2016/08/13 のログ
ご案内:「常世学園没者墓苑」に佐伯貴子さんが現れました。
■佐伯貴子 > (本土で言う「盆の入り」に当たる日。
まだ太陽が南に登り切っていない午前中。
花束を4つ抱え、木々の間の道を歩いて行く風紀委員が一人。
まばらだが人通りがないわけではない。
佐伯貴子はゆっくりと進んでいく)
ご案内:「常世学園没者墓苑」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
「……あ」
遠めに、佐伯貴子を見つける。
「……あなたも墓参りですか?」
声をかけながら近付く。
花束が一つと、線香とライター。
非常に持ち物が少なく、衣服もまたゆったりした和服。
■佐伯貴子 > 寄月か…
(振り向いて姿を見ると、
再び前に向き直る)
この道の先には墓しかない。
まあ、墓参りであっているだろうな。
(言いながら進んでいく。
昨年のこの日は暑さに苦しんだものだった。
今年は霊符のおかげで汗一つかいていない。
しばらく進むと、
寺と教会を合わせたような建物が見えてくる。
合同慰霊碑のある建物である。
佐伯貴子はそれをなんと呼ぶのか知らない)
■寄月 秋輝 >
「もしかしたら、お墓の管理をしているかもしれないですから」
そんなことを呟きながら、同じように進んでいく。
どうも目的地は同じらしい。
「……お知り合いでも眠っておられるのでしょうか」
肯定を聞きたくはないが、聞かずにはいられない。
歩を進めながら、一応尋ねてみる。
■佐伯貴子 > あいにく風紀委員会の仕事には含まれていないな。
生活委員会の仕事かもしれない。
(歩調を合わせて距離を保ちつつ進んでいく)
それはな。
風紀委員を2年以上やっていれば一人や二人は、いる。
一人ひとりに拝む予定はないが…
(言いながら建物に入っていく。
そこだけ気温が下がったように感じる。
奥には大きな墓碑が一つ。
学生として亡くなった、
一般生徒を弔う慰霊碑であった。
佐伯貴子は献花台に花束を一つ置き、
目を閉じて両手を合わせる)
■寄月 秋輝 >
「僕もそんな仕事は聞いたことがないですね」
静かに歩き続ける。
貴子が目的地にたどり着いたならば、持ってきた花を脇に置いて、同じく手を合わせる。
それなりの歴史のある学園だ。
悪事に巻き込まれた以外にも、不幸な死を遂げた者が多かったのだろう。
大変容から日が浅い頃は特に。
もう少し早くにここに来ていれば、何か変わったのだろうか。
そんなことを考えてしまう。
■佐伯貴子 > (眠っている死者たちは、
病死や事故死もいるが、
やはり犯罪被害者の割合も大きいと聞く。
目を閉じながら祈る。
自分の力が足りなかった、
などという傲慢な考えはない。
せめて安らかに、と)
…終わったら、次だ。
(3つの花束を持ち建物の奥の出口に向かう。
出口を出れば太陽が光を取り戻す。
続く一本道の両脇には多くの墓石。
十字架、盛り土など、多種の墓があった。
その道を進んでいく)
■寄月 秋輝 >
「わかりました」
再び自分の花束を持ち、それに従う。
多くの命がここを訪れ、多くの命がここで終わりを告げている。
この島は世界の縮図なのだろう。
墓地をめぐり、目を細める。
超常の存在が多いこの世界、この島。
そこでこれだけの死者が居ながら、霊による大きな事件は起きていない。
安らかに眠っているのだろう、そう思える。
■佐伯貴子 > 別に私に従う義務はないんだがな。
君にとっても次の場所は大切だろう。
(強い日差しの中をいくらか歩けば、
大きな慰霊碑が見える。
毎日磨かれているのではないかと錯覚するそれは、
委員会の委員、いわゆる殉職者のもの。
一部の部活動の部員も含まれている。
割合的に風紀委員は当然多くなる。
献花台に花束を置くと、
佐伯貴子は再び目を閉じ両手を合わせる)
■寄月 秋輝 >
「いえ、急がねばならないわけでもないので。
ゆっくり、手を合わせて行こうと思います」
そうして次は委員会の墓碑。
風紀委員の死者もおそらくは多く出ているのだろう。
明日は我が身と思い、手を合わせる。
しかしここに花は供えない。
「……もうこの島に来て五年目ですが……
ちゃんとこの共同墓地を回ったのは初めてです」
ご案内:「常世学園没者墓苑」に龍宮 鋼さんが現れました。
■佐伯貴子 > (祈っていると、
喪われた同僚たちの顔と声が蘇る。
一人や二人ではないのだ。
怒りや悲しみはない。
ただ安らかにと、祈るのみ)
それは私にとって幸運かもしれないな。
こういう儀式は一人でやると気が滅入りがちなものでな。
(目を開けるとそんなことを言った)
五年目!?
それは初耳だ…
私も去年ここに来たのが初めてだ。
眠木虚先輩という方がいてな。
飛び級で卒業したとも噂で聞いたが…
墓地がここ一つとも聞かないし、
まあ普通なんじゃないか。
(そう言うと、小さな道に入っていく。
抱えている花束は2つ)
■龍宮 鋼 > (手ぶらで小道を歩く。
それと反対の手はポケットに突っ込み、道を曲がった彼らの正面から歩いてくるだろう。
顔を下へ向けて歩いていたが、彼らに気付いて顔を上げた。
ばつの悪そうな顔になり、足を止める。
威嚇するように、目付きの悪い視線を向けて。)
■佐伯貴子 > …!?
(どこかで見たような顔だと思った。
後輩にこんな人物がいたような…
しかし雰囲気があまりにも違うので、
龍宮銀と繋がることはなかった)
…。
(無言で会釈する。
墓を参るという行為は意外と軽視されがちである。
ゆえに、それをするものに警戒する必要はないと感じた)
>龍宮
■寄月 秋輝 >
「三年間研究所で拘束されていたので……実際に外を出歩けたのはここ二年だけですね。
なので……残念ながら、先輩方の名も知らないのです」
着物の裾を軽くはたき、花を取る。
その合間、別の女性とすれ違う。
ぺこり、頭を下げた。
目つきの悪さなど、秋輝にとっては些末なもの。
同じ志で墓地を歩く者に、悪意があるはずもない。
■龍宮 鋼 > (会釈をされても険しい顔は変わらない。
それどころか小さく舌打ちをし、彼女らを無視して再び歩き出す。
そのまますれ違ってその場を後にしようとしたが、)
……なぁ。
しろ――龍宮っつー奴、風紀委員に居るだろ。
(振り返って、声を掛ける。)
■佐伯貴子 > 5年以上昔にこっちに来たって…
昔の恋人とは何歳で…まあいい。
(そんな下世話な話をする場ではない)
>寄月
(すれ違った女性から声をかけられ、振り返る)
…ああ、いるな。
なるほど…と、早合点してはいけないか。
龍宮銀に何か伝言か。
(ゆっくり落ち着いた口調で聞く)
>龍宮
■寄月 秋輝 >
「14の時です。
あとのことはまた後日、機会があれば」
さらりと答え、流す。
それ以上はまた次回、と流して。
ぴたりと足を止める。
首飾りがちゃらんと鳴る。
貴子を少しだけ追い越し、その場で背を向けたまま止まる。
話をさえぎってはいけない。
■龍宮 鋼 > (何かを察した女性の表情に、またも舌打ち。
そのまましばらく悩んでいたが、)
元気で、やってんのか。
(眉尻を下げ、しかし眼光は鋭いまま。
弱々しい声でそう尋ねる。)
■佐伯貴子 > …。
ああ、少なくとも私より仕事熱心だな。
元気だよ。
(あまり余計なことを言わないように、
短く返す。
寄月は蚊帳の外に追い出した。
今は)
■龍宮 鋼 > そうか。
(その答えにホッとしたような声でそう口にした。
一方で眉間のシワはより深くなる。
何かを後悔するように。)
――デートの邪魔して悪かったな。
あいつには余計なこと言うなよ。
(軽口を残し、再び歩き出す。
すぐに彼らが曲がってきた角の向こうへと姿を消すだろう。)
ご案内:「常世学園没者墓苑」から龍宮 鋼さんが去りました。
■佐伯貴子 > そうだ。
(相手について詮索するのは、今はしない)
墓場でデートするものがいるか。
言われなくても何も言わない。
(女性を見送る。
姿が見えなくなると、寄月に目配せする)
聞いたとおりだ。
さて、次は、教員慰霊碑。
(龍宮銀という後輩に会っても何も言うなということだ。
教師は犯罪被害の割合が少ない。
花束はおかずに、祈るだけで通り過ぎる。
何本か花束か捧げてあったが、先の女性との関係は不明である)
次だ。
(異邦人としてこの世界に来た者達の慰霊碑。
公式から非公式になったかのように、
慰霊碑の手入れが先の3つとはまるで違っている。
戸籍があるものとないものの差であるかに思える。
異邦人はもとより身内がいないもの。
単に参るものが少ないだけかもしれない。
花束を置いて祈る)
■寄月 秋輝 >
教員の慰霊碑に静かに手を合わせ、離れる。
異邦人の慰霊碑の下までたどり着き。
「……失礼します」
そこで初めて動く。
端のほう、目立たないように花束を置き。
ちゃらんと音を鳴らし、肌身離さずに下げている首飾りを首から外す。
それを数珠のように手に通し。
静かに、目を閉じて祈り始めた。
■佐伯貴子 > (寄月の様子をじっと眺める。
異邦人として思うところがあるのだろう。
到底理解できる感情だとは思えない。
理解してはいけないのかもしれない。
その答えを佐伯貴子は知らない。
だからじっと待った)
■寄月 秋輝 >
手を下ろし、目を開き。
再びその首飾りを首に通す。
「……勝手ながら、こちらで母に祈らせていただいています。
別の世界であっても、祈りだけは届くと信じて」
立ち上がる。
きっとその顔は、複雑に歪んでいるだろう。
「……お時間取らせてすみませんでした。
帰りましょう」
その場から離れる。
ただ名残惜し気に、ゆっくりと。
■佐伯貴子 > 母…
(こちらも複雑そうな表情をした)
世界が違っても、次元が違っても、
祈る気持ちが本物なら届く…
きっと…
(そう言って、最後の花束を抱え、
奥まった道に進む)
ああ、先に帰るなら帰ってくれ。
私は最後に寄るところがある。
(もし相手がついてくれば、
辿り着くのはボロボロの石碑の前。
落第街で死んだ、二級生徒の慰霊碑。
これは完全に非公式なのだろう。
最後の花束を置き、祈る。
誰に見せるわけでもない。
祈るためだけに祈るのだ)
■寄月 秋輝 >
「僕もそう信じています」
離れようとしたところで、最後に寄る場所と聞いて足を止める。
再び貴子の背を追うように歩き。
二級生徒の慰霊碑を目の当たりにする。
(……そうか、ここに……)
目を細め、再び手を合わせて祈る。
死んでいった、哀れな運命の持ち主たちに。
この手に殺された、報われぬ魂たちに。
(恨むなら恨んでくれ。
いずれは僕もそこへ行く)
咎人の祈りはそこへ届くだろうか。
■佐伯貴子 > (しばらくして。
目を開け、振り向く)
ついてきていたのか。
私はこれが最後だ。
では、帰ろう。
(祈りはもとより何かを変えるために行うのではない。
だからここで祈ったから誰かの何かが救われるとは思わない。
だがしかし、祈ること自体が重要なのだ、
と、佐伯貴子は考える。
祈るということはつまり。
『わすれていない』ということだ)
ご案内:「常世学園没者墓苑」から佐伯貴子さんが去りました。
■寄月 秋輝 >
「……えぇ、一応。
ですがついてきてよかった」
その場で踵を返し。
再び、慰霊碑に目を向ける。
「……オレは……」
誰かを救えたのだろうか。
そう呟くことなく、漏れそうになった言葉を飲み込む。
悲しい表情のまま、その場を立ち去った。
自分の罪も、居なくなった人も、この胸の内に。
ご案内:「常世学園没者墓苑」から寄月 秋輝さんが去りました。