2016/10/03 のログ
■蒼穹 > 蒼穹はあまり彼の事を知らないけど、
マイペースで自由人とか、そういうあたりは似てるし、意外と知り合ったら、
彼の思考を肯定する事になるかもしれない。
「ほうほう、なるほどねー。じゃあ味方って事で。
おー、分かる?!
いや全くね、一体何がどうしてこんなに一杯増えたんだか。
それにただのモンスターじゃなくて、悪意とか纏ってるって来たもんだしね。
変に捕まったらイカれるかも。
……経験値マズいメタルスライムみたいなの倒してる気分にならない?」
上手い具合にサラっと黒い魔物を斬り飛ばしたが、あれはあれで、意外と結構な技量を使ったのかも。
と言う事もいざ知らず、彼が話に意外と乗ってくれたので、ちょっとだけ機嫌は良くなった。
同じく、無駄話していたかった。破壊神という割に、そういう事の方が好きなのである。
大規模討伐なんていっても、好き勝手し放題でもないわけだし。
「ってか魔法も異能もなしで協力させられたのか…御愁傷様。
ん、でも結構うまいこと倒してるね?ちっちゃい奴だからかな。」
それでもそれでもと湧いてくる黒い塊。
そろそろ、というかとっくに飽きているのだが、おかわりコースが続く。
「あっはは、ま、破壊神だからね。
おっとと。」
いえーい、と屈託ない笑顔と共に、ピースサイン。
普通に褒められたとだけ受け取った様だ。
上から降りかかるように飛んでくる小さい個体を、
また同じ様に遠隔へと届く破壊魔法で跡形もなく消し去った。
「はいはい。クシナダさんね…。ありゃ?!同僚だったの、道理で。
へー…そりゃまた。ワケありっぽいね。」
何となく覚えてたことに、やっと合点が行った。
ふんふんと頷いて手を打つ。
退学してからこういうところで魔物狩り。…凄いワケアリなにおいがする。
「私は風紀委員に顎で使われる憐れな破壊神よ。蒼穹っていうんだけど。」
自己紹介を返しておく。それとなく突き殺された黒い塊に無関心な一瞥をすれば、
特に気にもせずこちらも歩み寄って彼と合流する。
ついでにとばかり、一角の通路の壁面から沸くように出てきた黒い塊もずるずると二人へ合流してきかけて…
蒼穹が指先をそれへ向ける。
真っ直ぐな魔術の黒い閃光が、音もなく壁面や通路の一部諸共に妖怪モドキを抹消した。
「さー、これどうしよっか?
堂々巡りな気がして仕方ないんだけど。
…ボスとかリーダーみたいなのいないのかな。」
退屈そうに足踏みしながら。
■櫛鉈 蛟 > お互い自由人だから、まぁ見覚えがある程度しか記憶に無くても仕方は無いだろう。
とはいえ、交流が深まっていたら、風紀委員の問題児ツートップになっていたかもしれない…サボリ魔的な意味で。
「少なくとも敵じゃねーな。つぅか美人と戦うのは勘弁願いたいもんだよ。
まー原因なんて考えても分かんねーけど、風紀委員会の上のほうとか、後は公安委員会が突き止めるんじゃねーのか?
どうも、一部とはいえ公安も流石に動いてはいるぽいし」
と、根拠があるのかそう述べつつも、彼女の例えに「違いねぇ」と笑っていた。
経験値がしょっぱいメタルスライムとか面倒なだけである。
ちなみに、彼女の思ったとおり、弱点を見極めて貫いたり切ったりはしっかり技術を用いている。
とはいえ、主に腕前というよりも見切り…観察眼の賜物というやつだが。
異能や魔術が使えない為、こういう人も使えるであろう技能を磨くしかないのだ。
ともあれ、こちらとの軽い雑談であちらさんの機嫌も少し持ち直した様子。
そもそも、お互いこんな状況でなければ普通にダベっていただろう。
男としても、目の前の女とダベっている方が遥かに有意義な時間だと思っている。
――つまり、今の時間は率直に言えば”無駄な時間”だ。
「ああ、小規模の雑魚なら短刀でも殺せる。一応これ、神剣の欠片を基礎に作られた短刀だからよ?
浄化術の代わりっつぅか、中規模はキツいが小さいのは今みたいに潰せる」
そして、彼女の法に襲い掛かる黒い群れ…も、無残に消し飛ばされていく。
むしろ、彼女に向っていく方が確実に消滅させられる運命だろうに。
そこら辺りを察知する危機感が無いのだろうか?このもどき共は。
「おぅ、元・同僚だな。訳ありっつぅか、風紀委員会に手綱握られてるというか」
特別監視対象だからしょうがない。素性が神話級の存在なので、退学しても監視があるし動きも地味に制限される。
まぁ、でも自由人だから割と好き勝手に暮らしているのだけど。
「いや、破壊神って、普通に神話級の存在じゃねーか…あ、うんやっぱ覚えのある名前だ」
そしてシンプルだが良い名前だ。と、彼女が指先を向けた方角を眺めれば、次の瞬間黒い閃光がもどきを消し飛ばす。
「さぁなぁ。取りあえず、この辺りのだけは纏めて消す程度の仕事しとかねーと。
そっちもある程度成果出さないとサボっても後が面倒だろ?」
と、苦笑いを浮かべてみせながら…一息。さて、堂々巡りはこの辺りにしたい。
要するに、ここらの指揮官レベルのヤツを潰せばこの区画の掃除は終わりだ。
潰すのは悪いが彼女に任せるとして…こちらでソイツを見つけるか。
普段目元を隠しているサングラスを外し、赤い紅い蛇眼を彼女に晒して。
「…じゃあ、俺がこのあたりのボスを”見極める”から、ソラは強めのかましてくれ」
と、短い作戦ともいえない作戦を告げて。
■蒼穹 > 「あっはは、お世辞かい?
私もこの辺で新しい敵作るのは勘弁ね…不死身っぽいし。
あー、そうね。いや全く…上はキナ臭い連中ばっかでどうにもならないね。」
両手広げて、やれやれと首を左右に振った。
風紀委員会の上の方とか、公安委員会とか、ああいうのにロクな奴はいないのだ。
とりわけ、上層部なんていうのはロクでなしばかり。
驚異的な異能者や魔術師、技術を取り揃えて居る癖に、
こんな魔物を好き放題蔓延らせているのだし。
無駄な時間、というのは蒼穹の方も心底同意である。
そもそも面倒だからサボろうとしたのに、連行された辺りを見ればお察し。
おまけに敵が真っ黒メタルスライムである。
しかも逃げないでずっと攻撃してくるもんだから呆れかえる。
出来れば公園の辺りをうろついたり、適当に友達と喋ったりしていたい平和思考。
ただ、曲がりなりにも、何か妙に話が合いそうな男と会ったのは、怪我の巧妙かも。
「へー。神性ってやつかな。それで浄化?してるわけなんだ。
デカいの来たらどうすんのさ。」
恐らく、この殺意や悪意などを蓄えた妖怪の類には、そうして浄化するのが正攻法なのだろう。
それと、殺意や悪意などしかないが故に、自分以外全員殺す!
みたいな行動原理なのだろうか、何遍やられたところで、この辺をうろつく者全てを襲い尽くさなければ気がすまない様だ。
相手が神性×2、みたいな組み合わせでも、まるっきり躊躇なくやってくる。
そして、事も無げに短刀でぶった切られたり、魔法で吹き消されたりを繰り返す。
「あはは、なるほど。キミも風紀委員に使われてる訳かぁ…それは災難だね。」
同じく、風紀委員に使われる者として、苦笑いを合わせて同情の言葉を。
「あら、知ってたか。
んー、まぁでも、所詮は神話でも邪神扱いだし。
そもそも異界の破壊神だからこっちじゃあんまり知られてないかな。」
ほどほどに自分語り。
「お、良く知ってる!
適当な戦果1つ2つ挙げとかないと面倒よね。」
もともと、刑事課だったのもあるのだろうか、その辺の面倒事も分かってるみたい。
「お…。
おっけー。シンプルで良いね!」
サングラスから現れる彼の目。何か、そういう能力でもあるのだろうか…。
ともあれ、多くは言わない。
彼がそういうなら、そのボスを見極める、とやらもその赤い目にて出来るのだろう。
単純明快に力任せで叩き潰す、それが破壊神の性には合っている。
「さ、こっちはいつでも…良いよ!」
魔力が集まる。足元に黒色の霧が集う。
物理法則を超越して、ありとあらゆるものを破壊する、魔法。魔力の奔流が髪を薙ぐ。
それが放たれる予兆に、周囲の雰囲気が一辺して…、大きな何かが来る事を予感するだろう。
準備完了と親指を立てて見せた。
■櫛鉈 蛟 > 「あ?世辞なんて必要ねーだろ。十分に美人じゃねーか、何言ってんだ。
俺もいちおー体質的には不死だけど、こいつ等みたいにはなりたくねーなぁ」
この男が美女とか美人云々は嘘でも世辞でもなく本心である。
と、いうか嘘とか面倒なのでこういうのはストレートに述べる事にしている。
ともあれ、こちらも緩く肩を竦めてみせる。何と言うか、矢張り親近感が沸く相手だ。
こう、上層部に扱き使われる所も似ているし、自由人な所とかマイペースな気質も。
そして、いわゆる上層部に感じてる疑問も彼女と同じく男も感じている、が。
自分達がそれをあれこれ考えても意味が無いだろう。薮蛇を突いて面倒が増えるだけな気がするし。
(あーマジで面倒くさいなコイツ等。もうソラ連れてどっかで一杯やっていきたい気分だ)
と、心底思うが放置すると、それはそれで面倒が後に回されるだけなのだ。
つまり、この区域のボスだけはここで仕留めておかないといけない。
本当に面倒だ…が、幸いソラは協力な破壊の魔術が使えるようだ。
彼女の手を借りれば、それをさっさと済ませるのも不可能ではない。
「あーうん、俺自身はこの国の神話の怪物で、どっちかというと魔物寄りだけどな。
この短刀は神性は多少残ってるからそれで浄化代わり。
…んー最悪逃げる。再生する以外に特殊な力は持ってねーしな俺。
ぶっちゃけて言うならこう、決め手に欠ける。特にこういう輩相手には」
と、己の正体の一端もサラリと語りつつも、ソラなら話しても問題ない気がした。
それはそれとして、この妖怪もどき共、ソラの魔法ぶっぱやこちらの浄化斬撃にも怯む様子が無い。
単調作業じみた苦痛。勿論肉体的ないみでなく精神的な意味でだ。しんどい。
「異世界の邪神だろうがこの国の神話の怪物だろうが、構わずこき使う上層部が一番おそろしーけどな…。
さて、じゃあシンプル・イズ・ベストって感じで行きますか」
赤い瞳を晒せば、徐に周囲をグルリと見渡す。ただ見渡しているだけにしか見えないそれ。
魔力も出ていないし、異能の気配も無い。ただその眼力のみで索敵しているのだ。
(…アレは違う…これはデカいが違う。これも……いや、コレか?小せぇが密度がケタ違いだ)
「ソラ、お前さんから見て2時の方角、距離は200メートルちょい。
可能なら屋根ごとでもいいから消し飛ばした方がいいな。的が小さすぎる」
と、告げながら補足でそちらに視線を向けつつ指差してみせて。
目がカッ!と見開かれているので集中しているのがわかるだろう。
集中しすぎて周りの雑魚を斬る余裕も捨てているようだが。
そもそも、異能や魔術無しで索敵しているのだから、集中力はかなりのものなのだ。
「――やっちまえソラ。で、さっさと引き揚げようぜ」
と、一度だけ彼女にチラリ、と視線を向けて笑いかけた。
足元に漂う黒い霧、この魔力の本流、恐ろしいほどに破壊神だと実感させられる。
だが今はそれが助かるし心強い。なので、締めはソラの一撃に全て任せる。既にもう信頼感ありありだ。
■蒼穹 > 「お、おう。やめい。照れるぜっ。
…なんだろうね、コレ。不死身っていうか、……何かなぁ。
少なくとも、生きてて楽しそうじゃないよね。」
片手で顔を抑えながら、妙にこみあげるニヤケを隠さない。
初対面でも、自分の容姿を褒められればうれしいのは、破壊神でも乙女である。
もともと何らかの伝説や神話を持ちながら、今では面倒事は避けたいし、
自由気ままに楽しく行きたい、残りの生を満喫しようって姿勢も、似てる。
これらの妖怪モドキの不死性にも上手い比喩が見つからない。
この手のタイプの敵は、もう結構多いのだが…こいつは、雑魚だが兎に角物量が多い。
知り合いにこれに似たようなのが居るのを知ってるが、もう少し理性的だ。
「ありゃ。この世界の神話なんだ…道理で風紀委員も目を離さないわけだね。
賢いね。私もさっきいったけどこういうタイプは嫌いなんだ…。
心臓や発生源、核とかを握り潰せる奴は楽なんだけど。
こうも全部が本体だと、何をしても決め手にならないよね。」
募るのは、恐らく退屈な時間、と言う物だろう。
二人ともこう言う事には慣れてるから、対して身体は疲れないけど、
なんかもう、やってられるか!という気分になりそうで。
会話の通り、何をやって、何処を叩いても決め手になってる様子はない。
何処から沸いてるか、やはり大元を叩かないとならない。
こうして迎撃してるだけでは、負けはしないが勝てもしない。
「いや全く、違いないね。
おー………?」
魔法ではない、と言う事だけは分かったが、まさか異能も特殊能力もなく、
ただただその身に残された素の探索能力だけで、索敵をしているとは考えまい。
だが、彼のさらりと言った見極める、と言う言葉は、偽りには聞こえなかったし、
相応の実力だってある。
「……!」
ただ、大きな一撃を撃ち放つ、その為に。こちらも魔術を自由に使うだけの余裕がそがれる。
あっちこっちから降って沸く小さな雑魚を、相手にしてはいられない。
彼の方もその様だが、ああして正確に距離方向を、邪魔される中で見極めるのだ。
神話の存在なだけはある。彼自身が磨き上げていった技術なのかもしれないが。
「……ん、了解。周りに誰も居ない?よし。
おー!終わらせて帰ろうか。
なら上から吹っ飛ばすね―――!
ディバイニングノート!」
貰ったアドバイス通りに、その高密度体へ目掛けて放たれる、破壊の魔力。
はち切れるように周囲へ、上空へ拡散する足元の魔力の霧。
衛星から降ったレーザーの様な一閃が、溢れんばかりにビリビリと稲光みたいにスパークを撒き散らし降下して、
パシャ、とフラッシュをたく様な一瞬の通過にて、
屋根も、魔物も、建物も。通り掛かった所を全て、破壊した。
「はいっ、おしまい!
いやぁ、おかげで助かったよ。ありがと!
これで後はサボっても叱られなさそう。」
一仕事やってやったと手を二三度叩いて一息。
来た時とは変わって機嫌良さそうな様さながら、にっこり笑って、大々的にサボリ宣言。
■櫛鉈 蛟 > 「何だ、照れてると乙女してんじゃん。つぅか、美女に種族は関係ねーしなぁ、うん。
……ま、こいつ等もなりたくて”こうなった”訳じゃねーんだろうが…悪いな。
俺やソラじゃお前等を消す事は出来てもあるべき場所に導くことはできねーんだわ」
ソラの照れっぷりに笑いつつも、僅かにその後に表情を何とも言えないものに。
破壊神と神話の怪物、双方と対峙して浄化なんて安らぎはまず無い。あるのは無慈悲で容赦なく消滅する事だけだ。
共感できる面もあるからこそ、自分や彼女はこいつ等を”救えない”と悟っている。
(人の感情、悪意、思念、妖怪もどき…ねぇ。しかしまぁ。正直に思うなら…)
どれだけ集まろうが密度を重ねようが、その感情の重さも大きさも及ばない。
理解も出来るし共感できる部分もあるだろう。が、不死に近い身だからこそ解る。
(縋りたいなら相手を選べよ。俺らは…少なくとも俺はお前等を救えねーんだ)
――だから、お前等は”ここで死ね”と。男は無慈悲にそう断じた。心の中で。
「特別監視対象ってのに指定されてる。公安委員会からも常に監視されてる身だぜ?
今はドタバタしてるから監視の目は緩んでるけど…。
あぁ、もう今の境遇もこいつ等も纏めてぶっ壊したい気分になるぜ」
破壊衝動、ではないが今ある全てを粉々にしたい、と衝動的に思う事は何度かあった。今もそうだ。
だが、それを実行してしまっては意味が無いのも分かっている。
ともあれ、さっさとケリを付けたい。肉体的にはお互い平気でも精神的には流石に「うぜぇコイツ等」というノリにもそりゃなるだろう。
「………。」
そして、集中して索敵している間は無駄口も叩かず、純粋に己の五感と集中力だけで見つけた。
後は今、方向と距離を彼女に示したのでトドメを刺して貰だけだ。
彼女なら一撃でケリが着くだろう…と。
「うぉっ!?派手だなオィ!」
もう方角と距離は示したのもあり、集中力を一度解けば、その派手な殲滅攻撃に素直な驚きを。
とはいえ、ソラの魔力はまだまだ底が知れない。本気を出したらどれだけになるやら。
破壊神は伊達ではない。その一端を垣間見た気がする。
あと、ぶっちゃけその範囲攻撃が羨ましい。基本単体攻撃主体の男からすれば。
ともあれ…色々とおまけで消し飛ばしてしまったが、この辺りは避難が完了しているので無人だろうし問題なしか。
「お疲れさんソラ。流石だな…周りのヤツもボス、というか大元の核が消滅したから霧散していくな」
周りを見れば、纏わり着いていた雑魚以外は勝手に消えていく。
ついでに纏わり着いていたのは短刀で切り払うようにして引き剥がし。
そこで本当に一段落だ。短刀を腰の後ろのシースケースに納めつつ。
「んーじゃ、やる事は最低限やったし俺らは引き揚げようぜ。
あ、連絡先交換しようぜソラ。今度どっか飲み食いしに行こうぜ」
と、ナンパというか普通にメシに誘うノリ。破壊神だろうと何だろうと美女なら誘いますとも。
ともあれ、もし連絡先を交換できたらしっかり登録しておくだろう。
「じゃ、引き揚げるかー。途中まで一緒に行こうぜソラ」
で、何だかんだで意気投合したノリで二人でさっさとこの場を後にしたい。
また追加で他の連中から応援要請とか出されても面倒だし。
ちなみに、もう男の中でソラは普通にダチ認定だったとか何とか。
■蒼穹 > 「まぁ、なんだ…人の身を得るってさぁ……意外とそういうのあって面白いよね?
こういう乙女さっていうのはそれのせいよ。あーはいはい。分かったから~!
…ふー……カッコいいこと言うね、クシナダ。」
短刀にしても、魔法にしても……、怪物と、邪神。
過去の物語では元々悪として描かれた二人に、何かを救う、なんて英雄みたいな事は、出来ない。
遠くで光る聖魔法や、白魔術、対魔符なんかに当たった奴らは、その悪意や害意を、
上手く昇天させるのだろうけれど。
黒くてなりそこねの塊だって、生きている。
「でもま、気にしすぎたらいけないよ。やらなきゃやられるし…
私もキミも、やれっていわれたんだし、ね。」
蒼穹はと言えば、そうした彼の一言で、救済ではなく破壊した、と言う事を初めて自覚した。
けれど、特に重い気にはならない。
慣れているし、自分の中での言い訳も、詭弁かもしれないが、完成してしまっているから。
ゴミ拾いと同じ勢いで、言葉を持たない彼等を破壊する。
「へー…あー、その肩書、名前聞いたことあるね。面倒くさそう。
おう?全てをぶち壊すんなら私も乗るよ~?」
なんてね、とけらけら笑った。
「そりゃあ破壊神の魔法だからね!」
どんなもんよと鼻を鳴らして胸を張った。
にんまり曲がった口角、とても得意気だ。
ともあれ、人的被害さえなければきっとよし。
単体攻撃縛りプレイの彼からすれば、この手の敵は本当に厄介だったのだろう。
恐らく、最初に腕がやられかけていたのは、範囲攻撃が出来ず、しかし敵は広範囲にいるから、か。
「おー、御疲れーっ。
そだね、この辺は一帯はもう安全かな?」
どうやら、周りから飛んでくるのも、地面から湧いてくるのもないらしい。一角の掃除が終わった。
後は残敵を適当に掃射する。指ぱっちんすれば、真ん中から食い破られるように破壊の魔法に飲まれるだろうか。
「そうだね。これでお仕事おしまいっと。
ん~?ああ、いいよ。こいつを。今度のんびりまったり、話したいものだね。」
ポケットから取り出すのは携帯端末。
メールアドレスなり、何なりを彼に渡すだろう。
こちらとしても、嘗ての神話や伝説から人の身を得た、なんていうのに、
妙な親近感というか、似た境遇を感じている様で。
「んー、じゃあ一緒に帰ろうかー。」
快諾である。たった一回共闘しただけではあるのに、互いの気さく気兼ねなさもあり、
楽しく話しながら、落第街の一角を後にするだろう。
そうして話をする二人は友達、そう言って間違いない筈。
ご案内:「落第街の一角」から蒼穹さんが去りました。
■櫛鉈 蛟 > 最後に、二人して談笑をしながら立ち去るその間際に。一度だけ振り返る。
遠くでの戦闘の気配、ここからも感じる浄化の白魔術の気配。それらを感じながら。
「――ヤマタノオロチに何が救えるってんだかな…」
と、独り言のように呟いてから、何事も無かったかのように、ソラと共に完全にその場を立ち去るのであった。
ご案内:「落第街の一角」から櫛鉈 蛟さんが去りました。