2017/04/19 のログ
メイジー > 「お戯れを。メイジーは幸せ者でございます」

言ってはならないことを口走ってしまった。
やはり気が弛んでいる。和やかな風土に、穏やかな人心にほだされてしまっている。
この主が障害になるとは思えないが、それとこれとは話が別だ。

「あれに見えますのは噂に聞く海の家、でございましょうか」
「……この行楽日和に休業中とは。なんということでございましょう」
「イカヤキ……ヤキソバ…ブルーハワイ…地域限定の飲料と仰いましたか?」

話題を変えるように喋りだす主に応じつつ、透きとおった海水に洗われた何かを拾い上げる。
波間に漂っている様に見えた桜色の小片。鮮やかな薄紅の、きらきらと輝く硬質の物質。

「これは…二枚貝の一種かと。恐れながら―――」
「身共から差しあげられるものは多くはございませんが……これは御身に、わが主」

主の手をとり、手のひらに花弁に似た貝殻を置く。

「今晩は近海産の魚介を使ったシーフードカレーにいたしましょう」
「このメイジーに万事お任せ下さいませ」

飽きもせずに波と戯れた後は、そのまま夕飯の買出しに向かったそうな。

竹村浩二 >  
「ん……これは、桜貝ってやつか…」

もらっておいてなんだが、死ぬほど似合わないな。
人に見られないように、大事に持っておこう。

「ああ、ありがとうメイジー。お前は大したメイドだよ」
「ついでに言うなら今回のカレーはちょっと辛めにしないか?」
「魚介を使ったカレーってのは、甘いのよりは辛いほうが俺は好きだなー」

そんなことを言いながら笑いあうこの瞬間に心地よさを感じて。

でも、そうじゃない。
そうじゃないだろう。

お前は……いや、俺は。竹村浩二は。
正義の名の元に異能犯罪者をボコってきた…犯罪者なのだから。

ご案内:「春の海」から竹村浩二さんが去りました。
ご案内:「春の海」からメイジーさんが去りました。