2017/11/05 のログ
美澄 蘭 > 「………それは、そうだけど………ほら、先生みたいな立場の人もいるし…
………それに…こっそり紛れ込む人だって」

もごもごと煮え切らない反論をする蘭。
大体、そんな「システム」、誰が作り上げるというのか。誰が、どこから学ぶというのか。

蘭は、子どもが持つ「無垢」の可能性に対して、ある意味ドライなのかもしれない。
だからこそ余計に、「大人」になることを欲しているのだろう。

「………それは、まあ…他の人に見せるような機会も、そんな気も、ないけど…」

面の隙間から見えるかも知れない頬の赤みに、気付く余裕など無い。
…というか、相手がぼそぼそとらしくない口調で話すので、こちらもかえって余裕が奪われている。

「………ほ、ほら!私これにするから、お会計行きましょ?」

無理してる感の強い明るい声を出して黒い魔女のコスチュームを手に取ると、手でレジを示す。

「…私、素だと真っ黒はあんまり似合わないから、合わせるのに丁度良いメイクも探しに行きたいの。そっちも付き合ってくれる?ドラッグストアで何とかなると思うんだけど」

空回りするかのような高めのトーンでそう語る蘭の顔は、更に赤みが増したように見える。

…なお、会計するということは、当然そこで、頼は一度カボチャのお面を取らなくてはいけないということでもあった。

八百万 頼 >  
ま、外から来るんもおるやろうけどな。
案外コドモの方が怖いモンやで。
知らんとか無邪気とかってのは。

(知らないから、悪気がないから。
 だからこそ子供はどこまでも残酷になれる。
 そんなことはどうでも良い。
 今大事なのは。)

うん、まぁ、うん。

(真っ赤になってる顔をどう隠すか、と言うことだ。
 レジを示され一瞬固まる。
 が、すぐに後ろを向いて面を外し、同じデザインのすっぽりと頭を覆ってしまうものをすばやく被って。)

――店員さーん、ボクこれこのまま被ってくからこのままお会計してくださいなー。
ええよー、ほな会計していこか。

(逃げた。
 普段していない顔を見られるのが恥ずかしくて逃げた。
 幸い彼女にはまだ気付かれていないはずだ。
 バレる前に得意の話術で切り抜ける――!)

美澄 蘭 > 「………まあ、分からなくもないわ」

そう答える蘭の声は、「気になっている人と一緒にショッピング」とは思えない温度の低さを、ひとときだけ宿した。
…ただ、それを相対化出来るということは、目の前の相手は…ということも、頭の片隅では考えている。

どっちにしろ、その声の冷たさは、その一言限りだった。

「え、え、ええっ?」

「このまま被ってく」発言に、驚いたように目を丸くする蘭。こっちは逆にちょっと赤みが引く。
変な事を言ったのが気まずいのだろうか。何か口調がいつもと…いや、さっきのような気まずい話題の時の感じとも、また違ったが。

先に会計を済ませたいらしい頼に道を譲りつつ、後ろから、何となく様子を伺ってみようとする。
頭からすっぽり被るタイプになって難易度は上がったけれど、こう、目の辺りの隙間とか、首筋の辺りとか。

…この2人の振る舞い、先ほどまでのそれと合わせて、店員にはどう思われていることか。

八百万 頼 >  
(店員さんがカボチャとマントに付いたバーコードを読み取り、タグを外す。
 横合いから除いても、今被っているのはすっぽり頭全体を覆う、被れるジャックオーランタンぬいぐるみと言ったシロモノ。
 無駄に凝ったつくりのせいで、カボチャの目と口からもその中は見えない。)

ほらほら、蘭ちゃんもはよお支払いせな。
ぼーっとしとるとボクが払ってしまうで。

(さあさあと彼女の後ろに回り、背中を押してレジまで向かう。
 店員さんはほほえましい感じで見ているのか、もしくは内心リア充爆発しろと苦虫を噛み潰しているのか。
 しかしその表情からは読み取れない。
 後者だとしたら恐るべきプロ根性である。)

美澄 蘭 > 見えなかった。残念だが…相手が見せたくなかったのならば、それで良かったのだろう。
蘭はそれで自分を納得させることにした。

「もう…大丈夫だってば」

背中を押されれば、困ったような、くすぐったいような笑いとともに、レジに向かって普通にお会計。
イベントの時にカップルが盛り上がるのはある程度既定路線だろうし、店員も慣れている面はあるかも知れない。

異性に、背中を押されたりとかのスキンシップが、不愉快でない。寧ろ楽しい、心地いい。
自分の気持ちにある程度整理のついた蘭は、そんな自分を素直に受け入れていた。全く恥ずかしくないとは、流石に言えないけれど。

八百万 頼 >  
(彼女が会計をしている間、なんとなく店内を見て回る。
 お菓子は売っているが流石に黒豆は売っていなかった。
 そこまで時間が掛かるわけもなく、会計を終えた彼女へカボチャヘッドを向けようか。)

――お化粧品買った後のご予定は?

(不気味でシュールなパンプキンヘッドを傾け、この後の予定について訪ねる。)

美澄 蘭 > 会計を済ませて、カボチャヘッドを向けられれば、考えるように軽く首をひねり。
まだ普段よりは赤いが、元々黄みにも赤みにも乏しい肌なので、普通に血色がいい、という程度にしか見えない。

「うーん、今日はハロウィン下見というか、様子見みたいなつもりだったから…ここまでトントン拍子に話が進むと思わなかったし、特に決まってないわね。
………お茶………する?」

今まで曲げていたのと反対側にことりと首を傾げて、尋ねる。
流石にパンプキンヘッドでお茶はできまい。

八百万 頼 >  
(ジャックオーランタンと見詰め合ってお互い首を傾げあう光景。
 シュール。)

お茶、ええよー。
ほんじゃ先に薬局行ってまうか。

(流石にもういつもの調子に落ち着いてきた。
 とは言えここで外すと何のためにつけたまま会計をしたのか、と言うことになるので、そのまま店を出る。
 近くの薬局へ歩を進めよう。)

美澄 蘭 > シュールなのだが、相手の要望なので素直に受け入れてしまうこの少女。
この精神構造こそが一番シュールかも知れない。

「ええ、見るものはある程度決まってるし」

あまりこだわりが無いのか、向かうのはさほど距離の無いドラッグストア。
化粧品のコーナーの、いわゆるプチプラ系のコーナーに立つ。

「お母さんが「まだ早い」って言うから、ファンデーションは持ってなくて…
あと、黒に負けないためには黒のアイライナーとかも欲しいかなって。あとは手持ちでどうにか出来ると思うんだけど…あ、でもこのリップの青み綺麗」

そんなことを言いながら、手の甲に明るい色味のファンデーションのテスターを伸ばしている。
他にも、リップカラーのテストとかをしたり…

「…黒のマスカラも、あった方がいいと思う?今、マスカラ自体使ってないんだけど」

頼の方に、そんな風に意見を聞いてみたり。
この少女、基本的に化粧っ気が無いのだ。

八百万 頼 >  
蘭ちゃんぐらいやったら早い言うことはないやろ。
黒に黒やとアレやない?
黒に合わせるなら赤の方がええんちゃうかな。

(そんなことを言いつつ、彼女の横から化粧品を眺める。
 化粧品コーナーを通るたびに思うのは、化粧品は量が多いと言うこと。
 ファンデーションやらなんやらかんやら、種類もそうだが同じものでもバリエーションが豊富過ぎる。)

んー、魔女のかっこすんのやったら、あった方がええとは思うよ。
帽子とかローブとか、結構大きいし。

(そんなことを話しつつ、買い物デートを楽しむ。
 薬局を出た後は、先ほど言ったとおりにお茶へと向かおう。
 当然その時はカボチャヘッドは外すが、その頃には既に顔の赤みはすっかり引いているだろう――)

美澄 蘭 > 「肌が綺麗だから、いらないって。
…赤かぁ…私、目が片方青系だし、リップの色との兼ね合いもあるから…」

しばし悩んで、結局選ぶのは、やや青みを帯びた赤のアイライナーと、黒のマスカラ。
それから、今持っているものよりも青みの強いピンクのリップカラー。

そうして買い物を済ませて、お茶へ。
カボチャヘッドを外した相手はいつも通りだったけれど…だからこそ、カボチャヘッドを外すのを厭ったあの瞬間と、その前の耳慣れぬ口調が、蘭の心には引っかかり続けたという。

ご案内:「ハロウィン前の休日」から八百万 頼さんが去りました。
ご案内:「ハロウィン前の休日」から美澄 蘭さんが去りました。