二人の距離を少しでも埋めたくて

……今日、病室に向かうとちょっとした騒ぎになっていた
入院患者が、失踪したと
ちょうど家族に連絡をいれたところだったと

悠薇は、忽然と病室から姿を消してしまった

伊都波 凛霞 > 捜索届けやそんなものを両親に全て任せたまま、病院を飛び出し、走った

混乱する中で無意識にサイコメトリーを発動させてしまって
その、触れたドアから何があってそうなったかを見てしまった

高峰司に、烏丸秀に、ヘルヴォルに
力を借りようか正直迷ったところもあった

けれど"今回"は、きっとそういう事態じゃない
今起きていることが自分達にとって悪いことなのかどうかも、曖昧に感じた

「………悠薇」

呟き、そっと道端の石に手を触れる
潜るのは、ほんの数刻前までの記憶

いつもよりも感覚が研ぎ澄まされている気がした
その石に残る残留思念は、ここを歩いてスラムのほうへと向かう妹の姿をはっきりと映しだした

伊都波 凛霞 > 「うっ……」

ズキン、と頭が痛む
この場所まで何度も繰り返したサイコメトリー
きっとあと数回が限度だ

膝に手をおいて立ち上がる
例え限度を超えてでも、そこへたどり着く意思がある

目的の場所まで、曲がり角が果たしていくつあるか想像もつかない
それでも、今日はやるしかない

「ふぅ……今、いくからね……」

伊都波 凛霞 > まだ少し走るには頼りなく膝が揺れる
それでも壁に手をつきながら一歩一歩、先に進む

たどり着く、それまでの時間に
ほんのすこしでも、あの子の本当の気持ちを探りながら

ご案内:「落第街へと続く道」から伊都波 凛霞さんが去りました。