2016/10/15 のログ
ご案内:「ショッピングモール」にルベールさんが現れました。
ご案内:「ショッピングモール」にユウさんが現れました。
■ルベール > 「…あー、まだちょっとじんじんするな……」
頭を揺らしながら歩く金髪の女。長身金髪の彼女は歩くだけで目立つと言えば目立つ。
包帯を頭に巻いて、バンダナをその上に巻き、怪我を目立たぬようにしながらショッピングモールを歩く。
ちょいと非合法なケンカで幾ばくかの金を手にしたわけなのだが。
それで秋物の服を買おう、という話になり、今こんな場所にいる次第。
彼女は今のところ、ハーフパンツやらジーンズ、そして半袖のTシャツしか持っていないのだ。
「やっぱり秋冬ってなると、長袖のニットとかそういうものになるのかね。
どんなのが欲しいとかある?」
隣を歩く同僚……元同僚、現同級生に声をかける。
■ユウ > 「じんじんで済んで良かったじゃあないですか。戦って金子が入るってのは魅力的ですけどね。
公儀の闘技場でも無しに負けたらどうなることか。」
ボヤく隣にはこれまたボヤく姿が追従している。
上下ともにジャージ姿に褐色の肌はともすれば運動部の生徒に見えなくも無い。
「そうですねえ。寒いとなれば外套にマント。ああ毛皮の奴なんて宜しいでしょうか?
と、まあ言いたい所なんですけれど、こっちじゃあちょいと目立ちますな。
余りモコモコしたものは動き辛くもありますし……。」
ショッピングモールの回廊状の通路を歩きながらユウの視線が彼方此方と彷徨う。
レトロゆかしい看板を掲げた店もあれば、ホロモニタに投影された立体映像が美辞麗句を並べる店もあり
多種多様な品揃えが通路を歩くだけでも見て取れる。
■ルベール > 「負けたりしないし。余裕だったし。
怪我っていってもかすり傷だしさ。」
ふん、と胸を張ってドヤ顔をする。どんなもんよ、といった顔。
ただまあ、しばらくいかねえ、とは呟いて。
二人して並んでいるとコントラストが際立つ。
「……そーなんだけど、ここの世界って毛皮が高いんだよ。
うちらんとこに比べてバカみたいに高いの。目立つのはいいとしてもさ。
綿とかそういうのはむちゃくちゃ安いんだけどさ。
だから、まあ私らの経済力で言うなら、安いのを何枚か着るってとこだろうねぇ。」
言いながらこちらもあちらこちら。
ラーメンの店があればそちらに視線を向け。
ドーナツの店があればそちらに視線を向ける。
分かりやすい動物感。
■ユウ > 「自信があるのは結構。でも此処はほら、私達の居た所とは違う世界ですしね?
ちゃんとした所なら私も参加してみたいものですがー……ああ、行かない方が宜しいですかね。
そんな所でもし負けでもしたら慰み者にでもされるのが関山ですよ。そっちのが金になるかもですが。」
得意満面に胸を張る傍らはやれやれと肩を竦めて嘆息を落としている。そんな色相反する二人は目立つとみえて
擦れ違う通行人の目線が程々に向きもした。
「服自体が安いのは有り難い反面良く判らない所も多々ありますな。
……に、しても貴女の口から経済力なんて言葉が出てくるなんて……。」
ユウの喉がくつくつと愉快そうに笑った。良く視ずとも方も揺れているのが判る。
「いや、失礼。算術は私も苦手な類ですからね。いやはや学び舎は愉しくも険しい所……
って一寸ルベールさん?服を買いに来たんでしょうに……。」
ふらふらと食べ物関係が並ぶ区画へと足を運びそうになるルベールの腕を取り引っ張る。
ユウの腕力や体力は見目に反し高いと言えたが、ルベールの腕力や体力は見目に沿って高かったものだから
そう易々と引っ張れる筈も無く、通路の分岐点で暫し奇妙な場を演じる事となる。
「ああほら通行人が見てますよ!」
■ルベール > 「……ぁ。 いや、まあ、え、あ、そうかもだけど。」
負けた後どうなるかは今思い至った。
顔を赤くしてどもる金髪。負けることを一切考えない彼女らしい後先考えなさ。
金になるかどうかとか、そういう言葉に少し耳まで赤くなる。
何をされてしまうのか。いや分かってるけど。
「流石に誰かに頼めないしさ、すげー困ったもん。
お酒も控えてるしさ。」
乱暴に飲み食いをする彼女であるが、今はさほどでもない。
「………いやまあ、うん、後で食べよ?」
物欲しげにむう、と唸るも、………一歩二歩進みかけて思いとどまる。
大人になった。
■ユウ > 「ったくその体型で何故にそれ程のパワーがあるのやら本当っ……謎、ですねえ……!」
互いの身長の差。と言うモノを鑑みても尚不可思議に尽きる差にユウは引っ張る事を諦める。
が、幸いにしてルベール当人が思い止まった事により二人は無事に雑多な衣類の並ぶ店内へと入り込む事が出来た。
「誰か頼めるような相手でも見つけなさったらどうなんです?こっちの世界にも良い男は居るでしょう。
ま、どちらにせよお酒は控えた方が宜しいでしょうがー……これは私もですねえ。居候ですし。」
頬を含羞に染め恥らうようにしているルベールの尻を軽快に叩いてユウが笑った。
笑う様も軽快であり「何いい年して恥らってるんですかね」等の軽口も続く。
「後で食べるのはまあ良いですよ。であれば其方の奢りと言う事で……さて、衣服、こんなのとか?」
そうして陳列棚に軽い調子で手も伸び、取り上げられるのは真っ赤なダウンジャケットだ。
首元にファーがあしらわれて快活そうな印象である。
■ルベール > 「……まー、才能って奴?」
ウィンクしながらきらっ、と笑顔を向ける。パワー馬鹿。
衣類が所狭しと並ぶ店で、きょろきょろと周囲を見回しながら、んー、っと唸る。
「強いやつぁいないね。イイ男、ねぇ………。
んきゃっ、ちょっと……叩くのやめてよ。」
んー、と考えるが、強いやつはいなかった。
ばちん、っと叩かれると顔を赤くしながら、お尻を撫でて。
「ん、あったかそうだよねぇ。
いくつか見て、お互いに相手のを選んでみたり? 自分のでもいーけどさ。」
ケケケ、と笑う女。彼女のセンスは昔はとても悪かった。
■ユウ > 「臆面も無く言えるその姿勢も才能ですかねえ。殺りたくなってきますねえ。」
張り付いたような恵比寿顔に乾いた声が追従し赤いダウンは放られるように棚上げとなる。
「ま、羨んでも仕方ないんですけどね。嫉妬なんで宜しく御座いませんしね。
私は私の手持ちで何とかするとしてー……で、その様子だと居ませんか。
非合法の闘技場でこてんぱんにされて孕まされる前に見つかるといいですねえ。」
「ああ、でも暫くは行かないんでしたっけ。」そうわざとらしく言ってユウがほくそ笑む。
互い互いに悪役めいた様子を演じ、それも一頻り済んだ所でユウは渋い顔をルベールに向けた。
「……余興としちゃ面白いですね。いいですよ?それじゃあ30分後に此処に合流と言う事で――」
向けて、身を翻……さず、緩慢な足取りで店内の何処かへと消えていった。
■ルベール > 「へっへ、やりあうなら訓練所でな。
ぶっとばしちゃうけどなー。」
からからと笑ってしまいながら、服をいいなーと眺める。
こういうものは楽しく見つめられる女。
「ぜ、ぜってー負けないから大丈夫だっての……!
………絶対……。 うん。」
危なかった、と胸を押さえてため息一つ。正直負けるかもって思ったのは秘密だ。
そのあとどうなるとか考えてなかったのも秘密だ。
「…………おっけえー、ちゃんと着るってルールな。」
にしし、と笑いながらこっちもハンガーを手に店の奥へと歩いていき。
30分後、お互いに服を持って戻ってくるのだろう。
■ユウ > 「……しかし30分で探すってえのは、我ながら無茶が過ぎましたかね。」
右を向けば衣服
左を向けば衣服
見上げれば衣服
その全てが見慣れない代物なのだから似合うも似合わないも無いのだが、
売り言葉に買い言葉を悔やんでユウは苦笑を浮かべた。
「そもそもこの寒い時分にあんな格好している御仁に似合うも何も……ん?」
一応は冬物を、そういう頭もありルベールと離れたユウの足が向いた先には暖かそうな衣類が様々に並んでいる。
その中で彼女の目に留まり、手に取られ、その表情を物語に出てくる意地の悪い魔女のように歪める物は――
――30分後
「………♪」
ルベールに先んじて集合場所に戻って来たユウは好物を目の前にした子供のように愉しげだ。
元の世界では人気のあった曲を鼻歌に諳んじてルベールを今か今かと待っている。
■ルベール > 「お、早いなー。
何見つけてくれたの?」
ふっふ、と楽し気に戻ってくる女。
飽きっぽそうではあるし、事実飽きっぽいのだが、こうやって服を見るのは好きなようで。
「へへ、こっちはこれ! ほーら、可愛いだろ。」
猫耳のついたオレンジパーカー。
少女らしくなってしまうそれは、後ろに尻尾までついている。
壊滅的な中二病的センスは無くなってしまったらしい。
■ユウ > 「ふっふっふ……来ましたね。さあ店員さん、今です!」
ユウの指が高らかに鳴った。
すると陳列棚の陰から、髪の毛を鮮やかな真紅に染め上げた男性店員がキャスターを押して現れる。
如何にもノリの良さそうな、そういった快活さを漂わせる人好きのする店員だった。
そして彼が押すキャスターの上には一体のマネキン。
頭の上から足先に至るまでの全てが白とピンクの二色で染まっていて
其処彼処にフリルが配された……所謂『甘ロリ系ファッション』と言う奴だ。
少なくとも暖かそうではある。
「……どうですこれ。暖かそうでしょう?まるで王侯貴族のお召し物のようではないですか、ねえ?」
ユウが手を挙げると即座に陰に戻る男性店員。まるで忍者か何かのようである。
「……ってちょっと……。」
それは兎も角とし、得意気なユウの顔があからさまに翳る。
屈託皆無にして見目不相応に子供過ぎる態度で服を提示されもしたらこうもなろう。
我が身の意地悪を写す鏡のようなものなのだから。