2016/08/22 のログ
ご案内:「歓楽街 四川飯店 「九寨溝」」に雨宮 雫さんが現れました。
ご案内:「歓楽街 四川飯店 「九寨溝」」に鞍吹 朔さんが現れました。
雨宮 雫 > 四川飯店 「九寨溝」

歓楽街のやや奥まった場所にある、中華料理店。
余り大人数は入らず、少人数での利用か貸切が推奨され、まあちょっと高そうな外見や内装に違わず、実際に高い店である。

赤を多目に使った店内は今日はまだ、客は誰も来ていないようだった。

雨宮 雫 > さて、時間は夕方。
唐突にというわけでもないが、色々あった朔の慰労とその後の具合も確認すべく晩ご飯に誘ってみた。

じゃあ店は?

ここで30分ほど悩んだ結果、身内の店になったのは逃げではない。
何がっても大丈夫だからという安心と、まぁ、適当な店にイッパツ勝負して失敗したくない相手だった、からだ。
だから逃げではない。

そんな感じで、朔を案内しつつも店のドアを潜って。
なんかすぐに店員が出てきて、一番奥の席を案内してくれたのは予約済みだったからだ。
プラス、経営する組織の構成員だからでもあるけど。

「朔ちゃん、誘っておいてからなんだけど。
 中華料理  だ、大丈夫だったかな、かな。」
 
奥へ座るように促しつつ、先に聞いておけよみたいな台詞を吐いた。

鞍吹 朔 > 「……………。」

ひょい、と中を覗く眼鏡の女子。
その雰囲気は地味で、服装も地味で、全体の色合いも地味だった。
高そうな店には若干不釣り合いな気もしないでもない。

朔が私服を他人に見せることは殆どない。
だが今日の私服は、可能な限り上品そうな服を無理やり選んで着てきた。
その甲斐あってか、ぎりぎり雰囲気に合っている程度に収まっていた。

「……あ、はい。多分大丈夫です。食べたことはないですけど。
 …この店、高そうですけど…良いんでしょうか。」

案内されるままに奥の席へと進み、席に腰掛ける。
椅子の座り心地はとても良かった。さすが高そうな店だなぁ、とちょっとだけ思った。

雨宮 雫 > 「あ、じゃあ試してもらおうかな、かな。
 誘うのに味が微妙だとボクも泣いちゃうので、慣れてる店にしたんだけど……」

朔が椅子に座ったのを見て、自分も向かいに腰掛ける。
高そうと言われて、ぐるっと店内を見回す……  まぁ、そうかも。

「あ、高いとかは気にしなくてへーき、へーきかな、かな。
 店の人と知り合いだから。

 あと、折角、朔ちゃん誘うのだから最初くらいはちょっとソレっぽい店にしておきたかったというのもあるかな、かなー。
 
 兎に角、気にしなくていいかな、かな!」

だいじょうぶーだいじょうぶー と軽く手を振りながら笑う雫。

店員が冷えたお茶の入ったグラスとメニューを持ってきて静かに置くと、軽く頭を下げて下がっていった。

「あ、あと朔ちゃん。」

鞍吹 朔 > 「分かりました。
 雨宮さんの見立てた店なら、多分味は大丈夫だと思います。料理、美味しかったですし。」

確かに、看病期間中に食べさせてもらった料理は美味しかった。
だからきっと、舌は良いのだろう。そう信用している。

「そうですか。……高いものを、というのは…申し訳ないですし。
 ……?……………。すみません、よくわかりません。
 ともかく、気にするなというなら気にしないことにします。」

なんかスマホの音声認識AIみたいなことを言いつつ、首を軽く傾げる。
自分を誘うならそれっぽい店を、の意味を汲み取れなかったようだ。
そういう人間だった。

「……はい。何でしょう?」

からん、とグラスの中の氷が鳴く。

雨宮 雫 > 「ぁー。
 ぁ、その服、似合ってると思うかな、かな。」

努めて自然に、何となくみたいな感じでそれだけ口にした。
そして、すーっと視線をテーブルに逸らしてメニューを広げた。

「ボクの料理よりは美味しいと思うかな、ここの人、料理歴はすごいはずだし。
 まぁ値段とかは本当にいいから、ボクは実はお金はあるんだーの人なのだね、だね。

 というわけで、メニューは写真入りだから気になったの選んで欲しいかな、かな。

 そしたら、朔ちゃんのあの後とか聞かせて欲しいかな、かな。」

自分でもメニューを捲りつつ、服を褒めたのを直ぐに流していこうとする試み。
理由?言わせんな恥ずかしい。

鞍吹 朔 > 「ありがとうございます。」

無感情にそう言って、メニューを見る。
……いや、無感情ではない。ちょっとだけ目が泳いでいる。

「そうですか、楽しみにします。
 …………確かに、メニューの写真を見ても豪勢そうですが。
 では、この麻婆豆腐を1つ。

 ……あの後……。目のこと、でしょうか。」

そっと右目の眼帯を押さえる。

「………右目は、ぼやけてきてます。左目も、多少。
 あの魔王に襲われてから、悪化している気がします。」

雨宮 雫 > 「    ぅん、新鮮で良かったかな、かな。」

普段、口は上手い方ではないかーと思っていた自分だが、まぁ慣れない事には余り回ってくれないらしい。

淡く笑いながら、そう一言言うだけになってしまった。

「はいはい、麻婆豆腐ね。
 じゃあ後はボクも頼んじゃうかな、かな。

 椒麻鶏(鶏肉の冷製山椒ソース)、 冷鮑魚(アワビの冷た菜)、海老のトマトソース……まぁ、足りなければ後で頼めばいいかな、かな。
 それぞれ量少なめにして貰うから、色々食べてみて欲しいかな、かな。」

適当にメニューを選んで、さっきの店員を呼ぶと慣れた様子で注文して下がらせる。

さて、とグラスの中のお茶を一口飲んで。
朔の目の具合は余り良くないらしい。

軽く、眉が顰められた。

「ぅーん、左目は、右目に引き摺られて悪くなってるのかな、かな。
 右目は元々が悪かったから、あんな呪い受けて悪化するというのもあるかも……
 後で、ちょっと観させて欲しいかな、かな。」

鞍吹 朔 > 「……………………。ありがとうございます。
 ………その、私服を、人に見せるのは、滅多にない、ので。そう言って頂けると。」

視線をメニューに向けたまま、ちょっと詰まりながらそんなことを言った。
どうやら、私服姿は貴重なものらしい。

「………種類、多いんですね。
 …その、少し……休暇で、食べ歩いてみたんですが……
 甘い物よりは、辛い物のほうが好きかなと。なんとなく。」

自信なさげに、ぼそぼそ。どうやら、自分なりに好みを見つけたらしい。
蕎麦以外にも好きな味を見つけられたのは良いこと……なのだろう。多分。
慣れた注文の仕方を、ぼーっと見守る。

「…かも知れません。でも、呪いは解けたのに悪化ということはあるのでしょうか。
 ええ、お願いします。どちらにせよ、近々見せに行くつもりでしたから。」

雨宮 雫 > 「ん、ぁ、そうなのかな、かな。
 じゃあ見れたボクはもっと喜ぶべきかな、かな、うん。」

ラッキーというのも幸せというのも、何か違う気がして口から出て来なかったらしい。
嬉しそうに笑いつつも、しかし、むしょうに喉が渇いたので、グラスのお茶を少し多目に飲んだ。

「辛いのが好きなら、この店は丁度良かったかな、かな。
 四川は辛い料理が多いから、朔ちゃんにあってると思うのだね。

 色々試してみるのはいいことだと思うのだね、だね。」

甘味よりも辛味が好きというのであれば、店の選定としては間違ってなかったことに内心安堵の少年であった。

笑いかけながらに割と内心、ドキドキしている。
顔には決して出さないように心がけつつ。

「片方の目が悪くなると、良い方の目も悪くなるのは割と一般的に有り得るので、そこは普通。
 だから、朔ちゃんの右目はしっかり治療するべきだというのが一般的な、医者の意見になっちゃうかな。

 後は、倒れたりとかはしてない?
 朔ちゃん、呪いが解けた後に立ち眩みしてた気がするのだけど。」

あの白いものはなんだったのか、という点。
ダイレクトには聞き辛く、必然的に回りくどい確認からになった。

鞍吹 朔 > 「………はい。喜ぶほど価値がある物かどうかもわかりませんけど。」

そう言って、また目をそらし、お茶を飲んだ。
普段にまして喉が渇くのは、クーラーのせいで店内が乾燥しているからだろう。
そういうことにしておく。

「はい。中華料理が辛いというのは聞いていたので。
 ……四川、というのは種類でしょうか。」

ふむ、と考えこむ。なるほど、中華料理にも様々な種類があるようだ。
ほとんどそういった知識がない朔には、まったく新鮮だった。…少しだけ楽しい。

「そうですか……分かりました。治療については詳しくはわかりませんが……
 とりあえず、雨宮さんを信頼することにします。

 ……倒れたり…は、今のところはしていないですね。
 立ち眩みは前からありましたが、倒れたりしたのはあれきりです。」

白くなったあの現象について、朔は何も覚えていない。
……故に、結局当り障りのない言葉しか出てこなかった。

本人が、料理を待ってほんの少しそわそわしているのも理由の1つだが。

雨宮 雫 > 「………………あるんじゃないかな、かな。」

もう、そう言うだけで限界だったので。
中華料理の種類を問われたところに飛びついた。

「中華はえーと四に分けるのが大枠かな、かな。
 淡白な味付けと甘辛い煮付けとかの2つがある上海。
 麻婆豆腐が有名な、胡椒とか唐辛子を使った辛い系統の料理が多い、四川と。
 中国の南の方の食材を使った、あー、淡白系かなこれも、の広東とー。
 宮廷料理みたいなイメージすると大体あってる北京かな、香りが良くて肉とかネギ、ニンニクを使ってる北京で四つかな、かな。

 四川以外も興味出たら、今度はそっちを攻めてみるのもいいかもかな、かな。」

指を折って説明入れつつ、四大料理の特徴をもの凄く大雑把に挙げていく。
それに興味を持ってもらえたなら、次も誘う口実にもなるし、といいこと万歳であった。

「信用してくれるのはありがたいのだね、だね。
 じゃあしっかり頑張るから……右目の方も治療していかないとだね。

 ううん、じゃああの時は疲れてたせいかな……
 視界が白くなったり、意識がホワイトアウトしたりとかも、なさそうかな?」

自覚症状は無い?のかと首を傾げることはしない。
本人に不安を与えたくはないから、だが、もう少しだけ踏み込んでみた。

鞍吹 朔 > 「………。そうですか。」

それ以上言葉が出なかった。困った。
幸いにも雫が話を展開してくれたのでありがたく乗っておく。

「ああ、北京料理などは地理や歴史でも見たことがあります。北京ダック、とか。
 興味はあります。…また連れて来てくださるんですか?」

そこまで言って、心のなかでしまった、と思った。
馳走してもらうことを望むような恥知らずな女性だと思われてしまっただろうか。
あるいは大食漢か。女なのに大食「漢」とは少し妙だが。
以前はそんなことは気にしなかったというのに。

「はい。お互いに頑張りましょう。特に妙なことがあればすぐ報告しますので。

 でしょうか。自覚はありませんが、呪いが解けて緊張が切れたせいかもしれません。
 ええ、特にそのようなことも……寝ている時に、少し妙な物を見ることは多くなりましたが。」

自覚症状は特に無いようだった。
しかし、夢に関して語る時は、軽く眉根に皺が寄る。

雨宮 雫 > 「ぁ、北京ダックって有名だよね、うんうん。
 じゃあ次はそっちにしようかな、かな。

 ぇ。
 あ、うん。朔ちゃんが乗ってくれるなら、色々案内するよーなのだね、だね。

 まずは、この店のを食べてからだけど……丁度、きたかな、かな。」

ここで「いえ、いいです」とか言われたら、雫はトイレに逃げ込んで泣いたかもしれない。
そうでもなさそうな感触なので、また、心の中で安堵する。
なんだろう、凄く神経を使っている気がする、気のせいか?

二人の会話に全く無関心な顔をした店員すっとやってくると。
料理の皿をテーブルの真ん中に並べていき、二人の前には取り皿とレンゲや箸を並べていった。

ついでに、グラスに減ったお茶を注いでいった。

「ボクの医術は世界いちー じゃないけど、頑張りますかな、かな。
 夢見が悪いのかぁ……あ、先に食べちゃおうか。

 心にも体にも、美味しいご飯はいいものだからね、だね。」

夢というのは中々難しい問題なのだが。
兎も角、折角誘ったご飯なのだし、後に回してレンゲを手に取った。

鞍吹 朔 > 「知ってるのは名前と見た目程度ですが、豪勢な料理であるとは思ってます。
 でも、あの量を二人で食べきれるのでしょうか。

 ………はい。その、よろしくお願いします。」

ぺこりと頭を下げる。悪印象は与えていないようだ、よかった。
表情はほとんど変わっていないが、結構心は揺れている。

「………。」

運ばれてきた料理を、少しだけ興味深そうに覗く。
犬みたいである。

「はい、少し……その、真っ白な夢、というか。そういうものを見ることが多くて。
 すこし不気味で。……その、明るすぎる場所は、苦手なので。

 はい。頂きます。」

手を合わせて、ぺこりと頭を下げる。
そして、そっとレンゲを手に取った。

雨宮 雫 > 「北京ダックって、皮だけ食べるからそんなに量はないかな、かな。
 残りって厨房に下げられて賄いの別の料理になったりするみたいだから、余り気にしなくていいのだね。

 ほら、ほら、遠慮しないで食べてなのだね。」

このままいけば、次のご飯の誘いも問題無さそう。
これはとても嬉しい流れであった。


ちょっとそわそわしている雰囲気も見えて、雫の口にもちょっと笑みが浮かんだ。
レンゲで自分の取り皿にも料理を取り分けると、朔が終わるのを待つ模様。

「白い夢か……なるほど。
 ん、ちょっとその辺も調べてみるから。」

夢と、何かしらの力。
きっと、白い夢というあたりで関連性ありとは思える。

鞍吹 朔 > 「……そうなのですか。初めて知りました。
 あれを切り分けて丸ごと食べるものなのかと……

 はい。……頂きます。」

麻婆豆腐をよそって、ひとくち食べる。
辛い。口の中が痺れるようだ。だが、それと同時に旨みと香りも非常に濃い。
豆腐にも熱が通りすぎず、硬すぎず柔らかすぎない、口の中でホロリととろける。
辛いだけではない、刺激的ながらも深みのある味。なるほど、素晴らしい味だ。
まさしく珠玉の逸品。


「でももう少し辛くてもいいですね。」

そう言って胡椒をかけた。ぱっぱっぱ。


「はい。もぐもぐ お手数をはふはふ おかけしますほふほふ」

律儀に一口飲み込んでは喋り、一口飲んでは喋るを繰り返している。
それほど美味しいということだろうか。特に辛そうな素振りはない。汗もかいていない。

雨宮 雫 > 「中の肉も美味しそうだから、食べても良さそうだけどね。
 何で皮だけにしちゃったのかは……多分、そこを一番美味しくしたからかも?かな、かな。

 高級料理だったから、一番美味しい場所以外は食べなかったのかもね。

 ぁ、ボクもいただきますーだね。」

確かに肉は勿体無いと思う、自分でも。
家で作るなら絶対に食べると思うし。

レンゲに取り分けたアワビの冷菜を箸で口へ運ぶ。
味はいつもの通り、美味しい。

さて、朔の方は……
と、追加して胡椒が入った。

本当に辛いものが平気らしい。
美味しそうに食べてくれてるのを見ると、こちらが嬉しそうに目を細めた。

鞍吹 朔 > 「現代の感覚で見ればもったいない、という思いが先行しますけど……
 昔はそうでもなかったのでしょうか。……美味しそうなのは肯定しますが。」

もくもくと麻婆豆腐を食べる。
椒麻鶏や冷鮑魚にも箸を伸ばし、口に運ぶ。
表情はあまり変わらないものの、ちょっとだけ目が楽しそう な 気がする。 たぶん。


「………おいしいです。」

ちらりと雫を見て、ぼそっと呟く。
こうやって、美味しいものを美味しいというのは本当に貴重だ。
というかもしかしたら人生で雫以外に見せたことがないかもしれない。

雨宮 雫 > 「今も昔も、偉い人に もったいない って心はあんまり無いんじゃないかな、かな。
 お金と権力があると贅沢するのが人間だからね、うん。」

見た目の少年姿とは全くそぐわない、曲がったものの見方。
朔にはもう外見と実年齢に差があるのをバラしているせいかもしれない。

少しの間、食べることに集中して店内に静けさが広がる。

自分も運ばれてきた料理を口にしつつ、朔の顔を時々伺うように見る。

楽しんでくれている、ようだ。
さらに 美味しい と言ってくれているのも聞こえた。

「     うん。
 それは良かったかな、かな。

 ボク今、結構安心してるのだね、朔ちゃんが気に入ってくれて。」

エビチリで汚れた口元を備え付けのナプキンで拭きながら、にっこりと笑った。