2018/10/01 のログ
ご案内:「落第街の密売会場」に神代理央さんが現れました。
■神代理央 > 瓦礫と浮浪者が散らばり、夜の帳が顕著に現れる落第街。
そんな落第街にも、歓楽街もかくやと言わんばかりの熱気に包まれた場所が幾つか存在する。
此処はそのうちの一つ。一流ホテル並の豪華な内装と、露出度の高い制服を纏った女性達が唸る様な金を持った客達をもてなし、並べられた商品は法にも道徳的にも外れたものばかり。
資本主義の極地とも言える「金さえ出せば何でも買える」を体現した、密輸組織が連なる密売会場であった。
「実に豊富な品揃えだ。港の通関は居眠りでもしていたのか、はたまた封筒が立つほどの贈り物でももらったのか。まあ、武器の類だけなら島の外の方が充実してはいるが…」
テロリスト御用達の安価な兵器がコンテナ単位で売買される横で、最新鋭のパワードスーツが展示されている。
それだけなら、島外の兵器見本市でも見かける光景だ。取り扱う量を考えれば、こんなものかと言うべきだろう。
此の島で行われる密売の最大の特徴は、やはり人身売買にある。
異能、魔術、異邦人の類がマネキンの様に飾り立てられ、売買されていく様を感心した様に眺めていた。
■神代理央 > 今回は、風紀委員の任務もさることながら単純に一顧客としても参加している。
理由は簡単。金を持っているから、の一言に尽きる。
実際、こういう場で売られる能力者というものに興味が無いわけでは無い。護衛くらいになる者がいれば、購入した後正規の学生にしてやっても良いくらいなのだが―
「流石に違反組織出身だの、元テロリストだのを買う気にはなれんな。能力は魅力的な連中が多いが…」
犯罪者でも何でも気に入れば買うつもりだが、琴線に触れる者を見つける事が出来ない。
個人で護衛用の能力者を買おうとしている顧客自体が少ないのだろうか、と周囲の客をそれとなく観察しながら首を傾げた。
■神代理央 > 未だ財貨飛び交う売買は続いているものの、目当てのモノは現れそうに無い。
今日は引き上げるか、と会場に背を向ける。
「……しかし、此方の顔が割れているということは、その逆もさもありなんということに、連中は果たして気付いたのかね。いや、気付いていない愚か者が蜥蜴の尻尾になるだけか」
金さえあれば、といえども、流石に風紀委員が現れれば警戒もされる。客として、そして風紀委員として訪れていることも、主催者は承知の上なのだろう。
だからこそ、会場を立ち去る前に渡された次回の案内が記された招待状を掲げて僅かに笑みを浮かべる。
此方の思惑を知って尚、招待状を手渡すその自信は嫌いではない。
「つまらんことで崩れないで欲しいものだな。暇潰しのショッピングも、偶には悪くない」
迎えに現れた黒塗りの高級車に乗り込み、車窓から後方へ流れていく会場を眺める。
次は、少しくらい金を落としてやっても良いだろうか、と思考を烟らせながら―
ご案内:「落第街の密売会場」から神代理央さんが去りました。