2017/05/26 のログ
藤巳 陽菜 > 「…柊さん、将来は料理人かなにか目指してたりするの?」

何というか意外な感じ。
学校では大人しいというか静かというか…。
その白い肌と服のデザインもあいまって出来のいい人形のような感じなのに。
こんなに調理道具に詳しくて料理好きだなんて…人は見かけによらない。

「じゃあ、後はこの材料を鍋に入れればいいのね。」

大きさ不揃いに人参を乱切りにすれば大きめの鍋をコンロに置いて。
その中にてきとうな順番で材料をいれようとするだろう。

柊真白 >  
別にそんな事はないけど。

(仕事はもうある、とは言えず。
 かと言って今の仕事をしていなかったとしてもそちらに進む事もないだろう。
 これはあくまで趣味なのだから。)

――待って。
違う。

(止める。
 そもそも人参も大きさを揃えて欲しかったのだけれど、そうなってしまったのならば仕方が無い。)

食材はそれぞれ火の通る時間が違う。
一緒に入れたら人参が固いままか、芋がぐずぐずに解ける。
火の通りが悪い物から火を通していくのが基本だし、そもそもまず肉を炒めるのが先。

(じとっとした目を向けて長台詞。
 これもまた彼女が学校で見ている自分とは違う姿だろう。
 彼女が出した鍋に油と肉を入れて火に掛ける。
 それとは別の小さめの鍋に水を張って、それも火にかけておいた。)

こっちは沸騰したら糸こんにゃくを入れる。

藤巳 陽菜 > 「そう?柊さんなら出来そうだし多分流行ると思うの。」

小さな料理店とか開いたら割と流行りそうな気がする。
この子目当ての客とかも多く来そうな感じもする可愛いし。

「な、なるほどね。まずは肉なのね。」

少し気圧されてしまう。
やっぱり、料理人なのでは?

「糸こんにゃくは一回茹でるの?
 …ああ。分かったわ。」

何故これは一緒に入れないだろうと思ないがらざるにこんにゃくを揚げればその理由は分かった。
…なんか臭い!
なんの匂いだろう?一緒に入っている水の匂いなのだろうか?
とりあえず茹でる理由は分かった気がする。

柊真白 >  
趣味だから。

(自分が美味しいご飯を食べられればそれで良いのだ。
 鍋に入れた肉に軽く塩を振って炒めていく。)

肉を炒めれば旨みが出る。
それを野菜に染みさせると美味しくなる。
野菜はレンジで加熱してもいい。

(そこに人参を入れて、更に炒める。
 ある程度火が通れば、じゃがいもも。
 同時進行で沸騰したお湯に糸こんにゃくを入れる。)

こんにゃくを茹でるのはあく抜きの意味もある。
でも最近はしなくていいのが多い。
煮物の味付けは醤油と砂糖とみりんと酒。
でも好きな味にすればいい。
私は全部同じ量。
料理のさしすせそとかも、そんなに気にしなくて良い。

(和食の黄金比とか何とか色々あるが、自分が一番好きな味にすれば良いと思う。
 調味料を入れる順番で味が変わるらしいが、正直そこまで差は無いと思う。
 どんな順番で入れたって、量があっていれば食べられる味になる。
 鍋に醤油と酒とみりん、砂糖を目分量でどばどば入れて。
 冷凍庫から出汁の氷を一個と水、茹で上がった糸こんにゃくも入れて蓋をした。)

藤巳 陽菜 > へぇーとかなるほどとか言いながら見守る。
流石趣味だけあって手際が良い。
おかしい…教わりに来たのにあまり何もしてない。
手が治ってからで丁度良かったかもしれない。

「…砂糖結構いれるのね。」

調味料とかすごいてきとうに入れてた気がする。
こういうのは多分慣れてきたら分かるのだろう。
回数こなせばこういう風に出来るのだろうか?

「多分、大体完成よね?
 これで私も得意料理は肉じゃがです。とか言える女子の仲間入りというわけね。
 まあ、言う相手はいないんだけれど…。」

小さく溜息を吐きながらそんな事を言う。
この身体を元に戻さないと恋愛も碌にできない。

柊真白 >  
私は甘い方が好きだから。
それに他の味も同じぐらい入ってるからそんなもん。
――はいこれ。

(慣れてくると大体の量がわかるようになるけれど、慣れない内は軽量スプーンを使った方が良いだろう。
 それにこういうのは手順が分かればいいのだ。
 気を付けるところは言っておいたし、今差し出したレシピを見ながらやれば大失敗も無いだろう。)

まだ。
火が通ったら火を止めて冷ます。
味が染みるのは冷める時だから、一旦冷ましてからもう一度暖める。
それで完成。

(そこまでしなくてもそれなりの味は付いているけれど。
 ただ、料理と言うものはそんなに単純なものじゃない。)

これで出来るのは肉じゃがだけど。
たとえば鶏肉、れんこん、ごぼう、人参、しいたけで作れば筑前煮。
牛スジを使ってショウガとにんにく足して煮込めば牛スジの煮込み。
この出汁で豚バラを煮れば角煮。
アレンジすれば色々出来る。

(味の調整は必要だが、一つ覚えれば色々アレンジが出来る。
 料理を覚えたいと言う彼女にそれだけは知っておいて欲しかった。)

――言えば良い。
友達とか。

(首を傾げる。
 得意料理を告げる相手を選ぶ必要があるのか、と言う表情。)

藤巳 陽菜 > 「確かに肉じゃがとかはある程度甘い方がおいしいわね。
 ありがとう。あっこのレシピ分かりやすい。」

必要な事とかポイント具体的な手順が書かれている。
余計な情報が無くて分かりやすい。

「本当に簡単に色んな料理が出来るのね…。
 もっと、何か手間がかかるものだと思ってたわ。」

前も簡単に色々出来ると言っていたが見て言われれば実感が違う。
今日のお手軽感を見れば確かに簡単に出来そうな気がしてくる。

「…この島にはそんな友達もいないのよ。」

この島に来てから本土の友人とも疎遠になった。
一月ほどは連絡があったが今は殆んど関わりがない。
この島に来てから同級生とはほとんど話してない。

多分、一番親しいと言えるのがこの白い服の少女だ。
この姿をあまり奇異の眼で見てこないので気楽に話せる。

柊真白 >  
料理は手順だから。
作るものが変わっても、同じ調理法なら手順はそんなに変わらない。

(チキンライスもチャーハンも基本は一緒だし、もっと言うならうどんもそばも茹で時間が違うだけなのだから。
 くつくつと煮られている肉じゃがの火加減を調整しながら、そんな事を口にした。)

居ないなら作れば良い。
元々本土の人ならともかく、異邦人とか似た境遇の人なら親近感も沸くんじゃない。
――昨日作ったやつだけど、食べる?

(そんなに深刻な問題でも無いだろうと。
 元々友達が居たのならば新しく友達を作る事は難しい事じゃないと思うし、自分と違って社交性もある彼女ならば尚更だろう。
 冷蔵庫からここに完成品がと言わんばかりに肉じゃがを取り出して、彼女に見せながら。)

藤巳 陽菜 > 「じゃあ、後は慣れればいいくらいね。」

手順がわかれば後は技術とか味の感覚とか。
そこらへんを何とかすればいいくらいだろう。

「作るね…自分から話に行くのってどうも苦手なのよ…出来なくはないけど。
 異邦人の人、うーん、確かにこの姿に慣れてそうではあるけど…。
 …似た境遇の人ね…聞いた話ではそういう人もいるみたいだけど未だ会った事ないわ。」

正直言って異邦人。特に姿が人と違う感じの異邦人はまだ怖い。
だから、他の子が奇異の眼で自分を見る事も理解できるしそれを責めるつもりもない。

同じような境遇の人。先輩が言っていた話では翼が生える異能を持った人がいたらしい。
他にも異能を制御できなくて困ってる人は多くいるだろう。そんな人となら悩みを共有出来るかもしれない。
行動範囲が狭いせいで会った事はないけど…。

「…いただきます。
 えっと、お箸とかってある?」

柊真白 >  
そんな難しい事じゃないと思う。
私もすぐ出来たし。

(どのぐらい何を入れればどんな味になるのか。
 最初は散々なものだったけど、やってるうちにすぐ慣れた。
 何より食べ物を粗末にするのは嫌だったから。)

私に話しかけられたんだから、出来ると思うけど。
それに、向こうから話し掛けてくる人が良い人ばかりとも限らない。

(最初にこちらへコンタクトを取ってきたのは彼女の方だ。
 自分でも人を遠ざけそうな印象があるのは自覚している、というより敢えてそうしているところはあるのだから、そんな自分に話しかけられたのであれば、そうそう臆する事も無いだろうと思う。)

割り箸でいいなら。
ご飯も食べる?

(そう言って肉じゃがの皿をレンジに掛ける。
 箸入れには二組の箸が入っているがそちらには手を付けず、引き出しから割り箸を取り出して差し出す。
 炊飯器には殺気炊けた白米もあるので、そちらも勧めてみよう。)

藤巳 陽菜 > 「あの日は凄い頑張ってたのよ。
 …ええ。本当に頑張ったわ私。」

思い出す。ゴールデンウィーク中本土の方の友人から送られてきた楽し気な写真。
あの写真を見せられて焦っていたというのはあった。自分も何かしなくちゃと…
結局、こんな風に料理を教えて貰えたりできているのだから良かったと思う。

「そうね。
 この島に来てからはまだそんな悪い人には会ってないけど気をつけないと…。」

…例えば元の身体に戻る方法があるとか言われたらどんな相手でも信じてしまっていた事だろう。
今は余裕がある分流石に疑うだろうけど。

「ご飯も!?い、いただくわ。」

一瞬ためらったものの空腹には勝てない。
料理を作っている時から少しずつ空いてきていた。
…本当にお腹が減りやすくなって困る。

「ん?あのお箸って…。」

箸入れに入っている二組の箸に目ざとく気がつく。
わざわざ二組だけ入っているという事は一つは彼女の分。
そして、もう片方は…。

「あのお箸ってもしかして彼氏のお箸、とか?」

確か家族はいないって言ってたしそう言えばスリッパももう一足あったし。
ひょっとするとひょっとしてこれはそうなんじゃないんだろうか?
陽菜の顔にはニヤニヤというかニマニマというかそんな表情が浮かんでいる。

柊真白 >  
別にずっと頑張るわけじゃない。
最初頑張ればあとは楽なんだから。

(今彼女が頑張っているようにも見えない。
 仲良くなってしまえばこっちのものである。
 彼女自身話していて面白くないわけではないし、友達はすぐに出来るタイプだと思うのだが。)

――悪い人、ね。

(自分は人殺しだ。
 良い人か悪い人かで言えば、間違いなく悪い人だろう。
 それを見せないから悪い人なのだ。
 別に彼女をどうこうしようとは思わないけれど。)

わかった。
座ってて――座れる?

(自分の茶碗と彼女の茶碗――はないから、大きめの丼のようなものを用意する。
 食べる量が増えたと言っていたし、ちょうど良いだろう。
 リビングの椅子に座っている様に言うが、彼女の体で座れるだろうか。)

違う。

(ご飯をよそいながら彼氏、と聞けば即否定。
 そう言う関係じゃない。)

藤巳 陽菜 > 「来た時はサッと身体を戻して、本土の方に帰るつもりだったのよ。
 それであまり関わらにでもいいかって思ってたら結構時間がかかりそうで…。
 二か月も経ったらもう殆んどグループとか出来ちゃってて…まあ頑張るわ。」

そんな風な言い訳をする。
入学から二か月も経てばもうある程度仲いい人は決まってくる。
一人で過ごしている人らもいままでいたところと比べたら少なくはないけれど。

「…なんか柊さんてお母さんとかお祖母ちゃんみたいよね。…いや、悪い意味じゃないのよ。
 …歳は私と同じくらいのハズよね。」

そう、偶にというか話していると同年代とは思えない事がある。
大人というかなんというか。人生経験の差だろうか?

「ええ、ありがとう。」

前に尾を垂らしてその後地面と接する部分を巻けば椅子は簡単には倒れない。
蜷局を巻いてるように見えるがまあ、それは仕方がない。

「ええー本当にー?
 じゃあ、彼とはどんな関係?」

パキンと割りばしを割りながら聞く。
表情はまだまだニマニマしてる。
彼とはいったが陽菜は相手の性別を知らない。
これは誘導だ!

柊真白 >  
今まで使わなかったものを使うんだから、時間は掛かる。
その身体と一緒。

(自分だっていきなり羽が生えたら慣れるまでに相当時間が掛かるだろう。
 理屈としては空を飛べたって、自在に空中を動き回れるようになるまでどれだけ掛かる事か。)

よく言われる。

(先にご飯を盛った丼を彼女の前に置き、一度台所へ戻る。
 ちょうど温まった肉じゃがと、自分のご飯と箸を持って戻ってくる。
 別の部屋と言うわけではないから会話は出来るが、リビングからではレンジの場所まで手が届かない。
 座るには問題はなさそうだ。
 壊れる心配も――一応常世の家具だ、大丈夫だろう。
 彼女の前に腰を下ろす。)

弟子。
たまに泊まりに来る。
――風紀の人だから、今度紹介しようか。

(別に男女の関係ではない。
 ぶっちゃけヤるこたヤってるのだが、そう言う関係とは違うのだ。
 紹介するのは風紀に知り合いが居れば彼女的に色々便利だろうと思ったからだ。
 他意はない。
 話を逸らそうともしていない。)

藤巳 陽菜 > 「慣れるしかないっていう事ね。
 もう、慣れるものが多すぎて疲れるわ…。」

この身体になってから肉体的には殆んど疲れなくなった。
でも、精神的には疲れる事があまりに多すぎる。
あれもこれもそれも慣れないといけないなんて。

「…やっぱり言われるんだ。」

炊き立てのご飯を受け取ると更にお腹が空いてくる。
…もうやだこの身体。

「えーつまらないわね…。
 その人も料理を教わりに来るの?」

特に狼狽える様子もないのを見ればきっと本当にそういう関係じゃないんだろう。
いや、この子が狼狽える様子はそもそもイメージできないけど。
いただきます。と手を合わせて早速ジャガイモえ箸を伸ばす。

「美味しい、冷ましたら味が染みるってこういう事なのね。
 …あっ!ええ、確かに風紀の人が知り合いにいると色々安心よね。
 紹介してもらえるとありがたいわ。」

肉じゃが美味しい。調味料あんな適当に入れたように見えるのにこんなに美味しいだなんて。
柊真白おそるべし。

柊真白 >  
(そう、慣れるしかない。
 料理でも新生活でも、結局は慣れなのだから。)

――見た目より歳は取ってるから。

(一応届出上は十六と言う事になっているし、見た目的には中学生だから間違ってはいない。
 実際のところはそれどころの開きではないけれど。)

教わりには来ない。
食べに来る。
――それに、そう言うのよくわからないし。

(こちらは容赦無く肉を取る。
 味もいつも通り、煮え具合も良い感じである。
 ご飯が進む。)

一晩置くとカレーが美味しくなるって言うのはこう言う事。
じゃあ、聞いておく。
その人も異能で悩んでるし、気は合うと思う。

(ふと、彼女と彼が仲良くなったところを想像する。
 ――ちょっと、嫌な気分になった。
 眉間に小さな皺。)

藤巳 陽菜 > もしかして実は年上だったりするのだろうか?
こう見えて実は二十歳こえてたりとか?
それは無いかと首を振る。

「じゃあ、何の弟子なの?
 …ちょっと待って当てるから…。
 …楽器とか?…その感じは間違ってるみたいね。」

いや、彼女が楽器を触っている姿は見たことないしここにもそれらしきものは置かれていない。
でも、彼女が何を得意だとか何をしているだとか陽菜は未だ全然知らなかった。

「…その人も異能で悩んでるのね。
 それだったら色んな話も出来そう。楽しみにしてるわね。」

どんな人なんだろう?そんな事を考えながら。
肉、ご飯、人参、ご飯、肉じゃがとご飯を交互に食べる。

「ど、どうしたの食べるの早過ぎたかしら…。」

珍しい、表情が動いているところ初めて見た気がする。
もう少し味わって食べるべきだったかもしれない。

柊真白 >  
(顔には出さないが年上である。
 それも、彼女が想像しているより遥かに。)

楽器はやらない。
興味ないし。

(そもそも唯一の趣味といえるのが料理だ。
 他のそういったことには一切興味が無い。
 部屋に置かれているものといえば、最低限の家具と取ってつけたようなテレビやパソコンなど。
 あとは部屋の隅に立てかけてある長刀ぐらいなものだろう。)

色々、ストレス溜めてるみたいだから。
話し相手、なってあげて。
私は得意じゃないから。
――べつに、なんでもない。

(難しい顔をして米を頬張る。
 不機嫌そうな顔ではあるのだが、同時に詰まらなさそうな寂しそうな。
 僅かな変化だけれど。)

藤巳 陽菜 > 「やっぱり…。」

完全の適当に言ったものだったし。
他に部屋にあるものっていったら刀だろうか?

…コスプレとか?

流石に刀を振って戦うのの師匠とかではないだろう。
それなら16歳とかそこらの女の子に弟子入りはしないと思うし。

「確かにストレスは溜まるわよね…。」

陽菜は何とか治す希望がある今はかなり余裕ができているけど。
どんな異能かは分からないけど想像して余りある。

「別に得意じゃないってことはないと思うけど。
 ほら、柊さんのアドバイスとか結構タメになるわよ?
 多分、相手の人もそういうところを見て弟子入りしようとしたんじゃない?」

彼女のアドバイスは含蓄があるというか何というか。
やっぱり、お母さんとかお祖母ちゃん感というかそういうのがある。
ただちょっと偶に厳しいというか感情とかを気にしない感じはあるかもしれない。

「何でもないね…。
 やっぱり、柊さんその弟子の人の事好きなんじゃないの?
 弟子だと思っていたのにその眼差しはいつしか一人の男に向けるものへと変わっていた!みたいな?みたいな!?」

またニマニマとした顔を取り戻して言う。

「大丈夫、大丈夫そんな顔しなくても大事なお弟子さんを取ったりはしないわよ。」

柊真白 >  
――言って良いなら言うけど。

(コスプレ趣味は無い。
 寝室の隅にフリルの付いたセーラー服はあるけれど、自分の趣味じゃない。)

こう、人に迷惑を掛けるタイプの異能だから。
私じゃアドバイスは出来ても話し相手にはなれない。

(人の気持ちを察せない、と言うわけではないけれど。
 最終的に結局自分の問題だと突き放してしまいがちになる。
 所謂おしゃべりもそこまで得意ではないし、そう言う意味では彼女の方が話していて楽かもしれない。)

だから、そう言うの分からないから。
――でも、楽なのは、確か。

(恋ではない、とは思う。
 ただ気を使わなくていいから楽なだけだ。
 彼女達が仲良くなって、自分が楽な場所が無くなるのがつまらないだけだ。)

別に。
取るとか取らないとか、誰かのものじゃない。

(ちょっぴりふてくされたような顔をして、肉をごっそり持っていく。)

藤巳 陽菜 > 「そうね、もう降参よ。
 その人に何を教えてるの?」

コスプレも外れみたいだった。
それならもう思い当たらない。

「…まあ、私の異能も困るのは大体、自分から少し違うけど
 …人に迷惑をかけるのは辛いでしょうね。」

身体が変形している自分であってもぶつかったり
通りにくそうにされたりするだけで申し訳ない気持ちになる。
それだけでも辛いに直接人に危害を加えてしまうというのはかなり辛そうだ。

「そう。それよ。そういう関係良いと思う。
 多分、結婚とかしても続く奴よねそれ。
 …私にもそんな人現れないかしら?」

恋愛経験0である癖にそんな事を言う。
実際いても…この異能があるからとかそんな理由を付けて逃げそうな気もするけど。

「あー!そんな事言いながら絶対気にしてるじゃない!
 …もう、こうなっちゃたら『肉じゃが』じゃなくて『じゃが』よ『じゃが』。」

そんな風に文句を言いながらも顔には笑顔が浮かんでいる。
もう殆んど肉が残ってない。細かい破片とじゃがいもを箸で挟んで口に運ぶ。

柊真白 >  
刃物の扱い。
――小さいころから武術やってるから、得意。

(やっているのは武術ではないが、昔からやっているのは本当だ。
 さっき包丁の扱いを見せていただけにそれなりに説得力はあるだろう。)

私は異能は持ってないから。
そう言う意味でも、あなたの方が相談に乗れるかもしれない。

(彼から言われた時に何も言えなかったのは、少し堪えた。
 彼女であればそう言う悩みを共有出来るから、彼の負担も少しは減るのではないか、と。)

結婚するかどうかはわからない。
何かの事故でどっちかが死ぬかも知れないし。
――そうしてれば普通の女の子だから。
「あなた」を好きになってくれる人が居れば大丈夫だと思う。

(そもそも外見だけで判断するような人間は碌なモンじゃない。
 こうして話していれば、自分よりよほど可愛げのある女の子だし、内向きのところが治れば自分よりもモテるだろうと思うのだけれど。
 この島なら特に。)

人参とたまねぎもある。
芋だけじゃない。

(などとズレたことを良いながら米と野菜を口に。)

藤巳 陽菜 > 「なるほど…確かに包丁も様になってたわ。」

陽菜は特に武術の経験とかはない。
多分、見たこともないような武術なんだろうなと思って納得する。

「…でも、異能を持ってるからって私の悩みとその人の悩みは違うものよ。
 もしかしたら、どうしようもないかもしれないし…。
 でも、それで少しでも楽になるなら…まあそう言っても私からも相談するだろうけど。」

異能を発現させた人は大抵それに悩むことになる。
普通の人との違い、それによる迫害なんかもあるらしい。
陽菜はそういう一切を受ける前にこの島に来ている。
故に外でのそれがどの程度のものであるか知らない。
知らない事による恐怖が自らの蛇の姿を否定する気持ちを強くする。

「へー、満更でもない感じじゃない。」

するかどうかは分からないとか死ぬかもしれないしとか。
つまり、これはかなり満更でもない感じなのでは?

「うーん、でも蛇よ?結構マジで蛇なのよ?蛇マニア以外にはモテないわ。
 しかも『それが良い!』とか言われたら張り倒すぐらいの気持ちでいるのよ?
 まあ、身体が戻ってからね。気長に待つわ。」

陽菜自身が割と人を見た目や事前の情報で判断するタイプだ。
もちろん少し話して違うなと思えば判断を改めるが。
そして、あれだこの蛇の身体(身体)が目当ての相手とは絶対に無理だ。
なんせ元に戻る予定であるのだから。

「じゃあ、じゃがねぎ?どちらにしても主役の一人が足りてない状態じゃない!
 あっご飯のお代わりってあるかしら?いや、本当に燃費悪いのよ…。」

米一つ残さずに空になったお茶碗を差し出しながら言う。
その声は終盤にいくにつれて小さくなっていく。
人参は名前に入れにくい。それに人参と玉ねぎならやはり玉ねぎの方が優秀であると思う。
ダイレクトに肉のうまみを吸収していてご飯が進む。

そんな風に食べたり話したりしながらこの島に来て初めての友人宅への訪問を楽しむのであった。

ご案内:「柊真白の私室」から藤巳 陽菜さんが去りました。
柊真白 >  
(どうやら信じたらしい。
 突っ込んだ話にならなくて助かった。
 あまり嘘は吐きたくない。)

そう言うことで悩んだことがあるって言う経験の有無は大きいから。

(悩み自体が違っても、経験からの共感などはやはり経験しないと難しいだろう。
 彼は話を聞いてくれるだけで良いと言ってくれたが、そう言うわけにいかない事も出てくるだろうし。)

だからそう言う話じゃない。
――なんにしてもそれを含めたあなたを好きになってくれる人は居ると思う。
ここは見た目にこだわらない人も多いから。

(それが蛇の身体でも人の身体でも変わらず好きになってくれる人が居るはずだ。
 数えるほどしか話していないが、彼女は心の優しい人間なのだから。
 そう言う人が居なければ嘘だと思う。)

まだあるから。
ご飯も肉も。
取ってくる。

(そう言って丼を受け取り冷蔵庫へ向かう。
 調子に乗って食材を買い込みすぎたお陰で、冷凍してある料理が結構あるのだ。
 どうせだからと色々な料理を解凍し、彼女にご飯のお代わりを。
 そのまま恋バナとか料理の話とかして、彼女の帰り際には分からない事があればいつでも聞いて欲しいと伝えて。

 彼女の魔力の気配が少しだけ変わっていた事については、ついぞ聞けなかった。)

ご案内:「柊真白の私室」から柊真白さんが去りました。