2018/01/08 のログ
ご案内:「喫茶店」に八百万 頼さんが現れました。
八百万 頼 >  
(ある喫茶店の窓際の席でコーヒーを飲む。
 恋人から「母親と三人で話がしたい」なんて連絡を受けた。
 普通に考えれば親を紹介するアレな流れなのだが、まぁそう言った話ではないだろう。
 ともあれ想定内のことには変わりなく、いつも通りリラックスして彼女たちを待っている。
 とはいえその恋人と言うのが自身に想定外をぶつけてきた相手であり、万事が想定内、と言うわけにはいかないだろうが。)

――まーなるようにしかならんからな。

(わからないことに気を張っても仕方ない、と言うのはよく知っている。
 なのでいつも通りニコニコ笑って外の景色を眺めていたり。)

ご案内:「喫茶店」に美澄 蘭さんが現れました。
美澄 蘭 > 「このお店だって」

冬らしい装いに身を包んだ少女が、誰かを伴って店の中に入ってくる。
少女に続いて入ってきたのは、少女よりやや背の高い、四十がらみの女性。
ゴールドブラウンの柔らかそうな髪を肩を覆うくらいに伸ばした、淡い空色の瞳の人物。
店員に声をかけられると、先導している少女は…

「…ああ、待ち合わせがあるんです。先に、金髪でオールバックの男性が一人で来てるんじゃないかと思うんですけど…」

店員に窓際の席を指されると、不安げだった少女の表情が安堵に少しだけ和らいだ。
そのまま、連れの女性を伴って頼の待つ席に向かう。

「金髪でオールバック」。彼女の故郷ならば浮くのは間違いないし、眉をひそめる人も多いだろう。
しかし、自身の髪と目の色のこともあってか、少女の連れは温和な笑みを崩さない。

八百万 頼 >  
(聞きなれた声が聞こえた。
 立ち上がり、入り口に目を向ければ見慣れた顔と、彼女によく似た、もう少し大人っぽい人物。
 そちらに軽く手を挙げて、二人を待って。)

ああ蘭ちゃん。
寒かったやろ。
――どーも初めまして。
蘭ちゃんとお付き合いさせて頂いてる八百万 頼言います。
今日はどうも遠くから来ていただいて申し訳ありません。

(ニコニコしたまま彼女を迎え、その後ろの女性へ頭を下げた。
 いつも通りの関西弁で、ニコニコと笑いながら。)

美澄 蘭 > 「…緊張して、それどころじゃなかったかも」

相手の気遣いの言葉に、苦笑いで返す少女。
彼女と並ぶように前に出てきて、彼の挨拶に応じようとする、連れの女性。…少女の、母親。

『良いのよ、私が顔を見てみたかっただけだから。
…八百万さんね。美澄 蘭の母の雪音です。娘を随分大事にしてくれてるみたいで』

首を、フェミニンに傾けながら会釈を返す女性。

決して、特別に若々しいわけではない。目元口元には、笑い皺がしっかりと刻まれている。
しかし、白髪は明るい髪色のおかげかほとんど目立たないし、体型も、いわゆる「女性らしいライン」をそれなりに保っている。

少女の左目と同じ色の両目は、人の良さそうな優しさと、内側に溢れるような生気に輝いているように思われる。
その声は、少女のそれとかなり似ているようだった。

八百万 頼 >  
まぁなるようにしかなんねんのやから。

(なんて言いながら自身の正面の椅子を二つ引き、手で座るように促して。
 二人が座るならそれに合わせて椅子を押していく。)

いやいやこちらこそ色々ようしてもらって。
――ええと、美澄さん、お呼びした方がええですやろか。

(正面の椅子に自身も座り、そう問いかける。
 お母さん、と呼ぶにはまだ彼女の家族と深い付き合いをしているわけでもない。
 どう呼べばいいかと尋ねて。)

美澄 蘭 > 「………まあ、ね」

少女の笑みが苦味を増す。
母親相手に上手く語れなかったことへの罪悪感があるのかもしれない。

『そうなの?それなら本人も胸張ってくれたら良かったのに』

『変に言いにくそうにするんだもの』と笑う雪音。俯いてほんのり顔を赤らめる蘭。
それでも頼が椅子を引いてくれれば、座る前の「ありがとう」の言葉は、一瞬重なった。

『蘭と混ざりそうだから、「雪音さん」でも良いわよ?』

頼の正面に並んで座る母娘。母親の方は、そんな風に言って、にっこりと屈託なく笑う。
笑い皺が持つ貫禄と、その屈託のなさが若干ちぐはぐにも見える。

八百万 頼 >  
ほうなら雪音さんと呼ばさせていただきますわ。

(へら、と笑って言われた通りに名前で呼ばせてもらう。
 その印象のちぐはぐさが、むしろ彼女の重ねた年齢を表しているようで。
 やはり彼女の親だな、と再確認。)

――んで、お話がある、言うことですけども。
まぁ大体想像は付いとるんですけどね。

(本題に入る。
 とは言え話すことなど一つしかないだろう。
 苦笑しながら切り出そう。)

美澄 蘭 > 雪音の反応は、相手が苦笑い混じりで切り出してきたのとは対照的だった。

『ああ、そんな重い話じゃないわよ』

「蘭、あなたどんな伝え方したのー?」と隣の少女に、困り眉ながらも朗らかな笑いで尋ねる。
「そのまんまだってば…「お母さんが会って話したいって言ってた」って」と、少し唇を尖らせ気味に返す娘。
その様子に、少し苦笑いをこぼしてから、雪音は頼の方に向き直った。

『蘭がね、「恋人が出来たからクリスマスは一緒に過ごしたい、そうなると帰省が遅れる」って報告をしてきたんだけど…何か、その時の蘭の話し方?が随分気が重そうだったし、色々言いたくなさそうだったから。
もう18なんだし、家族以外の人間関係が充実してるのは良いことだと思うんだけど』

「ねぇ?」と、何故か頼の方に同意を求める雪音。しかもやたら人の良さそうな笑顔で。

『…蘭はあなたのことを悪く言おうとはしないし、私もその判断を疑うつもりはないんだけど、いざって時にすぐそばにいられるとも限らないでしょう?
だから、人となりを少しでも感じ取れればなーと思っただけなのよ』

「大げさになっちゃったわねぇ」と雪音が苦笑いしていると、店員が注文を取りにくる。
母親の方はカフェオレを、娘の方はミルクティーを頼んだ。

八百万 頼 >  
あぁー。
蘭ちゃん、物事なんでも真面目に捉えてまうとこありますからなぁ。

(まぁ想定内と言えば想定内である。
 と言うかあった時点の空気でなんとなく察しは付いていたと言うか。
 しかしいつもの彼女の様子を見ていると、母親に電話した時のテンションがどのようなものだったのかが、まるで見ていたかのように脳裏に浮かぶ。
 その光景を思い浮かべ、拗ね気味な恋人に苦笑を向ける。)

とは言いましてもなぁ。
ボクがどんなか言うても、こんなやとしか言えまへんで。

(困ったような顔で軽く手を広げて見せる。
 正直恋人にすらまだまだ隠していることはあるのだ。
 そういう意味では確かに実際に会って貰うのが正しいだろう。)

美澄 蘭 > 「………。」
『それはそれで蘭のいいところだと、家族はみんな思ってるんだけど。若い子たち同士のお付き合いだとちょっと浮きがちかしらね』

恋人に苦笑を向けられ、無言で視線を逸らす蘭と、双方の間を取り持つように語る母親。
二人が注文した飲み物が運ばれてきて…母親は、改めて手を広げてみせる頼の方を向き直った。

『まあ、蘭からちらっと聞けた範囲とすり合わせると、ちょっとギャップは…ああ、微妙なところねぇ。
でも、蘭、さっき話してたみたいなところあるでしょう?そういうタイプに好意を持ちそうな子には、あんまり見えないかも』

左手でコーヒーカップをつまみ、右手で頬杖をついて。
雪音は、何気ない表情で、じーっと頼の顔を見つめた。
その表情の中には、まだ年頃の少女がいるようですらある。

八百万 頼 >  
まぁ、それは確かにありますけど、そういうとこも好きなったとこの一つですから。

(恋人の前でも気にせずそう言ってのける。
 好きなところを好きと言って、何が悪いのか、と言う表情。)

――んー。
まぁ、そうですやろなぁ。
ボクが軽い言うんは、確かにそうではあります。

(否定はしない。
 むしろ最初は警戒されていたように思うし。
 さて、言うかどうかが悩むところだ。
 自身としては構わないのだが、彼女がどう思うか――)

――雪音さんは落第街とか違反組織とか、聞いたことありますやろか。

(考えて、そう切り出した。)

美澄 蘭 > 『あら、そう言ってもらえると母親としても嬉しいわ』
「………。」

恋人の前ではもちろん、その親の前でもしれっと相手を褒めることが出来る。
そのことを雪音は純粋に喜んでいるようだし、言葉を挟もうとしない蘭も、ほんの少し頰を赤らめて、自分の母親と恋人の間で視線をくりくりと動かし続けている。

そして…頼は、思わぬ方向に話を切り出した。

「………!」
『………。』

蘭の表情が強張り、頰から赤みが消える。
雪音は、その様子を黙って確認してから…

『…実は私も個人的にこの島の研究施設に用事があってね。度々こっちに来てるから、話は聞いてるわ』

先程までの朗らかさは抑制されているが、娘に似た…正確に言えば娘が母に似た声をしているのだが…その声は落ち着いており、表情からも柔らかさは失われてはいない。

八百万 頼 >  
知っとるんでしたら、話が早いですわな。
ボク、その違反組織でちょっと色々やらせて貰うてます。

(あっさりと口にする。
 色々、と言う部分は詳しくは説明しないが。)

まー落第街言うのはひどいもんでして。
多分雪音さんが想像するよりももう一つ二つ飛び越えたようなことが割と日常的に起こっとるんですわ。
――せやけど、こっち側のルールに追い出された連中言うんも結構おるんです。

(普通、自身がどんな人間かを確かめに来た、恋人の親にそんなことは話さない。
 けれどもどうも隠し切れなさそうだ。
 いや、適当にのらりくらりとかわせばどうにでもなるのかもしれないけれど。)

そういう連中言うんは、居場所がありませんねん。
こっち側にないから、あっち側に行く。
あっち側がそういうとこやから、潰されんように適応する。
そういうやつらには居場所与えてやれば、悪さはせえへんようになったりするんですわ。
――そういうのを集めて仕事渡したりしてるんがウチの組織です。

(そういうことはしたくなかったから、正直に話すことにした。
 それでダメなら仕方ない。
 遅かれ早かれバレるだろうことだから。)

さて。
これがボクです。
わかってもらえましたやろか。

(狐のような笑顔で、じっと見る。)

美澄 蘭 > 「『………。』」

雪音だけではない。蘭も、真っ直ぐに頼の方を見て、無言で話を聞いている。
蘭だって、「仕事」の場面そのものは見ているけれど、どんな思惑で、思想で彼が動いていたのは知らなかったのだから。
先にため息をついて、表情を和らげたのは雪音の方だった。

『………「駆け込み寺」の中にもなお、居場所がない人がいる…世の中って複雑よねぇ』

そこに浮かんでいるのは、複雑な感慨を持ちながらも、それをゆるく飲み込もうとする、穏やかな微笑。

『恋人の母親とは言え、初対面の人間にそこまで話してもらえたのは、信頼してもらえたと思っていいのかしら』

「根掘り葉掘り聞く気は無いって蘭には伝えてたんだけど」と、苦笑い混じりにカフェオレをすすった後…

『あ、でも一つだけ聞いていい?』

と、まるで先ほどの話がなかったかのような邪気のない、人の良さそうな笑みで…雪音は、頼の方を真っ直ぐに見た。

八百万 頼 >  
ま、ルールに反したことやっとることには変わりないんですけど。

(けら、と笑ってコーヒーを一口。
 すっかり冷めてしまっているそれにしかめっ面を返して。)

それもありますし、黙っとるのも良うないですから。
遠くから来てくれはったのに、適当な耳障りの良いことだけ言うてってのも、ようないですやろ。

(隣に彼女もいることだし、話すにはちょうど良かったタイミング、と言うのもある。)

ほい、一つでも二つでも、いくつでも聞いてもらってかまわへんですよ。

(ニコニコと笑顔を返しながら。)

美澄 蘭 > 『そうね〜。お父さんも晃もそういう人達を排除せずに済むルール作りのために戦うことを仕事にしてるような人達だから、認めるにしてもいい顔はしないかも』
「………。」

こちらも朗らかに笑いかえす雪音。娘の方の表情が複雑なのは、「いい顔はしないかも」という言葉に納得感があるためだろうか。

『そこは、社会経験少ないなりに私も大人だからね。見極めるくらいのつもりでいたことはいたのよ。
…とは言っても、そんなに高いハードル置く気はなかったけどね。「今年のクリスマス」のための話だし』

「蘭の様子を見る限り、この子も初めて聞く話ではあったみたいだけど」と、隣の娘の方に視線を軽く投げつつ。視線を向けられた娘の方は、亀よろしく首をすくめて、無言でミルクティーをすすっているのだった。
その様子に、少しおかしげな微笑をこぼしてから、雪音は頼の方にまっすぐ向き直り…

『…もしクリスマスのデートであなたの希望が叶うとしたら、何がしたい?どこに行きたい?』

満面の笑みで投げかけられた質問は、あまりにもシンプル、ストレートだった。
あまりのストレートさに、雪音の横で娘がむせる。「ああ、大丈夫?」と、さりげなく気遣う風で背中をさする母親。

八百万 頼 >  
そういうんならそもそもそれに越したことはないですわ。
そうすればこんな悪いことせんでもええですからね。

(はみ出し者がいなくなれば、そういうはじき出されたものもいなくなる。
 それはむしろ自分たちの目指すところなのだから。)

いやいや、正直雪音さんにじっと見られたらやましいことみーんな白状してしまいますわ。
蘭ちゃんのお母さんだけあって、美人でかわいらしいんですもん。

(はっはっは、なんて笑って大阪のおばちゃんみたいに手を上から下へ振り下ろす。
 やだわもう、なんて言葉まで口に出して。)

クリスマスですか。
んー、まぁとりあえずあの辺のツリーは見に行きたいです。
この島に遊園地なんぞあれば行きたかってんですけど、ないからまぁ食事とかも。
これも「あっち」で拾ったもんなんですけどね、美味いメシ作食わせる店があるんですよ。
場所教えときましょか?

(なんて楽しそうに笑いながら。)

美澄 蘭 > 『あっちはあっちで別の大変さがあるみたいだけどね。まっすぐ前を向く姿ってやっぱりかっこいいのよ』

にこにこにこ。結婚して20年近く経つのに平気で惚気る既婚者であった。
だんまりしている娘が、口を開かないなりに惚気を平気で聞いているあたり、こっちは割と慣れているらしい。

『それなりに志ある話だったわけだし、私の前に蘭に話しててあげても良かったんじゃないかしらね。
社交辞令はありがたく受け取っておくけど』

大阪のおばちゃんっぽい軽いノリでのおべっかには、こちらも朗らかなりにちくりと。
まあ、バイタリティというか生気あふれる人物なので、見ようによってはある意味「チャーミング」なのは事実だろうが。

『ツリー見て、お食事…いいわねぇ、定番で。
「あっち」で拾った…ってことは、あなたの「お仕事」で見つけて、お店開くのをサポートしたとかそんな感じ?』

楽しそうにデートプランを語られれば、雪音の方も楽しげに聞いている。
蘭も、悪い気はしていない様子だった。

八百万 頼 >  
いやぁ、仲よろしゅうて羨ましいですわぁ。

(惚気を聞かされてもにこにこと笑ったまま。
 年上相手に抱く感想ではないが、ほほえましいとすら思う。)

それらしいこと伝えてはあったんですけど。
と言うかそれでも蘭ちゃんが引かずにまっすぐぶつけてくれはったからボクも惚れたとこはあるんですけどねー!

(たはーなんて笑って見せる。
 そちらが惚気るのならこちらも惚気るまでだ。)

そうですね、基本はやっぱりこっち側に戻れるようにする方向でやらせてもらってます。
いつまでも引きこもっててもしゃあないですし。

(裏で生きる術より、表で生きる術を手にした方がよほどつぶしが聞くのだから。)

美澄 蘭 > 『でしょー?』

引かない。そのまま押す。片頬に手のひらを当てて、幸せそうな笑みを浮かべる既婚者。

『ああ、なるほど…それは、蘭も話し方に悩むかもしれないわねぇ。
自分のことじゃないから、どこまで話していいかも分からなくて不安だろうし』

優しい声でそう語る雪音の横で、蘭が神妙な顔で頷いていた。
惚気についても、にこにこと受け止める母親と、神妙な表情のまま頰を赤く染める娘。

『良かった…落第街の方にお店があるって言われちゃうと、治安もそうだけどデートを楽しみきれるのかどうかも不安になっちゃうし。
それに、「こっち側」を否定しないんだったら、あんまり衝突しなくて済みそうだものね』

頼の説明を聞いて、満足げにカフェオレを飲み干す雪音。

『…それじゃあ、あとは二人でデートプランの相談をゆっくりどうぞ』

そう満面の笑みで言って、雪音は立ち上がる。…自分達の分のはもちろん、頼の分の伝票にも手を伸ばしながら。

八百万 頼 >  
まぁ、泣かせたりしてしもたり、色々ありましたわ。

(苦笑を向けて。)

流石にそっちの方には連れていけませんわ。
ボクも気ぃはりますし、良うないもんも仰山おるみたいですからな。

(人的被害であれば組織の力を借りればどうにでもなるだろうけれど。
 そうでないものは、流石に手が回らない。
 彼女であれば尚更だ。)

あぁどうも申し訳ありまへん。
ごちそうさまです。

(立ち上がり、ぺこりと頭を下げた。
 奢ってくれるのならば素直に甘える。
 相手を立てるのも大事なことだ。)

――面白うてかわいいお母さんやったな。

美澄 蘭 > 『まあ、それを乗り越えて今があって、二人が想い合ってるならそれでいいんじゃない?
私もそれなりには色々あったしね』

「人間関係の積み重ねは平坦にはいかないわ」なんて、人懐っこいノリで語る言葉は、ちょっと重かった。伊達に人の親をやっていない、ということかもしれない。

『良くないもの…人以外だと、蘭とか私が危ないやつかしら。
ほんとこの島色々あるのねぇ…私が研究所から移動範囲制限受けるのもしょうがないかも』

肩をすくめて苦笑い。素直に甘えられれば、にっこりと笑って。

『夕飯作って待ってるから、そのくらいには帰ってきてね。本番はクリスマスにとっておくのよ?』

なんて言葉を楽しげにかけて、会計を済ませると雪音は出て行った。
母親の姿が見えなくなる頃。蘭は深いため息をついて…。

「気遣う時は静かに気遣ってくれるんだけど、「異能」との付き合い方の関係上人付き合いはあんな感じのことが多いわね。基本的に、「枯れる」みたいなのとは無縁な感じ」

「趣味がある程度共通だから、そういう意味でも楽しいわね」と語りながらミルクティーをすする少女の顔は、割と平静だった。

八百万 頼 >  
ええやん、良いお母さんやと思うで。
ちゃんと話聞いてくれはったし。

(すっかり冷めてしまったコーヒーを飲み干して。
 こちらまで楽しくなってしまった。)

――さて。
どうせやし、ちょっとデートでもしてこか。
蘭ちゃんの好きそうな雑貨売ってる店見付けてん。

(気を利かせてくれたお母さんの行為に甘えてデートしながら当日のプランでも話し合おうと。
 とりあえずしばらくここで話してから、その雑貨屋へ向かおう、と。)

美澄 蘭 > 「「もう若い子のことは分からないから」って、私から話をさせてくれるのが基本なの。
そうね…やっぱり、恵まれてるんだと思う」

しこりが、全くないといえば嘘になるけれど。蘭は、少しだけ視線を落としながら穏やかに笑んで頷いた。
ミルクティーをマイペースにすすろうとしたところで…突然の、デートのお誘い。

「あ、えーっと………とりあえず、ミルクティーはマイペースに飲んじゃっても大丈夫?」

驚きに目を瞬かせながら、そんなことを。
目の前の「恋人」はきっと急かさないし、なんだったらクリスマスのデートやら何やらについて話を振って来るのだろう。

そうして、デートプランについて楽しく語り合ってから、二人は、輝くこれからの時間に向けて踏み出して行くのだ。

ご案内:「喫茶店」から八百万 頼さんが去りました。
ご案内:「喫茶店」から美澄 蘭さんが去りました。