2016/05/18 のログ
ご案内:「喫茶店」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「喫茶店」に綾瀬音音さんが現れました。
五代 基一郎 > 以前偶然立ち寄った喫茶店だったが、昼時の盛況さとその時に注文したカレーが中々においしかったのを覚えている。
それもあって、遅い昼食も兼ねてカレーを頼む。

ただ遅めの昼食を……というわけでもなく。
人との待ち合わせの場所としてここに来たものであり、そうしたのならば
カレーよりもケーキ等のほうがらしいといえばらしいのだろうが
カレーの味が忘れられず、待ち合わせの人物が来るまでに完食できるのだろうと思っていたのだが。

注文してから少しして、その浦島太郎が連れて行かれそうな場所のような喫茶店に
呼んだ相手……待ち合わせた人物が現れた。

着いたのが窓際の席だったためか、自分も相手も見つけやすかったのか。
片手を小さく挙げて店内に招いた。

綾瀬音音 > (連絡を貰った時にはびっくりしたが、待ち合わせを受ける理由はあっても断る理由はない。
待ち合わせの相手は恩人であり、頼れる風紀委員であり先輩である。
余り足を踏み入れない地域だったので少々迷いかけたが、なんとか辿り着くことが出来た。

良く言えば雰囲気がある喫茶店に足を踏みれて、待ち合わせ相手を視線で探す。
窓際に視線が行けば、手を上げてくれたのもあってすぐに解った)

こんにちは、お久しぶりです。

(もうあれから大分経つ。変わったことも変わらなかったこともあるがまずは挨拶を口にして、彼の前の席に腰掛けよう。
おしぼりとお冷を持ってきた店員に礼を言ってから、とりあえずメニューを断ってから眺めようと。
勿論ここのカレーが美味しいなんて事実は知らない)

五代 基一郎 > 「お久しぶり。元気……そう、でいいのかな」

悪いね、歯切れが悪くて。と呟き応えれば。
店員がメニューを持ってくるのと同時に、注文したカレーが運ばれてきた。
店内には学生が多く、また店員も学生が主体でアルバイトのみのようにも見える。
もちろん大人の店員もいるのだが……

「あぁいや、ここカレーが評判でさ。実際うまいんだよ。
 もちろんショートケーキも美味しいんだけど俺昼まだ食べてなくてね。」

カレーらしいカレーが男の目の前に置かれ。
遅い時間であってもランチの時間なのか、まだサラダがついてきていた。
スプーンを持つ手は食べる気を感じさせるに十分な何かを持っており。

「ほら、呼び出したの俺だから。好きに頼んでいいよ。」

気にせず頼んで構わないよ、一応先輩だしさと。

綾瀬音音 > …………。はい、元気でやってます。

(悪いね、の言葉に、少しばかりの苦笑を交えてそれでも確かに頷く。
歯切れの悪さに“彼がいなくなってしまったこと”を知っているのかな、と思い、それでもおかしくはないな、とも思う。
運ばれてきたカレーを横目で見やって、昼食ですか、と尋ねてから、こちらは同じ年頃の店員からメニューを受け取って)

うーん、今日は朝昼兼用でご飯早かったので行けそうな気がするので頼んでみます。
ほら、おすすめのものってやっぱり気になりますし。

(何処からどう見てもカレーであることを主張しているカレーは、スパイスの香りといい中々に食欲を刺激される。
元々食は太いのでこれくらいなら食べられそうだと判断すれば、同じものを、と店員に頼んで)

じゃあ、遠慮無く。
でもショートケーキが入るかはちょっと怪しい気がしますけどね
(ありがたい言葉に頷くと、冗談めかして笑い)

五代 基一郎 > 「テイクアウトもやってるらしいし一杯になったら持って帰ればいいよ」

友達の分も構わないよ、と。一人で食べるよりはとも思うのは余計な気遣いだろうか。
こうして目の前の子と話す……というよりも”あまりないシチュエーション”に
言葉から相手を探ってしまう。

「うん。いいね。ここのカレーはやっぱりいいな。
 カレーって二種類……って言っていいのかな。あるじゃないか。
 インド亜大陸方面の人達が出している所……わかるかな、居住区にあるんだけど。
 ナンとかサモサとかシシカバブもあるようなところと喫茶店とかレストランが出すような日本のカレー…っていうのかな。
 後者ので、身近なのだとやっぱりここだなって思えるな。
 丁寧なんだよね、調理が。食べていてそれがわかる……っていうかな」

綾瀬音音の思う通り。何があったのかは知っていた。
一連の事についてはそも半ば管轄外ということもあったので、あの時以上に
表立って何かをするということも控えていたが
それでも人の口に戸は立てられないし、何事かとは耳に入るものだ。

関わった者として、事後に何かをと思うのが人情であるが
余計に手を出すよりもと距離を取っていたのだが。

「いや今日呼び出したのはさ。綾瀬君は今年……三年だっけ、
 俺は四年で卒業予定なんだよね。今年度でさ。それ考えてたらまぁ、なんというか。
 君は進路どうするのかってね。決まってるの?」

カレーをつつき、口にしながら問う。
そう、今になって顔を合わせたいと思ったのは彼女がこれからどうするのかということだった。
ただ一人の後輩で、特に手塩を掛けた人材……というわけではない。
だが自身が経験してきた中で今まで、大抵何かしらの事件に関わってしまったものがどうなるか。
大体の人間はその事件限りの関わりであり、言葉を選べば二度と会う機会も確率もないようなものばかりだった。

綾瀬という少女と関わったのは、そも自身がこの島や以前からの関わるようなこととは外だったからか
こうして以後も会えるような顛末になったのは珍しく。
故に”あまりないシチュエーション”に自身もどう接するか迷いがあり、歯切れが悪い部分があったのだ。
故に綾瀬にかける言葉にも一部の事柄を避けるような思考の流れが生まれていた。

綾瀬音音 > テイクアウトですか……うーん、魅力的な言葉過ぎますね……。
(友だちの分、と言われても寮に帰ってすぐに一緒に食べてくれる友だちがいるかと言えば悩むところだが、丁度不義理をしてしまった相手に差し入れでも……とも、思う。
それは後で考えるとして、友達の分までは申し訳ないですよーと笑っておこう。
以前会った時は状況が状況だったせいもあり緊張していたが、今日はソレも薄い。
極々普通の女子に見えるだろうか)

ああ、ちょっとお店までは解りませんけど解ります。
本格的なインドカレーっていうか、お家で作れない感じのカレーと、なんて言うか家庭的って言えば良いのかな、そんなカレーですよね。
私はどっちも好きですけど。
ご飯はやっぱり丁寧に愛情込めたほうが美味しいんですよねー。味に出ます。

(呑気にそんなことを口にしながらお冷を飲む。
知ってるんだろうな、と思ってもそれを口に出してしまえばどうしても話は重いものになってしまうのは解るので、とりあえずは口にすることもなく。
今は先輩と遅いお昼を楽しむ後輩で居ることを選んでいる。
――心配を掛けたのだろう、とも思うのだけれど)

進路……ですか?
(予想外の質問に、瞬きを数度。
ううん、t唸るように考えてから)

本来本土なら私、高校3年生何ですよね。
だから本当は受験生のはずなんですけれど――ここって4年制だから、あんまり考えてなくて。
一応来年度で本土の大学を受験しようとは思ってたんですけど、ここで大学卒業の資格取るのも悪く無いかなって。
でも全然、何をしたいかとか思い浮かばなんですよね。
昔っから将来の夢って浮かばないんですよ、冗談抜きで。
んー……なので本当に考え中です。
今年と来年でやりたいことを見つかればいいなぁ、とか。
(カレーを食べるのを見れば自然とお腹がなるような気がして、困ったなぁ、なんて呟きなら。
質問には正直に答えるが――一言で言えば、本当に考え中の白紙状態。
以前は看護師か医師の資格でも、と思っていたが――今では必要のないものだ。
確固たる意志があるわけでもなく、何も考えてないという訳でもなく、何となく学校に行って、何となく進学して、と言うありふれた若者の答えである)

五代先輩はどうするんですか?
島の外で就職とか、教師の方に回るんですか?
(歯切れが悪いことも気づいていたが、まあ知っているならそうなっても仕方がない、とは思う。
自分でもそうなるだろう。
だから、当たり前の世間話の風に首をかしげながら問いかけた言葉)

五代 基一郎 > 「なら、またの機会でいいさ。別のお店でもいいしね。」

いや、まぁよければだけどと足しつつ少し言い訳じみた……今後もという誘いの説明をするとだが
大体家以外で誰かと食事やら何やらとなると委員会関係の後輩だったり、付き合いだったりだもので
どうも関係が、パターンが固まってしまうからというものであり
普段こう異性に声をかけて誘っているわけではないと釈明じみたものを伝える次第になった。

実際相手がどう思うかはさておきだが”普通”の相手と食事をする機会はあまりなかったな、と自分でも思うし
それが貴重な時間であることも重々理解できたからでのなのだが。

「そうそう。どちらも良さがあるんだよね。
 本格的な方はスパイスの使い方とか……ラム、羊の肉とか臭みが消えていたり……
 生姜とかかな。色々考えて入れられているんだけど。家庭的な方かな、それは家々の……というか
 一見普通の、に見えても特徴があるところはあってさ。
 味に出るんだよな……ここもさ」

もう既に半分ぐらい食べ終えたカレーの皿をみやり、またスプーンを働かせる。
火の入れ方か、時間か。ランチの時間帯のものだというのに、丁寧さを感じる味だ。

そして、綾瀬の進路の話を黙って……だがカレーは食べつつ聞いていく。
綾瀬の進路についての言葉が一通り、というのだろうか。
区切りを付けて自身が答える……という時になれば。既にカレーは残りわずかになっていた。

「俺は……そうだな。とても単純に言うと”悪いヤツ”と戦ってきた。
 島に来る前からね。島に来てからもだけど。島の外に行っても、きっとそれを続けていく。」

何か、すごい漠然とした……普通の人が聞いたら何を言っているのだろう。
と戸惑うような答えを返した。実際普通の少女が効かされれば、別の世界の話で
とてもじゃないが”まとも”な返事ではなく。変な人で済まされるような答えでしかなかったが。

「だからわかるんだけどさ。なんとなくね。」

あぁ君が注文するとき追加でケーキ、頼むかなと他愛もないことを挟み

「一度”ズレ”てしまった、”ズレ”を見た人間は中々戻れない。
 君が何をしたいか浮かばないのも。考えがないのも、それが原因じゃないんだろうか。」

そう。普通とされるものからズレた世界を見た、ズレたものを見た……
スレた場所に行ってしまったから浮かばないのではないかという推測。
本来見るはずのない、見なくていい世界を見た者がどうなっていくか。
引きこまれていくか、いないかはさておき巻き込まれた者にとって世界を歪に拡張させる出来事。
宙ぶらりん、のような自分の所在をどこに置けばいいのかわからないような……ズレたままの感覚。

予感。五代自身が綾瀬に対して抱いていた懸念のようなものはこれだった。
進路が決まっており、または何をするか探している……のではなく。
浮かばず、消極的に。見つかればいいなと。浮いている状態。
”ズレ”が生んだ、傷痕が見えてしまったと……思う。

詰問でも、叱責でもなく。
落ちた声色が珍しく出た。

綾瀬音音 > 先輩のお誘いなら喜んで行きますよ―、でも今度は割り勘にさせてくださいね?
(お誘いの言い訳めいた言葉にへらっと笑って、いつも奢ってもらっては申し訳ないとも付け足して。
さらなる言い訳めいた言葉にも解ってますよ、と頷いた。
本来であれば知り合う機会も無かったかもしれない先輩であったが、この先輩は恩人だということを差し引いても良い関係を築きたい、と思う。

終わってしまったこともあるが、こうして続いていくものも確かにあるのだ)

ラム肉って言うとどうしてもジンギスカンが出てきちゃうんで、カレーでは食べたことがないんですよね。気にはなってるんですけど。
カレーのスパイスって本当に沢山ありますよね、何かもうよく解らないくらい。
そうそう、他のお家のカレーとか凄く気になるんですけど、食べる機会は無いんですよねー……。
ああ、それは楽しみです。……と、来ましたね
(味に出る、と言われれば気にならないわけがない。ので、運ばれてきたカレーは早速頂きます、と手を合わせてからスプーンを手にとって一口口に運ぶ。
おお、とちょっと感激したように目を開いてから美味しいですねーと笑いながらスプーンを運び。
丁寧に炒めた玉ねぎと、煮こまれた肉の味が美味しい)

(黙って彼の話を聞く。
短い話だが、絵空事ではないことは、それこそ非日常に一時期ながらも足を踏み入れた人間だから、解る。
自分は平和ボケが許される地域で生まれ育った人間だったが、世の中がそうではない事は――今は身を持って知っている。
だから首を傾げるわけでもなく、ただ詳しく察するまでは行かなくても、そう言う世界がある、と言う事は理解して頷いた。

ケーキは二つで、とこちらも返してから。
一個はお土産にするつもりなので、自分で払います、と付け足して)

………………………―――――――。

(彼の少し、沈んだような言葉を聞いて、少しだけ目を伏せて。
少しだけ、今はもう遠くなってしまった日々を思う。
まだ綺麗な思い出だと言えない、そんな過去と言うにはまだ浅い昔。
伏せた視線の先には相変わらずの指輪がある。
外すタイミングを失ったままのそれ。
もう彼を待つこともないというのに)

言われたら、そうなのかな、って気はします。
本当に世界がひっくり返っちゃうみたいな出来事ばっかりだったから。
本当にお祭り騒ぎみたいな――うん、そうですね。
良いか悪いかは別として、お祭りみたいな日々でした。
玲刃君がいたあの頃は。
もしかしたら信じて貰えないかもしれないけれど本当に、本当に――幸せだったんです。
もうあの頃には戻りたいとは思わないし、思うことも出来なんですけれど……それでも、やっぱり綺麗な思い出で。

私は、確かに異能は使えます。
だけど何処にでもいる普通の人間なんです。
だから――その、“ズレ”の中には……居ることは出来ないんです。
彼が“此方側”に来れなかったように私も、“あちら側”には行けない。
もう、行く必要もない。



私はもう―――もしかしたら、何処にもいけないのかも、しれない、です。


(いつの間にかカレーを食べる手が止まる。
滔々と要領を得ない言葉を紡ぐ内に久々に途方も無い疲労感を感じる。
暫く忘れていた感情。
行き場所がないのは自分の想いなのは解っている。
だから――この感情を抱えたままでは本当に何処へも行けないのかもしれない。
唇を噛んで、俯いて。
知らなかった。傷跡がまだこんなにグチグチと生々しい色をしているだなんて)