2017/04/10 のログ
ステーシー >  
「怪異対策室三課は怪異と戦うのも仕事の一つだからー」
「……突然、A級怪異災害が現れて戦うこともある。あった!」

友達から借りた恋愛をテーマにした漫画を思い出す。

「……確か、すっごい気難しいイケメンの男子生徒に惚れられて」
「それを断ったら ハッ! 面白ぇー女! って言われてますます気に入られちゃうんだよね」

それが彼女の持つ学園ラブの知識の全てだった。

「彼のことが好きな女生徒たちから睨まれてー、怖い怖い」

指を軽く振ってニコラスに説明する。

「そ、怪異対策室三課。悪い生徒じゃなくて怪異と戦う風紀みたいなもの」
「とはいっても来年には解散しちゃうだろうけど」
「創始者の先輩が卒業だしね」

コーラの話になると目を輝かせた。

「コーラ! いいよねー、シュワシュワしてて冷たくてー」
「私の世界だとああいうのはお酒だって相場が決まってたから不思議ー」

彼方の言葉に難しそうに頷いて。

「うん、気をつける。それに人は簡単に死ぬから、守らなきゃいけないんだ」

真っ直ぐな視線はすぐに外れる。
恋愛関係の話を突っ込まれると弱い。

「狼さんは怖いけれど……私みたいな色気のない剣客猫耳女を狙う人なんて…」

ふと自分の胸を触る。
何とも言葉に詰まる普乳だった。

「ん、上は色々言われてるみたい。だからもう活動は来年でおしまい」
「面倒くさいし、貴種龍を巡る戦いは終わったし、変に継続させても後腐れがね」
「……風紀がやるべきことを、取っちゃまずいもんね」

笑顔で会話を続ける。
笑う角にはフラクタル。

「あ、そうだ。二人ともメルアド交換しよ?」
「私のアドレスはねー……nyannyan-nekoneko@…」

スマホを気難しい顔をしながら睨みながらアドレスを教える。
まだ携帯デバイスの扱いに慣れてない。

ニコラス >  
ほーん。
――って無くなるのか。
じゃあステーシーはどうするんだ?

(となると彼女は所属先がなくなると言う事になる。
 一般生徒に戻るのか、風紀委員に転属と言う形になるのか。)

……それは俺が興味あるやつとは違うな……。

(どちらかと言えばそれは女の子の方が好きそうなヤツじゃないのか。
 と言うか男が男と恋愛しても面白くない。
 少なくとも自分は面白くない。)

まぁ俺も男の子ですからね。
興味ないっつったら嘘になりますよ?
なりますけど送り狼なんてしませんよ。
ニコラスさんはこれでも教会育ちだからな。

(そりゃ人並みには興味ある。
 興味あるけど、こちらからガツガツ行くのはなんか違う気がする。
 そもそも子供の頃からありがたいお言葉を頂戴して育ってきたのだ、送り狼なんてしようとも思わない。)

――まぁ、世の中には小さい方が良いという方もいらっしゃいますし?

(なまあたたかい目。
 頑張れ、貧乳はステータスと昔の人も言っていた。)

コーヒーもうまいけどな。
――お、良いぜ。
まてまて、えーっと……。

(スマホを取り出してぽちぽちとアドレスを打っていく。
 こちらはいい加減慣れてきた。
 スムーズにアドレスと名前を登録してメールを送っておいた。)

人って簡単に死ぬからな。
気を付けろよ、二人とも。

宵町彼方 >   
「卒業するとなくなるの?へーんなのぉ。
 そいうのってどういう仕組みなのかいつも不思議ぃ」

この島はなんだかんだ表裏どちらでも治安維持集団が乱立している。
その内の幾つかは……結構過激だったりもして
島内では賛否両論で、彼女もまたそんな組織の一つに所属しているのだろう。

「んー……そいう話は実はボクも詳しくないんだよねぇ。
 すきーとか嫌いーとか恋とか……あんまりよくわからないんだよねぇ
 あ、でもほら、好きなタイプの話とかはがっこでもするよぉ?
 ならニコ君はこう大人なおねーさん先輩とかそんな感じかぁ成程ぉ」

いつの間にか好みを決められて納得までされるとは実に迷惑な話かもしれない。
実際の好みがどうかはこの際置いといて。

「でもあれだよぉ?耳があるってだけでこう高ぶっちゃう人もいるしぃ
 結構かみ合ってる的な?需要はどうあるかわかんないよぉ?
 むしろその方が良いって人も多そうだし……うん」

まぁ本人が良いなら好きに楽しめばいいと思っている。特には言わないが。
別に不順異性交遊が云々などという倫理観は彼女の頭の中にはないわけで……
それどころかそういう意味ではかなり奔放な思考の持ち主でもある。
そんな感覚は当の昔に消し飛んでいるのだから。いや、元々なかったかもしれない。

「アドレス、アドレスぅ……スマホ沢山あるんだよねぇ……」

普通に探すだけでも6台ある。
最近少しあってアドレス帳を更新した。
一応公で使用できないものも所持している為、聞きながらメモを取っていく。
最も……表面上メモを取っているだけでアドレス等は丸暗記してしまうのだけれど。
しかしアドレスを聞くとぴたりとその指が止まる。

「……先に聞くけどぉ
 そのアドレス人に設定してもらったでしょぉ?」

ステーシー >  
「生活委員会一本になると思う」
「風紀委員になることも考えたけど、そうなると人を斬る可能性があるから」
「人のインフラを守り、異邦人を保護する…それが私の戦いよ」

そうだ、斬ることだけが戦いじゃない。
それを分かった今なら、素直に師匠に謝れる気がする。

身振り手振りで解説しながら、ニコラスの言葉に首を傾げる。

「ニコラス、教会育ちなの? へー、だから私のことも助けたとか?」
「そうじゃないか……なんか、ニコラスは人が良さそうだから」

ぎゃーと両手を上げて抗弁。

「小さくないよ! 普通だよッ!!」

そこは退けぬ一線であった。

「ん、お互い死なないようにしよう。そうすればまたコーヒーが飲めるよ」

ステーシーの細い指先がテーブルに触れる。
そして何かをなぞるように動いて。

「川添孝一って先輩がいて、その先輩が全部面倒な手続きしてたから」
「その先輩がいなくなったら、もう誰も続けないよ」
「……私達ができること、結構やり終わったしね」

今の自分は間違いなく、この島を取り巻く長い後日談の中にいて。
こうして平和な日々を甘受している。

「そうなんだー、彼方もわからないんじゃ私にはちょっと難しいよ」
「えっ、猫耳ってひょっとして興奮する人いるのかな……!?」
「それはそれでちょっと怖い!」

スマホをたくさん持っている、という言葉に目を丸くした。
あんなに維持費がかかるものを複数持っているのか。なんかすごい。

「えっ、なんでわかったの!?」
「川添孝一に設定してもらったのをそのまま使っているけど……」
「あ、よく考えるとこのアドレスかなり恥ずかし………!」

頭を抱えてしばらく唸って。

「さて、それじゃ私はこれで」

最後にコーヒーを飲み干して。

「二人とも、楽しかったよ、またね」

そう言って立ち去っていった。

ご案内:「双葉コーヒー常世島学生街店」からステーシーさんが去りました。
ニコラス >  
そっか。
なら、がんばれ。

(人を傷つける戦いではなく、人を守る戦い。
 それは共感できる信条だ。
 だから素直に応援できる。)

正しくは孤児院育ちだけどな。
――困ってるヤツを助けるのに育ちとか関係ないだろ?
わかったわかった、普通な、普通。

(何を言っているんだと言う顔で聞き返す。
 困っている人を助けるのに理由は要らない、と言うのが自身の考えだ。
 騒ぐ彼女を宥めるようにどうどうと手を振って。)

おっとニコラスさんは大人のお姉さんも好きですが年下の女の子も好きですよ。
慕ってくれる後輩タイプとか活動的な妹タイプとかがド真ん中です。

(好みのタイプに関しては譲れないところがある。
 無駄に真面目な顔でろくろをまわす。)

なんだ、ケモミミとかケモナーとかなんとかって聞いた事はあるな。
てかうん、このアドレスはどうかと俺も思う。
――つーか多いなオイ!

(改めて酷いアドレスを見ながら同意。
 ちなみにこの知識は自身のものではなく、クラスメイトが話しているのを聞いた事があるだけだ。
 そして何故六台もスマホを持っているのか。
 なんかもう危険な匂いがぷんぷんする。
 でもアドレスは教える。)

おう、気を付けてな。
――俺もそろそろ帰るわ。
課題やっつけちまわねーと。

(そう言ってコーヒーを飲み干す。
 席を立って、去り際に一言。)

彼方も、気を付けて帰れよ。

(右手を上げて店を後に――)

ご案内:「双葉コーヒー常世島学生街店」からニコラスさんが去りました。
宵町彼方 > 「……ふぅん」

守りたいと思う気持ちは正直言ってあまりよくわからない。
しかし秩序とは程遠い世界に棲んでいる者もいて……
それを抑える組織に所属するというのならいつか道が交錯する事もあるかもしれない。
その時はきっと……敵同士だろうけれど。

「育ちは関係ない……うんうん良い事言うねぇ。
 好みに関してはメモしておくねぇ?」

良い笑顔でサムズアップなんかしてみたり。
世の中の殿方の好みが多種多様というのは今に始まった事ではない。
アドレスを記録しつつ、その横に女好きと誤解を招く表現を書き加えて……

「んー。じゃねぇ。
 変な人に絡まれないよう気を付けるんだよぉ
 近頃物騒だからぁ」

二人に向かって手を振り見送ると、自分もよいしょと席を立つ
まぁ、多分大丈夫だろう。事実かなり危ないヒトに絡まれていたわけで。
本人たちが気が付いているかは知らないけれど。

「まぁ、どぉでもいいかぁ」

わざわざ知らせる義理もない。
ああそういえば……

「ボク、覚えてられないって伝えるの忘れてた」

けれどそれは些細な事。
きっと、その時も顔なんて区別はつかない。
だから、きっと気にもならない。

飲み切ったタンブラーを空中に投げるとそれは虚空へと消えていく。
そうして白衣の裾をはためかせると、小さな怪物もまた店を後にしていった。

ご案内:「双葉コーヒー常世島学生街店」から宵町彼方さんが去りました。