2018/09/11 のログ
神代理央 > 「人探しか。こんな場所までご苦労な事だ。とはいえ、わざわざ落第街まで人探しとなれば、捜索願を出せば済むといった問題では無さそうだな」

個人的な感想も含めつつ答えるが、深く追求する様な言葉は敢えて避ける。
誰にでも、人に話せる事と話せない事がある。敵対する者ならまだしも、そうではない者から無理矢理情報を聞き出そうとする趣味は持ち合わせていなかった。それが此方の利益や不利益に繋がるならまだしも―

「違いない。厳つい組織の構成員共が、此処でバレエの一つでも演じるというのなら、喜んでそいつらだけ無罪放免にしてやっても良いくらいだ」

笑みを浮かべる彼を僅かに目を細めて観察しながら、冗談めかして言葉を返す。

「ふむ。……確かに、相応の実力は持ち合わせている様だな。助力したいというなら、此方に断る理由も無い。しかし、この報告書を見る限りでは、この劇場へ逃げ込んだというのは中々苦しい言い訳の様ではあるがな?」

彼の提案をあっさりと受諾しつつ、彼の実力ならばアンデッド如きの為に此処に逃げ込んだというのは嘘だったのだろうと緩やかな口調で告げる。
尤も、それは責め立てる様なものではなく、寧ろニヤニヤと面白がっている様な表情ではあるが。

「…出来の悪いチラシではあるが、やはり此処を利用していたのは間違いない様だな。此方の手入れが入ったと気づかれなければ再利用されるかも知れんが、そういった調査には私の異能は不向きだ。どうせ暇なのだろう?情報が欲しければ此処で得たものは不問にしてやるから、手伝え」

舞台から降りた彼に歩み寄り、渡されたチラシに視線を落とす。その中身を見れば舞台奥や事務所まで向かうべきかと思考するが、己の異形では床を踏み抜き、天井を傷だらけにしてしまうだろう。
ならば、護衛が必要だ。依頼するには実に偉そうな、そして尊大な命令形の口調で彼に言葉を告げる。
その体格差から彼を見上げる様な体勢になっているのが、微妙に腹立たしくもあるのだが。

白鈴秋 > 「まぁ、そんな所だ。それで済めば楽なんだが」

 そう笑いながら答える。相手の追及をしてこないのに少し助かったと思いながら息を吐き出した。
 
「……むしろそれ少し怖いもの見たさでみてみてぇな。入場料代わり程度には楽しめそうだ」

 ごつい顔のやつらがあの格好で踊っているのをみれば一瞬だが大笑いできそうだ。もっとも1分もすれば退場するだろうが。
 相手の言葉に少しだけ笑い。

「数が多いから面倒だっただけだ」

 嘘とバレただろうが。追求してこないのならそのまま突き通すだけだとばかりに付け加えた。
 気がついているのならその意図まで読み取れるかもしれない。

「ああ、文化祭のチラシのほうがまだマシなレベルだ」

 出来の悪いチラシに思わず噴出すように笑う。本当にそのレベルだと思った。

「ああ、もちろん手伝うさ。見つけたのは全部風紀に渡せばいいよな」

 降りたばかりの舞台にもう一度上がり。振り返る、いこうぜといった雰囲気だ。

「……あん?」

 なんとなく目線に気がつき首をひねった。身長で腹立たしいとまでは気がつかなかったが。

神代理央 > 「何にせよ、見つかる事を祈っているよ。我々風紀委員会も、存分に頼ると良い。我々の仕事は、生徒の役に立つことが第一だからな」

半ば社交辞令ではあるが、半分は本気である。
彼が風紀委員を頼るつもりがあれば、の話ではあるが。

「絵面的には最悪だがな。それでも、そういった娯楽の種くらいは、提供して貰わなければ割に合わんよ」

小さく肩を竦めて、やれやれと首を振る。

「面倒、か。まあ、確かにあの数の多さは面倒だ。気持ちは分かるよ」

そこで言葉を切る。それは、これ以上彼の事情を追求するつもりは無いという明確な意思表示。
いずれ信頼関係が築ければまた話してくれるだろうと、折り合いをつけて話題を変える。

「とはいえ、貴重な情報でもある。出来れば、このチラシをばら撒いた構成員の名簿。欲を言えば、招待された組織のデータ等があれば良いが……まあ、余り期待は出来無さそうだな」

彼に続いて舞台に上がりつつ、流石に証拠隠滅くらいはしているだろうと溜息を一つ。
しかし、首をひねった彼に此方も怪訝そうな表情を浮かべた後、その理由に気づいて――というより、気付いてしまって――僅かに引きつった様な笑みを浮かべる。

「……どうした?何か、言いたいことでも、あるなら、はっきり言ったら、どうだ?」

言葉を一語一語区切りながら、ずい、と彼に近づいてしかめっ面を浮かべてみせる。
別に彼に悪意は無い。というより、そもそも此方が勝手に気分を害しているだけなので八つ当たりに近い。
しかし、話題が愉快なものでは無い事に近づけば、後方に控えた異形達は歪んだ金属音と共に再び砲身を動かし始めるだろう。半ば無意識の微妙な苛立ちを感じ取った異形が、その原因を排除しようと言わんばかりに。

白鈴秋 > 「ああ、必要があったら頼らせてもらう」

 そう答えるだろう。まぁ実際関係ない違反組織だったりした場合には遠慮なく風紀を呼ぶだろうし、実際自分で勝手に処刑するわけにもいかない。
 絵面が最悪だということには同意し。少しだけ笑うだろう。

「ああ、その上次から次だ……さっさと沈静化してほしいものだがな」

 パンデミックの嘘にはそう答えるだけ答え。相手に合わせ話を変える。
 彼の場合あまり風紀には伝えそうもないから……いずれはなすことになるかもしれない等と少し考えていた。

「まぁ、だが……このレベルのチラシを書く組織だ。案外抜けてる可能性もある。正直これなら俺の方がまだいいチラシを作れるぞ」

 相手の期待できないに関してはチラシを軽く顎でさす。逆に取りこぼしがあるかもしれないなどと思ったようだ。
 相手の言動そして後方の機械の様子見て。

「……いや、なんでもねぇ。一瞬動いたのがあったように見えただけだ」

 今度はいくらなんでも無理な嘘をつきながら前を見る。相手的に触れられたくない所だったようだ。深入りをしないで置いてくれたのだからこっちもしないようにしようと。
 前に似たようなことをして怒られた経験が生きたのであった。

「一応舞台袖や舞台。客席なんかには隠し通路の類はなかった。魔術で確認済みだ、他の場所はまだ見てねぇからなんともいえねぇが」

 自分の見つけた情報は先に伝えておく。時間短縮にもなるし、相手が再確認したとしても真実の証明になるだけだ。

神代理央 > 「如何せん、違反組織やらアンデッド騒ぎやらで風紀委員も忙しくてな。いっそ、一度落第街を灰にしてしまえれば楽なんだが」

沈静化して欲しいと告げる彼に、物騒な言葉で返事を返す。
半分以上どころか八割くらいは本気なのだが。

「此処まで美的センスが無い連中が、よくもまあ商売なぞ出来ていたものだ。余程良い商品を仕入れていたのかも知れんが…」

商品とは、とどのつまり人間や魔獣、異邦人の類であるのだが。

「……そうか。ならば良い。警戒心を抱くのは大事な事だからな」

彼の言葉に浮かべていた顰めっ面を僅かに緩め、彼の前に立って歩き出す。
流石に嘘であることは重々承知しているが、それでも気を遣ってくれたのだからこれ以上食い下がるのは大人げないかと思考を切り替える。
異形達も、いつの間にか砲身の動きを止めているだろう。

「ふむ、となれば控室や事務室だろう。出来れば、取るものも取りあえず逃げ出したという線にかけてみたいものだが」

彼を先導する様に進んだ先は、舞台裏の脇にある小さな小部屋。元々は、舞台上の演出等を行う部屋だった様だ。
此処に何かあれば、と静かに扉を開いて足を踏み入れた。

白鈴秋 >  物騒な発言を聞けば。少しだけ足を止めて

「……そんな事をすればここに住んでいるやつが風紀をさらに敵視するだけだと思うぞ。正義だとかそんなのやられる側は関係ねぇんだから」

 まじめなトーンでそんな事を言ってしまう。自分の家族が”正義”の名の元に殺された”異端”だからこそ。
 もっとも真の正義である風紀と違反組織を同列にするのはおかしな話だが。やられる側からすればそんなの本当に些細な違いだろう。
 それから少しだけ誤魔化すように。犯罪者増やしたくねぇだろと笑う。
 チラシに関して触れるなら少し顎に手をやって。

「もしくはコネがあったか……だな。極論だが新しい人を誘うまでもなくここの客席を埋める程度は呼べるなら最低限の情報を入れれば良い……だろ?」

 自分の意見を述べながら足を進める。
 一応定期的に空間認識の魔術を放っているが。今のところ隠し通路の類は見つからない。見つかれば話は別なんだが。
 取るものも取り合えずというのには少しだけ笑いを浮かべ。

「無造作にチラシが落ちてたんだ。その可能性も0じゃねぇだろうさ。まぁそこまでのヘマをやらかす組織なら楽なんだが」

 そしてついていってたどり着いた先は演出、つまりは照明や音響、舞台装置を動かす部屋だろうか。

「……こういうのはメモリーで音や照明を記憶しておけるようになってるんだが。来賓者の挨拶。何々様お願いします……とかそういうデータでも残ってねぇものか」

 機械を見て使い方などを確認する。それから振り返って。

「どうする、再生してみるか?」

 一応確認を取る。勝手に流すわけにもいかないだろう。

神代理央 > 「構わんさ。此処の連中にどれだけ憎まれたとしても、風紀委員会の仕事はあくまで一般生徒の為のものだ。まあ、血を流さずに済むのならそれに越したことは無いが」

つまるところ、落第街まで堕ちてくる方に責任があるのだと肩を竦める。
落第街や違反組織に対して、憎悪も情も無く消し飛ばす事が出来るのは、己の異能の良いところなのかもしれない。

「……いや、詳しい委員を連れて、後日洗い出しを行おう。というより、どうやら無遠慮なお迎えが来たみたいでな」

己の通信端末が軽快な電子音と共に、付近に違う風紀委員が訪れた事を告げていた。
戦闘ログこそなくても、調査には人手が必要だろうと本庁が気を利かしてくれたらしい。余計な事を、と溜息を吐き出して―

「…私は一度、応援の連中に事情を話しにいく。貴様はその間に、見つからない様に此処を立ち去ると良い。私も庇い立て出来なくも無いが、面倒な手合もいるからな」

彼を怪しんで無理矢理連行しようとする委員もいないとは限らない。そういった連中を足止めしている間に、一度此処から立ち去る様に忠告する。

「ではな。故あればまた会うこともあるだろう。その時は、人探しとやらも少し事情を聞かせてくれ」

軽く手を上げて彼に別れの挨拶を告げると、部屋から出て委員達を迎える為に制服を翻して部屋を出る。
次は、珈琲でも嗜みながら話を聞きたいものだと思いながら―

ご案内:「落第街の廃劇場」から神代理央さんが去りました。
白鈴秋 >  機械をいじっていて、片膝を突いて座っていたが。相手の言葉を聴けば少しだけ動きを止め。

「……そうかよ、まぁできればそれはしないことを願うぜ。俺は正義とかはどうでも良いが……そういうのは見過ごせねえ。殺しはしねぇけど、妨害はさせてもらうぜ」

 今度は笑みを消し、それをしっかりと言う。自分のような思いをするのを本当の正義が出すのを見過ごすことなどできるわけがない。
 それから電子音。そして言葉を聴けば少し苦い顔を浮かべるが。

「……わかった、お前の顔をつぶすわけにもいかないからな。見つからないように逃げるさ。わざわざ忠告助かるよ」

 そう答え、立ち上がる。膝を軽くはたいて。

「ああ、そうだな……できれば。お前が街を吹き飛ばそうとしない場面で会いたいところだ」

 さっきの発言の後では物騒な言葉になりかねないが。まぁ良いだろう彼なら大丈夫という感覚があった。
 部屋から出て行くのをみれば。
 
「まぁ最低限、確認だけはさせてもらうさ」

 ごく小さい音で確認をする。だが結局は早送りを繰り返し3分もしないうちに確認し終え。

「……少なくともメモリーは外れか。できればこっちのデータに当たりがねぇ事を願うぜ……もしあったら、切人からリークが来ることを願うだけだ」

 もう一度ため息をつき。彼が出て行ったほうとは逆。即ち劇場確認ようにつけられた窓から劇場へ。そのまま裏から出て行った。

ご案内:「落第街の廃劇場」から白鈴秋さんが去りました。