2016/06/10 のログ
ご案内:「ガンショップ『obsidian』」に加賀見 初さんが現れました。
加賀見 初 > 歓楽街の外れに在る 小さなガンショップ。
閑古鳥が鳴いているように見えるそこに今日も一人。

「……さて、用心棒をどうするかな」

ご案内:「ガンショップ『obsidian』」にdevilish【W】さんが現れました。
加賀見 初 > この間におこった謎人物の襲撃からこっち 微妙に緊張した日々を送っている。
監視カメラもあったので、お咎めは特になしなのが救いだったか。

「……何が問題かって、雇うお金がないんだよね」

devilish【W】 > 小さなガンショップの片隅。

監視カメラにも映らない、意識して見なければ気づけないような暗い暗い隙間に……それは、音もなく現れた。

名前も無ければ色もない。

体も無ければ形もない。

だが、確かに【何か得たいの知れないもの】は、そこにわだかまっていた

加賀見 初 > 「格安で雇えて、腕が立つ……しかも、私に危害を加える気がない。
 うん無理だろう」

客観的に考えても、無理だ。
そんな都合のいい人物がいるわけがない。
よしんば、居たとしても知り合いにいない。

「諦めるしかないかな。
 さて、珈琲でも飲む……ん?」

何か違和感を感じる。

devilish【W】 > 体が無いから音がしない。

形が無いから見えはしない。

重さがないから触れられない。

【それ】は移動する。

ただ1つはっきりしている、別たれた2つであるという事実を使って。

1つは店の奥に……壁も扉も鍵穴も金庫も【無い】ものは遮れない。

1つは……店に座る少女を目指して、移動する

加賀見 初 > 目を細めて、あちこちを見るものの特に異常なし。

「神経質になりすぎているのかな。
 いけないねこういうのは。心を落ち着かせる趣味の一つでももつべきかもしれないよ」

ふぅ、とため息をついてからヒョコヒョコと珈琲メーカーまで移動する。
そのまま熱い珈琲をいれ、ミルクと砂糖。
いまだに熱を発するそれを少しだけ恨めしそうに見てから、口に含んだ。

devilish【W】 > コーヒーに口をつける少女の姿を、【それ】はじっと観察する。

触れることができない何かを伸ばして、ゆっくり、ゆっくりと近づく。

姿を、形を……そして、それ以外を覗き見るように。


その時……もしかしたら気づけるかもしれない。

珈琲の豊かな香りに混じって……微かに、異臭がすることに。

あるいは、嗅ぎなれたものだろうか……それは火薬の匂いに似ていた。

加賀見 初 > 火薬の臭いが鼻につく。
職業柄、それにだけは敏感だ。
こちらには持ち出していないはずの臭いを嗅げば。

「……?」

おかしいぞ、と首を傾げた。

「さて、このあいだのアレが化けて出たのかな?
 用心棒より先に霊媒師に相談しておくべきとか、冗談が過ぎるね」

しかし、割とズボラな自分が片付け忘れていた線もありえる。
一応は彼方此方を見て回るとしよう。

ヒョコヒョコとかけた右足を庇いながら移動する。
慣れたものではあるものの、バランスは悪い。

devilish【W】 > 形もない、体もない。

だからこそ……それは油断していた。

あるいは、悪魔であることを捨てたから……
その事実を意図的に忘却してしまったからか。

【悪魔は硫黄の臭いと共に現れる】

それ故に、気づかれる可能性があることに気づけずに……
逃げるのが遅れてしまう。
油断して、間近で観察していた少女に、触れてしまう。

少しずつ少しずつ写しとる筈だった物に【それ】は突っ込む形になり……
その記憶に、無理矢理な覗き見をかけることになる。

意識すれば簡単に弾き飛ばせる程度の曖昧さだが……
しかし、何かがそこにいることには、少女ははっきり気づけるだろう

加賀見 初 > 元々魔術の素養は高かった。
単に興味が沸かなかったから履修をしておらず、結果として普通の人間と大差がない。
覗き見に関して言えば、悪魔だったものがその気なら生まれてから現在までを覗けるだろう。
彼女が秘密にしておきたいこと その全てが。

「……誰かいるのかい?」

devilish【W】 > 予想外の事態に、それにザワザワとざわめきが走る。

凪いだ水面に小石を投じるように……小さな波紋は、
やがて大きなうねりとなる。

1つ2つ、3つ4つ5つ678……

油断していたが故に見えてしまう情報が……
その量が故に整理も出来ず、殆どは無意味な欠片としてしか取り込めないそれが、形の無いものの中で荒れ狂う。

形すらないそれには、その揺らぎがなんなのか分からない。

だが。

『ッッッアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!????』

叫び声をあげ、じわじわと【それ】は形を得ていく。

その叫びは……否、その泣き声に込められたものは、
あるいは人が初めて得る感情に似ていた。

人は……恐怖を得て、産声をあげるのだと。

加賀見 初 > 「………」

開いた口が塞がらない。
なんだ、目の前で何が起こっている。
理解が追いつかない。

赤子のような鳴き声だなと そんな感想だけが胸に残る。

devilish【W】 > 『ッ……ッ……アアアアアアア……ゥ、アアア、アアアアあああ……??!」

泣き声を響かせるための口が、喉が。涙を流す目玉が。
あれる息を吐き出すための体が。それを支える足が。
震える体をかき抱く両腕が。

てんでバラバラの順番で、
しかし、確かに人間のそれに似た体が形作られていく。

最後に頭が出来あがれば……
そこには、小さな子どものような影が、泣き声をあげながらうずくまっていた。
床まで届いてもなお余りある髪の……
不思議なことに、見ようによって黒にも白にも、赤にも青にもそれ以外にも見える……
下に隠れてはっきりとは見えないが、華奢な体つきながら
恐らくは男の子であると判断できるだろう。

「っぐ……あ、あぐ……うあああああ……」

涙を流し、震えているが……もしも観察する余裕があるのなら、
その足下の影が、ざわざわとざわめいているのにきづけるかもしれない

加賀見 初 > 本当に理解が追いつかない。
わかっていることは……裸の男の子が出てきた。
しかも泣いてる。

「……えー……あー……
 キミ、言葉はわかるのかい?」

害意の有無がわからない。
とりあえず、迂闊にも近づこうとして……影を踏む。

devilish【W】 > 「っ!!!??」

声を掛ければ、ビクンッと小さな肩が跳ねる。

長い髪にかなり隠れてはいるが、微かに覗き見える瞳に溢れんばかりの……
実際には既にこぼれ落ちている涙をたたえて、小さな影は、
酷く怯えた様子で……その左足を、かばうように手で隠しながら見上げてくる。

そして……近づいてきた少女の足が、影を踏んだ瞬間。

影の中から、鈍い光を放つ棒のようなものが勢いよく飛び出してくる。
狙いが甘いのか、かわすまでもなくそれは当たらないだろうが……
その棒には、先程よりも濃い火薬の匂いがまとわりついているのがわかるだろう。

加賀見 初 > やばい。かわいい。
その手の趣味はなかったのだが新しい世界が広がりそう。
などという感想も覚えるまもなく、足元から飛び出した棒に驚いて尻餅をついた。

「よくはわからないが、わかった近づかない。
 キミに害を加える気がないことも明言しておこう」

尻餅ついたまま 両手を挙げる。
最近、このポーズばかりだな と思い至って苦笑した。

devilish【W】 > 「う、ぅぅぅ……!!」

両手を上げる少女をじぃ……っと見据えながら、
男の子は影から飛び出てきた棒にすがり付く。

すると……少女の言葉にか、あるいは男の子の様子にか。
影の中からゆっくりと、それが姿を現し始めた。

影からゆっくりと這い出てくるそれは、一見すれば人の形をしていた。
だが、その体を構成するのは金属の塊であり……
よくよく観察すれば、それが銃に似た何かであることが分かるだろう。

似たなにか、としか形容できないのは、それが酷く歪み、
サイズもバランスも出鱈目になっているので……
日常的に触れているものが見て辛うじて判別できる、という有り様だったからだ。

あるいは……まるで、子どもが銃のおもちゃを
無理矢理くくりつけて作った人形にも見えた。

加賀見 初 > 前言撤回するべきかもしれない。
が、ここで迂闊に動くとそれもままならない気がする。

「銃……?
 にしては酷いナリだね。まるで『子供の落書き』だ。
 それじゃあ銃っぽい何かじゃないか」

正直、すごく怖い。
軽口を叩いているものの、腰が抜けていて立てるものじゃない。

「とりあえず、そこのキミ。いったい何の用があるのかな?
 お客様ではないのは理解しているんだけれど」

devilish【W】 > 「…………ぅ」
言葉に俯き、考える。

自分はここに来て……此所に……ここに? 此所に来て。
何かをする、するために……何を? どうして?

「……なん、で?」

鈴の音が鳴るような声音でそう呟くと、
小さな影はふらり、とバランスを崩し……
そのまま、軽い音を立ててその場に倒れこんだ。

それに引きずられる様にして、銃の塊で出来た人形も動きを止め……出てきた時の様子を巻き直す様にして、影の中へと引き戻されていった

加賀見 初 > 倒れたのを見れば 大きく息をついた。
とりあえず危機的状況からは開放されたらしい。
こちらを騙している可能性もあるが。

「……しかし、かといってどうこもできないのが困ったところだね。
 確かに可愛い男の子かイケメンならと言いはしたけれど」

腰が抜けたままなので、ゆっくりと立て直そう。
それからだ。

「とりあえず、きちんとした場所で寝かせるくらいはいいか。
 風紀か公安にも連絡しておいた方がいいのかもしれないが―――」

思案する顔。

「少なくとも、言葉は通じたようだし。私には証明ができない。
 怯える様子もあった……と思う。
 しばらくは様子を見るとしよう。」

devilish【W】 > 「…………ん…………すぅ……ん……んぅ……」

少女の様子を知ってか知らずか。
小柄な体をさらに丸めるようにして、男の子は小さな寝息を立てていた。

体を覆う長い髪が、光を反射して僅かに輝いた

加賀見 初 > 「さて、とりあえずは服からかな。
 ボクの寝間着に使ってるTシャツなら大丈夫そうだけど」

立てるようになってから、ベッドに運ぶのでしょう。
その際に色々と見てしまうかもしれませんが それは別のお話。

devilish【W】 > 「…………にゃ……む……」

されるがまま、運ばれるまま。
目覚めたときに何を見るのか……それは、まだ誰も分からない

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