2016/08/28 のログ
五代 基一郎 > 「花火はまた来年だからなー」

それこそ来年また、というような軽く応えつつ
若干右手の袖が焦げて縮れてバケツの水でぬれた手を振りつつ応える。
旅館の浴衣ではこんなことできないだろう、みたいなあれそれで。
来年はどこで花火をしているだろうか……とも、ふと思いながら。

「これは熱いものだった。」

22歳児なのか、みたいな心底単純な語彙力のない感想を漏らしつつ
濡れた手を浴衣で拭いつつ、また花火を取り出して色々間違った遊びが
それこそ点火された花火の如く始まった。

「何をーっ」

するのか、と続く前にまた次々とねずみ花火が投下され
迎え撃つ手持ちの噴出花火は燃え尽きればまた適当に手に取ったものに
なんとか火をつけて向ければ設置型の打ち上げ花火に光線のように光る設置型。
過渡期に撮影された怪獣が出てくる特殊撮影映画の決戦シーンのように
閃光と炸裂音、そして煙玉によるスモークが焚かれていく。
しまいには煙を割いて虹色の光が噴出していく具合だった。


そして徐々に煙が晴れて来ればむせる声が聞こえてくるだろう。
だいぶ煙を吸い過ぎたのと、はしゃぎすぎたのもあってぐったりしてしまった姿が出てくる。
映画ならやったか、いや無傷ではなかい……しかし致命傷ではない、ような誰かの声が聞こえそうな現れ方で。

「けむいけむい、やりすぎ。」

綾瀬音音 > そりゃあそうかもしれないですけれど、
取り敢えずこの後覚悟して下さい……!!
(何やら先送りにされた気がしたので、もう一度言っておこう。
来年、と当たり前のように言われた言葉には当たり前に返した。
何処でだっていい、自分の故郷だって、この島だって、他のどこかだって。

乱暴に扱われるために着られた浴衣にはちょっぴりとジト目。
主に羨ましかったからだ)

そりゃあロケット花火でそんな遊び方したらそうなりますよ!?
(当たり前な発言に思わず突っ込んだ。
そして始まる心底頭の悪いというか、花火の宴である。
次々を点火されていく花火と、火花の音と光。
火をつけることに関しては此方が有利だ、なんてったって着火点まで温度を上げればいい話なので――間違いなく異能の無駄遣い)

ふーんだ、お仕置きです!
一人でずるいですもん……!
(子供みたいな言葉を返しながら、放り込んだ煙玉。
瞬く間に煙に包まれる庭先に、光る火花、五月蝿いくらいに鳴り響く火薬の音。
技術の発達した今となっては安っぽい演出と言えるその、子供じみた光景に、此方は腹を抱えて笑い出した。
まるで悪役だろうか。
咽る声が更に拍車をかける――だって基本無害だろうし、こう言うのって)

やり過ぎくらいでちょうどいいんです。
大体先輩だってそのつもりで遊んでたでしょう?
いいじゃないですか
(笑いを抑えてぐったりした姿にさらっとそう返して。
一旦休みます? と縁側を指差した。
打ち上げ花火はいつの間にか終わっていた)

五代 基一郎 > ふと。
あぁこれが普通なのかなと思ってしまった。
異能の力で花火に火をつける。ろうそくでもライターでもなく。
思えば、何気ないそういうことが特に違和感もなく日常にある……
今の世界の、理想の普通なのだろうかと。

「いやぁだってやってみたくなるじゃない。次はやらないよ、たぶん。」

アームミサイルとかほら、ロケットパンチとかあるじゃないなどと
どこで見たのかそんなロボットなのか子供が言いそうな言い訳をしながら
始まったまた子供がやりそうな頭の悪い花火大会が始まり
そして、煙が晴れれば終わった……
それこそ祭りが終わったように。

「それはそうだけど、これはないよ」

あぁひどい、どうしようというような雰囲気でバケツに手を突っ込んで顔を拭う。
もうはしゃいで、それが一瞬で過ぎ去ってしまったように思ったが
いつのまにか打ち上げ花火は終わっていた。
結構に時間が過ぎてしまっていたようで……

「いや、これで終わりにしておこう」

と、線香花火を最後にと束をだし、他に使い終わったのを片付け
始めて。いつでも追われるようにしながら……
片付けが終われば、線香花火と蝋燭のみ持ち寄せて一つ、一つと火をつけた。

「時間が経つのが、すごく早く感じるよ。来年なんてあっというまかもな……」

綾瀬音音 > (自分にとっては“異能を使う”と言うことは当たり前のことであり、日常の光景だ。
だから、こうして便利に日常的に使っている分には気にも止めていない。
それこそ、普通に。
なんでも無いように使うのだ)

古めかしいアニメとかにありましたね、そいういうの。
気持ちは解らないでもないですけれどー。
次にやったら流石に先輩の学習能力を疑います。
(火傷しかけたじゃないですか、と焦げた袖を指さしつつ。
本当に何歳が遊んでいるのか解らない遊びのような祭りが始まって終わって。
その中で笑いながら)

えー、でも楽しかったですよー?
まあ……ちょっと調子に乗ってたのは認めます。
(ひどい光景だったのは確かである。
本当に祭りのような、乱痴気騒ぎに近いような。
しかし心底楽しかったのも事実で、
そんな時間はあっという間に過ぎてしまった)

ん、そうですね。
やっぱり最後はコレに限ります
(片付けを一緒にしながら。
そして、一個線香花火を受け取って)

そうですね――。
この夏なんてあっという間でしたし。
来年かぁ……来年も、楽しいことあるといいですね
(“予定”では来年はこの島にはいないはずだ。
どうなるかは解らないけれど、来年も子供みたいにはしゃいで、楽しい夏に――いや、楽しい四季を過ごせればいい。
そんな事を口にする。
ぱちぱちと赤い玉を中心に弾ける線香花火は、何処か物寂しい。
夏の終わりと告げるようで)

五代 基一郎 > きっと恐らく。
来年もこうして、そんななんとなしにこんな風に過ごすのかと思う。
過ごせればと思う。来年も、また次の年も……
そうできれば。それが当たり前の……


「次は広い場所で、もったままじゃなく放すよ」

そういう学習能力の話ではないのだろうが、さしたる問題でも
何気ないように話す。今回は狭い場所だったから、次はもっとと……
来年は、そう来年はどこでやろうかとか。

「あるさ、来年も。楽しくすればいいし楽しいように出来るはずだって」

何を杞憂なというように話し、隣に座り火をつけた線香花火を
音音の線香花火に寄り添うように近づけて触れる。
一つになり大きく、というような線香花火の遊びの一つを。


「それはそうとしてさ。ここ温泉宿なんだけどさ。
 だいぶ遊んで汗かいたし煤もついたし、この時間なら他に人はいないと思うんだけど」

あと着替えたい。といいつつ線香花火のようにまた体を寄り添うように近づけて
この後のというように音音を誘った。

綾瀬音音 > (思うことはおんなじで。
多分違う形で、同じように騒ぐのだろう。
年月を重ねるようにして。
それを当たり前の事のように――)

ううん……そういう問題なんですかね……
(いや間違ってはいないのだが、何かが違うような気がして唸った。
来年。
未来の約束と予定。
それらが少しずつ積み重なっていって、形を作るよう。
それらは自分も彼も、お互いを縛るものだと理解しているが、心地の良いもので。
望んだ未来が、そのままいつか幸せな過去になればいいのに)

それもそうですね。
また来年も花火したり、海に行ったり、お祭りに行ったりしましょう。
ここじゃなくても、どこでもいいですし
(うん、と素直に頷いて、触れ合って溶け合って、一つになった線香花火。
火花が大きくなって、それを落とさないように苦心する)

そうですね、温泉入りますか。
人がいないからってそれ理由にしていいんですかね……
(少々の疑問を覚えないわけではないが、まあいいだろうと言う緩んだ思考。
寄り添う体温に此方も擦り寄りつつ、空いている手で彼の手を探り、影を重ねるように。



線香花火の火が消えた)

ご案内:「旅館」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「旅館」から綾瀬音音さんが去りました。