2017/04/28 のログ
ご案内:「常世港」にステーシーさんが現れました。
ステーシー >  
放課後の常世港。
港に怪異が出た、という報告を受けて怪異対策室三課の私は直ちに駆けつけた。
そこで見たものは、超がつくほど巨大な蛸の触腕のようなものが這い上がろうとしている異様な光景だった。

逃げ遅れた人間もいる。
今、まさに壊されようとしている漁船がある。
それらを、見過ごしてはおけない。

「皆さん、避難指示に従ってください! B-7方面へ落ち着いて避難を!」
「港を出てからは避難マップガイドに従ってください!」

避難誘導を行なう。
しかし、このまま上陸すれば異能者VS怪異の構図が街で展開されることになる。

何か手はないのか。

ステーシー >  
「怪異対策室一課? 聞こえる? 今すぐ応援を山ほどよこしてもらえるかしら?」
「…警報が島全体に出たらようやく大事、か……」
「笑えないわねッ!」

怪異への対処を行なう公権に連絡を取り終えると現場に駆ける。
避難誘導を続けていたが、逃げ遅れた釣り人に触腕が伸びる。

「バントライン一刀流………斬界閃!!」

長く、太く、海の瘴気を煮詰めたような不快な悪臭を漂わせるぬめった触腕を一刀の元に斬り飛ばす。
それでも触腕はまだまだ無数に海から這い出てきていた。

本体はどれほど巨大なのだろう?

「早く逃げて! すぐに風紀と怪異対策室一課と二課が来ます!」
「釣り道具は諦めてください、早く逃げて!」

焦りばかりが募る。
人的被害が出るのも時間の問題のように思えた。

ステーシー >  
ふと、自分が黒刀を抜いていることに気付いた。
長年使い、手に馴染んでいるディバインブレード、旋空ではなく。
……雷属性で海魔を断て、ということかしら。
そう手元の刃に心の中で語りかけると、黒刀は刃鳴りで応えた。

「風向きが変わってきたわね……嫌な風」

現時点で避難指示が出ているのは港だけ。
今すぐこの化け物じみた怪異を追い払えれば、ハッピーエンド。
ハッピーエンド、か……自嘲気味に笑った。

 
そんな、都合のいいものが、この島にどれだけ転がっている。
 

異世界から来たばかりなのか、怪異は漁船を持ち上げては触腕で弄って破壊している。
物珍しいのだ。この世界の全てが。
自身は海中のまま、怪異の本体も見えていないまま、彼はこの世界を知ろうとしている。

ご案内:「常世港」にイチゴウさんが現れました。
イチゴウ > ーー風紀本部からHMT-15へ
常世港にて海魔が出現。
現在、怪異対策室が交戦中。
至急応援に当たれ。

あわただしい無線が四足ロボットの耳の中で
反響する。

「なんだ。今日はやけにさわがしいな。」

四足ロボットはくぐもった声でそっと呟く。
港にて怪異出現か。

避難を促すけたたましいサイレンの中
時速45キロ前後の速度で港にある
コンテナの間をくぐりながら駆け抜ける。
横目で海の方を見てみれば
海から突き出した巨大な触手のようなもの。
そしてそれと交戦している一つの人影。

風紀の戦闘ロボットはコンテナ地帯をぬけると
現場へと勢いよく飛び込む。

ステーシー >  
遠目にもわかるシルエット、そして駆動音。

「イチゴウさんッ!」

戦車がご到着とは、ますます怪獣映画じみてきた。
そう思ったけれど、口には出さない。

「手伝ってもらえるかしら……」

猫耳のマレビトを捕えんと這い上がってきた触腕を2、3と切り払って後方に跳び、着地する。
斬り捨てられた触腕は切り口が紫電に焦げていた。

「ハッピーエンドがちょっと遠くてね……!」

ここでイチゴウの登場は心強い。
しかし手数が足りるかどうか。

「プランはあるかしら? 今のままだと上陸コースよ!」