2018/08/14 のログ
ご案内:「スラムの商店街」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 落第街で多々報告されている魔物の目撃、討伐情報。
既に風紀、公安両委員会も動き出し、一部の委員達からの報告書も上がっている。
しかし、意外な事に過激派と呼ばれる風紀委員会上層部の一部は、己の手駒を派遣する事に慎重であった。
一つは、唯でさえ人員不足が叫ばれる現在、貴重な戦力を情報の少ない怪異に投入する事に尻込みした事。
もう一つは、過激派の中にも様々な思想を持つ生徒、委員が存在し、委員の派遣について議論が紛糾した事にある。
そんな中、漸く数人の下級生委員にアンデッド討伐の命が下り、各々がその任務につくことになったのだが――
「…実に良い気分だ。敵は烏合の衆。物量でもって攻め立てる怪異、アンデッド!集団戦ともなれば、投入する鉄火において戦場の有意差は覆らぬぞ、死体共!」
かつては多くの二級学生達が行き交っていた商店街。今や其処は、真っ赤なゾンビが蠢く地獄。
其処に降り注ぐのは砲弾、銃弾の雨霰。列を成し、円陣を組み、バラックを踏み潰し、無数の金属の異形達が轟音と共に延々と砲撃を行っていた。
火炎放射器がゾンビの列を纏めて薙ぎ払い、大口径の重砲は大地を抉って周囲の建造物ごとゾンビを吹き飛ばす。
細い路地に溜まったゾンビは、人の頭程もある弾頭を持つ機関砲で薙ぎ払われた。
「…と、今の所調子は良いが。所詮は感染源を叩かぬ限りイタチごっこに過ぎん。第一、落第街の中で収めていれば放っておいても良いと思うんだがな」
無数の異形に守られた一角で、甘ったるい缶ココアで喉を潤しながら独りごちる。
正直、上からの命令でなければ死体討伐等気乗りはしない。落第街を壁で囲ってしまえば、中の住民がどうなろうと構わないじゃないかと溜息混じりに服の埃を払い落とした。
■神代理央 > 「…それにしても酷い匂いだ。折角の甘味が台無しだ。腐敗臭の中では、流石に飲食を楽しむ事は出来んな」
砕け散り、燃え盛り、腐り落ちた肉片となる死体達。其処から立ち上る臭気は、思わず眉を潜めてしまう程。
というよりも、一般の生徒ならば嘔吐してしまうレベルなのだが、悲しい程戦場の匂いに慣れてしまった少年は不快気な表情を作るに留まった。
「さて、与えられたのは此の地区のアンデッド殲滅だったが…予想外に早く終わりそうだな。他の委員達も上手くやっていれば良いが」
つまるところ、多数の異形を持って火力で制圧する己の異能は、単純にこういった敵と相性が良いのだ。
一騎当千の兵を相手取るには不向きでも、烏合の衆を薙ぎ払うにはこれ以上の用途は無い。
既に異形達は砲撃を行いながら前進し、死体を、瓦礫を、肉片を踏み潰しながら辺り一帯を業火と瓦礫の空間へと変貌させていた。
■神代理央 > アンデッドの数が少なくなるにつれて、永遠とも思えた銃火の音も次第に小さくなっていく。
理由は簡単。撃つべき敵を失った異形達が、警戒する様に周囲を睥睨しながらもその動きを止めた為だ。
「…此方神城。D508地区の掃討は順調。間もなく、目標の殲滅が終了する。完了次第再度報告するが、次の指示があるなら早めに頂きたい。以上」
通信端末を取り出し、戦況を見守っているであろう本部へと通信を送る。
他の区域がどうなっているかまでは情報が下りてきていないが、此方は極めて順調だ。
他が順調なら此の儘帰還するもよし。芳しくない戦況の区域があるなら、早めに応援に駆け付けても良いのだが、と懐から取り出した飴玉を口に含みながら思案顔で戦況を見守る。