2015/08/18 のログ
ご案内:「牢獄」にシインさんが現れました。
シイン > 暗き狭い場所。
灯りとして機能しているのは、柵から差し込まれる太陽の光のみ。
其の中で、動かずに、否、動こうともしない一人の軍人が居る。
少佐という立場まで昇り詰めた軍人が、今では愚かにも無様に牢獄に捕らわれている。

両手には、異能と力がある程度に抑えられる特殊仕様のモノを掛けられて。
両足には、動きを封じる為に、逃げの脚を封じる為に枷が掛けられて。

牢獄に入って数日。一切と動くことをせずに、瞳を閉ざしたままで。
彼は静かに居座っている。
眠ることはせずに、ずっと。

シイン > 入所手続きを終えて、生活区に移されると考えてたが、どうやらそうではないようだ。
周囲に他の受刑者の気配は一切と感じなかった。
ある意味で独占しているという考え方も出来るが、羨ましくも嬉しくもなんともない。
暫くは、この場所で安置されるのだろう。

今回は"教師"が"生徒"に対して起こした特殊の事例だからこそ、慎重に動いてるのかもしれない。
なんにせよ、自分からは動きがあるまで待つしかない。


朝に夕と決められた時間に食事が運ばれてくるが食べる気はしなかった。
元より食事は必要としない身体だった為に、嗜む程度に食してた自分には不要だった。
どうせなら珈琲の方が、自分には食事として適しているが、贅沢過ぎる。

シイン > 誰とも話す機会はなく、誰とも会える機会はなく。
想像してた以上に退屈な場所、瞳を開いても映るのは暗い闇。
偶に来るのは、風紀の者で食事を運ぶ当番係の者と、一定時間の間隔で見回りをしている者ぐらい。

当然だが其の者達と話す機会など無い。話すことすら無いのだから。

この暇で退屈な時間をどう潰せばいいのか。
それは、今後の事を想像してぐらいしかなかった。
彼女達との会話や行動の関わった記憶を思い出しても良かったが。
名残惜しくなるので封じている、楽しかった思い出は、現状を余計に退屈にしてしまう。

早く話は進まないものか、そんな考えばかりが巡りに巡り。
深く溜息を吐くのだった。

シイン > 考えを巡らせてる最中、ふと一つ気になることがあった。
機械ではなく既に"龍"となった自分の身体はどうなっているのか、と。
其の肉体は"ナニ"で構成されているのか、と。

完全に龍になって以降から傷を負い、再生する機会がなかった。
だからこそ知りたいと、だが機器機能は正常に働いてることから中身は変わってないと推測。
実際は見てみないとわからないのだが、この場所では叶わぬことだった。

もしかしたら機能していると思わせてるだけで、丸っきり別物となっている可能性は否定しきれない。
そうであったとしても、受け入れるしかないのだが、そうなると完全に別人だ。

そしてまた暇で退屈な時間が訪れる。
考える案件が一つ減って、また何を考えるかを考える作業に戻る。
なんとも退屈、全ては自業自得なのだが。

「――幻影だけを見て、見ることを諦めてた末路、か。」

正面ではなく、真っ直ぐではなく、横に逸れて見てた。
物事をキチンと正面から受け止めてなかったのだから当然とも言える。

偽りの思いなど、所詮は偽りでしかない。

シイン > 「今なら見れるだろうか。」

それはなんとも言えない、真正面から見れるかどうか。
自信はなかった。覚悟はあるが、勇気はない。

「見てみなければわからないか。」

今はまだ、彼女を見て彼女と重ねずに見れるかどうか。
過去の出来事がフラッシュバックせずに、一人だけを見れるかどうか。
断言はできない、本当は覚悟もないのかもしれない。

「…弱いな。」

あまりにも弱い。
過去を引き摺る男は女に嫌われると"誰かさん"に教わったが守れない。
出来ることなら過去の渡って全てを壊したい。
全てをなかった事にしたいが、そんなことは叶わない。
生きとし生ける物は、すべからくして過去から逃れることは出来ない。
自分の起こしてきた出来事を引き摺り、身体に刻みながら生きていくしかない。

そういう風に出来ているのだから。

シイン > 今日はここまでにしよう。
下手にぶつぶつ呟いてるのが聞かれたら何を言われるかわからない。

なに、時間はあるんだ。
龍になってしまった所為で無駄に。

呪いのことも向き合わなければいけないが、今はいいだろう。

ご案内:「牢獄」からシインさんが去りました。