2016/08/23 のログ
鞍吹 朔 > 「……雨宮さん、考え方が少しひねくれてますよね。
 私もそう思いますが。……似た者同士かもしれませんね。」

目の前の少年の中身がどのようなものかはわからない。それは承知している。
それでもまぁ、悪い相手ではないのだろう。

黙々と食べ続ける。かちゃかちゃという食器の音だけが響く。
それでも、美味しそうに食べる朔の顔は、雫の目に映る。

「………。はい、気に入りました。
 …今度、私の好きなものも紹介しますね。……蕎麦ですから、お礼にはならないでしょうけど。」

笑ったような気がする。一瞬だけ、ほんの一瞬だけ。
目の錯覚だったかもしれないし、顔の角度でそう見えただけかもしれない。
その笑顔はすぐに消え、いつもの無表情に戻る。しかし、いい笑顔だった。気がする。

雨宮 雫 > 「ボクと似た者とか、大変だと思うけど……
 まぁ、ボクは嬉しいからいいけど?

 ん、ボクは蕎麦とか麺類も大好きだから、全然いいのだね。
 連れてってもらうの楽しみだね、だ     ね。」

ハッキリ言うと、雫は悪い存在だが……更に何かを言う前に。
ナプキンを手にしたまま動きが止まった。

今見えたその、なんだ。
朔の笑顔はちょっとこう、"あぁ、いいなあ"とでも思ったというか。

少し、顔を横に向けると眉間を指で押さえて自分に何かを言い聞かせる。
次に、グラスの中のお茶を煽った。

鞍吹 朔 > 「別に、今更直す気もありませんから良いんです。
 ……嬉しい、ですか。………はい。」

その『はい』に何が篭っているのかはわからない。

「………?どうしましたか?」

無表情のまま、首をかしげる。
釣られるようにこちらもお茶をすすり、麻婆豆腐を食べ終わる。
よく見れば、テーブルの料理も残り少ない。

雨宮 雫 > 「ぁ、うんちょっと。
 うんと  喉が渇いたなって、思って。

 麻婆が辛かったかな、かな。
 大丈夫、問題ないないのだね、だね。」

大丈夫、大丈夫と手を振って顔を朔の方へと向けると、もう、いつもの愛想のいい顔に戻っていた。

一通り食べ終わったテーブルの料理皿をちらっと見て。

「朔ちゃん、もうちょっと食べる?
 追加注文もいけるけど。

 無かったら、お茶飲み終わったら出ようか。」

鞍吹 朔 > 「そうですか。私も喉が渇きました。
 でも、美味しかったです。今日はありがとうござました。
 ……ごちそうさまでした。」

ぺふ、と手を合わせて頭を下げた。
表情の変化に関しては特に気にすることもなく。

「いえ、もう大丈夫です。腹八分目です。
 繰り返しになりますけど、今日は楽しかったです。

 ……お茶も美味しいですね、ここ。」

雨宮 雫 > 「楽しんでくれたのなら、良かった。
 朔ちゃんが気に入ってくれるかなって結構ドキドキしてたから、安心したかな、かな。」

ふーっと大きく息を吐く仕草。
大袈裟なようだが、割と真実そのままだ。

最初の誘いでミスったらもうそこから続けられないし。
うん、今後もこういう風に遊びたいと思ってた、のだ。

グラスのお茶を少しずつ飲みつつ、朔に頷く。

「あ、このお茶気に入った?かな、かな。
 これならボクが家でも淹れられるから、作ってあげられるのだね、だね。

 じゃあ、帰りにちょっと前に使ってた家にでも来てもらっていいかな、かな。
 目の診察させて欲しいかな、かな。」

鞍吹 朔 > 「………。ありがとうございます。」

自分のためにそれほど気を張ってくれていたのか。
そう思うと、少しだけ嬉しくなった。

ともかく、雫の試みは大成功となったようだ。
よかったよかった。

「本当ですか?……はい、気に入りました。
 それじゃあ、その時はよろしくお願いします。

 はい、大丈夫です。……何事もないと良いのですが。」

そう言って、席から立ち上がる。
雫が立ち上がれば、雫の後ろについて店から出て行くだろう。

雨宮 雫 > 控えていた店員に合図をすると、朔を伴って、店を出る運びとなる。
後は散歩のように歩いて、家に連れて行くことになる。

何事もないかどうかは、正直……  何かあるだろうと思っているが、ここでは言わない。

「うん、まぁ何とかなるのだね。
 医者の腕の見せ所だからボクに任せて欲しいかな、かなー。」

安心させるように、へらっと笑いながら、店から出ていった。

ご案内:「歓楽街 四川飯店 「九寨溝」」から雨宮 雫さんが去りました。
ご案内:「歓楽街 四川飯店 「九寨溝」」から鞍吹 朔さんが去りました。