2016/06/16 のログ
ご案内:「秋輝の私宅」に寄月 秋輝さんが現れました。
■寄月 秋輝 >
預かってきた大太刀を前に、正座して目を閉じる。
刀と呼吸を合わせる。
指紋と血液の一部は既に渡してきた。
同時に、ほぼその事件自体は解決していたらしい。
安心して、手入れが出来る。
(……大した刀だ。
血が付いて放置されていたにも関わらず、研ぎが必要なほども劣化してない)
神性を持った刀は、こうして霊的にも魔術的にも守られる。
研ぎが必要ないならば、かなり手間は省ける。
■寄月 秋輝 >
隣に置いた布を口に咥え、刀を手にする。
美しいその刀身から、ゆっくりと汚れと油を拭っていく。
(……すぐに綺麗にするからね……)
心で語り掛ける。
打ち粉をポンポンと叩いて、全体に砥石の粉を浴びせる。
大太刀故に少々手間がかかるが、そこは仕方がない。
さらにそれを拭い取り。
(……こいつを、と……)
油を取り出す。
それは魔力を込めてあり、保管する上でも戦闘に使用する上でも、刀身を強く守ってくれるように細工してある。
その油を軽く布に含ませ、さらりと撫でるように染み渡らせる。
■寄月 秋輝 >
(最後にこれを……)
長い包帯のような布を取り、刀に巻き付ける。
くる、くる。くる、くる。
同じく魔力を込め、内から外に力を漏れさせないための布。
それで一時的に、刀を『封じ』ていく。
(鞘が無いと、刀は何をするかわからない……
しばらくの間だけ、そこで眠っていてくれ)
くる、くる。くる、くる。
刀身をしっかりと覆い、今度は刃先から鍔元まで引き返すように巻いていく。
根元に余らせた部分と交わらせ、そこでぎゅっと縛る。
余った部分はそのまま余らせればいい。
■寄月 秋輝 >
刀をまっすぐに立て、もう一度心を通わせる。
主人ならざる者の手入れを受けさせて申し訳ない。
そう囁きかけ。
そっと刀を下ろし、用意してある布団の上に置く。
鞘が無い以上、こんな場所にでも置くしかない。
口に咥えた布を取り、刀に向かって静かに一礼した。
■寄月 秋輝 >
静かに下がる。
同時に、持ち主への怒りがわずかに溢れる。
「……場合によっては、すぐには返さんぞ……」
秋輝にとって、刀とは『道具』ではありえない。
それを打ち捨てるなどという行為は、如何な理由があろうとも許せない。
武器、刀とは、彼にとっては自分の命を守る体の一部のようなものだ。
決してただの道具であってはいけない。
■寄月 秋輝 >
近々来るかもしれない。
その日まで、この刀を守り通そう。
(アイリスにお茶とお茶菓子の用意をさせるか)
一応は客人を迎える用意をする考えを残しつつ、和室を出た。
ご案内:「秋輝の私宅」から寄月 秋輝さんが去りました。