2016/03/27 のログ
ご案内:「常世大ホール外」にナナさんが現れました。
ナナ > 「立てこもり?」

立ち寄った常世学園大ホール外。
集まった人々。真剣に呼びかける暴徒鎮圧委員。
その割に妙に緊張感のない人混みの人々。
何かイベントでも眺めているかのようだ。

人混みは好きではないし、何より知り合いに出会うとまずい立場なのだが、
いかんせん興味を引かれすぎて人混みの中に入り込んでしまった。

どうも先生の一人が立てこもり事件を起こし、突入した部隊も帰ってこないとのこと。
その割に見学している人たちにはあまり緊張感が見られないような。

ナナ > 自分の格好もそれなりに目立つが、この学園ではそれ以上に個性的な人が多すぎて、人混みの中ではかえって目立たない。
それをいいことにちょこちょこと人混みの中で動き回って周りの話を盗み聞きしているのだが。

「何でみんなこんなに安心してるんだろう……」

学園では何度か大きい事件もあった。
『異能』を持つものが集まるこの学園では銃もナイフもなくても流血沙汰に、いや、それ以上にひどいことになりうる。

その割に、なんだか周りの生徒に緊迫感はない。
どうも先生がすぐに降参するとでも思っているような雰囲気だ。

ナナ > と、ここでどうやら動きがあったようだ。
先生が学園の大ホールにすごい剣幕で突入していく。
あまりの剣幕に呑気に話していた群衆もやや静まり返る。

が、そんなことより気になったのはその話してる内容だ。

「……ま、毎年?」

聞き間違いではない、はずだ。
毎年こんなことをしている先生がいる、ということだろうか。
生徒も変人が多いこの学園だが、どうやら先生も中々に個性的らしい。

ナナ > 鬼のような形相の教師が飛ばす怒号。
返ってきたのは真剣なのは分かるがなんとも拍子抜けする言葉だった。

「ああ、だからこんなに緊張感ないんですね……」

そうと分かれば安心である。人混みの中に混ざって見学をすることにした。
毎年、ということは大方最終的には中にいる先生が根負けするのだろう。

ナナ > 誘惑の力がこもった声。
関係ない見学者でさえくらりとするようなその甘美な誘惑。
きっぱりとそれを断る姿は確かにかっこいい。のだが。

(『今は』って言った。)

きっと、同じことを考えている生徒は自分だけではないだろうと考えつつ。
緊迫しているのになぜかほのぼのしているようにも思えるやり取りを眺めるのだった。

ご案内:「常世大ホール外」に士尺 流雲齋さんが現れました。
ナナ > 「弱っ!?」

親に叱られた子供のごとくギャン泣きする先生(たぶん)の声を聞き、思わず叫ぶ。
群衆は『ああ、やっぱり』程度の雰囲気なあたり慣れているのだろう。

これで一件落着、なのだろうか。
毎年行われていると思うとそれはそれでほほえましいような、恐ろしいような。

士尺 流雲齋 > からん、ころんと乾いた音が鳴る。
音がしたほうから、小柄な爺が杖をつきつき、近づいてくる。
周囲の野次馬にごめんよと小声で謝りながら最前列に近づき、若者たちの間からひょっこりと顔をのぞかせた。

「ほ。ちと、遅かったかのう。
今年はどんな展開になるか、わくわくしてきたんじゃが、あっさり終わってしもうたの」

やれやれと、首を振る。

ナナ > 最前列に近寄ってきた老人。恐らくはこの人もまた教師なのだろう。
わくわくしてきた、というからにはもはやイベントと化しているのだろうか。
事件扱いすらされない立てこもりの主犯をちょっとだけ不憫に思いながら、前に出た先生に道を譲る。

士尺 流雲齋 > 「おう、お主は生徒かの。この年寄に譲ってくれてありがとうじゃよ。もう、茶番は終わってしまったようじゃが」

麦わら帽子の少女へ、にっこりと笑いかけ。
それから、改めて術が解けてきた生徒たちを遠目に見やる。

「しかし。
鎮圧委員の中に気のせいか、儂の知る顔が居るのう。今年卒業じゃったか。
不意の術なんぞに惑わされぬよう、そう言う講義もやってきたような気がしたんじゃが……」

背を向けているが、その表情はどことなく険しい。
細まった眼がきらりと光る。

「冗談でなく、本気で留年させた方がよいのやもしれんなあ」

ナナ > 「いえ、人生の先輩にはやはり道を譲らなければ、ということです。」

物腰柔らかそうなおじいちゃん……かと思いきや。
割と本気の声音だった。
本気と書いてマジと読む声だった。

卒業生の無事を心の中で祈りつつ、隣の老人と事件の中心人物の声に耳を傾ける。
鎮圧の功労者はいいことを言っていたのに、最後の飲み会発言で見事台無しである。

士尺 流雲齋 > よりによって卒業式当日に留年宣告とか、流石に鬼だろ……鬼だった。
それはさておき。

「いや、儂なんぞまだまだ、と言いたいんじゃがの。
これを見てると、先輩への尊敬とか、どうでもよくなってくるわい。確実に一人は儂より年長だというに……。
余計な一言がなければの、恰好はついたんじゃがな。
おうおう、生徒たちが呆れておるわい。どっちが童なのやら」

からからと愉しそうに笑う。

「式後、崑崙で騒ぐ教師陣も、もはや風物詩じゃわい。
さて、そろそろお礼参りの時間じゃの。今年は何人でどんな手段で来るやら……」

時計を見ながらふむ、とひとり頷き。

「儂はこれで失礼するとしようかの。お主も、またの」

ナナ > 「あ……はい。それではまた。」

ちょっと出遅れてきたおじいちゃんは楽しそうに去っていく。
この先生より年上なのはどこのだれだろうか。
声からは判別できないあたり、たぶん長命の種族だろう。
尊敬がどうでもよくなる、というあたり多分二人の教師のどちらかだとはおもうのだが。

考えを巡らせているうちに老人の姿は見えなくなり、人混みも徐々に減っていった。

「さてと、私も帰ろうかな。」

人が減って目立つ前に、とは口に出さず。
人目につかない道を通って姿を消した。

ご案内:「常世大ホール外」から士尺 流雲齋さんが去りました。
ご案内:「常世大ホール外」からナナさんが去りました。