2015/08/09 のログ
■ミウ > 陽子ちゃんが別の提案があり、それを聞くとミウはゆっくりと頷いてみせる。
「そういう事ね。
もし玲刃君と会う機会があれば、その事を伝えておくわ」
ミウが襲撃犯の片割れだという事実を認めないまま話を進める。
だがこんな話を持ちかけてくるぐらいだ。
証拠こそ提示出来ていないが、彼女には確かな根拠がある。
陽子ちゃんの中で、既に共犯者がミウだと薄々気づいている事は間違いないかな……。
「だけど、その話にのるかのらないかは本人次第ではないかしら?
言っておくけど、玲刃君は退屈な事が大嫌いよ。
入院中に、病院を脱走してしまうぐらいにはね」
■嶋野陽子 > 『玲刃君は、退屈な事が大嫌いよ。
入院中に、病院を脱走してしまうぐらいにはね』
というミウさんの言葉を聞いた陽子は、
「白崎先輩には、このお城も退屈なのでしょうか?
それともここなら大丈夫ですか?」と聞く。そして、
「もし、ここなら大丈夫でしたら、病室とこの天界を
結んで、普段はこちらで過ごしてもらう手もありま
すね」と代案を提示する。移動手段についてはアテが
あるようだ。
「私がこんなことをしてるのは、白崎先輩が、偶発的
に風紀や公安相手に全面戦争を始めたりして欲しく
ないからなんです。どうも先輩は自分の行動が第三
者からどう解釈されるかに無頓着ですので…」と、
何故ここまで気にかけるのかを説明する陽子。
■ミウ > 「もしそんな事ができるのならば、玲刃君にはこの神の領域よりも彼自身の自宅が適している……かもしれないわね」
もちろん、それも本人の意思次第であり、ミウが勝手に話を進めて良い事なのか分からない。
だけど、彼もながく音音ちゃんと離れたくはないだろう……とは思う。
こんな提案を申し出るぐらいなのだから、移動手段は問題なさそうだ。
「でも、本当にそんな事をして、あなたは大丈夫なの?」
きょとんと首を傾げる。
それは襲撃犯に対して行うには寛大すぎる行為である。
はたして、風紀委員はそれで納得するのかな……とも思う。
「確かに、彼が風紀や公安と全面戦争になっては危険ね……。
友人をそこまで気にかけてくれる事に、感謝するわ。
彼が第三者からどう解釈されるかに無頓着……ね」
それは、共に本部襲撃を行ったミウにも、もしかしなくても当てはまるかもしれない……と一瞬考えて、目を背ける。
ご案内:「天空の城の一室」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > 『でも、本当にそんな事をして、
あなたは大丈夫なの?』という、ある意味当然の質問
には、
「そこは、私の方もこれから生活委員会の中で調整し
ないといけないので、準備に少し時間がかかるし、
調整の結果、私が提案した事が100%通るとは限りま
せん」と、結果を保証できるとは限らないことを
正直に告げる陽子。
風紀委員会の内部事情は分からないが、先日の一件
がある以上、こと白崎先輩に関しては生活委員会の
面子に泥を塗る事が許されない状況にあるのは事実
だ。法の番人が率先して違法行為に手を染める訳に
は行かないのだ。
■ミウ > 「そう……なのね。
でも、あなたなりに本部襲撃事件を解決するよう努めている事は分かったわ」
ただ、陽子ちゃんが善意で成そうとしてくれていても、100%通るとは限らないという事は、ある程度のリスクには繋がりかねない。
だが天界に訪れたのが陽子ちゃんだった事は幸いだった。
もし陽子ちゃんではなく、躍起になっている風紀だったと考えると……いや、想像もしたくない。
「ひとまず、あなたの話は分かったわ。
だけど、決めるのはわたしではなく、玲刃君ね。
この件に関して、わたしはもし彼に出会えたら、事実を伝えるだけで、一切の説得はしない。
それでも、よろしいかしら?」
上品に微笑みながら、そう質問する。
■嶋野陽子 > 一切の説得はしない。
ミウさんのその一言には、
「白崎先輩を『説得』できるのは、それこそ白崎
先輩の頭が上がらない人だけでしょうから、そこ
までは求めません。伝えて頂けるだけでも上等で
す。ここの事も、ミウさんの事も、私の中だけに
留めるつもりですし、もし白崎先輩が私と話をし
たいと言われたら、私の方から出向きます。」
と答える陽子。
気がつけば外は夜の帳が下りつつある。
「今日は長いこと私の話にお付き合い頂き、ありがと
うございました。そろそろお暇する頃合いかと思い
ますが、いかがでしょうか?」と尋ねる陽子。
■ミウ > 「分かったわ。
ここでの事を伏せてくれる事に、感謝するわ。
それでは、もし玲刃君がこの話に了承した時は、お願いするわね」
やはり、ミウには何とも言えない事なのでそう返すしかない。
「こちらこそ、良い話ができたわ。
そうね、それなら下界まで送って差し上げましょうか?」
笑顔でそう提案する。
■嶋野陽子 > 『そうね、それなら下界まで
送って差し上げましょうか?』と提案するミウさんに
少しの悪戯心と、自分の能力を伝える意味を兼ねて、
「いや、これから私がやる事を見ていただけますか?」
と答えた陽子が、
「Scotty, beam me up!」
と口にした途端に、陽子の身体が光の中に消えていく。
テレポートとはまた違うが、陽子にも瞬間移動の
手段があるのだ。これが先程言っていた、
『移動手段』だったのだろう。
地上の秘密基地に転送された陽子は、そこから徒歩と
電車で、無事女子寮に帰り着いたのであった。
■ミウ > 陽子ちゃんがやる事をみてほしい、というので。
「了解したわ。
またね、陽子ちゃん」
と、首を縦に振り、手を振る。
すると、陽子ちゃんは光の中へと消えていった。
移動手段というのも、おそらくこれの事……なのだろう。
その後どこに転送されたかまでは、ミウには知らない事である。
ご案内:「天空の城の一室」から嶋野陽子さんが去りました。
■ミウ > その後、ミウは先程の部屋に、テレポートは使わずに歩いて戻る。
そして再び足を抱いて椅子に座り、そして俯くのだった。
風紀委員会本部襲撃の件に関しては、ミウにとっても心の痛手になっている。
玲刃君を抱いてこの城に帰還した際に残ったものは、無力感や罪悪感。
破壊するだけ破壊しておいて、襲撃により風紀委員など何人もの心を踏みにじっておいて、何の成果も上げられなかった。
死傷者こそ出さないようにはしたが、襲撃による世間の傷跡は確実に残っている。
実際に本部で派手に陽動し暴れたのは、玲刃君ではなくミウだ。
その事実をなんとかすれば、もしかすれば風紀からの恨みをミウ一点に引きつけ、玲刃君から逸らさせる事ができるのではないか、とも考える。
その考え自体があまいかもしれないけれど……。
襲撃と言っても、玲刃君がした事は潜入と逃亡時に多少破壊行為を行ったのみだ。
『襲撃』といういうなら、その役割はミウが一人で担当したと言える。
少々、いやかなり陽動をやりすぎた感もある。
これだけの事実があるが、共犯者という関係が玲刃君を庇おうとする上で障害となる。
白いローブを羽織った人物がミウであるという正体を明かすタイミングも重要だろうか。
今のところ、正体を明かすタイミングで玲刃君を助けられる作戦がある事も考慮して身を潜めたままでいる。
わざわざ自分から明かして、あらゆる可能性を狭める必要もない。
そういう意味では、陽子ちゃんの対応には感謝しなければいけない。
「……何もかもうまくはいかないものね」
島の正義である風紀委員の失墜した面子を回復させる事も視野にいれておかなければいけない事かな。
孝一君や金髪眼帯の少女の言葉、そして陽子ちゃんの手紙によりミウの心が全く動かなかったわけでもない。
ミウにとっても、正義である風紀の面子を考えるに至っていた。
早い方法は、捕まる事である。
ただ、玲刃君を売り渡してまでするような事でもない。
とは言え、自分が出頭したのみでは解決しないのも事実。
この点も難しい問題だ。
それに、あんな事をしておいて風紀の面子を気にしようとしているなんて、誰も信用しないだろう。別に、それでも構わないけれど。
そして、風紀からすれば『ふざけるな』という話にもなり、余計に怒りを増やす事になるので、ミウの口からは言う事もない。
玲刃君を助けて、彼の剣を取り戻し、風紀委員の面子を回復させて、世間を安心させる……。
この全てをミウ一人で行うのは、恐ろしく難しい……。もしかしたなくても、不可能かもしれない。
「……考える事は、山ほどあるわ。
落ち込んでなんて、いられないわね」
翼を広げると、辺りに羽根が静かに舞った。
ご案内:「天空の城の一室」からミウさんが去りました。