2016/09/14 のログ
ご案内:「常世保健病院」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
体を起こして端末をぱたぱたと弄る。
魔術研究の書類まとめ、教え子の咲雪に与える訓練メニューや質問への回答、
来年の講義をまとめる資料の最終調整、現在休んでいる講義のデータ閲覧と宿題の確認。
ベッドの上で動かないだけで、やれることは無数にある。

「……あ、そうだ」

忘れていた大切なこと。
家にある遺書データを放置してあった。

念のため、レンファにデータを削除するようメールを飛ばしておく。
彼女が聞いてくれるかは五分だ。

寄月 秋輝 >  
今日で入院三日目。
入院二日目からはずっとこんな調子だ。
安静にこそしているが、体を休めているわけではない。
脳と魔力は常時酷使しつつ、出来ることを探してこなしている。
体だけは休んでいるおかげで、体調の異変も引っ込んでしまった。

(充実している……)

うんうんと頷きながら、端末を弄る。
休めるとはなんと心地よいことか、とか考えているが、休むの意味をはき違えている。

寄月 秋輝 >  
指を回す。端末からデータ画面を引き出す。
指を曲げる。そこに膨大なデータを打ち込む。
魔力も総動員しつつの、休みの無い動き。

ただ肉体はというと、確かに修復が進んでいる。
腹の穴はふさがり、筋肉と内蔵も大体は元通り。

傍らの刀に目を向ける。

(……真宵……母さん、か……)

母の名を冠した『プログラム』。
戦闘者を活動できるギリギリにまで無理矢理に繋ぎ止め、継戦時間を大幅に引き延ばす悪夢のプログラム。
それを活用し、回復を早めている。
結果、明日が退院の日だ。

寄月 秋輝 >  
最後の戦い、あの日に発動させて以来眠らせていたが。

(……こんな形で使うことになるとは)

エニィとの戦い。
あの銃撃を受けて、正直死んだかと思ったものだ。
銃弾は回転が強い。あっさりと体内を破壊する。
一発、普段なら致命傷にならない場所に受けるだけでも、失血死まで一直線だ。

生きていたのは、プログラムのおかげでもある。
結果として、少しばかりズルをしたとも言えるかもしれないが。

寄月 秋輝 >  
命を失うことはなかった。
けれど、あれで彼女が勝利を認めるかどうかは怪しいところだ。

(……無理難題を押し付けられなければいいが……)

何をさせられるかわかったものではない。
とはいえ少なくとも殺されることは無さそうなので、安心してはいる。

(……あとは……)

アイリスか。
彼女は結局帰らなかった。
そろそろ彼女が居ない前提で家事を進めなければいけない。

寄月 秋輝 >  
は、と意識が戻る。
没頭しすぎて、剣の極地に至っていた。

時間が吹き飛んでいるのを、時計を見て確認する。

(……これじゃ二十代もすぐに吹き飛びそうだな……)

時間の流れが早く感じる。
若いからか、それともこれから老いていくからか。

(結婚する前に死んでないかな、オレ)

そんなことを考える。
今日の分のデータ処理を終え、端末を放り出す。
ベッドに寝転がり、ぼーっと天井を見つめることとした。

寄月 秋輝 >  
(もう退院するか)

だんだんこの生活にも飽きてきた。
腹の傷はふさがったし、開く心配も無い。

というわけで、看護師と医者を呼んだ。

当然ド叱られたが、腹の傷がほぼふさがったのを見せて、無理矢理納得させる。

「よ、っと」

腹に穴の開いた私服を着こむ。
血は傷が楽なときに洗って落としておいた。
刀を再び握りこむ。

「さて、一週間は絶対安静か……
 しばらくは勉強と研究と回復、か……」

めんどくさいな、という顔で窓に足をかける。
余裕の顔で飛び降り、入り口を外から入って受付を済ませる。

寄月 秋輝 >  
色々と考える。
この三日ほどで、色々とやれないことがあった。
家もほこりが溜まっているかもしれない。

「……まぁ、早速労働だな」

再び外に出たら、思い切り地面を蹴って空に舞い上がる。
気持ちがいいな、と思いながら、まっすぐに家へと飛んだ。

ご案内:「常世保健病院」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「夜の学園・グラウンド」に羽切 東華さんが現れました。
羽切 東華 > 「……”嫌な感覚”を感じて何となく来てみたけど…案の定、というか」

ボソリ、と呟きながら私服姿で夜の学園、そのグラウンドの中央辺りにポツンと佇む一人の少年。
左右の腰にそれぞれデザインの全く違う刀を携え、右腕はこの前の怪我もありギプスと包帯と三角巾。
校舎の方を見据えながら、眼を細めて首を傾げる。

「――よく分かんないけど、幾つかに分散してるのかなこれ」

左手で、無造作に右腰に差していた人外殺しの刀…【禍津切】の鯉口を切る。

「…コレが反応してるって事はそっちの類で間違いは無さそうだけど」

羽切 東華 > 「…下手に加勢して邪魔になると悪いし、こっちにも引き寄せようか」

間接的な援護…こっちに幾らか引き付ければ、今あちこちで対処してる人達の負担も減るだろうか。

「じゃあ、対処してる人達の邪魔にならない程度にやりますか」

こっそりと……は、無理そうだけど。完全に人外殺しの刀を鞘から抜き放ち、緩く掲げる。
刀身に刻まれた赤い文字が鈍く光り、不気味な唸り声を発し始めた。

「―――来た…いや、何か量が凄くないかなこれ…?」

校内から、屋上から、”群れ”の一部がこちらへと誘い出されてくる。
が、予想以上にヤバかった。何がヤバいかというと、一部でも結構な量が。