2016/07/12 のログ
■綾瀬音音 > うーん……夏は夏の良さと大変な所があるし、冬は冬で良さと大変な所があるからね。
でも、慣れてくるとそれはそれで楽しいよ。
季節を感じるっていうのかな、その時々で違う空気と風景を楽しむっていうか……
(彼が住んでいた世界はもう少し過ごしやすい世界だったのだろうか。
思いを馳せることしか出来ないけれど。
然しながら、辛いだけではないと伝えたい。
傾けた顔を見つつ。
胸を隠していたが、語られた言葉に、尋ねられた言葉に。
ふと、目を伏せるようにして口元を笑うように)
ん……大人っぽくなったから胸が大きくなったのかは解らないけれど……。
アレからね、少しだけ、今までと違うものを見て。
違うものを手に入れて。
ちょっとだけ、手放して。
苦手って言うか、怖かったものもちょっとだけ、クリアして。
でもね、大人なんて全然言えないんだ。
大人って、きっともっと確りしてて、もっとちゃんと立っていられる人なんだと思う。
まだ私はヒヨコみたいでね、全然なんだ。
大人なんて、とてもじゃないけど言えない。
鍛えて大人になれるなら――もっと頑張って鍛える甲斐もあるんだけどね。
(要領をえない言葉かもしれない。
だけど、物事を詳細に伝えるわけにも行かなくて、そんな曖昧な表現をしてしまう。
自分は子供だ。
目の前の男の子よりは少しだけは、大人かもしれないけれど。
やっぱり、自分はまだまだ色んな意味で子供なんだと思う。
おいでおいで、と彼を呼びつつ、叶うことなら背中をこちらへ向けさせる格好で抱えてしまいたい)
■リヒット > リヒットは、音音さんに招かれるがままに水面をすべり、くるりと身体を翻し、背中を預ける形で身を委ねます。
抱きかかえられたリヒットの身体は、湯の温度と全く一緒。身体の軽さや細さもあり、ほとんど存在感を感じられないかも。
しかしリヒットと音音さんの間で揺蕩う長い髪は、夕暮れのような赤と青のグラデーションを帯びながら揺れ、ちょっとくすぐったいかも。
「おとね……」
そして、顔を伏せながらぽつぽつと語る音音さんの言葉を、リヒットはのけぞらんばかりに顔を後ろに反らしながら聞いています。
相変わらず、何を考えているのかわからない仏頂面。でも、ホントに何も考えてないわけでもありません。
「へんな質問をして、ごめんね。リヒット、おとねのこと、前よりもオトナだなって思っただけの話。
リヒットが見るおとねと、おとねの見るおとねは、違うのかもね。
おとねはリヒットよりおとねのことを知ってるだろうから……きっとおとねの思ってることのほうが正しい。
……でも、リヒットは思うよ。おとねは、去年よりはぜったい、オトナ」
朱に染まる額を天頂に向けながら、リヒットも自信なさげに語ります。
「季節。リヒットのせかいにもあった。でも、ちょっとぽかぽかしたり、ちょっと寒くなる程度。
山が真っ黄っ黄になったり、雪で真っ白になったりとか、滅多に見なかった。でも寒くなったら葉っぱは落ちるし、春が来たらまた生えてくる。
おとねも……リヒットにはよくわかんないけど、何かを手に入れて、何かをなくした。
でも、足し算と引き算。引き算の記号の左と右は左のほうが大きくなくちゃいけないから。きっと、手に入れたものの方が大きい」
両手の指を折り、計算する素振りを見せます。リヒットの学習レベルでは、マイナスの値は出てこないようです。
「だから、おとねは前よりオトナだよ、きっと。
オトナになるおとねをみるのは、リヒット、楽しい。前のせかいでも、いっぱい見てきた。
……さびしくも、あるけどね」
ふと、背面に反らしていた顔を元にもどし、ぽつりとつぶやきます。
常世学園に入学して授業を受ける流れにならなければ、『成長』などという概念とは無縁の精霊。
そしてこの学園においても、成長の度合いはあまりよろしいとは言えません。向き不向きといえばおしまいですが。
■綾瀬音音 > (感触だけがある、暖かいのかそれも湯の中では良く解らない、華奢な身体をゆるく抱きしめて。
それこそ胸でもあたってしまいそうだけれど、大して気にしない。
その、夕暮れのような綺麗なグラデーションを見つめて、のけぞるようにして此方を見てくる顔を見つめて、へらっと笑った)
ううん、謝ることはないんだよ。
ん……どうなんだろう。
でもね、そうだといいな、ちょっとでも、大人になれてたら、いいなぁ……。
自分のことはね、ちょっとだけ解らない時もあるんだ。
イヤとかそういうんじゃくてね、前と変わってるのがわかるから。
……それが、大人になった、ってことなのかな……。
(此方だって、自信がない。
言った通り自分はヒヨコみたいなモノで、大したことは何も出来ないのは前から変わっていないと思う。
だけど、少しでも、大人になっているのだろうか――。
その綺麗に温まった男の子の額を撫でながら)
それはソレで過ごしやすそうだけどね。
――ん、そうだね。そういうのを楽しむのも中々なんだけど……。
…………そうかな。
今、手の中にあるものの方が大きいのかな……。
(そう思っても、いいのだろうか。
失った――捨ててしまったものに対する悲しみよりも、手に入れたことに対する喜びを感じていていいのだろうか。
そんなことを思って、何も知らないはずなのに一生懸命に慰めて、励ましてくれている男の子の言葉に、少しだけ鼻の奥がツンとする。
ちょっとだけ、泣きそうだ)
――――うん、そうだね。
きっと、ちょっとだけ大人になった、んだね。私。
素敵な大人かどうかわからないけど。
…………ありがとう、リヒットくん
(その、顔を戻して見えた頂点に顔を埋めて、ちょっとだけ涙をこらえるように。
自分の変化を楽しいと寂しいと言ってくれた男の子の言葉に。
何かを許された気がしたからだ。
彼がどれ程の授業を受けていて、どれだけの成長をしているかは解らないけれど。
少なくても、前回も今回も、彼は優しい言葉と、ヒントをくれた)
■リヒット > 「前とくらべて変わったのなら、それはオトナになったってことなんじゃないかなぁ」
一瞬俯いたように見えましたが、再び顔を上げて背後にいる女性の顔をさかさまに眺めるリヒットの顔はやっぱり仏頂面。
彼の髪をかきわけて、去年よりも大きくなったおっぱいが当たっているようですが、そんなことを気にする素振りなど全く見せず。
よほどこういった異性との接触に慣れているのか、あるいは全くふしだらな概念を持たないのか……おそらくは後者でしょう。
「ニンゲンは、かわって、かわって、変わり続ける生き物。
リヒットが見た限りでは、『オトナだ』って言う人は、時間を置いてみてもあんまり変わってるようには見えない。
それでも、ちょっぴりは変わってたりする。だから、変わり続けることが、『オトナ』ってのに近づくってこと。
おとねがオトナじゃないのなら、おとねはこれからもどんどん変わっていくんだね」
そう言い放つリヒットは、湯に浸かれば体色が変わったりもしますが、基本的には以前時計塔で会った時と寸分変わらぬ容姿。
……いえ、学校生活を経て、内面は確かに変わっているはずです。他よりは遅いかもしれませんが。
「よく変わる人もいるし、悪く変わる人もいる。こっちにも、前のせかいにも、怖い人はいっぱいいた。
でも、先生は言ってた。よいオトナになるために、勉強するんだって。
おとねは、リヒットからみれば、すっごくいいオトナ。これからも、いいおとねでいてね。
リヒットも……オトナになれるかはわからないけど、勉強はがんばる」
リヒットの仏頂面が、ふと、不器用に唇を吊り上げます。白い歯が、ほのかに湯槽を照らす外灯にきらめき光ります。
彼なりの笑顔です。
「……運動は、苦手だけどね。ふふ」
そして、桜色に色づいた唇から、ちろりと舌を出し。わずかずつですが、感情表現も会得してきたのかもしれません。
■綾瀬音音 > ――――うん、そうだね。
立ち止まってることも、“前”に戻ることも出ないから、ね。
(ふしだらな事を考えていないと思うので裸のお付き合いも出来るわけで。
ぎゅうっと言う程でもないにしても、それでも確りと男の子を抱きしめて)
……変わり続けることが、大人になること……。
きっとね、どんどん変わっていくよ。
よく解らないけど――どういうふうになるかも、良く解らないんだけど――。
それでも、きっと、変わっていくよ。
でも――そうだね、どうせならいい大人にならないとね。
うん、良い私でいたいな。
誰に見られても恥ずかしくないっていうのは大げさだけど――ちゃんと胸を張れる大人な私に、なりたいな。
……リヒットくんもきっと変わっていくんだね。
リヒットくんなら。素敵な大人になれるよ。
勉強、頑張ろう?
私も頑張るから。
――――――。
ふふ、大丈夫だよ、苦手なものも、得意なものも、あっても良いんだから
(その、不器用な笑顔につられて笑みが漏れる。
彼の言葉は、決して難しいものではないけれど、だからこそ伝わるものがある。
ありがとうね、と囁くように小さく伝えて。
優しい言葉をくれる人は大切だ。
そして、大切な言葉をくれる人は、総じて優しい人だ。
きっと彼も変わっていくのだろう。
こうして、冗談を言うようになったように。
“人間”ではない彼だから、自分とはきっと成長は違うけれども。
彼もまた素敵な成長をすればいい。
不器用な笑みが、もっと自然なものになればいい。
折角こんなに可愛くて、優しい子なのだから。
そんな願いを込めて、自分もへらっと笑った)
■リヒット > 「……そうだね。立ち止まってても、しょうがない」
音音さんの発言に合わせ、仏頂面を取り戻したリヒットはこくこくと頷きます。……が、内心はあまり同調してないようで。
確かに音音さんは大人になりつつあり、またその事に戸惑いながらも前向きに捉えています。
これまでに出会った多くの子供がそうだったように。それは、とっても良いこと。
他方でリヒットは、異世界に流されることなくば、勉強や運動などとは無縁の世界で気ままに暮らしていたはずの精霊で。
……『立ち止まり続ける』ことにも、何の懸念も感慨も持っていなかったのです。シャボン玉のようにただ漂い、そこにあるだけ。
しかし、ここは学園都市。コドモをオトナにする機関。
学園の一員となった以上は、リヒットもいずれは自他にオトナと認められる存在になり……なってしまうことでしょう。
リヒットはそれもまた善しと思っているようですが、自らの性質にあった行動とも言えず、実際あまり成果も出ていません。
彼がそのことに焦りを感じているかどうかはともかくとして……音音さんのことを羨ましく思ったことは、確かかもしれません。
「ぷー。シャボン玉のリヒットが変わったら、どんなシャボン玉になるのかな。
トゲトゲかな。四角くなるかな。へんな音がなったりするかな……ステキなオトナのシャボン玉って、なんだろうね」
背後に柔らかい音音さんの体温を感じながら、リヒットはしばらく湯に浸かっていました。
………。
そして、青かった長髪の先端まで薄桃色に染まりきったころ、不意にリヒットは身体を起こし、水面から空中へと踊り出ました。
「おとね、リヒットはもう充分ぽかぽかしたから、そろそろ帰るね。
おとねとのお風呂、とっても、とーっても、気持ちよかった。また入りたいなぁ。ひとりのお風呂はやっぱり寂しいから。
じゃあ、またね~」
水の滴る裸体を空中に投げ出すと、桃色に染まっていた髪が急速に色を失い、海のごとき青を取り戻していきます。
とはいえまだ肌は朱に火照ったままですが。とくに背中。
そして、眼下にいる音音さんに無表情のまま小さな手を振ると、そのまま音もなく山のほうへと飛び去って行きました。
……全裸のままでです。本当に彼は成長しているのでしょうか?
ご案内:「露天温泉」からリヒットさんが去りました。
■綾瀬音音 > ………私はね。“私”は、そう思うよ。
(頷いてても、同調はしていない様な子供に、そう言って笑う。
彼の過去は良くは知らないけれど――きっと、自分たちとは違う。
自然に大人に成ることを要求されなかったのだろう。
精神のあり方や、存在のあり方が違うのだから、それは当たり前のこと。
だけれども、きっと変わっていくのだろう。
学校で学び、何かを手放して、ソレより大きな何かを手に入れて。
それは良い事なのか、違うことなのか、自分では断言できないけれど。
素敵な大人になってほしい、と思うい願うのだ)
うーん。
割れにくくて、綺麗なシャボン玉、かなぁ……?
(素敵な大人のシャボン玉、と言われれば確かに疑問だったので、首を傾げながら。
そんな話をしながら、湯の中で温度を分かち合って。
綺麗なももに色になった男の子に小さく笑んだ頃に身体を起こして離れていく体。
それに目を瞬かせて)
ん、あったまったならいいんだ。
また一緒にはいろう? 誰かと一緒のほうが楽しいし、気持ちいいしね。
うん、じゃあまたね?
(空中に踊り出て、再び青いに戻りつつある彼の身体を見ながら手を振って。
……背中がなんだか赤みが強い気がするけれど、それはさておき。
見送って、自分はもうちょっと浸かっていようと思ってぼんやりしていたが――)
――――服着てなかった!?
(余りに自然に立ち去られたので気づかなかった。
大丈夫なのだろうか、せめて風紀委員とかに会わなければいい、と今更ながらに祈りつつ――)
ご案内:「露天温泉」から綾瀬音音さんが去りました。