2016/08/13 のログ
ご案内:「海岸沿いにある旅館」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「海岸沿いにある旅館」に綾瀬音音さんが現れました。
五代 基一郎 > 「急だったけど夕食の用意もしてもらえてよかったよ」

海沿いの旅館の一室。畳の部屋でテーブルを中心にして座り
そのテーブルには夕食が並ぶ。海沿いということもあって、海のものが多い。
先に話していたような麺類等はないが、夕食まで長い時間を空けてしまったのか
どれも良く見える、とテーブルを挟んで向かいにいる綾瀬に話す。


時間は戻ること昼過ぎ。
風呂場だけ借りようと旅館を訪れたのだが、失念していたのがこの夏期休暇であり
予約の客はもちろんのこと、こうして道すがらに来る人間も多いがために
風呂場だけ料金を払って入浴を、というような空きの余裕はなく
泊まりなら空きがあると聞けば大体の人間は引き返しているのか
もれなく当日用には一部屋空いている、と旅館の人間に言われてしまった。
旅館の人間からすれば一部屋に泊まる”組”だろうということなのだろうが、さりとて適切ではないなんとも
表現しづらいものなのだがと思うも
かといってこのまま帰る、帰らせるのも如何かという状況である程度に
砂と汗を流したかった。話を聞けば、一組分の夕食の用意はできる……ということなので
そうしますか。という綾瀬ではなく一応こちらから持ち出した話
ということ体裁にして、それが”自然”であるかのように進めることになった。
そこで何かぐだぐだ決めあぐねて……というのもあであるし、それこそ泊まりについてどうの考えさせるのもどうかであったと思う。

そのそれらの現れか、何もやましいことなどない。当然ですよ。
という風に進めて一部の荷物を預けて部屋に入れば
「それじゃまた後で」と浴衣を取って旅館の男風呂へ向かって砂と汗を流し
帰ってくればこうして用意された食事を前にしている。

ただ食事が用意されているとはいえ、テーブルを中心に部屋に対して絶対的な
不可視の壁を作っているのは間違いなく、預けられていない貴重品や着替え等の荷物は
絶対にそちら側のテリトリーには置かないし、こちらのテリトリーからはみ出さない。
という強い意志を感じさせていた……

綾瀬音音 > さすが海沿いって感じのご飯ですよね。
ここ島ですし当然といえば当然なのかも……?
(海に囲まれた島であったし、海産物が豊富なのは当然といえば当然なのかもしれないが、
現在進行形で住んでいればこういった場所で、こう言った食事を取る機会は滅多にない。
美味しそうですね、と笑う顔にはそれ程の緊張感は無かった。

多少施設側の都合と此方の失念からくる予定外のことが重なって、同室での泊まり、ということになったが、
そうしますか、と言われれば迷ったのは瞬き2つ程度の時間で、そうですね、と自分でもびっくりするくらいにはあっさりと言った。
汗やら砂を流したかったし、まあ大丈夫だろうと何が大丈夫なのかはさておきそう思ったので、
異議を唱える気は皆無だったのである。
基本決断はそこまで遅い方でもないのだ。

部屋に着くなり自分も男の後を追うように女風呂へと向かって身体を清めて、
現在に至る。
ちなみに浴衣はきっちりと着ていて、乱れはない。
足も確りと正座――いや、男がそんなところを見るとは思っていないけれど)

…………………。
いやまあ、食べましょうか。
頂きます
(荷物の置き方やら何やらで、絶対的な心の壁とも言えるようなものを感じ取っているのだが、
そこまですることなのだろうか。
いや、気を使われているのだろうか。
それとも何か警戒されているのだろうか。

因みに此方はそこまで過度の警戒やら緊張やらを見せる様子もなく、と言うよりは開き直っているような雰囲気である。
いろいろ考えつつ、じっと数瞬男の顔を見てから箸を手にとった。
薄い醤油色をした魚の煮付けを口に運ぶ。
味は文句なしに美味しい)

五代 基一郎 > 「島の大きさからちょっと都市部みたいなもんだし、中々ね。そこはちょっと歪かなと思うけど仕方がないかなぁ。」

海藻の酢の物を箸で弄って摘まみながら答える。
実際島で暮らしている……と言っても、食事はそれこそ学生街や中心部になれば
本土の都市部や市街地と変わらない。こうして海辺にでも来なければ
そうそう意識はしないような造りになっていると思う。
だが実際来れば、漁村とは言わないが実際に沖で取れるものであったりするのだろう。
大体の日々の、中心部でのが生産施設のからと考えればやはり旅行気分のようなものは出てくる程度に
物が違うとは思う。
勿論大体全てのものが生産施設で作られているか、と言われればNOだろうが
鮮度の問題なのだろうと思う。
同じ島のいるのに、変なものだと。


煮付けや刺身、汁もの、香のものやら酢のもの。
ときて米やらをもくもくと食べている。
やれあれが美味い、これがどうのとか、この値段でならたまにくるのも悪くないとか言いながら……

ここに来てから、部屋に来て風呂に入って戻るまでは
極々自然にふるまっていたが、いざここから同じ場所にいる時間が増えるのかとなれば
気を使う、私は何かするわけではありませんよ。という気を使う以上に警戒をしてしまっている。
していることに気付いているが、何に警戒しているのか止めることはなく。
大体良く考えれば付き合いはそれなりになってきて、長時間過ごすことも増えているのだし
何をどう、という距離的には向うの方が承知だろう。
だから部屋でも自然体でいればいい、のであるがこうしている。
食事に箸を付けながらふと思う。自分があちらに、というわけではなく。
あちらがこちらにというのを警戒しているんだろうかと。

お互いある程度の区切りはあったと思うし、自分も入れさせない線はある。
自分だけの時間、空間というものであるから。
その自分だけの時間、自分がいる世界に入られることが嫌なのだろうかと……
向うからすれば何を今更とは思うようなことかもしれない。
だが何か、それだけはさせてはいけないし……してはいけない境界のように感じたから

一応食事の間はだいたいそんな風にし、やはりいつも作ってる人間の
食事はうまいなとかいいつつ食べ終えれば

「ごちそうさまでした。
 ……腹ごなしにちょっと外行ってくるよ。今の時間なら日も落ちてるから暑いわけでもないし。」

行こうか、という誘いではなく”行ってくる”という一方的な投げかけ。
昼とは違って何か距離を取りたい様なものが出てくる。
同じ時間、同じ場所にいることを拒絶するような……
返事を待たないように、自分の膳を部屋の入口の方に退けていく。
あとで旅館の人が取りに来るだろうからと、外へ行く道すがらに。

綾瀬音音 > 確かにちょっとした街なんかよりは結構に都会ですよね、この島。
でも少し中心部を離れると途端に開発してなかったり。
面白いといえば面白いですけど。
(食事をしながら、ふと思う。
以前落第街があえて手入れされていない、と言う話をした。
それと同じように開発していない、ということなのだろうかとも思ったが、
今ここで話題にすることもでも無いだろうとぼんやりと頭の隅に登っただけで通り過ぎていく。
考えてみれば、この島はとても歪だ。

都会といえば都会のような、そんな島の事を思いつつ。
海産物メインの食事は文句無しに美味しい。
食は太い方だったし、好き嫌いも余り無いのでペースは早い。
前の食事から時間が経っていたこともあったのかもしれないけれど。
頷いたり、私見を述べつつ食事を楽しんでいた)

(いやなんというか。
そこまで警戒することなのだろうかと心底思わなくもないが、
それが男女差なのか、それとも個人差なのか――。
いまいち解らないのだけれど、特に同室だから何かをしなければならないという訳ではないのだし、
特に何かをしたいというわけでもないのである。
確かに男女が一つの部屋で一晩過ごす、と言うのは色々アレな状況なのは理解しているが、
詰まるところ、何もしなけば何もないのである。
――なので、正直に言えば。

何に対して警戒してるのか、それとも別の何かなのか。
さっぱり想像が付かないのである。

とは言え、触れられたくないラインが有るのは理解しているので、
その警戒ラインというか防衛線? を侵すつもりはない。
親しき仲にも礼儀あり。
それこそ自分たちはそういう関係ではないのだ)

ごちそうさまです。
――え、ああ、はい。
気をつけて行ってきてくださいね。
涼むにはいい時間ですし
(ほぼ同じタイミングで食べ終わり、行ってくる、と言われればきょとんとしてから、お見送りの姿勢。
自分も同じように膳を退けて、部屋から出て行くのを見送ってから――)


――――私何かしたかな……。
(流石にこれは落ち込んでくるレベルである。
さっきは楽しく過ごしたと思った。
のにこれである。
ローテーブルに突っ伏すように凭れ掛かりながらあー……とかうー……とか良く解らない声を漏らす。
それなりに――いや、それなり以上には、信頼関係を気づけてきているとは思っていたのに。

その内に旅館の者が食器を下げに来て、お布団敷きますから、と。
言われれば大人しく端に移動して、それではごゆっくり、と出て行ってから。

いそいそと二組の布団をなるべく離れるように敷き直した。
せめてもの心遣いである)

五代 基一郎 > そして、綾瀬が旅館の人間が布団を敷き直したのを弄ってから
どのくらい経ったか。

部屋に備え付けられている……それこそ、そういう時代のものを
忘れないように残されているアナログな時計の針が一周以上はしただろうか。
しばらくしてから戸が小さく叩かれ、部屋の中から返事が返ってくれば
旅館の人間がやってきて綾瀬に伝えてきたのは
そろそろ門を閉めるが、勝手口がどうのという話であり
出る時に海へ行ってくると言った連れの人はまだ帰ってきていないようだが、というものであり
それを伝えれば連れなのだから連絡は取れるだろうし、とそのまま戻って行った。

旅館の人間は知らないだろうが、そういった連絡手段の端末どころか財布なども置いて
浴衣一つ、身一つで出たので連絡の取りようもな……
というよりそれらを置いていったので、すぐに戻るような素ぶりだったのか。
そう思わせたのとは裏腹に、時間だけはどんどん過ぎていた。
日付が変わるまであと時計が一周するくらいだおるかというほどに、男は未だに戻って来ていなかった。

綾瀬音音 > (布団の上に座って、落ち着かなく携帯端末を適当に弄っていたのだが、
旅館の人に伝えられた言葉にああ、はい。と言った感じに返事をしてから。

そう思えば先輩何も持たないで出て行ったな、ということを思い出した。
時間だけが過ぎて行く中、そう言った荷物は置いてあるのだから、そこまでせずとも戻ってくるだろうとは思ったのだが、戻ってはこなかった。

このまま朝まで戻ってはこないかもしれない。

そうとも思ったし、もしかしたら――とも思う。
そう思えば、じっとなんかしていられなかった。

ショルダーバッグを手にして、勝手口から外へと出る。
海に近いせいか、思ったよりも涼しかった)


…………

(行くとしたら海だろうか。
いなければ探せばいい。
一瞬視線を伏せてから前を向いて、数刻前に歩いた道を辿る。
街灯がポツポツあるだけの道を、浴衣のまま海へと歩く)

五代 基一郎 > 「音音か」

夜の海へ向かえば、すぐに姿は見つかる。
夜の闇が支配するような、時折街灯の明かりが背にある……
遠く見れば市街地の明かりが見えるような、海面に写っている夜の世界。

そんな場所に、浜辺に足跡はあるがそこから先には足跡などないような……
つまり、そこでずっと立っていた男が探しに来ただろう綾瀬音音が声を掛けるより先に
語りかけるよう話しかけた。
今まで呼んだことがない、綾瀬音音の名前を。
ただその声には、信愛等や男女のそれの意味合いを含むイントネーションではなく
ただ、綾瀬と言えば同じ存在を知っているから個別の存在として区別するために
その呼び方を呼んだような無機質さがあった。

そして、夜の海で、夜の浜で……海と浜の境界近くに立つ姿もまた
黄昏時でも昼の時の日常とは違う姿で綾瀬音音を出迎えた。


「人は有史以前から夜と戦ってきた。夜はな、音音。
 昼間、太陽の下にある人の世界から弾かれた者の世界なんだよ。
 人の世界にいられなかった者達は夜の世界に生きるしかない。
 それこそ非日常の世界に。それは音音も理解しているだろう。
 この常世の島であっても同じ。昼の世界と夜の世界が混同した姿を見ているだろう。
 本来はハッキリと区切りがあったはずなのに、大変容以降それらの境界は曖昧になってしまった。」

そこから一歩も動かず……いや、先ほどから音音に顔すらむけず
海の方へ……海の、海の奥……果てしない先の夜の底を見ているような目で語り続ける。

「ずっと夜の世界と戦っていた。でも夜の世界と昼の世界はもう境界すら朧で
 黄昏時を歩いてきた。夜の世界だけに居続けるわけにはいかなかったんだよ。
 もう昼の世界に帰る場所なんてないし、でも夜の場所に居続けるわけにはいかない。
 だからその間にいた。どちらにもいれられないが、それでも夜の世界からの侵略者と戦うのにためらいなんてないし
 どんな数も、どんな敵とでも戦える意志はあったし持ちづつけていた。

 もうとっくに境界線がないことを知らされるまでは……」

そうしてようやく音音の方へ向いて話が続けられた。
その顔は、先ほどの別の世界から語り続けているような雰囲気ではなく

「参ったよ。どんなに人を省みないヤツとか、邪悪な異邦人とか、侵略者が来ても
 力ない人のために戦うことにためらいなんてないのにそれらとは無縁の人間が一番知らせて、わからせて……効いてる。
 痛いぐらいにさ……世界はもう……」