2016/06/26 のログ
ご案内:「農業区 小屋」に雨宮 雫さんが現れました。
ご案内:「農業区 小屋」に鞍吹 朔さんが現れました。
■雨宮 雫 > 農業区の中央部分、酪農を割り当てられたスペースに点在するサイロと、それに隣接する小屋の一つ。
雫の属する組織 紅月清会 が古くから確保している場所の一つ。
サイロとしての機能、物置小屋としての機能は残されつつ、地下に人間数人が生活できるように造られた場所に朔を運んだ。
体を拭き、ベッドに寝かせ、薬を与え、食事を用意し……
まずは、喪った体力と体を復調させねば話にもならないから。
■雨宮 雫 > 幾つかベッドのある部屋は寝かせた朔以外には近くでお盆に載った食事を用意している雫が居るだけ。
窓は無く、壁時計だけが時間を計る手段であるが……地下であればそれも止む無しであろう。
「朔ちゃん、具合はどうかな、かなー。
早く風邪を治そうね、治そうねー……ひひひ。」
何故か、雫はすげー楽しそうだったが。
■鞍吹 朔 > 「……う、ぅ……」
農業区のちっちゃい小屋。朔は、そこで布団に包まれていた。
少しうなされてから目を覚まし、辺りを布団にくるまれたまま見回す。
「…………。」
状況を把握し、時計を近くで見ようと起き上がろうとしたが……体が上手く動かない。
頭が重い。寒気もする。頭痛もある。これは間違いなく風邪だ。
「……。具合は、良いか悪いかと言われたら悪いです。」
若干憎まれ口を叩いてみるものの、顔が赤くぼーっとしている。
■雨宮 雫 > 「そりゃあ、そっか。
まぁまぁ、行き倒れる寸前だったものね。
とりあえずはご飯かな、かな。
あぁ、水は一杯飲もうだね、うん。」
はい、どうぞ。
と言いながら、ベッド脇のテーブルで何かしつつペットボトルのお茶を枕元に差し出した。
ちらっと顔を見ると、顔が赤いのは……
「倦怠感、熱っぽい、頭とか関節が痛い、寒気がする、喉が痛い、どれがあって、他にもあれば教えて欲しいかな、かな。」
■鞍吹 朔 > 「……ありがとうございます。
………。」
変な薬とか入ってないだろうか、などと未だに思いつつちびちび飲む。
感じた範囲では体に害はない。ような気がする。
「……倦怠、発熱、頭痛、寒気……それ、と……
目が、痛いです。」
眼帯を取る。
その下には、白く濁った目……なのだが、最初に診察された時よりも白が濃くなっている気がする。
「ところで、何してるんですか……?」
■雨宮 雫 > 少なくとも、味はその辺のコンビニで売ってるお茶である。
味は、だが。
「寝てる間に診たけど、風邪の範囲で収まってるからまぁ、セーフかな、かな。
目の痛みは……先に目薬にしようか、悪化してるっぽい。
前と同じの作ったからね、うん。」
カチャ、カチャとテーブルの上で動かしていた手を止めて朔の顔を見た。
見せるのは、スポイトのような器具と中に入った液体。
「お粥、少し熱いから食べる前に薬の調整をちょっとーね。
目薬は要ると思ってたし、風邪薬も朔ちゃんの具合に合わせて作る方が効くしね?
はい、じゃあ目薬しようねー?
大丈夫、怖くないよーだね、だね?」
にこにこ、にこにこ、と始終笑みを浮かべながら、スポイトをゆっくりと朔の右目へ近づけていくのであった。
■鞍吹 朔 > 「…………。」
味は普通だが、本当に何か入ってたりしないだろうか。
眠くなって起きたら船の上とかだと流石に困る。
「そうですか、悪化してますか。……。」
そっと目を押さえる。多分、悪化したのはあの魔王と戦ってからだ。
あの時……自分の感情が怒りという形で発散された時、急に目が痛くなった。
その時は痛みなど気にしている場合ではなかったが……自分の目に、何かあったのだろうか。
「……………。お願いします。」
とりあえず考えを打ち切り、目を開けて上を向いた。
■雨宮 雫 > 「朔ちゃん、大丈夫だよ。
ボク達は裏切られない限りは、裏切らないのだね、だね。」
おそらくというか、当たり前だけど。
コチラを信じることはできないだろうし、こういっても 分かりました になるわけがないのも承知だが。
スポイトを動かして目薬を数滴、右目に落とす。
すぐに傷みは引いていくだろう。
ついでに、笑顔を浮かべた雫がぐいっと顔を寄せて朔の額に自分の額をくっつけようとする。
「ついでに、熱も測ろうかな、かな。」
■鞍吹 朔 > 「…………。それなら良いんですけどね。
裏切らなくても裏切られたことは何度もあるので。」
これまでの人生、そのような事は沢山あった。全員が全員そうだ、とは言わないが、
それでも誰彼を手放しで信用できるほど綺麗な心にもなっていない。
……本当は信頼したいのは山々だが。
ぽとん、と目に水滴が落ち、何度か瞬きを繰り返す。
瞼の外に落ちた水滴を拭おうとしたら、急に頭を寄せられた。
こつん。
何の抵抗もなくデコtoデコ。ロマンスも何もあったもんじゃねえな。
「……電子体温計とか無いんですか?」
■雨宮 雫 > 「ココ、保健室じゃないしね。
直接計ったほうが早いから、許して欲しいかな、かな。」
んー、と額に伝わる熱で朔の体温を正確に把握する。
ついでに、右目もじーっと診ておいた。
10秒くらいで顔を離すと、ベッド脇のテーブルにスポイトを戻して作業を再開。
少し体を起こしてみると、お盆の上にお粥の入った器と、その脇に数種類の粉薬や液体の入った瓶が見えるだろう。
その薬を小匙で掬って混ぜて、お粥に投じている。
「利益優先で裏切るのは人間の悪いクセかな、かな。
いや人間じゃなくても時々、悪魔系とかはそーいうの居るけど……
ボク達はそんなに飢えてないから。
義理や約束を大事にして生きてる堅実な組織だからね、うん。」
■鞍吹 朔 > 「きちんとこれで計れるんですか?
そういうの、持ち歩いてると思いましたがそうでもないんですね。本業は薬師だからでしょうか。」
ぺとっとくっついた額が離れても、特に何も動じない。
ぐっと体を起こし、近くの薬の群れを見る。
「………。風邪薬ですよね?
……別に、構いませんけどね。信用出来ないってだけで、嫌いなわけじゃありません。
裏切られても、それが相手の利益になるなら別に。
ただ、こっちが不利益を被るのはちょっと困りますから。」
聖人じゃありませんからね、と嘯きながら右目に眼帯を付け直す。
確かにあくせくと人を蹴落としながら生きる常人よりも、多少はまともかもしれない……と思った。
本当に多少だが。
■雨宮 雫 > 「ボク的には、体温計が無きゃ測れませんっていう方が心配だけどね、その人。
ボクにこういうの最初に仕込んだ人は昔の人で、何でも自分の手でやんなきゃわかんねえだろっていうお婆さんだったのだね、だね。」
はははーと、笑いながら、薬を入れたお粥を少し混ぜる。
冷ますのも兼ねて、レンゲでグルグルと。
「うん、風邪薬だね。
ボクというか、ウチ、漢方系だからその辺の医者みたいに はい、これ錠剤ねーってのは……保健室でならやるけども。
朔ちゃんの人生は中々ハードモードみたいだね。
まぁ、話は食べながらでいいから……朔ちゃんをこんなにした相手、とかね?
ふー ふー…… はい、あーん。」
レンゲで掬ったお粥を吹いて冷まして。
すーっと朔の口に近づけていくのであった。
■鞍吹 朔 > 「……。お師匠様、ということでしょうか。
確かに、何でも自分の手でやらないと身に付かないというのは分かります。私もそう思います。」
ぐるぐると粥をかき回す蓮華を目で追う。
さっきまで入っていた薬は溶けたようだ。
「漢方……
やっぱり、人間も漢方の材料になったりするんでしょうか。干した睾丸とか?
……別に、もっと不幸な人間はいくらでも居ますし。
こうなったのも、突き詰めれば私が弱いからで……」
ちょっと眉をしかめて、毛布が引っかかっていた胸を持ち上げて位置を直す。重そうだ。
そして、差し出されたレンゲを見ると、少し目を丸くした。
「自分で食べれ…………。」
止まった。
そして、食べた。
腕にうまく力が入らないので、無理をするのは止めておいたらしい。
■雨宮 雫 > 「そういう感じかな、よくキレるお婆さんで……まだ全然、生きてる元気な人だけど。
ふふふ、ちゃんと食べさせてあげるからね。
はい、あーん。」
食べさせたレンゲで、次を掬って、また、口に運ぶ。
ニコニコと、物凄く、楽しそうにご飯を食べさせる。
「人間は脳から筋から内臓から、皮と髪の毛と爪以外は何でも材料になるよ。
薬にならなくても、食用には需要があるしね。
ああ、朔ちゃんの薬には使ってないけど……朔ちゃんの強さがどーとかは、この際、あんまり関係なくて。
仕事っぽく言うと、ウチの取引先に手を出したヤツは把握し解かないといけないかな、って話かな、かな。
だから教えて欲しいかな、かな ぶっちゃけ、他でも被害続出っぽいのだね、だね。」
アッサリと、人間を素材にしていることを肯定した。
話の後半は主に、落第街でエラいことになった生徒やら、が居たり消えたりしてるっぽく。
対応するしないは兎も角、情報は集めておきたいトコロであった。
■鞍吹 朔 > 「むぐ……。あ、生きてらっしゃるんですね。既に故人かと思っていらない心配をしました。
……あむ、もぐ……。」
一口ずつお粥を食べさせてもらう。
流石に少しだけ恥ずかしそうだった。
「食用……やはりそういう文化には需要があるんでしょうか。
人皮だと魔道書の装丁に使ったりすることもあるらしいですが。
……。アイツは…名は、名乗りませんでした。
でも、黒い服を着た赤紫の髪の少女だったことは覚えています。
それと、相当に強力な魔術と呪術の力を持っていることも。」
はぁ、と溜息をつく。
「……あと、殺しても死にませんでした。
頚椎をナイフで突き刺して、神経を切断して気管まで貫通させましたが、大して痛がる素振りもありませんでした。
多分、人間じゃありません。」
■雨宮 雫 > 「あと300年くらいは平気で生きてるんじゃないかな、かな。
ふふ、おいしいかなー?ボクが作ったお粥は。
あ、良く噛んでね、ふふふー。」
お粥は薬の変な味がするでもなく、濃いでもなく、薄い味の普通の梅干のお粥だった。
病人や怪我人を診るのが好きな変態は、今とても楽しそうだった。
「うーん。
人間社会でも人を食べる文化はあるけど。
ボク達の場合、大半が人間を食べる存在だから食べてる、っていうトコロだし……この辺は、朔ちゃんは理解できないかもかな、かな。」
この辺、文化というか存在の違いというものは説明し辛いのか、楽しそうな顔が苦笑に変わった。
「黒い服、赤紫の髪の毛の女。
魔術、呪術に長けて、物理的な致命傷が致命的にならない……
超再生能力者とかじゃなければ、物理的なモノじゃない悪霊とか悪魔の類かな。
悪趣味な呪いとかは悪魔寄りかな?かな。
…………探して解き方をゲロさせないとねー。」
■鞍吹 朔 > 「……やっぱり貴方も見た目通りの年齢じゃないんですね。だいたい察しは付いてましたけど。
……まぁ、美味しいです。お粥にしては。」
何でこんなに楽しそうなんだろう、と思いつつもぐもぐ。
時折お茶を飲んでいる……この時期におかゆはやはり暑いのだろう、肌に汗が浮かんでいた。
「ああ、なるほど。……まあ、それなら仕方ないのではないでしょうか。
無辜の人を無闇に攫って人間社会を脅かすようなら私も敵に回らざるを得ませんが。」
その辺りの考えは結構ドライだった。
……というより、朔に取っては悪人以外の全ての者が須く人間に見えているのかもしれない。
「闇に関連した魔法を使っていたので、悪魔である可能性は高いです。
物理攻撃を無効化されたわけではなく、攻撃自体は効いていましたから幽霊ではないと思いますし。
きちんと手錠で頭を叩いたら割れました。」
そう言って、手に付いたままの手錠だったものを見せる。鎖は何かで千切られていた。
……よく見ると、赤錆のような色の何かが付着している。内側と外側に。
「さっさと解き方を吐かせて殺さないと、人間に害しか与えませんから。
……こんな体でなければ……」
むに、と自分の腰回りをつまむ。
尻に付いた肉とバランスを取るためか、腰回り全体がむっちりした女性的な肉感になってしまっていた。
これでは素早く動けない……とは本人の談。
■雨宮 雫 > 「うん、ボクもう人間じゃないからね。
美味しいなら良かった良かった、朔ちゃんには色々食べさせたかったんだよねーだね、だね。
あぁ、暑いのはちょっと我慢だね。
汗もかかないとだし……」
お粥を食べさせながら、合間合間に用意してあった冷たいタオルで顔や首の汗を甲斐甲斐しく拭き取っていく。
空調管理はされている地下室だが、まぁ、暑いのは致し方なし、である。
「ボク達はそーいう、無差別に何でもかんでもみたいな真似はしないかな、かな。
静かに静かに、人間社会の横にずっと居るんだね、ボク達みたいな妖怪変化は。
行方不明とかになっちゃった人の中には、ボク達に捕まっちゃった人は確かに居るだろうけど……昔からあることだしね?
最近は抗争吹っかけてくる相手で賄えたりするトコロあるしねー。」
しょうがないよね、と笑うわけだが。
手首の手錠を見ると、露骨に眉を顰める。
「んー……あぁ、手首の手当てもしなきゃね。その手錠、ノコで斬れるかな?
もう悪魔祓いとか、道士とかにお願いしたいかなー。
ボクじゃあ封禁してとかできないし……
上司に頼むか、情報撒いて、正義感溢れる公安や風紀に何とかしてもらうか……
朔ちゃんはその体だとちょっと無理なんじゃないかな。
呪いの解き方とか、その悪魔っぽいのは何か口走ってなかった?」
その体 というところで朔の首から下に目が行きかけるが、意志の力で目をそらした。
ちょっとこう、目に毒過ぎるからね、雫は、我慢できる子だから我慢しなきゃね。
■鞍吹 朔 > 「…もう、というのは?
いろいろと言われても、私に物を食べさせても多分面白みはないと思いますが。
……。ありがとうございます。」
汗をふきふきされる。まるで微動だにしない。
濡れた石像を吹いているような気分。
「昔は人柱などで賄えていたのでしょうか。あとは神隠しとか。
……あまり褒められたことではないでしょうが、生きるためなら仕方ないですね。
私達が今世界で繁栄できているのは、圧倒的な力を持ちながら人間を根こそぎにしなかった
神や妖怪たちにも一因がありますし。」
恨むのは筋違いですね、と言いつつ額の汗を拭う。
「この手錠と足枷そのものは呪術じゃなくて普通の物質のようですね。手錠と足枷の鎖はナイフで切れましたから。
だから、ノコで切断することは原理上は可能だと思います。
解呪方法……特に伝えられていませんね。ただ、相当の魔力を保有している存在の呪法ですから…
条件を満たさずに力技で無理矢理、というのは厳しいかもしれません。」
魔術基礎Ⅰの教科書にそんな感じのことが書いてあった。
「……やはり、この体では無理でしょうか。いっそ切り落としたほうが。」
自分の胸を忌々しげに見る。発言が物騒。
■雨宮 雫 > 「ボク、元は人間なんだね、一応ね。
父親はまだ生きてるけど……朔ちゃん、この服脱がせないから、体拭くしかないかな、かな。
明日の朝、タオル一杯持ってくるから。
あ、これ最後に、栄養剤みたいなものだから、一口飲んでおいて。
あーん。」
着替えさせようとは頑張ったらしい。
駄目だったが。
お粥を食べさせ終わると、最後に、甘い味の緑色の液体をレンゲに掬って朔の口元へと運ぶ。
「人間が先か、妖怪が先か、はもう分からないけど。
少なくとも、ボク達の組織は人間の横で生きていくことを選んでるかなー……
あぁ、じゃあノコで切っちゃおう、朝に持ってくるから。
力技は駄目なら、余計に吐かせないとかなーかなー……
切り落としても、傷を治すのに時間かかるし、止めたほうがいいかな、かな。
というか、朔ちゃんは体をもっと大事にすべきかな、かな。」
とりあえず、風紀とかに報告しておくか、と零しながら
ちら、っと
チラっとだけ朔の首から下を見て、またすぐに視線を反らした。
胸とか見てませんから!
■鞍吹 朔 > 「……そうですか。」
それしか言わなかった。人間を辞めることに抵抗はなかったのだろうか?
そんなことを聞こうとしたが、やめておいた。
「……やっぱりこの時期に着替えられない、風呂にも入れないのは辛いですね。全く。
……栄養剤ですか。……ん、あむ…ちゅ…
…………。」
こくん、と喉を鳴らして飲み込んで、渋い顔をした。ちょっとだけこぼれたらしい。
それと、甘いものは少し苦手なようだ。
「それなら、それでいいんじゃないでしょうか。
人を支配しようと思わないなら、私が言うことはありません。
大事に、と言われても……私の体に大事にする価値はないでしょうし。
それに傷なら治してもらえるでしょう?」
ぐにー、とバニースーツの胸部分を引っ張る。
まるで接着剤で貼り付いたように胸がぐにゅっと変形しただけの結果に終わった。
「やっぱりダメみたいですね。いっそこの服もノコで切れればいいんですが。
股布はずらせるからそこから切れないでしょうか。」
視線のちらっとした動きには気付いていないようだ。
■雨宮 雫 > 「んー……?
ん、まぁ明日には熱も下がってるだろうから、朔ちゃんが体をしっかり拭いて……
あぁ、ちょっと零れたかな、かな。」
タオルで口と首を丁寧に拭き取る。
介護のレベルも高いのである。
「人の支配とか意味を見出せないから、やんないかな、かな。
んー。傷でも何でも、治してあげるけど。
朔ちゃん、価値は自分で決めるものでもないかな、かな。
ボク的には価値があるから、大事にして欲しいかな、かな。
って……」
胸元を引っ張るのに、あわわ、と顔をそらし。
タオルを冷水に漬けて絞る作業に集中することで事なきを得た。
「いやぁ、半端な感じになるのは止めた方が……ナイフは薄く皮膚ごとっていう手は最終手段にしようだね、だね。
あ、朔ちゃん、風邪治った後どうするかな、かな。
ココでもいいし、他の場所を用意でもできるけど。」
話題だ、話題を切らさないことで意識を話に集中するんだ。
■鞍吹 朔 > 「む、ん……すみません。手がうまく動かなくて。
いっその事、体も拭いてくれると面倒がなくて良いんですが。」
ふう、とため息を付いて手を振る。
関節もちょっとだけ普段より重くなっているようだ。風邪は怖い。
「そう言うだろうとは思ってました。
………。そう言ってくれるのは嬉しいですが、自分の生き方を決めるのは自分です。
……少しだけなら、善処はします。
………?」
なにか言いかけたのだろうか、とそちらを見る。やたら力を込めてタオルを絞っていた。
「…そうですね、そうします。……せめて、このカチューシャだけでも取れれば。」
くいくいと頭にくっついたうさ耳を引っ張る。やっぱり取れない。
これのせいで、上に何かを羽織って隠すという案も没になっている。
「風邪が治った後………。考えてませんでした。
そうですね…………貴方の部屋に行くのは駄目でしょうか。
目薬の処方にも便利ですし、ここだと情報から隔絶されすぎて調査もできませんし。
もちろん駄目なら諦めますが。」
結構な爆弾発言を投下した。
■雨宮 雫 > 「体、拭いてもいいけど……朔ちゃんの回復次第かな、かな。
動けないようならやるかな、かな。」
やる時は自分に針でも打って、制御してからにしよう。
寝てる時なら兎も角、起きてる時にやるのは危険だ。
「そう言われるだろうって分かってただろうに、だね、だね。
どんな生き方でもいいけども…… まぁ、善処してくれるならいいかな、かな。」
ぎゅーっと、タオルを絞るよ、ぎゅーっと。
そりゃもう絞るよ。絞ったら、朔ちゃんの顔と首を拭くよ。
「クソ面倒な呪いもあったもんで……
あぁ、うーん、うーん……男子寮だからね。
朔ちゃん連れ込むと粛清案件になりそうな…… 他の隠れ家なら……うーん、ちょっと考えさせてかな、かな。」
ウチにはメイドさんが居ましてね?とは口に出さないが。
そもそも男子寮だからという建前で押せると信じたい。
珍しくも、焦った様子で手をわったわったさせている。
コレは早急な呪いの解除が必要だ、うん。
■鞍吹 朔 > 「そうですか。分かりました。」
それなら仕方ない、わざわざ手を煩わせるのも申し訳ないし。
そう思いながら、毛布を体にかける。
「………。まあ、そうですね。
ええ、善処します。……するだけですけど。」
今の生き方をやめるとは一言も言っていなかった。
顔を拭かれれば、やっぱり微動だにしない。
「ええ、とても面倒。格上に出会って呪い返しで同じ目に合えばいいのに。
……ああ、男子寮在住ですか。てっきり山奥の隠れ家にでも住んでるものかと。
先入観って怖いですね。申し訳ありません、そういうことなら。」
何だか妙に焦っている気がするが、気のせいだろう。
目の前の人物が女だの何だので心を乱されるタイプだとは思えないし……。などと考えている。
若干過大評価していた。
■雨宮 雫 > 「自分でできることはやっちゃう方が、いいかな、かな。
朔ちゃんの回復の目安にもなるしね。」
決して、自分の理性の問題ではないというアピールであった。
「善処した結果なら、ボクは朔ちゃんの怪我でも病気でも何でも治してあげるけど……
朔ちゃん、じゃあそろそろ寝てしまおうかな、かな。
次の部屋は考えておくから……学生街とか、かな、かな。
山奥にも隠れ家あるけど、あそこは余計に情報入らないからね、うん、うん。」
ふう、と何故かかいてもいない汗を拭う仕草と共に、朔の掛け布団を整える。
性欲など捨て去った と言いたいが、不完全な仙人であるので、ゼロではないのだ、ゼロでは。
■鞍吹 朔 > 「じゃあ、回復しきらなかった時はお願いします。悪化しないとも限りませんし。
まあ、薬も飲みましたから良くなるだけだとは思いますが。」
何だか挙動不審だなあ、と思いつつも横になる。
毛布が歪な形に盛り上がっている。具体的にはボディラインに添って。
「……はい、分かりました。
何か、このお礼はそのうちします。私に出来ることは少ないですが…。
……ありがとうございます、あー、えーと……
雫さん。」
掛け布団を整えてもらい、ちらっと目が合った瞬間に名前を呼んだ。
改めて呼ぶのは、何やら気恥ずかしい気もする。