2016/06/14 のログ
ご案内:「落第街 中心部」に五代 基一郎さんが現れました。
五代 基一郎 > 異邦人街と歓楽街とも等しい距離にあり、海岸や沿岸部からも等しい距離にある……
地理上からみても中心部にあり大通り、メインストリートのさらに中。

落第街の中心部にある雑居ビルの階段部を上がっていく。
その雑居ビルは落第街にある建物”らしく”下から上の階層まで下の需要を満たすもんろあであった。
あったが、その中の一つがまた下でのトラブルか、物騒な手入れが入り
それらを畳まなければなったため
その空けたスペースにお邪魔することとなった。

無論、こうして来るということはそれなりの目的あってのことである。
今回はその物騒な手入れが関係していることは言うまでもなく。

その手入れというものは風紀や公安が、というものではなく
この落第街の中での勢力によるものである。
島の公権力による手入れが無いわけではないが、ここまで徹底的にやり
またそれで生まれた骸や何やらを雑に外へ放り出すようなことはしまい。
この時期独特の湿度のせいか、未だに血が乾ききらず薄くなった硝煙よりも香るこのフロアで行われたことは
徹底的な実力による排除というのは、疑いようもなかった。

気配はなく、そういった残り香しか漂わないフロアを見渡し今回きた理由を反芻する。
思い出す。
先に上げたように、公安風紀の介入は確かにあるが
それはまるで異国に攻め入るようなものである……というのがここ数年で見てきた感想だ。
同じ島であるのに、独特の法と独自のネットワークが気づかれている。
島中心から防護のためにその辺りは切り放しているのかもしれないが
ほぼ地続きの別の国のよう。ここはここの連中のテリトリーと化している。
故に島の一部である実態と、島とはまた別の自治権になりつつあるその実態との間での矛盾が
公権力の介在のしにくくさと加えて言えば外勢力の介入を許すことに繋がっていた。

故にこの、というより今回はそういったものをどうにかするために
落第街について自分よりも長がある凛にこの落第街のネットワークインフラ
デジタルな部分の領域についてご意見を伺おうとしてきたわけであるが。
実際凛ほどここの、こちら側の実情について把握できている者は少ないのではないかと思う。
制服があればその目立つそれに扉を閉じていくのが薄暗い側の住人であるしと。

扉に鍵がかかっていないそのフロアにお邪魔し、施設のインフラの様子を見ながら呟く。

「流石に再利用する部分は潰してはいないな。電源とLANネットワーク基部は……一部無事か」

レインコートに施した光学迷彩装置を解除してから二度三度雨を払う。
今回はわかる相手への警告の意味もある。侵入した形跡に対して気を使う必要はない。
足元には自動小銃のものか、空の薬きょうが転がっていた。

ご案内:「落第街 中心部」に六道 凛さんが現れました。
六道 凛 >  
『一部? いいや。全部無事だよ。丸見えだ』

イヤホンから聞こえる声。
すでに凛は潜っている。肉体ではなく精神が。
もともと、そっちからだけで十分なのだ。今日の用事を終わらすには――
なにせ、戦闘能力は皆無。万が一、があっては困る。
今は、家のベッドの上で寝ている状態。
寝ているのではなく、精神をネットワークにダイブさせているだけなのだが。

壊せば、何とかなる。それはもう、過去の話。
こうして電子の世界が構築されてしまった今では、当然足跡が残ってしまう。
たとえきれいに消したとしても、より高位なものには再生されてしまう。
だからこそ、上位のネットワーカー。ハッカーなどは、こう称されるのだ。

    ウィザード、と。

『足跡は残すんだっけ? 派手に探ればオッケー?』

五代 基一郎 > 「文字通り別世界の話だな……」

いくら赤外線等の暗視装置を使っていなくても外から見れば
手入れの余波か、破壊されているのは目に見えてわかる。
しかし凛から……すれば電子の世界からすれば、ほぼ無傷で残っているという。

「それは物理世界……の話だ。今回は実世界での管理者がいない手合きのネットワーク端末から探りを入れに来た。
 そちら側で派手にやれば、ここにHO(ヘイヴン・アウトカムズ)社の息がかかった連中が押し寄せてくる。
 流石に異能の使えないただの人間にそれらの相手は無理だよ。とっとと逃げるしかない。
 ……しかし見えているというが、実際”どこに”接続しているんだ?
 その辺りの解説も頼むよ。」

ヘイヴン・アウトカムズ社。通称HO社は大変容の以前から東欧で活動していた民間軍事会社である。
天の外より来た者、或いは外を封じた結果生まれる者達と呼ばれるそれら。
彼らは大変容以後はその以後に生まれたもの、出てきたものを吸収しその勢力を伸ばしている。
表社会ではいくつかの国を経由した偽装の警備会社として進出しているが
裏では大変容以後に必要とされた、大変容以後の力に対抗しうるものの兵器化研究を行っている。
異能者であり、異邦人であり、または……

この島ではその研究のサンプル収集と実働実験をしているのではという所までは調べられているが
実態はこの島の勢力を経由……違反部活等に武装や兵器、研究物を提供していることで
明るみに出ること、その本隊であり実体を掴ませないようにしている。

ここに手入れを行った連中も、その協力関係にある勢力と見て間違いはない。
だからこそ、その勢力の介入直後を狙ったわけだが。

「ウィザード、それと入口は家じゃなく船から頼む。こういう時は家も安全とは言い難いんだからな。」

六道 凛 >  
『隣人に対して失礼だな、って。あのお茶くみロボットに言われるよ?』

つぶやきを聞けば、呆れ気味に。
確かに壊れているが、見掛け倒しだ。まったく問題ない。
ウィルスで死滅、ダミーを施している可能性はある。
が――そんなもの、調べないはずもない。ここに残ってるのは
サルベージできる、きれいな形をした宝箱ばかりだ。
――別から見れば、ゴミとも見間違う外見だが。

『落第街、だけの話じゃないけど。ネットワーク。電子って、どこから発信されてると思う?』

解説をお願いされれば引き受けよう。今は、案内人でもあるし。
ひそやかな、端末を話しながら。シュージンはてくてくと歩いていく。
センサーもなんのその。すでに”犯罪者なら反応しない”という改変は終わっている。

『シュージンのほうがしっかり来るよ。あそこ寒いし、独りなのやだから嫌い』

五代 基一郎 > 「気を付ける。」

実際インフラとしてそれらが無くては既に人々の生活は成り立たず
正しく表裏一体、隣り合う世界なのではあるが
それらに住まうものではなければ別世界と感じるのが人間だ。
実感と言う言葉は薄い感性と言われそうだが。

「どこ……からと言えば物理的なサーバー、それに繋がった端末や回線の基地局……?」

ネットワークとは文字通り繋ぐものだ。
場所と場所を繋ぐ、その場所と場所にあるデジタルなデータの集合体同士を繋いでいるもの。
開発については構想がそもそもニコラ・テスラのであったりやら
核戦争に対して等色々あるが身もふたもない実態としてはそうであろう。
大体そのあたりは情報基礎として大体の人間は知っていると思うが。
どこからと言われればそう答えるしかない。

「命の危険はそこより格段に低いぞ。そこ一応民家だからな、防護してあるとはいえ。
 完成するまで我慢してくれ。今月には終わる。」

あとこういうときは特定個人が察知されるような言葉は使わないほうがいいと
シュージン呼びに茶々でもなく業務上の注意として一言言っておく。
船や完成の時期については、そもそもこの会話自体凛がプロテクトを掛けていることを前提として通話している。
実際この音声もマスクが拾っている微妙な喉の振動を変換処理して対象に送っているものだ。
実際五代は今現在口を開けて声を出してはいない。

六道 凛 >  
『はいはい、なら囮とかでも呼べばいい? 道化? ピエロ? それともギークがいい?』

注意をされれば、二つ返事でそう返し。
こほんっと咳払い。端末が見つけた。
なら、あとはそこに行けばいい。

『そう。正解。発信がなくては基礎は成り立たない。
材料がなきゃ、作るものも作れないしね。その認識で間違ってない。じゃあ――」

続ける

「リアルでそれらが壊れたら、跡形もなく”電子世界―こっと―”はなくなっちゃうとおもう?』

我慢しろと言われれば、二つ返事。
命をベッドされたら誰だって降りる。

五代 基一郎 > 「不服なのはわかっているから、そう邪険にしないでくれよ」

実際そうは言われても何と呼べばいいのかという決めるセンスがないのは自分でも良く分かっている。
特に仕事とか、重要でないようで重要なことという重さがある事柄については。
自分の状況を皮肉っているのだろうがそういう相手に対して露骨に態度がでるのもまたわかりきったことで
言葉を選ばなければ我儘いうな義務上の仕事だぞとなるがそこまで直球を出すわけでもなく。
ただ困らせないでくれとしか言いようがないのが難しく感じているところなのであるが。
御姫様をあやすようにするわけにもいくまいし。

「いや。本体は別にあるところだし無くなりはしないと思う。
 もちろん本体が無くなれば別だが……どう繋がるんだそれが」

気配はない。人の気配もなく。機械の駆動温もない。
ただ自分が入ってきた場所からの侵入を警戒し、机一つ挟んだ壁際で
静かに身を隠す。

六道 凛 >  
『そうでしょう。なくならないでしょう。現実世界で、建物が壊れた瞬間がれきの山となってなくならないように――こっちだって、そうなんだよ。だから――現実から見て壊れていて、無いはずの場所でも、ボクからしてみればつなげる場所はいくつでもあるんだよ。ひらけーごまと、唱えればね?』

くすりと、笑った。
そう、つなぐ場所なんてごまんとある。
壊してリセットして、なくそうが”残る”のだ。
ジャックを、入り口を必要としない”六道凛―ニューロマンサー―”は、そういった場所からもつなげる。脳、さえ正常に生きていればどこでも。
入り口を、想像できる。創造、できる。

『あと2秒で終わるけど、なにかご注文は?』

正解は明示しない。あとは自分で考えて、ヒントは出したからと、続きをしゃべる様子はないようで――

2秒と、そう告げたシュージンのアイコンは、目の前のどさどさと倒れ伏してる図書棚の大群を目の前に。
めんどくさ、とため息を吐いた

五代 基一郎 > 「どうアプローチしているのかはわかったが……いや、わからないことがわかったというべきか」

別の世界、違う世界だからわからない……というわけではない。
知りたかったことと言えばこの落第街のネットワーク構築、その世界というものだったのだが
その知りたかった回答。明確な答えなどなくてもそれらを察するには十分だった。

人が望む限り、そうした電子の世界の構築物は増えていく。
サーバーという世界、ネットワークと言う名前の道路。
そしてこの落第街というアウターは人の欲望が生み出しているのならば
それは文字通り際限なくある。際限なく作られていく。
現実世界の如く、この落第街のネットワーク世界も混沌としていると言っていいのだろう。
そんなものの全体像を掴むなど、到底出来ることではない。
であるならば狙いを定かにして点を突くほかないだろう。
文字通り虱潰しにしていく他あるまい。
生み出すものを消す以外の方法となればそれぐらいか。

だからこそ凛はどこからでもアプローチが可能なのだろう。
最も欲望に近かった、欲望そのものの器だったと言えるシュージン、美術やにとっては。

「ここを経営していた連中が持つ文字媒体の記録だな。対外、内部の情報記録が出来るだけほしい。
 どこの組織と争っていたかが欲し……」

と、続ければその言葉は遮られた。姿は光学的に処理され消えているが
人の身の丈より巨大な何かがそのフロアに……破壊された通り側の窓から侵入してきた。
他にもそれより小さな何かが入ってきたことが、いくつかガラス片を砕いた音から察せられる。

「巡回かもしれない。俺はやり過ごすより、撤収したほうが良さそうだ。」

六道 凛 >  
『――持っていけるだけ持っていくとするよ。帰りやすくはしておくから遅くならないように』

相手が悪かった、というほかないだろう。
いや、都合が悪かったというべきか――美術屋は、元、男娼だ。
パトロンの中に、その関係者がいても不思議じゃない。
さらに言えば――この常世島で、美術屋以上に仮想のこの世界で勝るものは、まれだ。

『今日は、肉じゃがと生姜焼きそばと、生姜サラダだから』

撤収と聞けば、それだけ告げて。声が消える。
イヤホンからは一切、音が聞こえなくなり――