2017/10/15 のログ
■真淨在処 > 「そりゃそーだ。世の中全部互いに本音で語り合えたら苦労しねーしな。
それに、本音を語ればそれで万事解決って程に世の中は甘くないだろーし」
時には嘘も曖昧さも緩衝材として必要なのだ。本音だけしか語れない世界なんて、多分長くは持たないだろうから。
あと、精神的にノックアウトに関しては「じゃあ俺はウンメイさんの人見知りな所とか可愛いポイントを弄り倒すかぁ」と、ニヤニヤ顔。
「下心ねぇ。ハニートラップには確かに引っ掛かりそうだけど…ってか道化師だし?
周りの反応が好転するのは悪くねぇけど、それはそれで俺らしくねー気もするなぁ。
…ふむふむ、じゃあ俺はスケベ心に不屈の意志、そしてエロ魂が宿ってるのか」
と、茶化して自分を落としていく。道化師の態度そのものが彼が貫いているものだ。
そして、彼女の言う事にはもっともだ、と頷きながらも…
「あれれ?シスターはその心と言葉で相手を懺悔させて改心させるモンだろ?
言葉が通じない程度でそれじゃあ、ウンメイさんはシスターじゃないって事になるけど?」
と、わざと挑発的にそう述べて笑ってみせる。言葉を忘れた者にそれを届かせるモノじゃないのか?と。
だが、研究区に辿り着いて路肩に一度バイクを停めての会話。彼女の呟きは聞こえたのかどうなのか。
「――ま、"箱庭"で俺ら学生が"実験動物"扱いなのは間違いじゃねーだろうなぁ。
俺も散々検査とか異能テストさせられたし。研究者から見れば、多分俺らはヒトですらねーんだろうさ。
…ま、全部が全部そういう連中でもねーんだけどよ?」
と、珍しく静かな声でそう淡々と彼女の言葉に答える。だが、最後の一言は笑み混じりに。
こういうシリアスな空気は道化師の柄でもないし。思う所はお互いあるとしても、だ。
「さて、次は歓楽街だな。まー名前通り大人の街って感じで学生があんまし寄るトコでもねーけど」
一度、ぴったりくっついたままの彼女…の、こちらの腰に回された手にそっと手を重ねる。
別にセクハラでも悪戯でもなく…強いて言えば何となく、だ。さて、お互いこの場所は苦手な事だしさっさと次に行こう。
彼女に発進する事を告げてから再びエンジンスタート。路肩から道路に出て公道を今度は南…歓楽街に向けて走り出す。
一応、予定として歓楽街を通った後、その先の異邦人街で小休止をする事も発進間際に彼女に告げておいた。
■時坂運命 > 「そうそう、それで良いのさ。人間の心理ほど謎めいたものは世界にそう多くない。
探究心と好奇心は謎が多ければ多いほど膨れ上がるのだから、その謎をあっさり口にしてしまうなんてもったいないってね」
適当すぎる軽口の言い合いや、言葉遊びの存在しない世界なんて退屈で地獄と変わらないのだから。
「おいおいアリカ君、僕がいつ人見知りだったんだい?
もしそんなシーンを見たとしても、それは君の勘違いだ。わかったね?」
青年のニヤニヤ顔と、少女の張り付けた様なニッコリ顔。
圧のある「わかったね?」は反論を許さない強さがあった。
「……君は一度しっかりとお医者様に頭を見てもらった方が良いんじゃないかな?」
どんな魂だそれは。と、憐みを含んだ目で、腫れものに触れるように出来るだけ優しい声で言う。
勿論、冗談であり、会話が移り変わればケロリといつもの調子に戻った。
「シスターさんだって命は惜しいし、身も心も清らかでいたいさ。
その身に宿る心が人間ならいざ知らず、獣なら躾慣れている人に任せるのが道理だと思わないかな?
僕に獣を屈服させるような力があるなら別だけど、そうじゃないからね」
だから平和主義者。挑発するような問いかけをかわして、肩を竦めて見せる。
少々魔術が使える程度の小娘にそこまで期待しないでほしいと、おかしそうに笑って戯言を吐いた。
「――この島は作られた楽園だね。観賞用の鳥籠なんて良いものではなかったのは、残念ではあるよ。
多かれ少なかれ、そういう思想を持っている人間にはいずれ天罰が下るさ。
……そして、正直僕は君ほど強い能力を持っていなくて良かったなぁって、今少しホッとしてる。
検査とテストとか、面倒だしね?」
そっと重ねられた手の温もりで、冷めた声に熱が戻る。
途切れた言葉を取りつくろうように紡ぎ、淡い笑みを浮かべて言った。
最後の一言は、彼に対するお疲れ様の代わりなのだろうか。
またバイクが吠えて走り出すと、落ちないようにしっかりとしがみ付いておく。
次は歓楽街。眠らない街、などと呼ばれる少し大人の店が立ち並ぶ場所だったか……。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「まーそうだなぁ。好奇心は猫を殺すとは言うけど、好奇心は割と俺の原動力の一つでもあるし…。
まぁ、つまり好奇心が刺激されない世の中はつまんねーな…地獄と変わらんぜ」
軽口も、言葉遊びも、曖昧さも駆け引きも。そのどれもが崩れた世界に何の面白みがあろうか?
彼女の、続く言葉とニッコリ笑顔の圧力に「お、おぅ」と頷く青年は割りと素直です。
まぁ、脳内にバッチリその記憶は保管してるのでそれは見逃して貰うとしよう。
「――ん?医師免許持ってる研究者に脳の構造とか調べられたりしてるけど?
ほら、異能とか魔術の検査の一環的な意味で。それに…医者は苦手なんだよなぁ」
憐れみを含んだ視線も、腫れ物扱いの優しい声色にも特に動じず、普通に天然かそんな返答を返す。
まぁ、彼女の皮肉毒舌が偶に通じない程度の天然さはあったりする。ある意味で手強い。
…とはいえ、天然かと思えば察しつつも意図的にそういう態度を取る策士でもあるが。
「まぁ、獣の相手はこの島の警察代わりの風紀委員会とか公安委員会に任せておけばいーんじゃねぇかな?
ま、ウンメイさんも自分からホイホイ危険な場所には行かないとは思うがいちおー気を付けなよ?」
と、平和主義者を口にする彼女の戯言にそう付き合って言葉を返す。
大事なのは真実よりも、案外こういう他愛ない互いのやりとりなのかもしれない。
「…ま、俺は出来るだけサボってここには行かないようにしてるけどな。
まーウンメイさんも一度くらいは訪れないといけないかもしれねぇからいちおー心構えはしとけよ?
別に大した検査とかでなくても、何かしら用が出来る事も有り得るわけだし。ああ学生って意味でな?」
自分の異能云々の強さ。それに関する彼女の言葉には答えずに苦笑を零す。
表情は見えなくても雰囲気は伝わっただろう。ともあれ彼女の声に熱が戻れば重ねた手を離し。
さて、改めて今度は歓楽街へと出向いた訳だ…カジノ、風俗店、怪しげな店、まともな店…ごちゃごちゃしている。
少なくとも、学生街のような小奇麗さや商店街のような地元的な安心感とは違う空気がある。
バイクをやや徐行気味にして走らせつつ…取り敢えず、こんな場所なんだぜ的にジェスチャーで歓楽街を示す。
まぁ、シスターの彼女からすれば落第街を除けばもっとも縁遠い一角かもしれないし。
■時坂運命 > 「流石は道化師を名乗るアリカ君だね。
でも、君じゃなくても、人を守るための嘘さえない世界じゃ誰も生きていけないさ。
この不思議で愉快で可笑しい世界で僕は生きていたいものだよ」
戸惑いがちな短い返事を聞けたら満足して、よし。と、独り頷いた。
少女がテレパシー使いだったならさらなる追及があったかもしれないが、そうではないので。
これも知らぬが仏?である。
「しまった、もう手遅れだったか……」
そして、さらりと返された反応に、少女の背後で稲妻が走った。無論コミカルな感じで。
「まぁ冗談はこれくらいにして、お医者様は苦手かぁ。
風邪を引いても病院に掛らずこじらせる、なんてのは止めておくれよ?」
子供じゃあるまいし、流石にそんなことは無いだろうけど、にまにまと笑みを浮かべながら楽しげに言った。
「警察代わりねぇ、いろいろ噂は絶えないみたいだけれど、一般人を守ってくれるなら文句もないか。
だいじょーぶ、だいじょーぶ。僕はいつだって神様に愛されてるから、そんな不幸にはあいっこないよ」
噂は噂、公になって問題視されない程度でとどまっているなら、ちゃんと機能していると言うことだろう。
安心していると言うよりは楽観視しているような、とことん気楽な返事を返していた。
「アリカ君も真面目に授業受けて単位を取っていればそんな事にならないのにね。
んー……僕は、多分大丈夫だよ。心構え?は、一応しとくけどさ。
いやいや、案外僕が学生ではなく教師や研究者になる可能性も―― いや、それはないか」
言いかけておいて、流石にそれは無いと彼につられたように苦笑を零した。
移り変わる景色が近未来的なものから、煌びやかで派手な電飾が増えていくとガラリと世界も変わる。
暫く走っただけでこの変わりようなのだから、この島はつくづく面白いものだ。
ゆっくりと流れていく店の看板達に目をやりながら、時折彼の方を見てジェスチャーに頷いて返す。
怪しい店も、如何わしい店も、普通の店も、どれも物珍しそうに眺めていた。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「嘘って良いイメージねぇけど、何かや誰かを守る為の嘘ってのもあるしなぁ。
あー、うん。割と俺とウンメイさんはその辺りの感性?考え方?は近いかもしれんねぇ」
愉快痛快、退屈せず楽しい世界が好きだ。気楽に嘘すら吐けない本音真面目な世界は退屈だ。
あと、更なる追求が仮にあった場合、多分シスターのプチ説教コーナーに発展していただろう。
幸い、彼女にそんな力とか魔術は無いようだが…ある意味で青年は難を逃れたのかもしれない。
「おぅ、道化師名乗ってる時点でイタい男なんだから今更だろー?」
稲妻がバックに走ったかのようなコミカル衝撃を受けてるシスターに、楽しげに笑いながらそう返す。
うん、イタいし軽薄だしふざけてるし。…まぁ、顔は悪くないが性格で結構避けられそうではある。
「…あー…割とそれあるわ。冗談抜きでマジで病院とか苦手なんだよなぁ。
あの白くて無機質な空間ってーの?ああいうのが駄目なんだわ。あと薬品の匂いとか」
素で苦手なのか、誤魔化しもふざけたりもせずににがーい表情でそう答える。
実際、病院関連は青年は苦手で出来るだけ行く羽目になる事は避けたがる。
「まーそりゃ、組織ってのは一枚岩ではないっしょ。警察だろーが犯罪組織だろーが同じこった。
俺としてもこっちの生活にとばっちり来なければ別に気にもしねーしなぁ」
楽観視している彼女に相槌。こちらは楽観というより割り切ってるといった感じだが。
あと、彼女に誤解されてるようだからジト目で指摘しておこう。
「…や、俺は成績はこれでも優秀なんですけどねウンメイさん、…うん冗談でなく。
まぁ、出席日数のほうがアレかなぁ。サボったりも多いし…ただ成績は悪くねーぜ?」
実際、小テストも期末テストも落とした事は一度も無いし、赤点も無い。性格はアレだが成績は優秀ではあるのだ。
あと、彼女が教師や研究者は「うん、ねーな!」と笑顔で即答同意した。似合わないと断言してもいい。
電飾や派手な看板、客引きなどで昼間であろうと夜であろうと賑わいを見せる歓楽街。
流石にバイクを停めて、となると面倒なのに絡まれそうだからそこは我慢して貰おう。
ともあれ、信号待ちの間とかに軽く歓楽街の規模とかどんな店があるかとか説明はしておく。
さて、そんなこんなでそろそろ休憩もしたい。やって来たのは、歓楽街から更に南…。
結構な規模を誇る異邦人街だ。この島の特に特徴的な街区の一つで。
「…ほれ、付いたぞここが異邦人街だ。見ての通り、ちょっとしたファンタジーな通りっつぅか。
まぁ、場所によっては和風だったり中華風だったりするトコもあっけど、基本ファンタジー色が強いな」
バイクを近場の駐輪施設に止めてから、エンジンを切ってヘルメットを取る。
ウンメイさんにもヘルメット取ってもいいぞーと、言いつつ軽く体を解すように伸びをして。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「僕は嫌いじゃないよ、嘘って。嘘から出た真、なんて言葉もあるくらいだしね。
それは喜べばいいのかな?嘆くべきなのかな?」
騙される側からすればきっと良い気はしないと思うけど、嘘も貫き通せば本当になることだってあるかもしれない。
何より自分を騙してくれる物があるなら、それは貴重だと良く見える目を持つ少女は楽しげに笑う。
「自分でイタイ子呼ばわりはやめなよ、そこに救いは無いぜ?
――病院嫌いはもう仕方ないとしてもだ、そう言う時はせめて薬は飲むこと。
かいがいしく看病してくれる彼女でもいるなら別だけどね」
最初は茶化すようだった口調も、本音にしか聞こえない声には真面目になってしまう。
風邪は難病の始まりなんてこともある、十分に注意してほしいと、
シスターは初めてまともなシスターらしく話をしていた。
「いっそのことそう言う機関は全部ロボットにしてしまえば良いさ。彼らなら腐りようがないからね。
そして意志を持ったロボットたちは人間に反旗を翻し立ちあがるのだ!
――と言うストーリーはどうだろう?」
真面目な話が一転、近未来SFへと早変わり。
陽気に、饒舌に、腰にまわした手を片方離して掲げる、
役者染みたオーバーアクションを加えながら言うものだから、すれ違う人たちの目を引いたに違いない。
「それは知っているよ、成績が良いのと生活態度が良いのは別だから。
研究への貢献度?とかで補う必要があったりするんだよね?
成績だけで判断されるなら僕だってもう少し遊んでる」
当然と言うように、そして若干羨ましそうに言いながら、離した手を腰に回し直し。
即答で「ねーな!」なんて言われると……
少し癪に障ったようで、彼にしがみ付いていた腕に無言でぐぐぐっと力を込めるのだった。
「うん、運転お疲れ様だよ。
ファンタジー……確かに、学生街とも研究区とも違うね」
バイクが停まったのを確認してから手を離し、次いでヘルメットを外しながらきょろきょろと辺りを見渡す。
視線はあっちに行ったりこっちに行ったり。
ちょっと目を離せば勝手に散策に行って迷子になりそうな雰囲気が漂っている。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「んー、ウンメイさんの判断に任せるよ。喜ぶのも嘆くのも俺じゃなくてウンメイさんが決める事じゃん?それは」
ちなみに青年の感想は分かり易い。「すげー楽しい!」これに尽きる。
全く同じとは勿論言わないが、似た感性を持つ人は意外と少ないのだ。
さて、彼女の『目』すら欺くモノがこの青年にあるのかどうか…それは謎だ。
だって道化師なのだ。相手を煙に巻いたり驚かせたり、敢えて外したりと。
つまり、予定調和ともいえるし、同時に全く外れてもいるのだ。
「えー他人から言われる方がショックじゃね?俺はまぁ自覚あっても道化師的に保ってるけど。
それと、彼女なんて居たら流石に頻繁にウンメイさんお誘いしてねーと思うんだわ。
…と、ゆーか初めてシスターらしいお説教を貰った気がするんだけども」
別に彼女が出来るとは思ってないし、そんな事より真っ当なシスターのお説教に目を丸くしていた。
勿論、薬くらいはちゃんと服用する。最低限病院に行かなくて済む努力はするのだ。
「おいおいウンメイさん。この島なら割と可能性あるんじゃね?割ととんでも兵器とかロボット開発もしてそうだしさぁ」
片手を離して陽気に饒舌に、聊かオーバーアクション気味に筋書きを語る彼女に笑って。
ちなみに、通行人たちが変人を見るような目で見ていたが多分二人とも気付いてない。もしくは気にしないだろう。
「そそ、俺の場合は発火能力でどの程度応用性が利くかとか、何か研究開発的な方面での…って、痛い痛い!ギブギブ!」
ぐぐぐ、と無言で力をこめられればギブアップ宣言。だけど密着が強まってるのでいい感触が背中に!
…これは絶対に黙っておこうと青年は決めた。ともあれバイクを降りてお互い一息だ。
「あーウンメイさん興味深いのは分かるがフラフラ出歩くなよ。
と、じゃあテキトーにどっかでメシ食ったりまったりしますかぁ。
この後は、ほぼ反対側にある神社とか海岸だから距離もあるしな。」
道中、南の別の島にある農業区も説明だけするつもりだが、まぁそこは割愛してもいい気がする。
さて、バイクのロックもしたので、大通りへと足を踏み出そう。
「まぁ、案内といっても、俺もあんまし異邦人街に来たりはしねーんだよなぁ」
■時坂運命 > 「そう? じゃあ―― やっぱり内緒にしておくとしよう」
答えは委ねられた者の中だけに、あえて言葉にする必要はないと口を閉ざした。
感性がまったくの真逆では友人として付き合えないのは否めない事実ではある。
少女は楽しそうに口元に弧を描いたまま。
「ふふっ、君ってやっぱり変だね。 僕としては自ら道化を演じる君は嫌いじゃないけどさ。
おっと、それは盲点だった。友人とは言え2人だけで出かければお咎めも受けると言うものだよね。
無神経にも独り身の君を傷つけ、面白半分に塩を塗り込んだことを謝るよ。――ごめんね?」
つらつらと畳みかける言葉の弾丸を無遠慮に浴びせかけ、最後にニッコリと無邪気に微笑んで口だけの謝罪をする。
シスターらしいお説教をした直後のこれだ、性格の歪みが余計際立って見えるに違いない。
もはや照れ隠しなのか意趣返しなのか、ただの嫌味なのかも謎である。
「そうなれば見ものだね、シアタールームにこもらなくても良さそうだ!」
実際そうなったら島中がパニックになるが、それをお構いなしに鑑賞するのだから性質が悪い。
声を弾ませて好奇心を膨らませては、瞳を輝かせた。
「本当に君の異能は色々使い勝手が良さそうでうらやましい限りだよ、そのせいで色々大変そうでもある、け、れ、どー」
心の中でカウントを取ってから離して、ちょっと勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
彼が何を考えているか知れば、きっと酷いことになるだろう……主に彼が。
「わ、わかっているとも! 僕は遠足に来た小学生じゃないんだよ?
この後も楽しみだねぇ。ふむ、ご飯かぁ……、何が良いかなぁー」
言った傍からふらり歩き出すあたり、完全に自制心を好奇心が上回っている。
学生街のカフェとも、歓楽街の高級店とも異なる……
異邦人街なら異世界の料理、なんてものもあるのだろうか?
大通りを気の向くままに左へ右へと――。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「ありゃ、それは残念。ま、どう思われようと俺は俺だしなぁ。そこは変わらんし…。」
肩を竦めて苦笑を浮かべる。勿論好ましく思われるならそちらの方が嬉しい。
だが、好ましくないと思われて自分を改めるかと言われたら、それは無いと断言するだろう。
今の性格、気質あっての「真淨在処」なのだ。それを捻じ曲げるくらいなら我を通す。
「あーーまぁ変人ではあるだろーなぁ。この島では埋もれる程度の個性だろうけど。それに、道化役居ないと面白くねーじゃん。
…って、ウンメイさん容赦ねぇな!?流石だぜ毒舌シスター…!!
まぁ、それも魅力的だからアリ!結構可愛い所あるしなウンメイさんも。」
と、戦慄するが青年も特に傷ついた訳ではなく。ちゃっかり可愛い宣言してる始末だ。
あと、シアタールームというが、ウンメイさん映画とか好きなのだろうか?と首を傾げてみる。
部屋に篭って延々と映画を見てるシスターさん…面白いが微妙にシュールな気がしないでもない。
「どうだろうなぁ。俺としては別に異能はあってもなくても…」
苦笑気味に締め上げられた箇所を軽く摩る。そもそも発火能力なんて大して島では珍しくも無い。
あと、ちょっと勝ち誇った顔を浮かべてるこのシスター。まぁ可愛いから良し!で済ませる青年。ある意味で大物だ。
「いーや、絶対好奇心最優先でフラついて迷子になるね。間違いない。
んーー軽食にするかガッツリ食べるかによるな。まぁ軽食がいいかも。ガッツリは夜に食べる感じがいいだろーし」
と、彼女の迷子云々は真顔できっぱり断定しつつも食事は軽めでいいのでは、と提案。
で、早速フラフラと歩き出してるシスターをジト目で見遣って溜息。
スタスタと歩み寄り、その右手にこちらの左手を繋ごう。うん、これは決定事項です。
「ウンメイさん言った傍からフラついてどーすんのさ。ちゃんと手を繋いで歩く事。拒否権は無しな?」
と、彼女に笑顔で告げる。勿論ヘラヘラした笑顔でなく目が笑ってない。
■時坂運命 > 「曖昧な方が良いのさ、何事も。君の在り方を変えるだけの言葉にならないなら、言っても言わなくても同じさ」
他者の意志では変わらない。変えることは出来ない。
それが彼自身の確固たる意志であり、強さでもある。
淡く笑みを浮かべた口から洩れた囁きは、穏やかな物だった。
だがそれも一瞬のことだ。
「埋もれてなお、突出しているから目を引く意味くらいわかっているだろうに。
――それを進んでやる人間がいったいこの世界に何人いると思う?
僕は果てしなく0に近いと思うよ」
値踏みするように言葉を連ねていたのに、最後に浮かぶのは呆れ顔だけだった。
「……君は本当にバカな人だなぁ」と、ポツリ独り言を零して、やれやれと額に手を当てて溜息を吐いた。
ちなみに映画はこの街に来て知った娯楽だったりする。新しい遊びを覚えたばかりの子供と大差ないだろう。
「無いと無いで不便だよ、異能って言うのはその人の個性だ。
すでに生物として刻み込まれたそれは、手足と同じさ」
大物で寛大である彼とは違い、少女は勝ち誇った気分のまま余裕たっぷりである。
ふらりと自由気ままに歩き出したら、急に手を引かれて振り返る。
そこには半目でこちらを見下ろす青年の姿があった。
「――ちょ、酷いよアリカ君! 君はそう言う目で僕を見ているんだね!
まぁそれは別として、軽食は賛成だよ。食べ過ぎると……後で大変そうだから」
食べ過ぎて酔ったりしたらそれはもう悲惨に違いない。
文句を言うのも途中から適当になって、まさに口だけの抗議だ。
「う゛。 ……はいはい、わかったよ」
全部を適当にしてしまいかけたが、流石にあの目に見られると一瞬怯む。
いつもへらへら笑っているから、余計に怖いんだ。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「そうだなぁ、曖昧だったらどんなにいい事か…なーんてな!ま、こういうシリアスなお話は俺のガラじゃねーさ」
笑って右手をヒラヒラ振ってみせる。ふざけておどけて笑って…それが道化師だ。
真面目にならない訳でもないが、そのような空気が続くのは嫌だしつい茶化したくなる。
「んーそんなモンかね?その辺り、言われてもあんましピンとこねーんだよなぁ。
まぁ、それが俺の個性の一端って事じゃね?キャラが被るよりいいだろーよ。」
うーむ、と腕を組んで首を傾げての…最後は笑ってのたまう大物の馬鹿。
彼女の態度はもっともだろう…むしろ、それが当たり前の反応かもしれない。
だが、大物の馬鹿だからこそ、彼女の値踏みでも測りきれない所があるかもしれない。
「手足ねぇ。ああ、まぁタバコに火を点ける時とかは発火能力は便利だからあると助かるな。あと冬場は暖かいし」
逆に言えば普段はその程度しか使わない。あったら便利だが無くても困らない。
青年にとって問題なのは、重要なのはそもそも異能ではなく――…。
「…好奇心を刺激される町並みが広がってて、そこを自由に歩いていいとしたらウンメイさんはどうする?
絶対にあちこち散策するだろ?で、その場合ウンメイさんはそれを優先して同行者の事とかすっぽり記憶が抜け落ちたかのように忘れるだろ?
で、迷子になってあたふたした挙句、微妙な人見知り属性があるから誰かに声を掛けられるまでは街をさ迷って…後は以下略。」
と、笑顔だが目はニコリともせず淡々と指摘する。普段がヘラヘラしている分、有無を言わせない迫力がある。
この時くらいではあるが、シスターさんを気圧させる程の迫力があったり。
彼女の口だけの抗議などバッサリというか相手にしてないくらいの強気である。
「んじゃ、テキトーにどっかで食っていこうぜ。お、あそこなんてカフェテラスに近いからいいかも。寄ってこーぜ?」
と、手を繋ぎながら比較的に現代風に近いカフェテラスを発見。そちらへと足を運ぼうとする。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「ん、この話は続けても堂々巡りをするだけだからね、僕も賛成だ」
茶化すように言った彼を楽しそうに眺めながら、軽く肩を竦めて返す。
「君に自覚が無くてもそう言うものだよ、僕はそう思う。
だから期待してるね『真淨在処』」
和らいだ空気のまま一言二言と互いに言葉を掛け合って。
何が見えたか、何が計れたのか、少女はただ薄く浮かべた笑みを深める。
「これから重宝する季節になるね、まぁ君ならうっかり火事になったりとかはないとは思うけれど」
相槌を打ちながら続けて、ちらりと横目で盗み見る。
彼の思考、思いは知らぬところだが、視線は数秒見た後に逸らされる。
「ぐぬぅ……、地味に否定できないのが辛い。
――で、でも!ひとこと言わせてもらおう!
人に声をかけるくらいのことは出来るさ! 相手が一人なら出来るとも!!」
ちくちくと指摘を受けて、その迫力に思わず一歩たじろいだ。
だが、ただ言われて終わる少女ではない。
終わるには終わらなかったが、胸に手を当ててそんな残念なことをはっきりと大声で宣言するのはどう考えても墓穴だ。
「ん、カフェなら……サンドイッチとかあると良いなぁ」
一悶着、もとい喜劇の一幕の後、彼に手を引かれながら存外素直に付いて行く。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■真淨在処 > 「そうそう、そもそもウンメイさんとこういう議論的な会話して俺が勝てる訳ねーし」
勝ち負けでも無いのだが、同じく肩を竦めて返す。やっぱりこういう道化師の軽い態度が自分らしい。
「オイオイ、どんな期待してるんだよ俺に…。程ほどに頼むぜ――『時坂運命』」
お互い、まず普段は絶対に言わないであろう呼び合いをして。それでも和らぐ空気が硬く張り詰める事は無い。
彼自身は理解しているかは謎だが、少なくとも彼女が期待するモノがこの馬鹿にはあるという事だ。
「あーそもそも、俺の発火の炎は俺自身や衣服は燃やさないしなぁ。
あと、発火させないで温度だけコントロールも可能だぜ?まぁ暖房代わりっつぅの?」
異能の制御能力がズバ抜けているので、そういう精密操作も可能だからこその発言だ。
視線を彼女から感じるも、気付いていないのかどうなのか相変わらずの自然体だ。
「――つまり複数だと駄目だと。ウンメイさん社交性あるようで、そういうトコが…まぁいいや。
あと、自分から大声で何を暴露してんのさ…周り、通行人の皆さん居るんだけども?」
わざと途中で打ち切った。それ以上は敢えて言わないし言うつもりもない。
そして、彼女からの抗議も笑ってない目付きでバッサリ切ったというか燃やした。
基本、軽口とかからかいでは彼女に負けるし負けても道化師だから敢えて乗ったりもする。
が、こういう時だけは容赦も慈悲も無い。周囲の目の事も指摘するのも忘れない。
「うっし、じゃああそこで腹ごしらえと行こうぜウンメイさん!」
で、何時もの笑顔に戻れば、手は繋いだままでカフェテラスへと赴くのだ。
その後は――異邦人の経営する店らしい、美味しいが謎の食材が豊富な軽食を食べたり。
そこから異邦人街を少々散策して、うっかり彼女が逸れそうになるのを回避したり。
そこからバイクで出発し、神社や海岸などの静かなスポットを案内したりと。
少なくとも、友人であるシスターが退屈しないであろう時間は提供出来ただろうか。
――余談、帰る頃には夕方だったので、夕食も二人でどっか食べに繰り出したのは別の話である。
ご案内:「常世島各地」に真淨在処さんが現れました。
■時坂運命 > 「それは買い被り過ぎだよ」
たまに言い負かされることもある。現に先ほど珍しくお説教をされたところだし。
渾名ではなく、本名で呼び合うのは奇妙ではあるが少女にとっては特別なことだった。
宣戦布告。それがどう言った意味を秘めるかは不明だったが――。
「なんだいその便利機能は。一家に一台アリカ君がほしいところだよ、いや真面目な話ね?」
温度まで調整できるとか聞いてない!と真顔になって、「本気」と書いて「マジ」と読む、みたいになっていた。
もうこれは冗談抜きに、羨んで暖房機扱いしそうな勢いだ。
「僕に社交性なんて求めないでおくれよ。
自慢じゃないけれど、僕の言葉はいつだってデッドボールギリギリアウトな魔球なんだからさ。
――おっと、これは失礼したね」
あえて言われないところを、それ以上に切りこんで楽しそうに笑う。
周囲の目を指摘されると、わざとらしくゆっくりと辺りを見渡して、舞台役者のようなお辞儀をして見せるのだった。
彼に連れられて店に入り、美味しいご飯に舌鼓を打ったり。
街を回って遊んだり、時々うっかりはぐれそうになって怒られたり。
知らない景色を旅してまわった。それはきっと、少女にとってかけがえのない記憶の1ページとなるだろう。
ご案内:「常世島各地」から時坂運命さんが去りました。
ご案内:「常世島各地」から真淨在処さんが去りました。