2018/09/10 のログ
ご案内:「落第街の廃劇場」に神代理央さんが現れました。
神代理央 > 異能や魔術を行使する者で溢れた此の島では、その人材を求めて暗躍する違反部活も数多く存在する。
そんな組織が集まって度々開かれるのが所謂人身売買のオークション。その会場の一つと目される廃劇場に調査命令が下り、鋼鉄の異形を引き連れて劇場へと足を踏み入れた。

「…無駄に小奇麗だな。埃も余り無い。使われている形跡はあるが…いや、使われていたという方が正しいのか」

尤も、潜入向きでは無い己が此の場所を訪れるまで妨害の一つも無く、堂々と正面から侵入出来た辺り今回はハズレかも知れない。
確かに大勢の人間が最近まで此処を使用していた形跡はあるが、風紀委員会の手入れが入るという情報を入手されていたのかも知れない。
或いは、昨今のアンデッド騒ぎでオークションどころではないのか。どちらにせよ、今夜はこの薄気味悪い劇場を一人散策する羽目になりそうだ。

ご案内:「落第街の廃劇場」に白鈴秋さんが現れました。
白鈴秋 > 「……外れか」

 丁度舞台袖。かるくため息を吐き出す。
 噂で聞いた劇場。人身売買などの会場としても使われるここならば色々な違反部活や違反組織の情報が得られると思った。
 だが、来てみれば使用した跡はあれど人も何もなく、舞台袖に落ちていたのはチラシが1枚。
 力のある者。顔のいい者……そんな謳い文句の書かれたチラシだけだ。
 もう少し探そうかとしている最中。足音に金属のガチャガチャした音が聞こえる。
 声は聞き取れなかったが何かを言っていたようなことから言葉も知らないということはないはずだ。

「……」

 何者かはわからないが。好んでこの場に来るとすれば自分のような変わり者。そうでなければ実際の使用者側かもしくは風紀委員といったところだろう。
 変わり者か風紀なら最悪謝ればいい。場所的にごまかしも利くだろう。ならば……
 違反側の人物。そうであった場合、即ち戦闘に発展した場合に備え能力を発動させる。薄暗いというのを利用しあちこちに糸を張り巡らせる。そして舞台袖から顔を出さず。少し大きめの声で。

「……誰だ」

 そう、入った来た人物に声をかけた。
 ある意味風紀委員だと1番言い訳が面倒だなどと考えてしまうのは多少とはいえ彼が裏にも属する側になってしまったが為だろう。

神代理央 > 劇場内に響き渡る第三者の声。
劇場という音を反響させる施設の所為かいやに大きく響き渡った。
その声に、背後に従える異形が砲身を全方位に向けて警戒態勢を取る。しかし、そんな異形に比べて召喚主である己は呑気なもの。
精々、肉体強化に回している魔力を気持ち防御に振り分けたくらいか。

「此の場所を臨検に訪れた風紀委員だ。まさかこんな場所で他人と出くわすとは思っていなかったが…此方を風紀委員と知って、顔を見せられる立場かね?それとも、風紀委員に顔を見られては不味い立場の者かな?」

何せ、取り敢えず正体を尋ねる程度の理性と慎重さを持ち合わせている相手だ。
問答無用で襲いかかってくるチンピラや魔獣、アンデッドに比べれば何倍もマシというもの。
相手の場所はさっぱり検討もつかないが、腰の拳銃には手も触れず、堂々と舞台の方へ近づいていくだろう。

白鈴秋 >  ガチャガチャとした音が一際大きく動くと同時に聞こえなくなる。音で理解した……おそらく銃器の類、もしくはそれに類する何かを持ったものを複数つれていると。
 だがそれに続く声を聞いて……むしろ敵である違反側に出会った場合より苦い顔をする。
 正直違反側なら遠慮は要らない。最悪殺しても問題ない……が風紀の場合こんな場所にいる理由を含め色々と言い訳をしないといけない。正直違反側に出会うほうが楽まであった。
 本音を言えばこのまま裏口から走って逃げてしまいたいが……声をかけた以上は出ないわけにもいかない。糸はそのままに舞台袖から姿を見せる。
 黒を中心とした服装などをした目つきの悪い姿のまま出てくる。そして相手の制服を確認し。

「顔は平気で見せられる。別に犯罪者って訳じゃねぇからな……悪かった。場所が場所だ、柄の悪いのでも入ってきたかと思ってな。許してくれ」

 本当に風紀と理解。わざとオーバーアクションで腕を振り上げ、同時にわざと見えるようにあちこちに張り巡らせた糸を回収する。
 わざと見せたのは単純”交戦する意図はこちらにはない”そう示す為だ。
 相手の従えた金属の化け物があちこちに銃身を向けているのでなおさらだ。

神代理央 > 此方の声に応えて舞台袖から姿を現したのは一見違反部活の者かと見誤る様な表情の青年。
だが、彼から投げ掛けられた言葉は敵意の無い事を示すものであった。
幾分拍子抜けした、と言わんばかりに怪訝そうな表情を浮かべる事になるだろう。

「…いや、侵入者に対して警戒心を抱くのは道理だ。それを責める事などしない。しかし、一般生徒が立ち入るには不向きな場所だが……こんな場所で、一体何をしていた?」

糸の様なもの――あれが、彼の武器か能力なのだろう――を回収している辺り、本当に敵意は無いのだろう。
ならば、こんな場所で彼は一体何をしていたのか。犯罪者では無いと語る彼の言葉を信じるなら、一般の生徒である彼がこんな場所を訪れる理由が解らない。

怪訝そうな表情は、好奇心と興味を湛えたものへと変わり、自分より二回りほど背の高い彼を見上げる様に首を傾げた。
その一方で、背後の異形達は主を守るべくその砲身を全て彼に向けることになるのだが。

白鈴秋 >  目を閉じる。別に考えているわけでもなく、単純に思いっきり苦い顔をしそうになったのを噛み潰す為だ。
 違反組織を捜していました。などと馬鹿正直に言えばたぶんそういうのは風紀に任せればいいなどといわれて終わりだ。最悪説教ルートからの要注意人物扱いになりかねない。そうなれば捜査はかなり難しくなる。全員が全員切人のような反応はしてこない事は容易に理解できていた。
 ゆっくりと目を開いて。

「理由を答えるのはかまわねぇんだが……まずはその後ろのやつを下げるなり。銃身を別の方に向けるなりしちゃくれねぇか。こっちは武器を下ろしたんだ、そっちだけ突きつけて質問に答えろってのは、あんまり良い気分じゃねぇぜ?」

 そのまま軽く両腕を頭の後ろで組む。自身の異能的にその動きに何の意味もないのだが。国際的な降参のポーズのはずだ。
 それからため息を吐き出して。

「深い理由はねぇよ、こっちの方を通ったときに赤い奴らに追われてな。良い感じに逃げ込める場所があったから逃げ込んだ。そしたら誰か入ってきて……って感じだ」

 今の時期だからこそできる嘘をつく。他の時期ならば不可能だっただろう。

「そういう風紀委員はここにどうして来たんだ。どこかの組織が使ってた場所なのかここは」

 ついでに探りを入れてみた。ここを訪れたということは何かしら知っている。つまりは自分より情報は多いはずだ。どうせなら取り出せる情報を取り出してみようとした。

「ああ、所属を言い忘れてた。常世学園の1年、白鈴秋だ。生徒手帳もいるか?」

神代理央 > 彼の言葉にふむ、と僅かに考える様な素振りを見せる。
数秒、そんな表情を浮かべていたが、背後の異形達は軋むような金属音を立てて砲身を天空へと突き上げた。

「それもそうだな。いや、風紀委員というのは恨みを買いやすいものでね。不快に思わせたのなら、謝罪しよう。それに、そんな大層な素振りもしなくて良い。敵意があったのなら、私が入ってきた時点で仕掛けてきただろうしな」

両手を後ろで組んだ彼に、鷹揚な態度で言葉を投げかける。
次いで、彼の言葉に耳を傾けて―

「……成る程。それは災難だったな。怪我が無ければ重畳。しかし、どんな理由があるにせよこんな場所まで一人で散歩とは感心せんな」

彼の言葉を疑う素振りも見せず、あっさりと肯定し、頷いてみせる。だが、最後に付け加えた小言の様な一言は、彼が落第街を訪れた理由を気にしていると暗に示しているだろう。
同時に、気にしてはいるが話したくない事ならば無理せず語る必要は無い、という意味合いも乗せてはいるのだが。

「ん、ああ。此処に限らず此の辺りの保存の良い建物は違反部活の拠点足り得るからな。そのための調査といったところだ」

別に嘘を付く必要も無いが、操作情報をペラペラと喋る訳にもいかない。なるべく事実に即した形で、具体的な情報は伏せて彼の疑問に答えるだろう。

「……いや、データベースで確認が取れた。生徒手帳は必要ない。私は風紀委員の神代理央。貴様と同じ、一年生だ。宜しくな」

この体格差で同じ歳か、と内心複雑な思いを抱きつつ、此方も所属と名前を告げる。
彼の名前と年齢を知っても尊大な態度が変わらないのはご愛嬌と言うしかないのかも知れない。

「……さて、此処から安全に帰りたいというなら、迎えの車くらいは手配しよう。それとも、此処でまだ【するべき事】があるのなら、話によっては加勢してやらなくも無いが」

全く態度を変えずに、世間話の延長の様に告げた言葉。
別に彼の目的や生い立ちを知っている訳では無い。ただ、結局こんな場所に訪れる様な生徒は、何か目的があって訪れたのでは無いか。そんな思いから告げた探りとも言えない言葉ではあるが―

白鈴秋 >  大層な素振りをしなくて良いといわれればそりゃ助かると腕を下ろす。軽く腕を振るって確認。
 
「……まぁ、少し探してるやつがいてな。それだけだ」

 嘘をつくコツは真実もある程度は混ぜることだという。だからこそこっちは本当の事を言う。まぁその目的でここに来たではないので本質的には真実ではないが。
 それから相手の話を聞いて。少しだけ笑い。

「ああ、なるほどな、たしかにこんなお誂え向けの舞台、色々な用途に使えそうだ」

 表向きでは笑うが内心ではガード固いななどと思い少しだけ舌打ちを内心でする。
 相手の年齢を言えばそうなのかと言ってよろしくと挨拶を返すだろう。

「……むしろ加勢はこっちの仕事だと思うが。こんな劇場を一人で見て回るのなんて無理がある。安心しろ前に魔術書を悪用した魔法使いを一人風紀に引き渡してる。実力は心配しないでくれ」

 そっちさえ良ければどうだとこちらから交渉を持ちかけてみる。
 データベースに確認を取るなら人を本に閉じ込め魂を食らうのろいの本を彼ともう一人で脱出。魔術師を捕らえたと見つかるだろう。

「まぁいらないと言われても勝手にやるがな……俺みたいに逃げ込んだやつがいるかもしれねぇし。捜査終わるまでは付き合うよ」

 それは暗にやることはまだあると自白したようなものでもあるが。気がつくだろうか。
 と舞台から降りてさっき拾った違反組織に広めたであろうチラシを渡しにいく。