2015/06/26 のログ
ご案内:「女子寮/自室」に焔誼玖杜さんが現れました。
ご案内:「女子寮/自室」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > 「お邪魔するわぁ──ってあッつい………」

トレードマークの赤いジャージを脱いで、黒いタンクトップにプリーツスカートと
すっかり涼しげな装いのヘッドフォンをした小柄な少女。
ロフストランドクラッチをつきながらゆっくりと部屋に足を踏み入れる。
未だ初夏だというのに、玖杜の自室はうだるような暑さだった。

普段汗もかかずに飄々としている其の表情には、今は大粒の汗が滲んでいた。

焔誼玖杜 > 「すみません、すぐ換気しますので……」

【言いながら窓を開ける。同時に自分の周囲だけ火気の支配によって室温を調整した。
 通された玖杜の部屋は、広めの部屋にベッドが一つと、その反対の壁際に勉強机。中央に小さなテーブルとクッションが二つ。
 目に付くのはベッドの上のやたら丸いスズメのぬいぐるみや、机の上に居座っている火の玉から手足が生えた、悪魔だか動物だか知れない奇妙なオブジェくらいか】

「わざわざ呼び出してしまってすみません。
 冷たい飲み物、用意しますね」

【そう言ってキッチンへと向かう。
 しばらくすればアイスコーヒーと、小さなチョコレートケーキを持って戻ってくるだろう。
 ケーキは勿論二人分で、自分の飲み物はホットココアだ】

薄野ツヅラ > 「あァ、其処まで気にしないでいいのよぉ──……?」

暑さに弱いのか、何処かぐったりした様子でひらひらと左手を振る。
中央のミニテーブルまでずかずかと上がり込み、
ぽすりとクッションの上に腰を下ろす。
女子寮に足を踏み入れたのは初めてのことだったからか、
どこか興味深そうにきょろきょろと部屋を見回した。
奇妙なオブジェも、スズメのぬいぐるみも流行に疎い自分の
与り知らぬところで流行しているものなのだろう、と特に突っ込むこともしない。

「アリガト、冷たいもの飲みたかったから助かるわぁ」

落第街の奥のホテルから徒歩で歓楽街の駅まで歩き、
其処から学生居住区へ。
太陽もまだ高い初夏の気持ちのいい一日。
随分と長い道程に、普段の外出は夜のツヅラの虚弱な身体は悲鳴を上げていた。

「───で、どうしたのかしらぁ?」

焔誼玖杜 > 「……メールに書いたとおり、あの怪異のことで、少し」

【言いながら自分も対面に腰を下ろす。
 コーヒーとケーキを差し出しつつ、先輩の周囲の火気を制御し、少しばかり温度を下げた。多少涼しく感じられるだろう】

「何から話しらいいのか……ああ、でも最初に……」

【悩むように視線が泳ぎ、一度机の上を見てから、テーブルの上に戻る】

「……アレはまだ消えてません。たぶん、まだ路地裏にいると思います」

薄野ツヅラ > 「でしょうねェ」

くああ、と一つ小さく欠伸をする。
幾らか過ごしやすくなった室内で、ぱたぱたとタンクトップをはためかせる。
ケーキを差し出されれば、上機嫌で一口。
もごもごと口を動かしながら、ゆったりと頬杖をつく。

「常世島七不思議、なんて云われてるようなのが。
 あんだけで討伐されるとは思わないわぁ」

目を細めて、ゆっくりと玖杜の目を覗き込むようにして笑う。

焔誼玖杜 > 「……そんなふうに云われてるんですか」

【初耳だった。そもそもこの学園に七不思議とか合ったんだ、というレベルで。
 いや、そりゃああるだろうなとは思いつつ、七つで済むのかとも思う。
 いやいや、今はそんな話ではなく】

「ええっと、ですから、少しでも知ってることを伝えた方がいいと思いまして」

【そうやって切り出す玖杜の視線は相変わらず、右へ左へと定まらない。
 どうにも自信がなさそうにみえるか。
 そして、それと同時に、頭の中に直接響くような声が聞える】

『……小娘。そのまま玖杜の相手をしながら、我の声を聞け。
 返事は頭の中に思い浮かべろ。それで通じる』

【男の物か、女のものか、幼子か老人ともつかないような声が響く。
 その声に意識を傾ければ、それが机の上から聞えてくるのに気付けるだろう。
 例の奇怪なオブジェからだ。目の前の玖杜からは、その声に気付いた様子は見られない】

薄野ツヅラ > 「今決めたわぁ」

やる気なさげに、気の抜けた笑顔を向ける。
適当に記事にしちゃえば事実になるわぁ、と人差し指をぴんと立てる。
おろおろと狼狽える玖杜をぼんやりと眺めながら笑う。
ふと、頭に響く声があれば。

(あァ───……?
 精神干渉系の異能──……、其れにボクに干渉できるとなると超高位……)

一瞬顔を顰めてオブジェを見るものの、特に変わった様子もなく玖杜も気付かない。
云われて通りにするのも癪だったが、今は情報がない。
大人しく云うことを聞くのが賢い、と判断すれば。

(此れでいい訳ェ──……?
 て云うか名乗りもせずに勝手に人の頭の中にずかずか上がり込むモンじゃないわよぉ──……)

もぐもぐとチョコケーキを頬張りながら、玖杜に続けて、と声を掛ける。

焔誼玖杜 > 「ええ……」

【まさかの今決めた宣言に声が漏れる。そりゃあ漏れる。
 でも七不思議なんてそんな物だろうか】

「……えっと。
 あの怪異なんですが、多分、私と関係がある……みたいなんです。
 以前遭ったときもなんですけど、その、ハッキリと存在を感じられるというか、上手く表現できないんですが」

【見えなくてもそこにいるのがわかる、気配がわかるのだと。
 表情は……あまり変わらないが困っているようにも見えるだろうか。
 その一方で、オブジェの声は偉そうに鼻(?)をならす】

『……名乗るにも不都合が多い名なものでな。呼ぶなら、《フサッグァ》とでも呼べ。
 玖杜の……保護者のような物だ』

【フサッグァと名乗った声は、そのまま無遠慮に声を響かせ続ける】

『単刀直入に伝えよう。
 あの怪異は、我らだ。
 我の一側面であり、玖杜の半身でもある。
 玖杜が存在を感じ取っているのはその為だな』

【言葉と同時に映像が流れ込む。
 ソレは学生通りで蹲る玖杜と、その影から這い出すように蠢く黒い怪異の映像だった】

薄野ツヅラ > 「ええっと───……
 一先ず成程、と。関係があるって云うと、ええと」

困ったように目を細める。
余り怪異の類に明るくない彼女にとっては理解するのに多少の時間がかかる。
其れなりに聞いたことはあると云えど、
精々趣味で運営しているサイトに面白おかしく記事を書いた程度だ。
暫し瞑目していれば、再び頭に直接声が流れ込む。

(随分と悪趣味な保護者ねェ──……
 人の頭に土足で上がり込んでるようなものよぉ)

不機嫌そうに目を細める。
もきゅもきゅとチョコケーキを咀嚼する。

(何、此れは。捏造にしてももっとまともなモン持ってきなさいよねェ──……
 なら責任取ってアンタがなんとかすればいいんじゃないのかしらぁ?
 一側面も何も説明が足りな過ぎるわぁ、
 ボクはあくまで人間が好きでこの街の情報を掻き集めてるのだけどぉ)

あくまで怪異なんかに割く時間はないぞ、と。
情報はそっちから出せ、と"其れ"に煽るように思案する。

「ンー、久々にチョコケーキなんて食べたわぁ──……☆」

にぱっと柔らかく笑った。