2016/11/21 のログ
ご案内:「学生街の一角」にジャムさんが現れました。
■ジャム > ……だから、ごめんって言ったじゃん今ー……。
(常世祭も賑わう学生街。今日も今日とて酒池肉林とばかりに露店出店とアクティビティを楽しむ半獣人。ところが、何やら柄の悪い人たちと出会ってしまったらしい。オーガーの血が混ざっていそうなほど体格の立派な、首からじゃらじゃらギラギラしたアクセサリを下げたリーダー格の男と、背がひょろ長くてビンテージデニム履いてる男と、100kgぐらいありそなお腹を揺らすジャージの男と、きっとこの人が使いっ走りさせられてるんだろうなという何の特徴もない男に取り囲まれてしまった。事の起こりは前方不注意でリーダー格の人にぶつかっただけだったのだが、謝っても許してくれそうにない。全員揃ってニタニタとこちらを面白そうに眺めてる。距離を詰められ、一歩じりっと後ろに下がり)
■ジャム > 痛い痛い!引っ張らないでよ!これホンモノだから……離して!
(やがてリーダー格の男が耳を引っ張ってきた。「これカチューシャだろ?」と言いながら。引っ張られてケモミミが伸び、痛みに抗議の声が上がる。――元居た世界もそんなに治安は悪くなかったし、こういう手合はそれなりに慣れてるつもりだったけれども。1対4では分が悪い。すでに、後ろの退路はでっぷりジャージの人に塞がれている。装備と言えば、右手にはさっき買ったたこ焼き(8コ入)と左手の手首に金魚すくいでとった金魚入りビニ袋(赤いやつ2匹デメキン1匹)があるが決して武器とは言えない。たこ焼きは投擲武器ではないし、金魚は召喚して一緒に戦ってくれたりはしないのだ。助けを求めて周囲に視線彷徨わせ)
ご案内:「学生街の一角」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > 「その辺にしとけって、痛がってんじゃん。」
遠巻きに騒ぎを傍観する人群れを掻き分けて、小柄な少年が声を上げる。
今日は何を食べようか、と空腹を抱えて学生街を訪れたところ何やら人だかりが出来ているので寄ってみたところ、
異邦人が絡まれていたので、何もしない傍観者に苛立ちつつ割って入った、といったところ。
「痛いって言ってるのに止めないって事は、同じ目に遭っても文句は無いって事だよな?」
真っ赤な瞳をジトーッと男たちへと向ける。
が、その姿はどう見ても戦闘慣れしているようには見えない。そもそも高校生にも見えない。
■ジャム > はな……はなし……っ
(離して、と言おうにも強く引っ張られて声も途切れがち。背伸びしても手が届かない。手にしていたたこ焼きも包みのまま地面に落ち。痛みに声が細くなっていたところを、赤い髪と瞳も印象的な少年の声がかかり。リーダーのオーガーさん(仮)が「ああん?」と眉間に皺を寄せる。取り巻きも、一斉に彼のほうを見た。その燃えるような視線に一瞬たじろぐが、高校生というより中学生に見える風貌に、一斉に下卑た悪いが湧き上がる。オーガーさん、「お前が俺に同じ目を?ヒーローごっこかい?チビがいきがってんじゃねえよ」と地面にツバを吐く。半獣といえば、ケモミミひっぱられたまんまの苦しい体勢で少年のほうを向いて、「助けて……」と息声漏らし。)
■東雲七生 > 空腹の所為か、七生はイライラしていた。
祭気分で羽目を外した男たちにも、何もせずにただ見ていた傍観者にも。
イライラしていたが、それでも努めて理性的に事を済ませようと試みたつもりだった。
結果上手くいかなかったし、妙に喧嘩腰になったので後で反省しなきゃな、と思ったくらい。
だが、
「……あ゛?」
ヒーローごっこ。
そこは否定しない。ちっぽけな正義感から割って入ったのは否めない。しかし、自分自身ヒーロー向きな性根かというと、存外そうでもないと思う。
もし空腹が今より酷く、すぐにでも何か食べたい時はあっさり何も見なかったフリをするだろう。現に何度かそういう事はした。
だから、そこは笑われたり、粋がってると思われても仕方ないと思う。
その後に何も言ってなければ、の話。
「……おーけー、痛い目よりも地獄を見るのがご所望か。」
とんとん、と爪先を地面に着け、靴を整える。
すー、ふー、と大きく深呼吸をすれば、炎のように紅い目が、炎よりも熱を帯びた様にギラついた。
──直後、破裂音の様な音と共に七生の姿が消える。
しかし、それは一瞬。次の瞬間には、使い込まれた運動靴の靴底が、オーガーさんの眼前に現れていた。
■ジャム > (面倒な事厄介な事など、身知らぬ異邦人の身に何が起ころうが基本的に知ったこっちゃない常世砂漠。風紀委員でもないかぎり、誰もこのトラブルに介入しようとはしなかっただろう。たまにいわれなき差別を受ける半獣人その正義感はちっぽけなものだとは思わなかった。むしろ、ごっこではないヒーローに見えた)
(オーガーさんは闖入者の体格を見てさらにいきり立ってる。「地獄だあ?どうやって俺らに地獄を見せてくれるんだ?あ?俺らがお前に年長の上下関係ってもんを教えてやるぜ……おい、お前ら!」だなんて、自分は何もしない筆頭の上司みたいにして3人に命令を下し。それぞれ適当なファイティングポーズをとって両手を握りしめて――でぶっちょは特に張り切って、パキリパキリと指の節を鳴らしていた――少年に痛い目ひとつ合わせてやろうとニヤニヤ笑いながら詰め寄るところだった。――ばん!と割れる音が往来に響いたと同時に、オーガーさん、一撃でのされて仰向けに倒れ込む。鼻が曲がって鼻血がだらしなく、さっきまででかい口聞いてた唇のあたりまでだらしなく垂れ落ち。さっきまで余裕ぶってた3人はいっせいにリーダーの醜態を目の当たりにし、一斉に蜘蛛の巣を散らす如く逃げてく。デニムの人なんか、オーガーさんの頭ふんづけて逃げ出していった)
あ……ありがと。助かったよ!……すごいね、今の!
(リーダーが倒れると共に自由になった身、まだひりひりするケモミミさすりさすり立ち上がると。目の前に起こった瞬時の出来事に目を丸くしたままで少し呆然としながら。にこーっ、と笑顔咲かせて少年に近寄っていく。今身たばかりの早業に、興奮の声音を高くして。)
■東雲七生 > 「逃げんなぁ!!!こらぁ!!!
お前らの大将の失言のケツ持って全員蹴飛ばされろや!!」
散り散りに逃げて行った男たちへとぎゃんぎゃん吠える。
別に弱く見られるのは相手の隙を突ける分、利点だと思っているし、むしろ狙い通り油断してくれたからこうして綺麗に奇襲も掛けられるのだ。
だが、それと身長が足りないのは別問題である。身体的特徴をあげつらう奴には鉄槌を。好きで小さいわけじゃない。
「人を見掛けで判断すんじゃねえぞ!!良いな!?
な!!!」
息を荒げてぎゃんぎゃん。さながら猛犬の如く吠えたくった後は、はたと我に返って半獣人を見遣る。
そういえば元々この子が絡まれてたから割って入ったんだっけ、と思い出して。
「ああいや、えっと、どういたしまして。
怪我は無い?」
すっかり存在を忘れていたのを誤魔化す様に、相手のみを案じて首を傾げる。
■ジャム > (「ひーっ、すみませんでしたあ!」と、どう見ても一番下っ端っぽい使いっ走りさんが半泣きになって謝りながら遠ざかっていく。やがてオーガーさんも立ち上がって、「チッ」と舌打ちするのが精一杯のようだ。そのまま背を向けて走り去って行った。少年によって天誅が下ったその瞬間を見ていた周囲の人は、思わず静かに拍手を彼のほうに向けて喝采しはじめ。忘れられていたようだが、半獣人は危ういところを助けられてすっかりご機嫌のよう。黒く長い尻尾を左右に振り振り。息を荒らげる様も、微笑ましげに見ていたとか)
大丈夫!キミが助けてくれなかったら、この耳、ちぎられちゃうとこだったよ。今度お礼させてよ?僕は、ジャム。キミの名前は……?
(首を傾ぐ赤い瞳の少年に、続けてニコニコと笑みかけ。あやうく攫われるところだった自分の両耳を揺らしてみせる。そっと身を寄せて相手の瞳を見上げれば簡単に名乗って。優しい心根を持つ人間の名を強請り)
■ジャム > (名を聞けば、しっかりとその名前を刻みつけるように何度か舌の上で転がして。名乗らないのなら、少しがっかりとした顔を見せるだろう。「今日はほんとにありがと。それじゃまたね」と軽く手を振って。騒ぎのあった往来から遠ざかっていく――)
ご案内:「学生街の一角」からジャムさんが去りました。
■東雲七生 > 「お礼なんて、別に気にしなくて良いのに。」
困った様に笑いながら、指で頬を掻く。
実際のところ、連中を追い払う間はその存在を忘れていた程なので真実お礼なんて言われる筋合いじゃないのだ。
「えっと、七生。東雲七生……。」
それでも強請られれば戸惑いつつも答えて。
その後、去っていく背中に軽く手を振り返して、見送ったのだった。
■東雲七生 > 「さて、と。」
どうしよう。一人残った往来で呟く。
そもそも何をしにこの通りに来たんだったか、と思い出そうとしたところで、小さく腹の虫が鳴いた。
ああ、そうだったと空腹を思い出してきょろりと辺りを見回す。
「……よし、行くか。」
すん、と鼻を鳴らしてから屋台の立ち並ぶ通りへと歩いて行った。
ご案内:「学生街の一角」から東雲七生さんが去りました。