2016/11/26 のログ
ご案内:「演習場」に阿曇留以さんが現れました。
■阿曇留以 > 巫女装束に弓を持った女性。
毛先で髪をまとめた姿は少々実年齢よりも老けて見えるか。
その装束の腰には携帯用矢筒と大量の矢。
矢といっても、刺さるようには作られておらず、その先はお団子のように柔らかいものがくっついている。
そんな彼女が演習場の片隅で大弓、和弓に弦を張っている。
ご案内:「演習場」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
「お待たせしました」
鞘に納めた刀をぐるぐると手の中で回しながら、十センチほど浮いた状態で移動してくる。
弓と矢とはなかなか珍しい、と思っている。
少し伸びてきた自分の髪をくるくる指先で弄り、相手の準備が整うのを待つ。
何か練習がしたいということで呼ばれたのだが、詳細については聞いていない。
■阿曇留以 > 弓を曲げ、弦を張り終えれば軽く引っ張って様子を確認しつつ。
「あら、ごめんなさいね呼び出しちゃって。
ちょっと弓術の練習を手伝ってほしいのよ。
たまには弓も使わないと戦い方を忘れちゃうから」
いつものように微笑みながら弓を抱えている。
■寄月 秋輝 >
「いえ、お気になさらず。
弓術の手伝いと言っても、僕に手伝えることがありますか……?」
請け負うのは簡単だが、そこは疑問だ。
確かに弓というか、ロングレンジを得意とする相手との戦闘の経験はいくらでもある。
しかし彼女が望む手伝いが出来るかどうかというと、非常に怪しい。
「どんなことを想定して動けば……?」
ひとまずはそれを聞いておこう。
■阿曇留以 > 「ん?ん~……そうねぇ」
出来ることなら、妖怪のように、が一番なのだがそんなものは人間には出来ない。
妖怪の思考をしろといっているのと同じなのだから。
なのでそんなことはいえず。
「普通に、斬りかかってくれればそれでいいわ~。
こっちはいなしながら矢を当てていくから」
■寄月 秋輝 >
「ふ、普通に斬りかかれ、ですか……」
恐ろしく難易度の高い要求をされた気がする。
(どこまでが普通だ……
飛翔しながらのバレルロールで剣撃……
全速の踏み込みからの居合……)
考えれば当然どちらもNGだ。
普通に斬りかかれの普通を明らかに逸脱している。
少し考えながらも、鞘に納めたままの刀を両手で構え、ふと思いつく。
「では、対人戦と対魔戦、どちらを想定しているかだけ教えてください」
こちらから聞けばよいのだ。
■阿曇留以 > 「それなら……対魔戦かしら」
特にウソはつかず、そんな風に言う。
「でも、あまり気にせず戦ってくれていいのよ?
今回は私の体を動かして、動きを思い出すのが目的だから~」
■寄月 秋輝 >
「対魔戦想定ですね。
わかりました」
となるとやり方が変わる。
両手で握った刀を右側で引きずるように構える。
「いえ、その……多分、僕が気にしないで動くと、留以さんの練習にならないので……
留以さんの動きを思い出させるような動きをします」
後ろに大きく飛びのくと同時に地面に着地して、一息置いてから。
「行きますよ」
鞘に納まった刀を引きずるようにしているが、かなりの速度で駆け出す。
戦術も技術も今は忘れ、真っすぐに突撃し、真っすぐに刀を振りかぶっている。
■阿曇留以 > 「あらあら、寄月君は律儀ねぇ」
くすくすわらいながらも弓を構え、矢を番える。
が、寄月の動きのほうが早く、こちらが撃つよりも早く刀の間合いに入ってしまう。
ならば、と弦を引くのは止め、一歩大きく踏み込む。
すなわち、寄月に密着するように接近し、半身になって刀を避けつつ蹴りをお腹にくらわせようとする。
■寄月 秋輝 >
踏み込んできたのはよくわかった。
ので、そのまま刀を振るう。
当然のように間合いのさらに内側、長物が役に立たない距離だ。
あっさり回避され、腹に蹴りを受ける。
「っぷぅ……」
しっかり腹筋で耐えて、留以が後ろに下がりやすい程度には反発を返すが、耐えたところで鈍い痛みは響く。
軽く後ろにバランスを崩すように下がる。
そこでもう一度刀を構え直すように、あからさまな隙を作ってみせた。
■阿曇留以 > 留以の、というよりは阿曇の術は大概が連撃を基本としている。
妖怪なぞという人の想定できない物体を消すということは力も要るし、体力もいる。
故に一撃必殺は無く、せいぜい連撃を決めた上で確実に葬るための技が有る程度。
弓術もその例には漏れず。
「っせぃ!」
寄月を蹴った反動と、地面を蹴る力で大きく跳び、宙で一回転しながら矢を番える。
まず一発目はダメージを蓄積させようと、腹を狙って撃つ。
地面に着地し、回転動作をしながら二本目の矢を番え、今度は頭を狙い撃つ。
■寄月 秋輝 >
吹き飛んだ先で構え直そうという隙に、確かに矢が飛んできた。
腹にぼよんと当たり……それなりの速度で飛んできた矢だけに、割と痛い。
「んっ」
そして続いて飛んできた矢、それに対して左手を柄から放し、掴むことで頭に刺さるのを防いだ。
「いい感じじゃないでしょうか。
……というか、宙返りなんて出来るんですね」
腹に当たって落ちた矢を拾い、二本の矢を携えたまま近付いていく。
予想していたよりしっかりと動くものだと感心しながら、その二本の矢を渡した。
■阿曇留以 > 「っふぅ」
装束の乱れを直しながら矢を受け取り、矢筒へ入れておく。
「普段は出来ないのだけれどね。
ああやって勢い良く何かを蹴っての宙返りならなんとかできるのよ~。
あとは、やる気の問題かもしれないけれど」
笑いながら話すその顔は余裕そうにみえるが、若干息も乱れているために疲れはあるらしい。
■寄月 秋輝 >
「なるほど、やる気はまぁ確かに……
けれどバランス感覚がしっかりしてないと、あれは出来ないことですよ」
背を向けて再び距離を取る。
蹴られ、射られた腹を撫でながら、しっかりと歩いていく。
今度はさらに遠く。
留以が先制攻撃を取れる距離だ。
「では次、行きますよ」
少し大きめに声を上げ、刀を今度は片手で握った。
鬼が丸太を握ったかのように、鈍重に見えるようでそれなり早い、程度の速度で走って攻め込む。
頭の位置は多少ズレるが、真っ直ぐ走っているため、射抜くのは容易だろう。
■阿曇留以 > 「ふふ、ありがとう寄月くん。
そうやって褒めてもらえると、頑張ってるかいがあるわ~」
だれだって、褒めてもらえれば嬉しいものだ。
楽しそうに微笑み。
距離があるとはいえ、やはり人の速度よりは早く。
それでもゆっくりと弓を構え、矢を番える。
矢に籠めるのは退魔術。
大きく弓を引き、頃合になれば矢を放つ。
最初の一本は再度お腹へ。
今度は退魔術も付加しているために、当たれば大きな衝撃が伴う。
そしてもう一本は、彼が走ってくる直線状の地面に、突き刺しておく。
■寄月 秋輝 >
片手で刀を振り上げ……そのタイミングで、腹に矢が当たる。
その瞬間、退魔術の衝撃が炸裂して、思わずうめく。
「ぐっ……お……」
いやまぁ確かに対魔を想定しているとはいえ、まさか術まで仕込まれているとは思わなかった。
探知も追いつかず、一発でたたらを踏み。
もう一度踏み出そうとした瞬間、地面に矢が刺さり。
「うおっと……!」
とっさに回避をするつもりで、斜めに跳ぶ。
あえて姿勢を崩して跳んで、着地と同時に片手を付いて、一瞬動きを止めた。
■阿曇留以 > 「隙あり、ね」
寄月が怯んだ瞬間に留以は走り出す。
蒼い髪をなびかせながら、矢を番え。
そして走りながら矢を放つ。
今度は術も籠っていない、ただの矢。
■寄月 秋輝 >
「っと、まだまだ」
飛んできた矢を右手の刀を逆手に握り、弾き飛ばす。
腹の痛みを押し殺し、刀を左手で握り直して、一気に踏み込む。
留以がそのまま走ってくるならば、それで肩を叩ける、という位置を狙って、刀を振り下ろす。
■阿曇留以 > その矢は別段、当たろうが外れようがよかった。
本命は、地面に刺しておいた矢だ。
通り過ぎる瞬間に矢を拾い上げ、再度番える。
退魔術を仕込んでおき、しかし発動することがなかった矢には未だその術が残っている。
「くっ、やぁっ……!
これなら、どう……かし、ら!」
振り下ろされる刀。
その刀をあえて避ける事もせず喰らいながら、体を後ろに倒す。
まるで刀に倒されるかのように背中から地面に倒れ、そのまま地面を滑る。
刀の力に逆らわずに受け流し、スライディングするような姿勢で足の素肌を晒しつつ。
弓をまるで洋弓のように横にして構え。
「阿曇流弓術、鳴女!」
寄月の顎を狙って、矢を放つ。
無理な姿勢で撃つその矢は十分な速力を得ていないが、しかし威力は退魔術で補っている。
■寄月 秋輝 >
刀が直撃すると理解した瞬間に、寸止めの要領で速度を完全に殺す。
鞘を留以の体に押し当てる程度にし、後ろに倒れるに合わせて押し付ける。
上手い具合に力を受け流したのを見て、それもまた感心しながら。
自分の顎に向けられた矢を見て、背筋を凍らせた。
「いやちょっ!!」
必死で首を後ろにそらすように倒して避けようとするが、見事にその矢が直撃。
退魔術の炸裂も受けて、衝撃で脳を揺らされながら吹っ飛んだ。
朦朧とする意識の中、なんとか受け身を取ろうとして、背中ではなく左肩あたりで接地し、思い切り滑っていった。
滑り終えて静止しても、ぐらぐらする頭のせいで体を起こせず、しばらくダウンしておくことに。
■阿曇留以 > それはとてもいい音がした。
本来なら衝撃ではなく貫通するように退魔術を練りこむのだが、そもそも貫通する矢でないのと、実践でもないためにそんなことはできない。
ゆえに、衝撃を付与し、放ったが。
「あら、寄月くんごめんなさい~!」
まさか当たるとはおもわず。
飛んでいった寄月の後を追いかけ、横にゆっくり座る。
「寄月、意識はあるかしら?」
目の前で手を振ってみる。
■寄月 秋輝 >
「だ、大丈夫……大丈夫です……
ただ少し起きられません……」
手をかざして問題ないと答える。
意識はあるが、宣言した通り少しの間動けない。
力と速度を落とすために、魔力での身体強化も控えめにしていたため、
あの矢を完全回避することも、耐えきることも出来なかったのだ。
魔装の簡易防御結界が無ければ、本気で意識が飛んでいたかもしれない。
「でも……なかなかいいんじゃないですか?
刀や札を使った体術だけでなく、弓もこんな精度で使えるなんて……正直驚きました」
寝転んだまま呟いた。
一芸に特化した自分にとっては、留以の多芸さには驚かされるばかりだ。
■阿曇留以 > 「ありがとう寄月くん。
といっても、これが限界なのだけれどね。
極めることはできないからどうしても中途半端になっちゃうのだけれど」
浅く広く。
マルチスキルはそれだけ生き残る確率が上がる。
手札は多い方がいい。
■寄月 秋輝 >
「十分じゃないでしょうかね。
先日も申しましたが、素晴らしい素質と努力の結果ですし。
それは多くのことが出来るという強みですよ」
くすっと笑いながらその力を称えた。
ゆっくり気の巡りを整え、なんとか体の末端まで意志が届くようになった。
手をついて起き上がり、あぐらをかいて座り込む。
「実際は刀と弓を、距離によって使い分ける……という形になるんですか?」
■阿曇留以 > 「実際の戦いでは、事前情報に基いて選ぶ形ね。
相手が鳥なら弓でしょうし、数が多かったりすれば刀でしょうし。
もちろん、二つとも持っていくこともあるけれど……。
もっていくとなると、あまり移動が出来なくなっちゃうから拠点をつくって、防衛戦みたいになるかしら」
横座りをして過去の戦い方を思い出しながら答える。
とはいっても、だいたいは刀が多いのだが。
「寄月くんも、弓つかってみる?」
なんていってみる。
■寄月 秋輝 >
「相手に合わせて選ぶということですか。
確かに機動力の問題もありますし……矢の補充の問題もありますからね」
確かに、なかなか思うようにはいかないのだろう。
その点魔術は便利なのだが、質量のある武器を携えるとなると簡単にはいかない。
「あぁいえ、一度触れたこともあるのですが、まるで上手くいかないんですよ。
性根が曲がってるせいでしょうね、矢も素直には飛びはしない」
くすくすと笑いながら、冗談めかしたように呟く。
実際は練習の成果が出せるようになるまでの時間、極めた剣術の訓練を削るデメリット等を天秤にかけて、選択肢から除外したのだが。
■阿曇留以 > 「あらあら。
じゃあきちんとまっすぐにしないと。
私が矯正してあげましょうか?」
くすくすと冗談めかして笑いながら、寄月の頭を触って優しく揺らしてみる。
■寄月 秋輝 >
「是非お願いしたいですね。
この歳になっても治らないので、簡単にはいかないと思いますけれど」
笑いながら、頭を揺らされる。
なんとなくそれが心地よかった。
「……さて、一休みしたら外に出ましょう。
カフェテラスの限定メニューに興味があるのですが、ご一緒にいかがです?」
少しふらつくが、なんとか二本の足で立ちあがった。
まだ鈍く痛む腹をさすりながら、そんな提案もしておいた。
■阿曇留以 > 「あら、限定メニュー?
美味しいのかしら、いってみましょうか~」
だいじょうぶ?と案じながら一応支えるように手を差し出し。
しゅるり、と毛先のリボンを解いて、楽な格好に直していく。
■寄月 秋輝 >
「それは味わってみてからのお楽しみ、ですね」
支えようという手を見て、少しだけ迷ってから、その支えに頼る。
魔力で作り上げた魔装を解除すると、中にはいつもの和服姿。
「では行きましょうか」
そう言って、少し良くなった足取りで、留以の手を引いていった。
ご案内:「演習場」から阿曇留以さんが去りました。
ご案内:「演習場」から寄月 秋輝さんが去りました。