2016/10/14 のログ
ご案内:「露天温泉」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 「うはー……最近すっかり冷え込んできたし、やっぱ良いなあ温泉。」

夜の転移荒野の片隅で、七生は温泉を楽しんでいた。
ここのところ朝晩は冷え込んで来ていて、すっかり秋らしくなったと感じる。
これからどんどん寒さが勝ってきて、毎日でも大きいお風呂でのんびりしたいと思うようになるのだろうか。

「……なんて、家の風呂使えって言われる気がするけど。」

岩に寄り掛かって、意味も無く湯気を手でかき混ぜたりしながらのんびりと。

東雲七生 > 時折、雑木林を隔てた先の転移荒野から得体の知れぬ咆哮が聞こえてくる。
しかしもう慣れたもの。転移荒野に住まう獣が傷を癒しにこの温泉に訪れる事だって知っているし、
何ならその獣と一緒に湯治をした事だってある。慣れてしまえば、大した事じゃない。
しかも今宵は、割と静かな方だとさえ思う。

「だいじょーぶかねー、風邪とか引いて無きゃいいんだけど、みんな。」

みんな、と言うのは主にこの付近に棲息する生き物たち。
私刑が異様な獣から、大変容以前に確認されていた野生動物まで、さまざまだ。
足繁く転移荒野を訪れていた夏の間に、
いや、それ以上前から七生は彼らとは「顔見知り」程度の間柄にはなっていた。

東雲七生 > 背を岩に預けて夜空を見上げる。
両手両足をめいっぱい伸ばして、体の力を抜けば小さく細身ながらも筋肉質な七生の身体でも僅かに浮いた。

家のお風呂よりもこういう広い温泉の方が、心の底からリラックスできる気がする。
お湯の中に身を沈めている事はどちらも同じなのに、この違いは何だろう、と七生は小さく首を傾げた。

「……やっぱり、何て言うか、開放感ってのかな。」

四方を囲まれた浴室の中に居るよりは遥かに広さを感じるからだろうか。
それとも。

(……乱入される危険が無いから、かもな。)

あはは、内心一人で笑いながら口元まで湯に浸かる。
湯冷めの事も考えるが、この温泉のお湯の性質なのか家に着くまでは十分身体に熱が保ったままだから、
夜が更けるに任せてだらだらしていられるのだ。

東雲七生 > のんびりゆったりお湯に浸かっていたら、何だか歌でも歌いたくなって。
普段聞いてる大変容以前のアーティストの歌を鼻歌混じりのうろ覚えで歌っていく。
どうせ誰も居ないのだし、百歩譲って誰か来ても一応水着は着ているのだから怖い物は無い。
……流石に見ず知らずの魔物とか来たら怖いと言うか、水着一枚で戦闘になるのは危険が危ない。

……やった事が無い訳じゃないが。

「ふんふん、ふーん……ははーん♪」

時々調子が外れるも、そもそも男性アーティストの歌を歌うには若干地声が高過ぎる七生である。
かといって女性アーティストの曲は殆ど聞かないので、調子っぱずれな歌をのんびりゆったり紡いでいく。

東雲七生 > 気持ち良く暖まっていたら、なんだか眠くなってきて。
鼻歌は途切れ途切れに、赤い頭がかくん、かくんと動き始めて。
枕にするには岩はちょっと硬すぎるが、伸ばした髪をクッション代わりにして。
そのまま七生はうとうとと微睡み始める。


逆上せる前に何とか目を覚ました後は、名残を惜しみながら帰路に就いたのだった。

ご案内:「露天温泉」から東雲七生さんが去りました。