2015/09/18 のログ
ご案内:「『9時のニュース』」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > 未だに根強い需要が存在する、
本土の公共放送は、常世島全域において衛星また
はケーブル放送で無料で受信可能であり、外界の
ニュースと言えば、この公共放送のニュースがや
はり定番であった。
夜9時のニュースの2番目のニュースとして、
先週金曜日の英国航空ハイジャック事件で犯人を
機外に転移させる事と引き換えに命を落とした日
本人乗客の葬儀が数時間前にロンドンで行われた
事が報じられていた。
死亡した川治敬一氏には、英国における民間人
への最高の勲章であるジョージ・クロスが、英連
邦以外の市民として初めて授与されている。
このため、葬儀には英国政府や王室からの代表
者、そして日米の駐ロンドン大使が参列している。
そうした錚々たる面々の中で、一際目立ってい
るのが、他の参列者より頭一つ以上大きな少女だ
った。死亡した川治敬一氏の遺影を抱き、学園の
制服に喪章を付け、黒いヴェールをかぶっている。
『・・・川治氏の血族は、3年前の千葉県での
転移事故の際に全滅し、同じく一人だけ生き残
り、事故後に被保護者となった、幼なじみの嶋
野陽子さん18歳が、唯一の生存する親族です。
嶋野さんは現在、常世島の常世学園の看護科一
年生で・・・』
アナウンサーの解説により、ニュースを見てい
た学園生や関係者は、巨大な少女の顔こそ良く見
えなかったが、保健室や教室で見かけた巨体の主
の名前と年齢を覚えたのだった。そして、陽子の
知人は、陽子の不在の理由を全国ニュースで知る
事となったのであった。
このニュースが終わって間もなく、陽子の乗る
BA007便は東京に向けて離陸したのであった。
ご案内:「『9時のニュース』」から嶋野陽子さんが去りました。