2016/11/01 のログ
ご案内:「自宅」に綾瀬音音さんが現れました。
ご案内:「自宅」に五代 基一郎さんが現れました。
■綾瀬音音 > (妊娠4ヶ月に入り、お腹もやや目立つようになってきた。
同時に一時期酷かったつわりもある程度治まり、身体の具合も安定してきている。
諸々あったが、お腹の子供は順調に育っており、それは素直に喜ばしいことであった。
自身も色々考えることはあったが、とりあえずにはあからさまに口にすることはなかった。
問題の先送りと言えばそうであったし、
答えを出せない――それこそ出すためにはパートナーに相談するべきことではあったのだけれど――ものであったのも事実だ。
最適解が無いのは解っているつもりではあったのだが。
そろそろ男の子か女の子とか解るかもしれないですね、なんて。
そんな話題も口に上がらせつつ、
食後のお茶(自分はノンカフェイン)を口に運ぶ。
そこで、ふと思いついたように)
そう思えば、年末なんですけれど、どうします?
最初の予定ではこっちの実家に戻るって言ってましたけれど。
挨拶済んじゃいましたし。
(当初挨拶に、と言っていたそれは済んでしまっていて、一応報告と許可は貰っているわけで。
帰らなければ帰らなくても、な状況ではある。
年末年始はここでゆっくり過ごすか否か。
とりあえずの予定、と言う話である。
向かい合って座りながら、首を傾げて。
彼が自分の家族に――と言うよりは両親か――に良い印象を持っていないのは察していたのもある)
■五代 基一郎 > 「そうだね。向こうで住む所を探したいのもあるし、行こうか。」
暮れやら新年の挨拶もしたほうがいいだろうしさ、と答えながら。
男の子か女の子かは、どちらでも授かり物だっけ。生まれてくれるなら何もそこに求めるところはないよと答えながら……
その、食後のゆったりとした時間の中にありつつも。
椅子から立ち上がり、その、テーブルの向かいに座るパートナーに歩み寄り
何がしかの所謂どこか見覚えのありそうな愛情表現のように……後ろから抱きしめる。
ちょうど、ささやく声がその耳に届く位置に顔を寄せながら名前を呼ぶ。
「音音。」
情愛的なものが混じるささやきではなく、親しみと
また慈しみや親愛がこめられたそのささやき。
名前を呼び、そして続ける。行為の通りに愛をささやくように。
「俺は音音が好きだよ。この世界の人間や存在がどれだけ嫌いでも
君だけは好きだといえる。君に罪はないといえる。
君は傷つけられてばかりだからね。力のない人間、力のある人間。
君こそ守って生きたいと思えるような存在かもしれないな……」
何かの告白のように続けられる言葉。
言葉の文字の通り以上に、何か別のものがこめられているそれらが語られる
ささやきは、好意の表現か。
それとも
「音音の好きなところは色々あるけれども、やはり”賢い”所かな。
理解するのがとても早い。察するのも、考えるのも長所といえる。
でも逆に俺が音音の嫌いな所ってわかるかな。
いやわからないところかな。たった一つだけある……どうしても、気にあってしまうところが。
わかるかな、音音」
■綾瀬音音 > じゃあチケットとか取っておきますね。
今度は少し日程余裕も持ちたいですね、この前は行って帰ってー、みたいな感じでしたし。
(居住物件を探すのであれば、多少日数も欲しいですよね、とか。
暮と新年の挨拶はたしかにそうですよね、とか。
無事に生まれてくるのは大事ですけれど、気になりません? と笑いながら。
そんなことを返しつつ。
歩み寄られ、抱きしめられればその腕に瞼を落とした。
暖かな温もりは、いつだって安心感と安堵感、そして愛情を感じられるものだ。
耳元に近づく顔に擽ったそうに呼気を零した)
……ん、先輩。
(呼ばれて、呼び返して。
耳を擽るその声は、耳触りが心地よい。
熱を覚えるよ言うよりは、心の柔らかい部分を羽根で擽られているような、そんな感じ)
…………先輩、
(再び呼ぶ名前。
この世界の人間が嫌いだと言う、彼に返せる言葉は殆どない。
彼にとって世界も人も優しくなかったことは、おおよそ察していることではある。
だけど、語られる好意の言葉。
そこに含まれた“何か”が気にかかった。
罪はない。
傷つけてられてばかり。
その言葉にふ、と目を伏せてから)
そんな私は被害者だーって思ったことはないですよ。
罪はなかったかもしれないけれど、少なくても原因はあります。
傷ついてきたことがない、とは言いませんけど、多分私だって傷つけてきたことがあります。
――でも、先輩に守られるのはやっぱり嬉しいので。
うん。
(それらは、言葉通りのことだ。
罪もないかもしれないし、傷つけられたのも事実で、しかしだからと言って悲劇のヒロインや被害者を気取ろうとは思わないし、思いたくない。
それなら、未来を見つめる強さが欲しかった。
愛しい人と――人たちと“幸せに”暮らすための、そんな強さ。
多分、今の自分に一番欠けているものだ。
そんなことを返しながら、続けられた言葉に、少し顔をそちらに向けて、視線を合わせて――。
賢い、と自分を思ったことはない。
だけど、それは本題ではない。
それは、考えろということだ。
彼が自分の何が、わからないことか。もしくは嫌いなところが。
視線を再び伏せて、考える。
それから)
嫌い、と言うよりはわからないこと、ですか。
単純に短所、って訳ではないと思うんですけれど――。
傷つけられても、それを許してしまう所……?
(質問の前に語られた言葉。
力のない人間、という言葉が気にかかった。
少なくとも、彼が知る限り――と言うよりはこの島に着てから自分が傷つけられた、と指すべきモノのは
大体が“力のある人間”だったように思う。
力のあるものに力がないものが奪われ、ねじ伏せられるのは必然だ。
それがどれ程理不尽であろうとも。
それとは別に、単純に失ってしまったものもあった。
だけど、“力の無い人間”が何を指すのか。
何となくは想像がつく、しかし、それを彼に語ったことはないはずだ。
とは言え――自分が捩じ伏せられる側にいたにも関わらず、それを甘んじて、受け入れて。
それを“許している”ことだろうか。
そんなことを考えながら、言葉を返した。
合っている自信はない)
■五代 基一郎 > 「そうだよ」
被害者だと思ったことも、自分を憐れんだこともないという言葉に
ささやき返す。
だからこそ清さに最も近いのかもしれないが、しかし
だからこそ綾瀬音音は自らに最も欠けているものを自覚することとなった。
「残念。そうではないかな。それに……”赦す”というのは、違うんじゃないのか」
一度。問いかけのときに一度、綾瀬音音が合わせたその男の顔は穏やかだった。
言葉として表すならば親愛の相手と仲睦まじく語り合う時の顔だろうか。
その、言葉と語られる話とは真逆であろうに。
「その賢さが後ろ向きに働くところは、続く悪いところだと思うよ。
無意識下であっても今までこうして一応無事に生きているのだからさ。」
続く言葉と共にまた、近く抱きしめるその姿勢は……再び視線を合わすことを
許す姿勢だろうか。それとも綾瀬音音は視線を交わすことが可能だろうか。
「音音。事なかれ、ではないが。表に出さないからといって俺が察していないとは思わない方がいい。
風紀以前から人と向き合っていたんだ。大体以上に人の心を読むということは出来るんだよ。
読心能力(リーディング)を使わずともさ。だから……この前の帰省の時に、君がどういう境遇で生きてきたかとかさ。
自分を誤魔化し、目を逸らし、他人も欺いて生きていくというのは理解がしがたいな。
ましてや親という最も結びつきが強いだろう相手に。」
もちろん人間生きていく中でそういう”賢さ”は身に着けるのであろうが
それにも限度がある上にそれは社会で生きていくためのものであり……
ましてや家族と呼ばれる協同体、自分を産んだ父親と母親にとするものだろうか。
「それを踏まえて、かな。聞きたいことがあるんだ。
音音。
どうしてこの前の帰省、あの二人に異能を使わなかった?
俺が与えた異能。使い時というのならばあの時が最も効果的だったと思うけれど」
男は聞いた。
何故、両親に異能を使わなかったのか。
何故、父と母に異能を使わなかったのか。
何故…・・・自らを産んだというのに虐げてきた者らに異能を使わなかったのかと。
「教えてくれないか。」
■綾瀬音音 > (違いましたか。
そう返して、見たときの表情は穏やかで。
だから別に間違ったことを責められているわけではないのを察して、わずかに安堵する。
元々責められるような内容ではないのは解っていたが、それでも、緊張はある)
――後ろ向きって訳ではないと思うんですけれど……や……どうなんだろう。
一応無事……まあ、確かにそうですね。
これからも生きていかないといけないわけですし……。
(近寄る身体と身体。
視線を逸した時には、次に視線を合わせることは叶わない。
彼の顔が見れないのは、彼が自分の顔を見たくないのか。
それとも、彼が見せたくないのか)
………………。
いや、ずっと誤魔化してきたというか、何というか――いつかはちゃんと言わないと、とは思っていたんです。
ただ、聞いて楽しい話じゃないですしね。
察してるかもしれないって言うのは頭になかったわけじゃないんですけれど。
この前のお父さんの反応と言うか対応は――ちょっと事務的でしたしね。
―――――――――誰が。
誰が、親に虐待されたと思って、過ごしていけると思います?
(珍しく。恐らくは男が初めて訊くであろう、暗い声。
つまりはそういうことだ。
何度折られたか解らない自分の両の手指を見やる。
あの時は――否、ある程度認識が改まるまで、その行為は、紛れもなく、愛情の行為だと思っていた。
親が頭を撫でるように。
だからそれに甘えるように、幾度となく繰り返すことを“要求した”に近いその行為)
――それは何のためにですか?
先輩を誤魔化すためですか?
それとも自己満足のためです?
勿論、先輩から貰った異能を使えば、ある程度は思った通りにお父さんもお母さんも“歪ませる”事はできたと思います。
普通の人ですしね。
でも、それに何の意味があるんです?
それは“私が望んだ都合のいいモノ”を押し付けただけで、お父さんもお母さんも――
私を、愛してくれなかった事実は変わらないんです。
(ぽつりと、そう呟けば想像以上に寂しさを覚えてしまって。
それを慰めるように、縋るように、自分の身体を――腹部を抱きしめるように手を回した)