2017/06/16 のログ
ご案内:「常世港・倉庫街」に八百万 頼さんが現れました。
八百万 頼 >  
捨てるて、何を?

(後ろから声。
 どこからやってきたのか、いつからいたのか、全く気配のなかったところから。
 神出鬼没を可能とする自身の能力を利用した、常套手段。)

――あらぁ、こらまた珍しいもん持ってはるなぁ。

(ひょいと後ろから覗き込む。
 自身も裏に潜む者だ。
 それの存在は知っている。
 細い目を丸くして驚いたような表情。)

烏丸秀 > 「あらま」

なんか面倒そうなのに見られた。
周りの連中は気色ばんで得物に手をかける。

が、烏丸は彼らを制止すると、振り返る。
こういう手合いの相手をして良い事はない。それを経験から知っている。

「うん、まぁ珍しいよね。てかこんなまとまった量、まだあったんだ、って感じ」

『暴走剤』は落第街の中小組織がこぞって漁り、大量には残っていないとされていた。
非常連絡局と西園寺が消えた以上、供給元が無い。
公安委員会も重要案件として回収に乗り出している。
それが、こんな大量にあるのだから、まぁ大事である。

「でもねぇ、ボクの趣味じゃないんだよね、こういうの。そもそも『無能』だし」

八百万 頼 >  
(臨戦態勢になった男達を見ても顔色一つ変えない。
 ポケットに突っ込んだ手をゆっくり抜いて、)

――ボク情報屋の八百万頼言います。
何か欲しい情報とか売りたい情報とかあったら声掛けてください。

(ポケットから取り出した名刺を男達に渡して回る。
 ニコニコと猫のような人懐っこい顔を浮かべながら。)

ほんま、それは捨てるしかないなぁ。
ボクんとこでもそう言うんは扱うてないし。

(その薬品の包みを一つ取り上げ、まじまじと見つめる。)

烏丸秀 > 「あ、どもども。ボクは烏丸秀、しがない学生だよ」

名刺は持っていないので渡さないでおく。
まぁ、しかし、情報屋。

胡散臭い事この上ない。

「ま、そういう事。こんなのあった所で、紛争の火種にしかならないし。
ボク、人が死ぬのとか好きじゃないんだよね」

やれやれと肩をすくめながら。

八百万 頼 >  
烏丸クン。
あぁ、名前は聞いたことあるわ。

(彼ほど色々な意味で目立つ活動をしていれば、その名前はどうしたって耳に入ってくる。
 ましてや情報屋としてアンテナを張っているのであれば尚更。
 勿論それは自身にも言えることではあるのだが。)

こんなんどう使たかて、良いことにはならんからなぁ。
ちゅうたかて、ただ捨てたところで誰かが拾わんとも限らんよ?

(燃やすと言うのも不味いだろう。
 なんせモノがモノだ。
 どこでどんな被害が起きるか分かったものじゃない。)

烏丸秀 > 「あれ、ボクってそんな有名人?
目立つ事はしてないつもりなんだけどなぁ」

やれやれと首を振りつつ。
無能の人間の名前など知ってどうするのやら。

「まぁ、そだねぇ。
燃やすのも埋めるのも危険が伴う。
本当、厄介だよねぇ、これ」

まったく、西園寺もとんだ置き土産を残していってくれたものだ。
非常連絡局があった頃は、良い取引先だったのだが。

八百万 頼 >  
こういう商売やっとると、人の名前は結構耳に入ってくるんよ。
なんや手広くやってるて聞いとるわ。

(裏の世界では自身を無能と言う人間ほど有能であることが多い。
 自分に出来る事と出来ない事を把握しているからこそ、無理をせずしぶといのだから。)

――ほな、ボクが買いとろか。
悪いようにはせえへんから。

(猫のような笑顔を深める。
 人懐っこい、裏なんてありませんよと言うかのように。)

烏丸秀 > 手広く。
まぁ、手広いか。古美術から人買いまで、色々やってるし。
裏の世界なら、名前を聞いた事があるかもしれない。

「――キミに?」

じっと彼の顔を見る。
――胡散臭い。裏の無い笑顔ほど裏のあるものはない。
この世界の鉄則だ。

「別にいいけど、いくらで買うの?」

一応、相手の出方を伺おうと。

八百万 頼 >  
相場の二割。

(吹っかける。
 彼自身ブツを持て余していると言うのは明らかだったから。)

明らかに危ないもん買い取る訳やしな。
その手数料も込みでその値段や。
安いわけやない思うけど?

(そうは言っても安すぎることは分かっている。
 この安すぎる提示額は、値段交渉に応じると言う意思表示でもある。)

烏丸秀 > 「売った」

烏丸が恐れるのは、暴走剤が変な事件を引き起こし、その責任を押し付けられる事である。
それが避けられるのなら、タダでも良いくらいなのだ。

「ただし、条件が二つ。
ひとつは学生街、及び落第街の『表側』で撒かない事。
もうひとつ、ボクらは今日ここで会わなかったしお互いの顔も名前も知らないという事」

安すぎる値段の代わりに、身の安全を買う条件。
そもそもが棚から降ってきたボタ餅である。
2割でも高いくらいなのだ。

ちなみに落第街の『裏側』で撒く分には感知しない。
あんな冥府魔道、今更暴走剤くらいでは明確な変化は出ないだろう。

八百万 頼 >  
あら、意外とあっさり。

(もうちょっと粘られるかと思った。
 しかし、それはそれだけ持て余していると言う事でもあるだろう。
 こちらを怪しみつつ、リスクは最速で斬り捨てる。
 慎重さと大胆さを両立している彼は、やはり有能だ。)

――ほなおまけして三割。
ほいこれ代金追いときますわ。
失礼しまっせ。

(ぽんと手近な台を右手で叩く
 そこへ代金分の札束がいつの間にか現れた。
 一緒に出した二つの鞄。
 片方は金の横に置き、もう一つの中にクスリを詰め込んでいく。
 こんなものを「コピー」するのも「カット」するのもリスクが高すぎる。)

八百万 頼 >  
――あぁ、ばら撒くつもりなんか無いから安心してな。
ウチでオクスリはご法度やし、オクスリ屋サンの副業もやっとらんからな。

(ひょいひょいと鞄にクスリを詰めていきながら。)

烏丸秀 > 「そりゃ良かった。ボクも安心だよ」

クスリをばら撒かず、そして金を惜しまない。
という事は、だ。

(公安か風紀に持ち込む気かな……ま、証拠は無いし、ボクの名前は多分出さないでしょ)

この男なら、わざわざ烏丸の摘発の為に回りくどい事はしないだろうという確信がある。

周囲の連中に、かばんの中に金を詰めさせつつ。

八百万 頼 >  
さて。
今日ここではなんも起きてへん。
君らは何の問題も無く取引しただけやし、ボクはどっかから謎のオクスリを手に入れた。
そうやんな?

(彼が取引をした美術品がどういうルートでここにあるのかは気にしない。
 聞くこともしないし、そのつもりも無い。
 そもそも今日は誰にも会っていないのだから。)

――ま、とは言うてもなんぞ情報欲しかったら連絡してな。
支払いは現金一括払いに限るけど、仕事はちゃんとするで。
迅速確実な八百万情報商会をよろしゅう頼んまっせ。

(ブツを鞄にすっかり詰め込めば、そんな言葉と共に右手をしゅたと挙げる。
 そうしてくるりと背を向けて、)

あー、こういうの他にもっと集まらんかなぁ。
持ってきてくれたらお礼するんやけどなぁ。

(などと呟きながらすたすたと歩き去っていく。
 彼らに聞こえるような声で。)

ご案内:「常世港・倉庫街」から八百万 頼さんが去りました。
ご案内:「常世港・倉庫街」から烏丸秀さんが去りました。