2017/11/19 のログ
■柊 真白 >
良い反応をしてくれる。
(お茶をすすって僅かな笑顔。
エスニック料理の後に緑茶は合うかどうかはわからないが、今は緑茶しかないから合わなくても我慢して欲しい。)
それで暗殺集団に拾われて、そこで色々学んだ。
最初の仕事は私の家が仕えてた武将の暗殺。
(今の自分は殆どその暗殺集団の頭領だ。
だからあまり敵討ちと言う感覚も無かった。)
大事なことなら然るべきときに思い出す。
記憶があってもなくても与一くんは与一くんだし。
(それにちゃんと家族もいるようだ。
なるようになる、とお茶を一口。)
■飛鷹与一 > 「…そりゃ、真白さん真顔で行動に移したり言ったりしますからね。冗談か本気か分からない時がありますって」
お茶を啜って僅かに笑みを浮かべる師匠を恨めしげに見遣る。けど、こういう茶目っ気もある人なのは理解している。
ちなみに、エスニック料理と緑茶の組み合わせが良いのか悪いのかは少年も知らない。ただちびりちびりとお茶を頂きつつ。
「…成る程。真白さんの技能はその集団での日々で学んで磨いたと。」
頷く。彼女の身のこなし一つ取っても超人的なのが改めて理解できた。少年も天性の射撃技能持ちではあるが。
「…俺は俺…ですか。そうですね…。…あ、俺からすれば真白さんも家族というか大事な人ですからね。そこは覚えておいて頂けると助かります。」
過去を忘れても切り捨てはしない。けど思い出せないなら今や先を見ていたい。
昔に囚われて自分らしく動けないのは嫌なものだし。お茶を飲みながらそんな事を思う。
■柊 真白 >
そんなことは無い、と思うけど。
(自分としては一応それなりに表情は変えてるつもりだ。
しかしいかんせん表情筋が弱すぎる。)
そう。
今で言う江戸時代に入ってからはしばらく大人しくしてたけど、頭領が死んでから私一人で再開した。
(そうして今に至る、と言うわけである。)
わかった。
――そう言えば、今日から常世祭始まるとか何とかって聞いた。
今度一緒に周る?
(ふとそんな話を思い出した。
道理でなんだか外が騒がしいはずだ。)
■飛鷹与一 > 「いや、俺も真白さんとの付き合いが少しずつ長くなってきてますし、表情の変化は読み取れるようになってきたと思います。ただ、本当に真顔にしか見えない時もあるんで」
だが、この島での個人的な付き合いという意味では彼女の身近な交友関係では一番、であるという自負はある。
実際、僅かにでも表情変化があればそれを読み取れるくらいには慣れてきている。
…が!それでも、ほぼ真顔だと後はニュアンスもとい空気を読めるかどうかという問題になる。
そこら辺りは、まだまだ少年も読み取り能力が足りないらしい。
「…そうなると、柊の一族だけでなくその暗殺技能も真白さんが最後の一人、みたいな感じになるんでしょうかね」
暗殺集団だから、仲間は健在かもしれないが暗殺者として現役で、となると案外彼女だけの可能性もある。
と、話題転換に一度瞬きをしつつ。そういえば常世祭が始まった事を思い出す。
「ええ、そういえばそうでした。むしろ是非お願いします!」
と、彼女からのお誘いに笑顔で即答。本当に素直に嬉しそうな弟子である。
ちなみに、去年この島に来た少年だが前回の祭はまともには参加しておらず。
彼女と周れるなら、これが初めて本格的に参加する常世祭となる。
■柊 真白 >
冗談は真顔だから面白い。
(とは言え冗談を言う時は意図的に真顔になっている自覚はある。
この島で自身の表情を読み取る力は間違いなく彼が一番高いだろうが、それでもまだ表情から感情を完全に読み取らせるつもりはない。
そう簡単に弟子に心を読まれてたまるか。)
そう。
頭領は私の育ての親だから、出来れば誰かに継いで欲しいけど。
(弟子は出来たが、次代に継がせたわけではない。
殺しの技術だ、このまま消えてしまっても良いのだが。)
わかった。
じゃ。そっちも決めたら連絡する。
■飛鷹与一 > 「……うーん、まだまだ真白さんの表情から感情を読み取るには修行が足りないかもですね」
お茶を飲みながら唸る。勿論、生きてきた年月や経験的にそこらは彼女がまだまだ上手だろう。
そう簡単に弟子が師匠に追いつける訳がないのである。
「――いざとなったら俺が継ぎますよ。『不殺』が俺の信念ですから矛盾してますけど。
ただ、真白さんとの契約のお陰で俺には”時間”も何とか出来たので」
無論、殺しの技術なんて継がない・継がせない方がいいのだろうけれど。
殺しの技術を別の形に昇華させる事がいずれ出来るかもしれない。
それに、ナイフ術の弟子ではあるが、それだけの弟子で終わるつもりも無い。
二人目の師匠として、彼女からまだまだ色々と学ばなくてはならないのだ。
「ハイ。じゃあ常世祭を一緒に回るのとツキカの定期健診の付き添い、の二つで。」
笑顔で改めて頷いた。それにしてもこの弟子、めっちゃ嬉しそうである。
■柊 真白 >
まだまだ。
修行が足りない。
(なんせ生きてきた年数に数十倍の差があるのだから。)
与一くんが継いでも、私と同じ時代しか生きられないから。
――与一くんには悪いけど、他の人を探さないと。
(彼が継いだところで、自分が死ねば彼も死ぬ。
それに一緒に生きるのだから、彼が伝えるならば自身が伝えてもそう変わらないのだ。)
――うれしそうだね。
(それも物凄く。)
■飛鷹与一 > 「…と、いうか修行してどうにかなるというものでも無い気がしてきたんですけど」
年月の差はどうしようもないので、後は年月を重ねて自然と読み取れるようになるまで日々精進である。
彼女の返答は半ば予想していたものであり、だからこそゆっくりと間を置いてから頷いてみせる。
「…ですね。まぁそんな気はしてましたし。消えるにしろ後継が見つかるにしろ。伝えるかどうかはあくまで真白さんの判断でもありますしね」
殺せない射手、という現時点でもかなりの矛盾を抱えている少年だ。これ以上は流石に背負えない。
とはいえ、純粋に殺しの才能という点だけで見ればこの少年は非常に逸材ではあろう。
「ええ、真白さんと何処かに出かけたり何かをしたり。一緒に過ごすのは楽しいし嬉しいですから」
だから、笑顔になるのは当たり前の事なのだ。師匠が大好きだからしょうがない事なのだ。
■柊 真白 >
がんばって。
(ぐっと拳を握ってみる。
人の表情から心を読む技術なんて教えられない。)
まだ与一くんに教えることはたくさんあるし。
継いで貰うとしても、そのあとね。
(ナイフ術も初歩の初歩しか教えていないのだ。
あれもこれも教える前に、そっちを一人前になってもらわないと。)
……そう。
(誤魔化すようにお茶を飲む。
ああ熱い。)
■飛鷹与一 > 「ええ、頑張ります…とはいえ、先が長いですけどね」
と、小さくこちらも拳を握ってみせて。とはいえ、そこは技術でも何でもなく、読み取る経験が必要だろうけれど。
「ですねぇ。正直、ナイフ術をまずは極める、とまではいかずとも一人前にならないと。
あれもこれも極めるなんて芸当は俺には流石に無理でしょうしねぇ」
と、師匠の言葉に頷いて。一つの事に集中して覚えないと、きっと身につかないだろうというのもある。
「……真白さん、何か顔が赤いような気がするんですけども。実は照れてます?」
と、気がつかないように見えて気付いた弟子である。じぃ、と眺めてみたり。
■柊 真白 >
幸い時間はたくさんある。
(それはもう数十年単位で。)
極めるなんて時間がいくらあっても無理。
欲張ったらどれも中途半端になる。
(自分でもまだまだと思っているのだ。
あれもこれもと手を出せば、何一つ身に付かないだろう。)
何のことか。
ねーツキカ。
(誤魔化すように足元に来ていた子猫を拾い上げる。
子猫はきょとんとした顔でなぁと鳴いた。)
■飛鷹与一 > 「そう、ですね。俺の場合は特に異能の制御も課題として残ってますし…」
折角、彼女がわざわざ「契約」までしてくれて伸びた命なのだ。また削らない為にも異能を制御したい。
とはいえ、あれもれこれも同時進行は流石に限度というものがある。
極めるのは無理ならば、欲張らずに一つずつまずは一人前になっていかなければ。
「…まぁ、うん。いいですけど。俺が真白さん好きなのは変わりませんし」
ある意味、ここまでストレートだと弟子より師匠の方が恥ずかしいかもしれないレベルである。
■柊 真白 >
また、稽古も付けてあげないと。
(最近見てあげていない。
常世祭が終わったあたりにまた見てあげよう、とこっそり決めた。)
――――。
(固まる。
するりと子猫が手から逃げて、彼の方へ。)
■飛鷹与一 > 「そうですね。最近、そういう機会が中々無かったですし、今までのおさらないも含めていいかもしれません」
稽古もそうだが、単純に初期の頃からの成長具合も自分自身で確かめてみたい。
勿論、まだまだ師匠に及ばないのは当然として大事なのはどれだけ迫れるか、という所。
彼女の様子が変化した、というか固まった。子猫のツキカはその隙を見てからスルリと抜け出してしまう。
こちらに逃げてきたツキカを何となく抱き上げて撫でてみたりしようとしつつ。
「……あー…えぇと…その…今のは……ハイ、嘘ではないのでえぇ」
ハッ!?と彼女の様子から自身のさっきの言動を思い返す。ストレートどころではない。
そりゃ師匠が固まるのも無理は無いだろう。とはいえ言動を撤回はせず。
■柊 真白 >
……。
(無言。
今は固まっているのではなく、呆れている。
たっぷりと時間をかけて彼の顔を呆れたように見て、)
――馬鹿。
(呆れたようにため息を吐いて、やっぱり呆れたように呟く。
なんでそう無意識に自分が思っていることを口にしてしまうのか。
曲がりなりにも「継ぐ」と言ったのならば、そう言う口の軽さをどうにかしてもらいたいものだ。)
……悪い気は、しない。
ありがと。
(それでも好意を向けてくれていると言うことはありがたく思うべきだろう。
小さく呟いた。)
ご案内:「柊真白の私室」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「……。」
あ、これ物凄く呆れられてるなぁ、と直感する。ただ無言なだけならいい。
しかし、現在、ハッキリと「呆れてる」と言わんばかりの表情を彼女が浮かべているからだ。
それも、たっぷりとわざわざ時間を掛けているくらいの呆れっぷりである。
「……返す言葉もございません、ハイ」
呆れたように溜息を零す彼女にそう返すしかない。とはいえ撤回はしないけれども。
そこはまぁ、弟子というか男の意地というか。無意識に思ってる事を素直に口にするのは問題ではあるが。
もっとも、口が軽い面があるのは否定出来ない事実だが、言葉に裏表が無いのは間違いなく。
「…えーと、どういたしまして…と、言うのも何か変ですね。けど、まぁ…うん。
もうちょっと自重するように気をつけます…。」
子猫のツキカを抱っこしたまま項垂れる。流石の彼女も固まったり呆れる程度にはストレートだったのは間違いないか。
ともあれ、我に返り色々と落ち着いて考えてみれば……何を言ってるんだ俺は、と物凄く恥ずかしい。
■柊 真白 >
(正直彼のことが好きか嫌いかで言えば、好きだ。
そうでもなければあんな契約などしないし、更に言えばそう言う関係になっても良いとは思っている。
思っているが、そう言う関係になるにはやはりそう言うやりとりは必要だと思うし、そう言うことは男性からとも思っている。)
そう言うのは、あんまり他の人には言わないように。
勘違いされる。
(だから自分からは言わないし、こんな風によくわかっていないと言うような言葉を口にする。
考えが古いと思うだろうが、残念ながら数百年前の人間である。
彼に抱かれた子猫は彼の腕の中で暴れている。
抱かれるのがイヤと言うわけではなく、じゃれている感じの暴れ方だ。
その内がぶりと彼の指に噛み付くが、あまり痛くはないだろう。)
■飛鷹与一 > 「…いえ、真白さん以外に言うつもりはありませんし…真白さんだからこそ口にした訳で」
軽率過ぎた、という反省は勿論ある。だが内容を撤回はしないし、他の女子にこんな事を言う気は全く無い。
少なくともその程度には真剣だし、そもそもこの手の事で冗談や軽口を言える器用さも無い。
と、指にがぶりと軽く噛み付かれる感触にツキカを一度眺める。痛みはあまり無いしじゃれているのだろう。
なので、軽く指を動かして遊ばせながらも視線は師匠の方へと戻して。
ただ、そもそも誰かを好きになるというのが初めての経験だ。こちらからアプローチするにもどうしたらいいか分からない。
ただ、今この時点で改めて言える事は一つだ。
「…俺は柊真白が好きです。」
口が軽いとか、もうちょっとムードだとか。色々あるがそこだけは今、ここで宣言しておく。
ご案内:「柊真白の私室」に飛鷹与一さんが現れました。
■柊 真白 >
――そう。
(短く返事。
確かに彼はそんなことを女性にホイホイ言えるような性格ではないだろう。
よく知っている。)
……それはさっき聞いた。
(右手で額を押さえて。
改めて同じ事を二回言われてもどうすれば良いのか。
軽いのも困るが、奥手すぎるのも困る。)
そう言うことは、ちゃんと言ってもらわないと、わからない。
(じ、と彼の目をまっすぐに見て。)
ご案内:「柊真白の私室」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > こういう時、どう言えばいいのか実はサッパリ分からない。恋愛初心者どころかそういう色恋沙汰の経験皆無なのだ。
どうすればいい、何を言えばいい?そういうのが浮かんでこないし分からない。
思わず無意識にツキカを手放せば、子猫はトテトテと彼女のほうへとまた戻っていくだろうか。
そして、師匠から駄目出しというか指摘をされて完全に表情が固まった。あかん、どうすればいいの。
必死に頭を回す…駄目だ、回すだけの余裕が綺麗サッパリ無かった。
「…えーと、その……あの……。」
いかん、何か緊張という過呼吸になってきた。だが、不恰好でも言うべき事は言わなければ。
「…真白さん俺と付き合って下さい!!」
この時間帯だと若干近所迷惑になりそうなくらいの声で。何とか彼女の目を見てそう切り込んだ。
…あ、呼吸が苦しいというか今にも気絶しそう。だけど何とか踏ん張る。
ご案内:「柊真白の私室」に飛鷹与一さんが現れました。
■柊 真白 >
(彼は黙っている。
自身も黙っている。
待つことは苦痛ではない。
彼が何か言おうとするのをただじっと見つめて待っている。
足元に子猫が擦り寄ってきたが、今は放置だ。)
っ、うるさい。
近所迷惑になる。
夜遅いんだから。
(そのやけに大きな声を聞いて顔をしかめる。
ついでにもう一度ダメ出し。)
お仕置き。
立って、歯、食いしばって。
(ちょっと怒ったような顔。
立ち上がって右手をぷらぷらさせながら彼に近付く。)
ご案内:「柊真白の私室」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 色々と極限状態に置かれている少年。脈拍も鼓動もおかしいし、緊張で喉がカラカラで過呼吸。ついでに瞳孔が開きかけているくらいにはヤバい。
そして、当然というか勢いが付きすぎたというか師匠から駄目出しを食らう。
「す、すいません…!!」
思わず条件反射ですかさず謝ってしまうのだが、お仕置きと聞いて「え!?」という表情。
咄嗟に回避か逃走を…いや、そもそも速度では師匠にまず適う訳が無い。
防御…なんてしたら面倒な事にしかならないし、防御不可能の速度でグーパンやビンタされたら。
…結果、大人しく甘んじてお仕置きの一撃を受けるしかないと結論する。
立ち上がり、歯を食いしばる。右手をプラプラしてるのが地味に怖い。
後は、もうお仕置きの一撃が顔面に飛んでくるのを黙って耐えるしかない。
■柊 真白 >
(立ち上がった彼の前に立つ。
出来る限り強い視線で彼の目を射抜きながら。)
目。
閉じてた方が良い。
(そう言って、彼が目を閉じるまで待つ。
目を閉じたなら目の前で右手を振って、本当に見えていないのを確認。
確認が出来たら、彼の右手を取る。
そのまま彼の指先をナイフで少し切り、傷口を口へ。
彼の血を舌で舐め取り、離れた。)
ご案内:「柊真白の私室」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 「……ハイ」
立ち上がったこちらの前に立つ少女。身長差だとかそんなの関係なく、強い視線で射抜かれてタジタジだ。
これが、もっとまともな場面や心構えならしっかりと見返すだけの余裕はあったのだろうけれど。
言われた通りに目を閉じる。当然、後で師匠に何を言われるか分からないのでキツく目を閉じている。
彼女が右手を振っても、それが見えていないのは直ぐに分かるだろう。
そして、僅かに指先に違和感。…切られた?…てっきり殴るかビンタされるかと思っていたのだが。
そして、問題は何時まで目をつぶっていればいいのだろう、という素朴な疑問。
(…勝手に目を開けたら怒られる…でも、何で俺の指先を切っ―ー…?)
…契約の時の一幕を思い出した。確か彼女の一族の婚姻の儀というのが――…。
■柊 真白 >
――もう良いよ。
(絆創膏を彼の指先に巻いて、声を掛ける。
彼が目を開ければ、横を向いて赤い顔を袖で隠した自身の姿が目に入るだろう。
ヘタレだの男の癖にだの、ぶつぶつと呟きながら。)
ご案内:「柊真白の私室」に飛鷹与一さんが現れました。
■飛鷹与一 > 言われて目を開ける。そこには何か横を向いてる上に、袖で赤い顔を隠す少女の姿が。
ヘタレだの男の癖にだの酷い事を言われている気がするが、否定も出来ないのが困り者。
実際、無自覚ストレートにこっ恥ずかしい事を言う癖に肝心の場面でトチったり。
経験がほぼ皆無だから色々と気が回らなかったり、なまじ生真面目だからこその空回りもある。
要するに、器用な癖にこういう所は不器用なのだ。ともあれ、師匠に何と声を掛けたらいいのか。
「…あのーー真白さん?俺の指先切って…あ、何でも無いですハイ」
婚姻の儀。互いの指先を切って血を口に含むというか摂取するというかそんな感じだと聞いた覚えがある。
契約の時は、こちらが彼女の血を一適口に含んだ覚えがあるが今回は――…。
で、尋ねようとしたが何かはぐらかされたり今度こそグーパンかビンタが来たらアレなので聞くのを止めた。
■柊 真白 >
(目を見開く――と言っても彼にしかわからないだろうけれど。
そのまま信じられない、と言うような顔で彼の顔を見つめた後、)
――っ!
(右手が走る。
容赦の無い、目にも留まらぬ神速の平手打ち。
ただ、速度の割りに威力は無い。
無いが、普通に痛いだろう。)
この、――馬鹿!
(先ほどの彼の叫びと同じような声で叫び、づかづかと玄関へ向かう。
その途中、ぐいと目を拭って。)
■飛鷹与一 > 彼女の目を見開く様子に、あ、これはやっちまったか?的な感想が脳裏を過ぎる。
とはいえ、実際に目を瞑っていた。後は諸々の推測とかそういう感じだった。…が。
「いや、真白さ…ぶふっ!?」
幸い速度は見切れるレベルではないが威力は低めだった。だが痛いものは痛い。顔にくっきり紅葉マークが残るくらいには。
「ま、真白さん!!」
づかづかと玄関へと向かう彼女を追い掛けようとする。明らかにまた何か自分がやらかした。
(何で俺ってこういう時にとことん締まらないかなぁ!?)
と、自分に悪態をつくがそれでどうなる訳でもない。ともあれ彼女の後を必死に追い掛ける少年で。
■柊 真白 >
(信じられない。
普通わかるだろう。
なぜわざわざ聞き返すのか。
そんなことを頭の中でぐるぐると考えながら、玄関へ。
そこへ後ろから名前を呼ばれ、立ち止まる。)
――――なに。
(ぐし、ともう一度涙を拭い、返事をする。
自分でもわかるぐらいに鼻声だった。
くそ、情けない。)
■飛鷹与一 > さて、呼び止めたはいいがこういう時はどうすればいいのだろう?マニュアル?そんなモンはない。
失敗したら今度こそ彼女は玄関開けて飛び出して行きかねないが、今の自分が正しい選択を出来る自身が無い。
そして、少年はこういう面は色々と残念なのだがこれでも彼なりに必死なのだ。
下手に言葉であれこれ言ってもまた墓穴を掘るだけと判断したのか。立ち止まった彼女を後ろから抱きしめる。
抱きしめたらどうするか、とか考えてない。ただ、このまま外に逃げられてしまうのは嫌だった。
言葉を掛けるべきなのだが、また墓穴を掘りそうで正直怖い。だけどきっと、抱きしめる手の震えが物語っている。
■柊 真白 >
(引っぱたいた手がしびれてるとか、こんなに泣いたのはいつ以来だろうとか、怒らなければよかったとか色々考えていたら後ろから抱きしめられた。
彼の顔は見えないが、その腕は震えている。
ああ、やっぱり引っぱたいたりしなければ良かったなんて考え、その袖を右手できゅ、と軽く握る。)
ばか。
なにされたかぐらい、わかれ。
(ぐす、と鼻を鳴らす。
なぁーご、と足元で猫が鳴き、二人の脚の間をうろうろと。)
■飛鷹与一 > 「すいません…ほんと、我ながらこういう時、全然締まらないですよね俺…。」
自分の告白に、彼女は言葉でなく行動で示してくれたのに。その意味は自分は知っていた筈なのに。
わざわざ聞き返すなんて野暮で阿保だ。本当に締まらない。恋愛初心者どころではない。
けど、ヘタレなりに頑張ろう。今、抱きしめるこの腕は今夜は離さないし彼女を外に飛び出したりさせない。
足元で鳴く子猫の鳴き声が妙にハッキリと聞こえた。
「…俺は、察しが悪くてヘタレだったりしますけど…この腕は絶対にもう離しませんからね」
既に返答は貰っているのだ。地獄の底だろうが絶対に付いていく。
■柊 真白 >
おんなのこに、はじ、かかせない。
(ぽつりぽつりと呟くように。
右手を一度離し、すぐに両手で彼の腕を掴む。
その震えを止めるように、しっかりと。)
――ひっぱたいて、ごめんね。
■飛鷹与一 > 「…ですね。男として情けないにも程があります」
彼女の言葉はぽつり、ぽつりとしたものだがだからこそズシンと来る。
腕の震えは無意識だったけれど、彼女が両手で改めてこちらの腕を掴むと不思議に震えが収まってきた。
「…いえ、むしろ目が覚めたというか察しが足りなかったというか。
何か、こういう事に対する自分の不器用さとかにもう呆れたというか…。」
けど、だからこそ通じ合えたものがあって、それは嬉しいもので色々と複雑だ。
と、そこで無視されるのが限界になったのか、二人の足をツキカがカリカリと引っ掻いたりし始める。
名残惜しいし、もっと彼女の体の温もりを感じていたいがしょうがない。一度ギュッとしっかり抱きしめてから両腕を離そうと。震えは…止まった。
■柊 真白 >
以後気をつけるように。
(もう一度鼻を啜る。
自身を抱きしめていた両腕が離れ、同時にぬくもりが離れていった。
その隙にくるりと後ろを振り向き、彼の首に手を回す。
そのまま爪先立ちになり、)
――。
(有無を言わせず唇を重ね合わせる。
すぐに離れてしゃがみ、子猫を抱き上げた。)
おいでツキカ。
遊んであげよう。
(そうしてすたすたと部屋の中へ戻っていく。)
■飛鷹与一 > 「…はい、肝に銘じておきます真白さん」
本当、彼女にはずっと頭が上がらなくなりそうだ。今回の思い切った告白もイマイチ締まらないし。
だけれど、こちらが両腕を解いて離れると同時、振り返った彼女がこちらの首に手を回し、爪先立ちに――。
「――…!」
有無を言わさない口付け。彼女の唇の柔らかさを改めて刻み込まれた。
…直ぐに、彼女は身を離して足元で自己主張する子猫を抱えあげていたけれど。
「……ハッ!?」
時間差で我に返る。慌てて少年も部屋へと改めて引き返すだろう。
そういえば、食器とかまだそのままだし流しを借りなければ。タッパーもついでに洗わせて貰おうとか思いながら。
■柊 真白 >
与一くん。
(くるりと振り返り、彼の顔を見る。
その顔は、)
ありがとう。
これからもよろしく。
(今まで彼に見せた中で一番綺麗な笑顔だった。)
ご案内:「柊真白の私室」から柊 真白さんが去りました。
■飛鷹与一 > 「…はい?」
名前を呼ばれて彼女の顔を見る。その顔は―…。
「…こちらこそ、色々と未熟者ですがよろしくお願いします」
とても…そう、とても。綺麗な笑顔だった。この笑顔はこれから先ずっと少年は忘れないだろう。
…だって、共に生きていくのだから。そうして二人と一匹の夜は更けていく。
ご案内:「柊真白の私室」から飛鷹与一さんが去りました。