2017/03/25 のログ
■龍宮 銀 >
っ……。
(浅かったとはいえ、当たれば痛い。
彼女が離れれば、顔をしかめて脇腹を押さえた。)
大丈夫、です。
あと、当てに来てもらっても良いですよ。
その方が緊張感が出ますから。
(当たらない攻撃に慣れてしまうのも問題だ。
それぐらいなら当ててもらった方がいい。
風紀委員なら、多少の打撲は良くあることだ。)
■セシル > 「………当てに来い、ですか………」
ちょっと、難しそうな顔をするセシル。
祖父も決して剛剣の流派ではなかったが、セシルの剣はそれより更に軽い。
そこでどうやって優位を確保するかと言えば、「速く的確な急所・弱点狙い」となるわけで。
セシルの剣術は、これで意外とえげつないのだ。斬撃中心のサーベルならばいくらかマシだが、木剣(警棒もだが)の本気の打撃は割としゃれにならない。
(そんなわけで、セシルの武装使用の逮捕術は、傷は残らないし流血もそうないものの割とえげつない)
そんなわけで、「本気では振り抜かない」「急所には当てない」つもりで鍛錬に応じていたセシルだが、それでも相手が痛そうにしていると…ちょっと、やりづらかった。
「………。…分かりました。もう少し、加減をしてみましょう。
それでも、今度当てた時にそういう顔をしたら、流石に止めますよ」
言いたいこと、したい口出しもいくつかあったが、それらは一旦飲み込むことにして。
セシルは、再度剣を構え直した。
銀の準備が整えば、また動き出すだろう。
■龍宮 銀 >
軽く当てる程度で大丈夫です。
と言うか、それぐらいじゃないとちょっと反応しきれないと言うか。
(それほどまでに彼女との実力差がある。
先ほどの踏み込みはたまたまだ。
もう一度初見の攻撃に同じことをやれ、と言われても出来る自信がない。)
じゃあ、どうぞ。
(そうして構える。
やはり先ほどと同じ構え。
まるでそれしか知らないと言うように。)
■セシル > 先ほどからの銀の構え。
多分そういう流派なのだろうが、逮捕術の講習ではあまり見た覚えがない。
終わったら、その辺りの話を聞いてみようかな、とセシルは思った。
「そうですね…もう少し、シロガネ先輩が無理に受けなくても良いような形で攻めてみましょう」
そう言って、剣を構え直し…そして、間合いを詰める。
再度剣を振り上げて…振り下ろす途中の軌道変更するタイミングを少し早めにしての横払い。
ほぼ同じ軌道だし、振りの速さは少し、強さはかなり緩めている。
銀が、今度はどんな反応をするか。青い二つの瞳で、注視する。
■龍宮 銀 >
(今度の攻撃はちゃんと見えた。
それでも余裕とは言えないが、先ほどよりはちゃんと避けられる。
最初と同じように踏み込み、二回目と同じようにその剣が途中で軌道を変えた。
それを更に一歩。
彼女の背中側に回り込むように、その後ろ足の更に後ろへと自身の脚を差し込む様に。)
は!
(殆ど密着した状態から更に腰を落とす。
同時に重心を後ろ足に移動させ、背中を思い切りぶつける。
脚の自由を奪いつつの鉄山靠。)
■セシル > 空を切る木剣。
ぐるりと回り込む、小柄な銀の身体。
沈み込まれれば、リーチの面では有用な体格差が、隙に変わる。視覚に頼って、居場所を捉えるのが少し遅れた。
「…っ!」
鉄山靠を食らって、セシルの身体が大きく揺れる。
まともに物理攻撃を受ければ、筋肉質ではあるものの防御のための体重をほとんどつけていないセシルは、痛みに歯を食いしばって数歩前によろめいた。
「………お見事、です」
そう零されたセシルの声は、苦しげだった。
■龍宮 銀 >
――うまくいって良かったです。
(こちらも大した体重ではないが、重心移動を利用した打撃はそれなりに使えるらしい。
そこまで入り込むのが一苦労だが。
正直上手くいき過ぎだと思う。)
大丈夫ですか。
結構思い切りぶちかましちゃいましたが。
(苦しそうな声を出しているので心配になる。
ちょっと困ったような顔でろくろを回す。)
■セシル > 「けほっ、そうですね…シロガネ先輩の体格ならば、沈み込めば懐に飛び込みやすくなるでしょうし…けほっ」
ところどころ咳き込みながら、そんな風に話す。
それでも、困ったようにろくろを回す銀には、手で制して落ち着くように示して、苦笑いは浮かべてみせた。
それから、何とか呼吸を整え…
「…いえ…こんな身体なものですから、「耐える」のにあまり向いていないんです。
防御術式の勉強はしているのですが、なかなか…」
「シロガネ先輩の鍛錬意図にあまり添えず、すみません」と、頭を下げる。
■龍宮 銀 >
ああ、ごめんなさい。
大丈夫かと思ってつい……。
(咳き込む彼女にあわあわと両手を動かす。
アドバイスは聞こえているが、それ以前に彼女の体が心配だ。
と言うかファンが多いらしい彼女に体当たりをぶちかましてしまって、ファンに刺されないだろうか。)
耐えるのは私も……。
私も防御術は過剰に反応してしまって。
(使えないことはないのだが、慎重に調整しないと固すぎてしまう。
あらかじめ使っておくならともかく、咄嗟に使うのは難しいのだ。
頭を下げられては慌てるのはこちらの方で。
いやいや付き合って貰っただけでありがたい、とこちらも頭を下げた。)
■セシル > 「…一応、管理の面々には把握されている弱点なのですがね。
知名度が低いのは、連携に不安を残しますが、誇るべきでしょうか」
淡々と、平然と自らの弱みを語るのは、相手が同僚だからこそだろう。
わざわざ訓練スペースの窓に張りついている「ファン」もそうそういないだろう。大多数の「ファン」はそこまで暇じゃないはずだ。
…問題は、そこまで逸脱してしまった「ファン」がいた場合だ。
「過剰に反応する…程度にきっちり発動するのならば良いと思いますけどね。
私はまだ勉強中で、やっと構成出来る程度ですから」
防御術なので部屋でこっそり練習していたりするのは、知っている人は知っているかもしれない。
慣れ親しんだ系統に近いだけあって発動まではこぎ着けているが、実用とかそういう感じではまだまだないのだ。
「…いえ、私の方も、鍛錬のことを考える良い切欠になりました。
監督者がいない中で「加減」をするというのは、あまり心臓にいいものではありませんね」
銀に頭を下げられれば、鷹揚に手を振る。
…一応、故郷にいた頃は歳の離れた弟に付き合ったりもしていたのだが、その際にはより上位の実力者が、加減を指示したり監督したりしてくれていたのだ。
その有難さを、思い知った格好である。
■龍宮 銀 >
――私が、そう言うことに興味を示さなさ過ぎるのかも知れないです。
(自身の無知故に、彼女にいらぬ苦痛を与えてしまった事。
なにより、同僚の後輩だと言うのにそう言うことを知りもしなかった事。
それらを悔いるように、少し俯いて。
窓には誰も張り付いていないはずだ。
多分。)
私でよければ、相談に乗りますよ。
そっちの方の授業もそれなりに成績は良いですし。
(一応自身の対魔力耐性の程度把握していて、それに応じた自己強化魔術をそれなりに使える身だ。
術式精度は並程度だと思うが、魔力の扱いにはそれなりに自身がある。
今回のお礼とお詫びに相談に乗るのもやぶさかではない。)
手加減って難しいって言いますしね。
本当、難しい事を頼んでしまってごめんなさい。
(もう一度頭を下げて。
彼女しか頼れる人物が居なかったとは言え、申し訳ないことをした。)
■セシル > 「…まあ、お互いこんな職務を背負う身ですから。互いの連携のために弱点は把握しておいていいんじゃないでしょうか。
仲間を勝手に強いものと見積もり過ぎて、いざという時に慌てるのも良くありませんし。
ああ、でも私のことは気にしなくていいですよ。苦しかったですけど、引きずるほどでもありませんし…こうして、認識して頂きましたから」
俯く銀に、明るめのトーンでそう言って、人の良さそうな笑みを向ける。
まあ、窓に張りついている物好きは実際いなかったことだろう。
「ああ、そうなんですか?
それでは、近いうちにお願いしたいです…魔法剣と元素魔術以外の理論には疎いですし、理論自体あまり得意ではないので」
「図書館で借りている資料には、返却期限がありますから」と、苦笑い。
返却期限までに、初歩でも実用レベルに出来るのかと、不安を覚え始めていた頃合いだったのだ。
「いえ…自分に出来ないことを知るのは、向上のための良い機会ですから。
…本当は、逮捕術の講師の先生に教えを請えれば早かったんでしょうけど」
また頭を下げられて、ちょっと困ったように笑いながらも手をひらひらと振って、気にしていないアピール。
■龍宮 銀 >
そう、ですね。
これからは、仲間の事をもっとよく知ろうと思います。
(自分はあまりにも知らなさ過ぎる。
彼女の言葉から、自分が他人に興味が無さ過ぎたと言う事が自覚できて。
それでも前を向くことにした。
その方がきっと良い結果になるから。)
こう言うのって向き不向きとか相性とかありますし。
理論よりも勘の方が上手くいく人とかもいますよ。
(私でよければいつでも、と笑顔を返した。
返却期限はちゃんと守ってくださいね、と釘を刺すことも忘れない。)
それなら、良かったんですけど。
――あの、今度剣も教えてもらって良いですか?
(格闘術だけではなく剣の方も上手くなりたい。
そうすれば、人を傷つけることも少なくなるだろうから。)
■セシル > 「それが良いと思いますよ。そのための組織なんですから」
銀の瞳に、前向きな光を感じ取ったのか。セシルも晴れやかに笑った。
「ああー…勘の方が、かぁ………
ただ、複雑なことをするためには、流石に知識も必要でしょう?
知識なしで複雑なことをする能力は、複雑なことを理解する能力よりよほど並外れていると思うんですよね」
「私には、そこまで飛躍した才能はありませんし」と、苦い顔。
割と苦戦している模様だ。
流石に、返却期限の話には「もちろん」と軽く笑って返すが。
…と、次の銀の申し出には、目を瞬かせて。
「…剣、ですか?
剣術と一言に言っても様々な流派、流儀があると思いますが…私のもので、良ければ」
セシルの剣術は、割とえげつない。
ただ、えげつない分、刃がない警棒でも、腕力が強くなくても制圧することを可能にもしてくれていた。
銀の目標が、どこにあるかは分からないが…「血を流さずに制圧する」ことが目標にあるならば、セシルの剣術を取り入れつつ警棒で戦うのは、答えの1つかもしれない。
■龍宮 銀 >
(その通りだと思う。
実際警邏の際も二人以上で行動する事が殆どだし、違反学生の鎮圧の際も同じ事だ。
であれば仲間の事を知っておくに越した事はないのだから。)
勘、と言うとあれですけど。
机の上で勉強するより、実際に使ってトライアンドエラーの方が性にあってる人とか。
私なんかは本の理論は殆ど使ってないですね。
(要は自分にあったやり方をと言う事だ。
自分は本に書かれていることをやっても上手く出来なかったので、どういう魔力の使い方をすればどうなるのか、と言う理論でやっていたりする。)
はい。
元々これって流派はないですし。
――それに、今はダメでも戦えるようになった時の為にも。
(強くない腕力でも戦える術と言うのは自分の身体に合っている。
やれる事はやっておきたいのだ。)
■セシル > 「あー…それなら確かに。
補助の術式に、我流でちょっと無茶な使い方をしているものがありますしね」
詠唱して頑張っても方向転換が上手くいかないので、普段は詠唱を破棄して安定性を犠牲にしている浮遊の術式(一応、方向転換の練習は少しは続けている)を思い浮かべて、苦笑いを浮かべるセシル。
魔術教師に見られたら、苦い顔をされそうな使い方をしているな、なんて思いながら。
「…基礎体力とか、身体の動かし方とか、そういう地味なことの繰り返しになりますが…それで良ければ。
ただ…私が教えるものは「刃のついた剣で振るえば」命を奪いうるものなので、そこだけはお忘れなく」
穏やかに請け負うが…銀が「戦えるようになった時」というのを聞いて、そう、少しだけ声を重くして念を押した。
■龍宮 銀 >
私は魔術はちゃんと使えばちゃんと使えるものって思ってます。
今は使えなくても練習すれば精度は上がりますし、使い方だって一つじゃないですからね。
(魔術は学問なのだから、と。
少なくとも、自分が使っているものはそう言うものだ。)
それは、わかってます。
もう、二度と――、?
(今自分はなんと言った。
何故「二度と」と言う言葉が出てきたのか分からず首を傾げて。
地面が、揺れる。)
ぅ――。
(違う、自分がふら付いているのだ。
倒れるまでではないが、多少気持ち悪くなってしゃがみこむ。)
■セシル > 「…問題は、ちゃんと使うまでのハードルですが…
まあ、努力あるのみでしょうね」
努力家と一言で言っても、大抵は向き不向きがある。
苦笑いしながらそう言うセシルは、魔術方面にはあまり強くないようだった。
「二度と………なんです?」
何気なく、そう聞き返してみるが…銀が、何故かふらついてしゃがみ込む。顔色も、あまり良くなさそうに見えた。
「どうしました、シロガネ先輩!」
銀の目線に合わせるように膝をついてしゃがみ込み、銀の肩を掴んで、強い声で問いかけた。
何なのだ、この急な変化は。
■龍宮 銀 >
――あぁ、だいじょうぶ、だいじょうぶです。
ちょっとめまいが、しただけなので。
(掌を彼女へ向けて心配ないと。
だいじょうぶだ。
なにももんだいはない。)
貧血持ちなんです。
たまにこうなって。
(白い顔で力なく笑う。
心配をかけたくないとか、強がっているとかではなく。
本気で大丈夫だと信じている顔。)
■セシル > 「………貧血ならば、それはそれで大丈夫ではないと思いますが」
基本的に健康体まっしぐらのセシルは、貧血など起こしたことがない。
強がっているようにすら見えない銀の様子は、やや異様に映った。
表情が、すっかり強張ってしまっている。
「休憩所か救護室で休みましょう、シロガネ先輩。
落ち着くまでは、横になっていた方が良いです。貧血ならば尚更。
…自分で、歩けそうですか?」
とにかく、目の前の彼女を休める場所まで連れて行かねば。
銀の表情を注意深く観察しながら、顔は強張らせながらも、落ち着いた喋り方を心がけて確認を取る。
■龍宮 銀 >
そう、ですね、大丈夫じゃないですね。
(へらり、と笑いながら。
確かに大丈夫じゃない。
休んだ方が良いと言う彼女の言葉に従う事にした。)
ちょっと、だめ、かな。
かた、貸して貰っても良いですか……?
(まだ地面が揺れている。
勿論揺れているのは地面ではなく自分の視界だ。
その視界も端の方が白くなってしまっている。
歩けなくはないがその方が楽だし、一人で向かうより彼女も安心するだろう。)
小さい頃は、こんなことなかったんですけどね。
■セシル > 「…はい、分かりました」
真剣な表情で頷くと、銀が立ち上がるのを支えるように、銀の脇の下に腕を差し入れる。
かなりの身長差なので、セシルはかなりかがみ込む格好になってしまって歩きづらいが…そんなことを言っている状態ではない。
「…女性であれば、成人の方が貧血は起きやすいものと聞きます。
どうか…身体を労ってあげて下さい。私も、心配ですから」
体勢が窮屈なので、まっすぐ銀を見るのは難しいが。
素の、真摯な声でそう伝えた。
■龍宮 銀 >
ありがとう、ございます。
(へらりとした笑顔のまま礼を。
これだけ身長差があると彼女が抱えた方が早いような気がする。)
二年前、からなんですよね。
飼われてるときも、こんなこと無かったのに。
(足に力が入らず、歩みは遅い。
語る内容の後半は恐らく彼女も知っているだろう事だ。
知らなかったとしても、調べればすぐにわかるので隠すつもりもない。)
■セシル > 多分、セシルが銀を抱えた方が早いのだけれど。
銀が自分で歩くというのならば、その意思を蔑ろにはしないつもりなのだ。
「…いえ、一緒に鍛錬をしていて、体調が悪化したのを捨て置いては風紀委員の名折れですから」
そう、真剣な顔で答える。
「………そう、なんですか」
穏やかな声の感情を必死に殺して、頷く。
「飼われてるとき」。友人と共通する姓。
友人と同僚が向き合う時に取る気まずそうな態度が、友人の悪評だけに由来するとは思えないこと。
友人の名誉とは思えないので、あまり踏み込まないできた。調べるのに時間を割くのであれば、勉強とか、鍛錬とかしたかったし。
…でも、そうも言っていられないかもしれない。
銀の異様な様子を見て、そんな風に思いながら、彼女を休める場所まで連れて行く。
■龍宮 銀 >
(抱えないのならば、肩を借りると言うよりは腰にしがみつく形になるだろう。
ゆっくりと歩く。)
うん。
――たぶん、なにかあったんだと、おもう。
(多分と言うのは心当たりがないからだ。
何かと言うのは忘れている事があるからだ。
それを無理に思い出さない方が良いと言う事も、いずれは思い出さなければ行けないんじゃないかと言う事も分かっているけれど。)
ごめんね、迷惑掛けて。
(今は後輩に迷惑を掛けてしまっていることの方が気に掛かる。
先輩のようには行かないなぁ、と呟いて、医務室へと。
ベッドに潜り込めば、すぐに寝息を立て始めるだろう――)
ご案内:「訓練施設」から龍宮 銀さんが去りました。
■セシル > ゆっくり、ゆっくり。銀に歩調を合わせて歩く。
「………そう、かもしれませんね。
でも、今は身体を大事にすることを、一番に考えて下さい」
ぽつりぽつりと零される銀の言葉に頷きながらも、状態の悪化を招くことからは遠ざけるように、言葉での誘導を試みる。
銀の口から零れた謝罪には…
「…既に先輩は辛い思いをしているんですから、迷惑をかけている分はそれで帳消しでしょう」
なんて、穏やかに言って、ほんの少しだけ笑った。
医務室に運び込んで…銀がすぐに寝息を立て始めれば、安堵に深い…深い溜息を吐いて胸を撫で下ろしただろう。
ご案内:「訓練施設」からセシルさんが去りました。