2016/08/21 のログ
ご案内:「転移荒野・凍湖」に蕎麦屋?さんが現れました。
■蕎麦屋? > そんなわけで丸一日が経過した――凍った湖の底にて。
「――よし、来た虹――お、ぉぉぉぉぉ……?」
何度目かの十連ガチャ。虹から出たのはダブりでした。
崩れ落ちる。ていうか何やってんのお前。
■蕎麦屋? > 「――諦めましょう、よし。」
所詮幸運とは無縁の人生、諦めるときはすっぱりと。
スマホを充電器につないで屋台の下に置いておく。
――周囲を見回したところで、氷の外は見通せるはずがない。
いや、多分昼くらいじゃないかな、くらいはわかるけど。
■蕎麦屋? > 氷の底の生活空間は、1日でも随分と広くなった。
元々、熱を内包する体質だからか、周囲の氷『だけ』は溶けるのが非常に速い。
――その代償として。
神話に曰く、熱気と冷気が混ざり毒気が生まれる。
その通りの現象が今まさに起きているわけで。
「――どうしましょうかね、これ。」
淀むようなので、一朝一夕にどうこう、という類のものでもないが。
このままだとえっらい矛盾孕んだよくわからない何か、ができかねない。
「見立てるにしてももうちょい別にしてくれればよろしかったですのに。」
溜息一つ。
なお天井からぼたぼた水滴垂れてくるので、水着に着替えました。
■蕎麦屋? > 横に置いてある屋台――屋根付きの屋台はこういう時は非常に便利だった。
屋根の下に潜り込み、鍋の蓋を開ける。
冷蔵庫から蕎麦と、刻んだ長ネギを取り出して。
蕎麦を鍋に放り込んだ。その間に器に湯を浴びせる。
ゆであがった蕎麦の湯を切り、器へ。汁を注いで、長ネギと海苔。
「――いただきます。」
屋台の下ではせせこましいが、仕方なし。
両手を合わせて蕎麦を啜る――うむ、旨い。
なお、これが最後の蕎麦でした。流石に蕎麦を打つには場所が悪い。
それにしても。
屋台を開けない蕎麦屋は蕎麦屋であろうか。自問自答。
■蕎麦屋? > 多分であるが。
売れる分には蕎麦屋であるが、この状況では蕎麦屋ではあるまい。
守護するものがない以上、守護者でもあるまい。
さて――であるならば。汝は一体、何者か?
声が聞こえた気がした。
気にせず、蕎麦を啜る。ずるずる。
■蕎麦屋? > ずずー、と汁まで飲み干して。
両手を合わせ。
「ごちそうさまでした。」
さて、食料もなくなった。
暇つぶしの種が一つ潰れたことを意味する。
何者か、などと。
分かり切った話である。
屋根の下で紙の束を取り出した。
此処に来る前に纏めた、拾い物の構造解析の走り書き。
あれやこれやとした挙句、最低限の構造の把握だけはなんとか。といったところであるが――。
■蕎麦屋? > 「――復元は8割がた、どうとでもなりそうなんですけどね――。」
勢いで拾ってしまったモノだが、まぁ、拾った以上修理くらいはしておきたい。
『お姉様』と呼んでいたあの娘に見せたらどんな反応をしたものか、興味もある。
私は私である。
信仰を失えば人と変わらず、自己の定義を失えば。
「駆動系ですよね、やっぱり。
異邦人街廻れば似たような素材の一つや二つは見つかる――といいですけど。」
以前店に来た義手の女性。
あのクラスの技術なら平行思考できる、はずだ。
周囲に毒気が淀んでいく。急速に。
■蕎麦屋? > 「善は急げといいますが。
――まー、身から出た錆ですしねぇ。」
あの先生も色々溜め込んでいたようですし。
晴れるどころか余計貯めこませた気がしますけどそれはそれ。
呼気に合わせて毒気を取り込む。
スマホの電波は通るのに、連絡を取る気もない。
――なるようになるだろう、の心構えで。
椅子を並べれば、横になる。地べたはその、水浸しなので、椅子の上。
『春』の訪れはもう少し先のようで――
ご案内:「転移荒野・凍湖」から蕎麦屋?さんが去りました。