2016/08/01 のログ
■ライガ > 「そうか、じゃあよかった。
自動で銃弾を生成して装填できればいいのにね。材料の金属がないと困……
いや、同じ弾ばっかり作ってても困るか」
目の前に居るのは、確かに荒事屋と呼ばれるだけの装備をもっている風紀委員ではあるが、
年頃の女子学生でもある。仕事漬けになっていないか心配するのは当然であった。もっとも、その必要はなさそうだが。
「ま、治りきったら治りきったで、やらなきゃいけないことはあるんだけどね。
まだ半人前、仕事以前の問題ってところさ」
ヒラヒラと手を振るが、別に魔術なんかなくてもそこそこ壁要員にはなりそうな体格ではあった。
「外から捻じ曲げられた存在か。うーん、思い当たることがなくはないけど、全部終わってから考えたほうがよさそうかな。
そして、思いもよらない攻撃、ね。こっちの想定外の事態が起きる可能性があるってことか。
今までの事例からすると、最後の三分の一はおそらくカエルかな。水に関係するとは思うけど。
確認のため訊くけど、泳げる?」
忘れないよう、メモに、『ただの悪魔ではない、何らかの要因で捻じ曲げられた存在である可能性』と書き足す。
最初の一体が接近型、今回の二体目が中距離型とすると、最後の一体は遠距離型、もしくは射撃型。
勿論予想に過ぎないが、何処に出現するかも含めて、余裕をもって考えなければ。
それが終わるとペンを置き、シャクシャクと、スプーンを進めて、山の緑を刈り取る。
盆地になった雪原に、残りの紅茶を注ぎ込めば、琥珀色の湖が出来上がった。
きらりと光る黄金の眼はまだ何かを言わずにおいているようだが、それを読み取ることは難しいだろう。
と、視線に気づいて、じっと見つめ返す。
「ん、どうした?」
■レイチェル > 「ま、そういうこったな」
戦いの中に生きているが、それでもレイチェルは今年で17。
まだまだ『少女』なのである。
ひらひらと手を振るライガを見て、またこの男も色々な事情を抱えているのだな、
などと改めて思ったりなどしつつ、空になったジェラートの容器を店員が回収して
いくのを横目に見つつ。
「まぁ、今は残ってる悪魔の対策を考えた方が良いだろうな。同意するぜ。
水に関係する、ね……一応泳げるっちゃ泳げるが、水の中でずっと活動
出来るような身体じゃねーのは一応言っとくぜ」
吸血鬼は流水を弱点とする、とはよく知れたものであるが、レイチェルは
ダンピールである。その辺りの心配も必要は無い。
寧ろ水中に居られる時間は人間のそれよりも、長い。
とはいえ、呼吸せず水の中に延々居続ける、というのは彼女の肉体を以てしても
無理な話であった。
「……いや、別に。気にするな。さて、話はこんなもんか?」
■ライガ > こちらも、空になった飲料の容器は、店員が回収していく。
その代わりに、すっと伝票がテーブルの端に置かれたのを、ライガは眼の端でとらえた。
「ふふ、それ聞いて一安心だよ。僕もそれほど自信はないけど。
これで全然泳げなかったら、対策考えなきゃいけないところだった。
ただ、冷気を発生させる、特定対象を凍らせるアイテムなんかはあったほうがいいかな」
ポンと手をたたき、思いついたことを言ってみる。あればよし、無ければ別の手段を用意するまで。
水に触れると消えるとか、溶けるとかならばしょうがないだろうが、短時間の水泳ならばそれほど問題ではないだろう。
そもそも水中戦闘と決まったわけでもない。
すっかり溶け、ちょっと冷えたミルクティーと化した陶器の中身を飲み干すと。
青年は何食わぬ顔で伝票を手に取った。
「そう、ならいいけど。
そうだね、また何かあったら連絡するよ、そのときはよろしくね」
■レイチェル > 「凍らせる、か……オレ自身が魔術でも使えりゃ楽なんだが、
基本的に魔術はさっぱり使えねぇからな……ま、何とかして準備はしていくとする
さ」
何か既に手を考えているのか、レイチェルは腕組みをしたまま、ニ、三度頷いた。
本来、戦闘の為に準備をしていくタイプである。
「ああ、分かった。こちらも同じく、何かあったら連絡する」
そう口にして、立ち上がる。
大きく伸びをして、一つ小さな欠伸をするレイチェル。
「さて、それじゃあオレは失礼させて貰うぜ。帰って一眠りだ」
会計を済ませた後、レイチェルはそう口にして、帰って行った――。
■ライガ > 「あ、そうなんだ。
じゃあ、こっちでもなにか考えておくよ、でもできればそこまでの戦いにならないのが一番いいけど」
とはいえ、どうなるかはその時にならないとわからない。
妙な胸騒ぎがするのを振り払い、メモとペンを仕舞いこむ。
「ああ、またね」
金髪の少女を見送ると、こちらも店を後にする。
背の高い、歩く姿がショーウィンドウに映り……影がいつもより薄まっているのに、気づいた様子はなかった。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」からライガさんが去りました。