2018/08/27 のログ
神代理央 > 降り立った相手を見て先ず認識した事が【認識出来ない事】
初対面なのか、既知の存在なのか。男か女か。子供か大人か。
そういった対象を認識する為の情報が視界から得られない。

とはいえ、そういった相手は落第街やスラムでは良く会う。会ってしまう。
小さく溜息を吐き出し、相手との会話に集中する為にアンデッドの掃討を異形達に一任する思念を飛ばす。
遠くから轟音と光学兵器が放たれた音が聞こえる。今夜は、あちらこちらでお祭り騒ぎかとぼんやり考えながら相手に視線を向けて―

「何、仕事だからな。宮仕えの悲しさというやつだ。気にする事は無い。そういう貴様こそ、夜中の散歩に出歩くにしては場所も服装も随分と穏やかでは無い様に見えるが、こんな場所に何用か?」

問いかけるのは風紀委員としての職務に準じたもの。
己より僅かに小柄な相手を観察する様にしげしげと眺めながら、僅かに首を傾げて質問を投げ掛けた。

閃白兎 > 声を近くで聞いて思い出した。目の前の女っぽい男、神代なんとかだ。確か民間の軍事的な感じの企業の関係者だったはずだ。
大手企業、それも暗躍してるタイプの閃家の娘である白兎なら覚えていてもなんら不思議ではないが、正直異能もそこまで強そうではない。
戦っても勝てると確信していた相手だ。

最初の銃声よりも更に遠いところから物騒な音が聞こえるが此方はスルーで問題ないだろう。

「風紀様は大変ですね。何、敵対しないなら襲わないと言われたので降りてきた悪者ですよ」

襲わないの部分を強調してそう言えば「あなたと戦う気はないですよ」と付け加えて。

神代理央 > 「…そこまで強調せずとも、別に風紀委員は過剰な暴力組織では無い。悪者と正々堂々自己紹介する豪胆さも良い。平時であれば補導案件ではあろうが、何分此方も手が空いていない。邪魔立てしなければ、別に此方からどうこうはせぬよ」

襲わない、という単語を強調されれば、僅かに苦笑いを浮かべて首を振る。実際、眼前の相手が捕縛対象だとして、それをアンデッドの相手をしながら対処するというのは面倒極まりない。
増援が来る宛も無し。特に敵意を見せる事も無く、淡々と言葉を続けるだろう。

「しかし、自らを悪者と言うからには捨て置く訳にも行かないのでな。答える気があるのなら、偽名でも構わんから名前くらいは名乗ったらどうだ?」

認識阻害をかけているくらいだから、名前を名乗る事は先ず無いだろう。落第街の住民であれば異名くらいは持っているかもしれないが、それも人によりけり。
まあダメ元か、くらいの気分で相手に名前を訪ねて再度首を傾げた。

閃白兎 > 「そうですか。風紀を勘違いしていたようです」

仮面の下でにこりと笑ってみせるが当然神代には見えない。
彼は「普段なら補導」と言っていたが、何やらアンデッドの大量発生が起こっているようだしそこまで手が回っていないのだろう。
風紀様も大変なんだな、とか思いつつ白兎を襲おうとするアンデッドの首を素手で奪い取って壁に叩きつける。

「偽名ですかー。目立つのも面倒ですし無いんですよねー。まぁお好きにお呼び下さい。ちなみに私はあなたを知っています。鉄火の支配者、神代…神代理央でしたね」

一瞬ヒントを与えてしまう気分になったが危険だと気付いて思い止まる。
かわりに「私はお前を知っている」といった揺さぶり的なものをかけておく。
なんとなく、ここで殺した方が目立たない気がしてきたため再び脳内で協議が行われ始める。

神代理央 > 「一応、学園内の治安維持機構だからな。必要であれば殺すが、必要無ければ過度な暴力は振るわぬよ」

此の島で風紀委員会というのはどういう風に思われているのか、と僅かな興味を覚えなくもない。
もっとも、日頃の自分の行いは余り風紀らしくないかとその思考を四散させることになるのだが。

「その仰々しい名前は単なる異能の名称に過ぎない。私自身は、別に異名も何もない。他の風紀委員の様に英雄然とした行動等出来ないからな。とはいえ、名を知られているとは光栄だな。それとも、恨みつらみを買い過ぎてしまったかな?」

己の異能はどちらかと言えば後方支援型。そして、行ってきた任務は大抵が落第街やスラムで大規模な破壊を引き起こすものばかり。
そういった点で、恨まれる覚えが十二分に有り過ぎる現状では、相手が此方の名を知っているのもそういった手合かと想像する。
そんなある意味平和な会話を続けながらも、視認出来る情報を観察し整理する。極端な話、対象を認識出来なくとも武器や衣服、戦い方のスタイルさえ記憶出来ればそれ自体が情報となる。
相手を観察する様な静かな視線のまま、せめて男か女かだけでも分かればな、と僅かに溜息を吐き出した。

閃白兎 > 「治安維持、というよりかはスラムあたりを切り刻んだり燃やしたり破壊したりっていうイメージが強いので。過度なイメージです」

実際、スラム等において風紀は疎まれの対象である。他にも一部の疎まれ者はいるが、それでも風紀が大半だ。
なので風紀=暴力の具現。オブラートを外せばこんな感じだ。

「異能の名前が異名のようなものでしょう。安心してください。あなた程度恨む程でもないですよ。」

もろに煽りをいれていく。実際の戦闘スタイルは見なければわからない物だし、神代は白兎から情報を引き出そうとしているはずだ。
と、いうことで一つ提案してみることにした。

「そうだ。いかがだろう。3分以内に貴方の攻撃を一発でも私に当てる、いえ、かすらせることが出来たら一つだけ答えてあげますよ。名前以外で」

質問の裏に嘲笑を織り込んで、仕掛ける。

神代理央 > 「まあ、否定はしない。我々の任務は学園都市の風紀を守り、治安を維持する事だ。落第街やスラムがどうなろうと、極論知った事では無い」

肩を竦めて相手の言葉に曖昧に頷く。
治安維持を掌る組織が暴力を以て事に当たるのは当然だろう、とさして気にした素振りも無い。

「そんなものか?まあ、異名等名乗る程の武勇も無いがね。…あぁ、それは重畳。買い過ぎた恨みを売り捌く訳にもいかんからな」

恨む程でも無い、と煽る相手に愉快そうに小さく笑みを零してみせる。
言葉遣いは丁寧だが、此方を煽り立てる様な発言が来れば、その次は―

「魅力的な提案ではあるが、死体だらけの此の場所では興が乗らん。それに、相手から出された条件をハイ分かりました、等と飲むのは無能のすることだ。貴様とて、勝機があるからその条件を出したのだろう?」

あらゆる物事において、優位に立つのはルールを作る側だ。
そして相手は『3分以内に攻撃をかすらせろ』という条件を提示した。即ち、此方の十字砲火を回避するか、防ぐ手立てが確立しているということだ。

それが回避系の能力か、防御系の能力か。或いは、それ以外の能力があるのか。どちらにせよ、実弾メインの此方の異能に対処出来る余裕がある相手だと記憶に留めつつ、あっさりと首を振った。

閃白兎 > 「そんなことだからスラムは無くならないと思いますけどね。腐ってますね何処も」

治安維持は何も暴力が全てではない、と思っているが神代はどうも違うらしい。確かに異能やら魔術やら超常現象が当然の如くふりかざされる常世において力が全てと言っても過言ではないのだから仕方がない。

「そうですか。それは残念です。まぁ、勝機しかなかった訳ですが」

揺さぶりは功を成さず、相手の戦闘スタイルを見ることも叶わず残念そうな調子でそう応えれば懲りないアンデッドどもの頭を魔術で消し飛ばす。

「それでは。私は帰らせてもらいましょう。また砲弾を撃ち込まれては面倒ですし…。それでは。あなたもアンデッドになる、なんてことは無いことを願っております」

そう言えば返事を待つこともせずに壁を蹴って蹴って、そのまま神代の死角へと消えると何処かへと去っていった。

ご案内:「落第街の廃墟群」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「落第街の廃墟群」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「落第街の廃墟群」から閃白兎さんが去りました。
神代理央 > 「国家という機構に於いて、国民足り得ぬ者を力で排除するのは当然だからな。それは、人類の歴史が物語っている純然たる事実だろう?」

ならば、腐っているのはシステムでは無く人類という種族そのものだろうか。
如何に超常の力を得ても、世界の理を覆す魔術を行使しても、所詮は人間という種族の枠を超える事は出来ない。
銃の使い方を覚えた猿と同じかも知れないな、と皮肉げに笑みを浮かべるだろう。

「随分と自信過剰だな。だが、実力の伴う慢心であれば此方もそれを笑ったりはしない。私とて、勝てる戦以外はしたくは無いしな」

フン、と高慢な笑みと共に言葉を返す。異形達が処理していたアンデッドも、気付けば随分と数を減らしていた。

「そちらこそ、というのは無粋であろうな。ではな、名も知らぬ者。次は、精々足掻いて戦ってみせるとしよう」

此方の声は恐らく届かなかっただろう。
そんな思いを抱きながら、殲滅を完了した事を確認して、此方も廃墟と瓦礫の街から立ち去る事になる。

ご案内:「落第街の廃墟群」から神代理央さんが去りました。