2018/08/15 のログ
■暁 名無 > 「……あ、はい。」
結局今の選択は何だったのか。そんな疑問を抱えたまま、俺は促されるままにラフィから顔を背ける。
……ちょっと待てまさか今この場で着替える気か。
珍しく思考回路が働いて、途端に背中を悪寒が走る。
いや、着替えするよとは言ったけど今この場でとは思わなんだ。
「……。」
いや、まさかラフィでもそんな事は。
ちらり。
それとなく横目で盗み見て、すぐに逸らそう。
■ラフィニエレ > 確りとあちらを向いたことを確認すると瞳を閉じる。
回路形成開始。いつものように淡い光が舞い、散る様に部屋に満ちる。
この暖かいような冷たいような独特な感覚は嫌いじゃない。
……両腕とコアのリンクは問題なし。
少し息を吸い込む。再分解、再構築……よし、問題はない。
目を開いて自分の体を見ると問題なく獣化している。
体毛が鎧のような容姿になるので
服を脱ぐのがいささか大変だが腕の質量が全身に分散されるので
今のうちに袖を通せば問題なく服は脱げる。
幸いにも新しい服は袖がないもののようだし……
服をひっかけないように注意しつつ全身に絡まる布を脱ぐ。
よし、脱げた。
そのまま手早く獣化の解除。
開き直ってしまえば何も怖くない。
殆ど紐のそれを少し苦労しながら腰で結ぶ。
胸当ては無いので背中と腕が大胆に露出したタートルネック(DTが見たら死にそうなやつ)に
腕……と言うより頭を通し、長い髪を背中に降ろす。
腰部分に大胆なスリットが入ったショートパンツに足を通し……
「……ななぃ、ぉわった」
全身を撫でつけた後机に横座りつつ声をかける。
相変わらず仏頂面だが僅かに語尾が震えるのは最早どうしようもない。
■暁 名無 > ……あー、そうやって着替えてたんだ。
一部始終を盗み見……と言ってもチラチラ横目で見たり逸らしたりしただけだけどし、新たな発見に小さく嘆息を零す。
毎度の事ながらどんな技術でそれが行われているのかは判らないし、わざわざ俺の目を逸らさせたのだから、今のは知られたくない事なのだろう。
そんなことをぼんやりと考えていたら、向こうから声を掛けられて振り返る。
「お、おう。……あー、よく似合ってる……じゃん?」
何か思ってたのとだいぶ違ったけど、少なくとも俺のシャツとジーンズを着られるよりはマシだ。
……いや、マシか?マシかコレ?
タートルネックセーターとか暑いじゃん絶対。いや、そうじゃなくて。
「……それ、今、買ってきた奴の中に入ってたんだよな……?」
あの野郎。と服選びを一任した女生徒を思い出してぐっと拳を握る。
いやもうぐっじょぶとよくもこんな服をの二種類の感情が渦巻いてて握った拳をどうしたものか、な状態だけど。
ていうかブラは選んでくれなかったのか。そういやサイズとか測ってもないし伝えてもねえなって今更凡ミスを思い知る。
「……う、うん、可愛い可愛い。」
とりあえず数ある中からラフィが選んだのだし、褒めておこう。うん。
■ラフィニエレ > 「ん」
とりあえず褒められた。
と言う事はたぶん求められている役割らしい服ではあったという事だろう。
因みにチラ見には一切気が付いていない。
オンオフの差が激しい?差があるからオンオフなんですよ。
「ぅ」
はぃあなたが選んだ服ですよと
複雑な感情を込めて小さく頷くが
多分傍目には平然と来ているように見えるだろう。
……いや、平気じゃないんだけど。
とは言えこれで終わりで良いのだろうか。
一つ大きく息を吸う。
「ここ、から何、すぅ、いい?」
脱いだ服を摘まみ上げ手早く畳んでいく。
さすがに脱ぎっぱなしは行儀が悪いし気持ちが悪い。
さっきの本を思い出して若干そわそわしてしまうのを紛らわすのにも良い。
■暁 名無 > 「う、うんうん。
こうやって見ると、やっぱりそこそこ見た目は良い方なんだよな……」
見た目は。
いや、今はまだ転移してきたばかりでこっちの文化や言葉に不慣れなだけで、あと数ヶ月もすれば分からない。
そんな事を考えるほどには、俺の頭は順調に疲れていて。
「………。」
服を畳むラフィを、見る角度を少しだけ変えれば。
ほぼ体の前面だけを覆う様に隠すセーターの無防備な側面。
特に押さえも無く腕の動きに合わせてふよふよ揺れる果実が見え隠れして。
やっぱりグッジョブかなーと、心の奥で女生徒を胴上げするような心地だった。
■ラフィニエレ > 「……」
仏頂面のまま数秒止まる。
言外に見た目だけのあほの子と言われた気がするけれど
まぁ誉め言葉と受け取っておこう。
実際未だに此方の平常な感覚が理解できない事は間違いないのだから。
「なに、もなぃ、なら、かたづけ、すぅ」
抑揚のない口調で告げるとぴょこんと机から降り、洗い物を入れてある籠に畳んだ服を入れる。
以前センタクキーを使おうとしたら辞めてと懇願されたのでそれ以降洗い物は積むだけにしている。
中の桶の回し方がわからなかったので手で回したのが駄目だったらしい。
そのまま他の服を衣装棚に綺麗に分類する。
実は暇にかまけて棚のカップや瓶も大きさや色に合わせて並べ替えてある。
以前友に旅した相手からは「病的な整頓好き」と言われていたが
大体みんなそんなものだと思う。……よし。きれいに並べられた。
「できた」
ぽつりと告げるととことことベッドの近くに行き
ぺたんと床に座り込んで部屋主を見上げる。
いつも寝ている耳が片耳立ってぴょこぴょこしている時は
なんだかんだ話を聞く姿勢の時。
因みに両耳がぺたんとしている時は色んな意味で聞く気がゼロです。
■暁 名無 > 「………おぉー」
てきぱきと片づけをしていくラフィを見て、意外としっかりしたところもあるもんだと感心する。
案外連れてきて正解だったかもと思わなくもない。普段の言動が飛んでなければ、だけど。
基本的に整理整頓は他人のスペースなら出来るけど自分のスペースとなると阿鼻叫喚な俺としては、ただただ感心するしかない。
「ええと、ご苦労さん。
そうやってちょいちょい片付けてたのね……道理で小ざっぱりしたと思った。
何にせよありがとな。」
ちょこんと床に座ったラフィの頭を耳に触れない様にわしわしと撫でてやる。
この一週間弱で繰り返し行ったせいか、おおよそ好みの撫で方は把握したと言っていい。
「とりま、ご飯にするか。
ちょっと早い気もするけど、俺も腹減ったし。」
眼福によって精神力が回復すれば、今度は空腹が主張し始める。
さっき買って来た荷物の中に、スーパーの総菜や弁当が入ってるからそれを取りに向かう。
■ラフィニエレ > 「んー」
わしわしと撫でられながら少し目を細める。
撫でられるのがなんだかんだお気に入り。
整理整頓がお気に召したそう。良かった。
「……めしー」
おー、と小さく片手をあげる。
此方の世界は美味しい物が多いので未だ食べ慣れるとか食べ飽きるといったものはない。
嫌いなものはあったけど。びーるとか。
そういえばななぃが帰ってくるまでと思って何も食べてない。
空腹を意識しだすととたんにお腹がすいた気がしてくるから不思議だ。
「たべぅー」
立ち上がって机の小さいほうの椅子にとことこと近づくと
それに腰掛ける。因みに正座。
なんだかんだ腕が地面に当たるので少しでも高い方が都合が良いのです。
■暁 名無 > 「今日の分はこれね……あとは夜食と明日の分。
……足りそうかね?お前さん割と大食らいだからなあ。」
エンゲル係数が一気に跳ね上がった今日この頃。
椅子に正座して待つラフィの前に、惣菜と弁当を並べていく。
のり弁と麻婆豆腐弁当と、ハンバーグ弁当。とりあえず3つ。
あとは適当な惣菜が幾つか。
「せっかくの新しい服なんだ、汚すなよ?」
へらへら笑いながら再びベッドに腰掛けて、ラフィの食事を見守りつつ。
俺の分の飯?ああ、菓子パンや総菜パンで十分です。
それに、あんまり食い過ぎたら眠くなって今後の作業に支障が出る。
「よし、んじゃいただきまーす、だ。」
■ラフィニエレ > ハシというものには相変わらず慣れないので
専用のふぉーくとすぴーんなる食器を用意してもらった。
お気に入りなので食事の度にピカピカにするまで綺麗にしている。
「ぅ」
あれはこっちが今食べていいやつであれが明日の分。把握した。
「うごかない、ぉなか、へぅ、少し」
最近は少し食欲が落ち着いてきた。(当社比)
オベントー二つ分くらいで人心地つく程度には消費を抑えるように心がけているからか。
未だに食器の扱いに慣れたとは言えないので慎重にそれらを動かしながら黙々と口に運ぶ。
一見無表情でただ機械的に食べているように見えるかもしれないが
耳がぴょこぴょこ動いていた。美味しい。
「……ぅー……なな、ぃ?」
部屋主の食べる量が少ない。信じられないほど少ない。
元々(自分と比べ)そんなに多く食べるタイプではないと知ってはいるけれど
それにしても少ない。
色々考えた結果、もしかして食べるだけの量が無いのではと言う結論に達する。
なら……
「ん」
ひき肉を捏ねて焼いたと思われるものを匙で掬うと
ずいっとななぃの口元に差し出し小首をかしげた。
■暁 名無 > 「うん?」
何やら物言いたげな目と態度と仕草でこっちを見ている。
見ているというか、まあ、明らかに『これ食え』的なオーラを出しているのだが。
「何だ、心配してくれてるのか?
大丈夫大丈夫、これでも足りてるからさ。
ラフィーがあまりお腹空いてないっていうなら、その分夜食に回せるし、その時食べるよ。」
だから今はラフィが食べなさい、と静かに首を振る。
空腹を満たす以上にラフィには目の保養をさせて貰っているし、何ならそれは現在進行形でもある。
故にお弁当を分けて貰う必要なんて無い。もう充分頂いてます。
むしろ俺の方から何か与えなきゃいけないんじゃないかと思ってしまうくらいには。
■ラフィニエレ > 「ん」
確かに旅をしている時は食事自体が数日に一度
それも干し肉とパン(驚くべくことにこちらにもある)だけと言う事も珍しくなかった。
それに近いものなのかもしれないと素直に匙を引っ込め、
「……」
そのまま自分の口に運ぶ。
此方の世界は本当に食べ物が多いし美味しい。
向こうの感覚で言えば王侯貴族の如き豪奢な食事が
簡単に手に入る値段で売っているらしい。
……とんでもない場所である。全くとんでもない場所である。素晴らしい。
「……あぃと」
ぽつりと小さな声でつぶやく。
この生活が眼前の彼の好意によって成立している事はとてもよく理解している。
元々旅人だからこそ、これがとても貴重な体験であるとよく判るのだ。
だからこそ多少の無茶なら対応するわけで……
それを差し引いても十分すぎる程良くしてもらっている。
……お礼位はいっておくべき。凄く小声ですが。
■暁 名無 > 「うん、どういたしまして、だ。」
お礼を言うのもこっちの方なんだけどなあ、と苦笑する。
ま、いいか。感謝されて悪い気はしないし、別段罪悪感も無いし。
俺はただ、拾った者の責任と義務を果たしているだけ……のつもりだ。
「ふふ、美味いかラフィー?」
幼子の食事を見守る様な心地で声を掛ける。
実際状況は似たようなもので、一部幼子と呼ぶにはちょっと難がある腕と胸だけど。
「遠慮なんてしなくて良いからな、どんどん食え。」
変に後で空腹を訴えられても困る。
いや、その為に余分に買って来ては居るのだけども。
やっぱり夜食は残しておきたいわけで。この後も様々な考察やら情報整理が残っているから。
■ラフィニエレ > 「ぅ」
ただひたすらに美味しい。
とりあえず此方の世界にもう少し慣れたら
調理法を少し習ってみようと思う。
未だに食事の時は夢見心地で本当に夢でも可笑しくないレベルだと思っている。
目が覚めても調理法が分かればなんとかなる。たぶん。
……実際に出来るか否かは別の話。
そうでなくとも貴重な物をふんだんに使っている事は鼻と舌で分かる。胡椒とか。
「ん」
もぐもぐと瞬く間に平らげる。
食べっぷりの良さには自信がある。
何せ余りの食べっぷりに大喰らいの魔獣という噂が流布していたくらい。
噂では人も食べちゃう凶暴な魔獣として語られてましたが
人を食っているのは性格だけです。
「ごちそーぁま、でし、ぁ」
最後の一口をこくりと飲み込むと
おててを合わせて美味しかったですのポーズ。
穀物の一粒も残さないのは基本です。
貴重な食べ物に感謝を忘れて残すなんてとんでもない。
■暁 名無 > 「しかし本当に美味そうに食うよなあ。」
見てる方まで腹いっぱいになる様な、そんな食べっぷり。
表情こそ変わらないものの、感情が手に取って分かる様な。
この食べっぷりを見るのも、最近の楽しみになっているのも否めない。
「はーいお粗末様。じゃあ残りは冷蔵庫に入れて、と。
ついでに机回りも少し綺麗にしとくか。今布巾持ってくる。」
残りの弁当を片してから、布巾を水で濡らしテーブルに置く。
この手の手伝いはラフィーに手伝って貰うのが一番だろうし、
何より拭き掃除なんてして貰えばそれはもうあちらこちら見えたりするだろうし!
……うん、空腹も少し満たされて変な欲が顔出して来てんな。
■ラフィニエレ > 「ぜんぶ、んまぃ」
此方の世界の人にはどう伝えたらいいのだろう。
こんなに美味しい物を連日食べられるなんて
8年に一度の五神大祭位だという事を。
しかも元の世界に戻るまではこれが日常化するかもしれないという
上向きに振り切った食事事情。
これを楽しまずにいられるだろうか、いや、無い。
「ん」
小さく頷くと布巾を手に取り丁寧に机を拭き始める。
贅沢なのは食事に限ったことではなく、此方の世界は
居住空間を満たす物の数が物理的に多い。
昔住んでいた魔法使いの家並みに色んな物がごちゃごちゃある。
それをいかに退け、いかに避けつつ綺麗にしていくかと言うのは
パズルのようでとても楽しい。
なんと言うか……清潔好きの血が騒ぐ。
■暁 名無 > 「ああ、ああ。見れば分かるよ。
気に入って貰えて何よりだ。食事事情は重要だもんな。」
うんうんと頷きながら改めて一安心。
もし食べ物関係で双方の世界間で大きな齟齬があった場合生命の危機に繋がりかねない。
少なくともラフィがこの世界で生きていくのに最低限の問題はないということでもある。
それが分かった時は本当に安心した。
「ふふ、よろしくな。」
俺の下心なんて想像だにしていないだろうラフィが掃除を始めれば、
目論み通りタートルネックの脇から反対側が見えそうな程に布地が撓む。
同時にショートパンツも良い感じに柔らかな曲線を浮かばせている。
そして幸いにもラフィ自身は掃除に集中して気付かない、と至れり尽くせりだ。
……まあ、これくらいの役得はあっても良いだろう。うんうん。
財政的にだいぶ痛手を負ってるしネ!
■ラフィニエレ > 実は部屋主が思っているより魔法生物寄りの存在なので
魔力を有する物なら大抵のものは食べられる。
それこそこの机でも。
美味しいにも種類がある。
味覚的に美味しいものと、魔力含有量が多いもの。
魔力が上質な物に魔力容量が多いもの
その何れもがそれぞれ違った”美味しい”もの。
この辺りの感覚はたぶん説明しても判らないと思う。
「はふぅ……」
机をピカピカに拭き終えると満足げな溜息一つと共に
くるくるっと布巾を丸めて洗濯物の山の傍に置く。
この調子で部屋中を掃除してしまいたい気分だけれど
執務机なんかはこう、危ない匂いがするので手をつけられていない。
いつか絶対掃除してやろうと思う。
「ふぁ―……」
綺麗になって気持ちが良い事もあってなんだか少し眠い。
食べた後はすぐ眠くなる。魔素の分解自体はすぐに終わっているはずなので
これはきっとセイブツだった頃の名残。
「らふぃ、ねぅ」
ぽそりとつぶやくと寝具へと歩いていきぽすっと横になる。
無意識に毛繕いを始めるのは寝る前の癖だから。
その間も家主の方をじっと眺めている。
……どうも彼は食事だけでなく睡眠不足も祟っている気がする。
■暁 名無 > 「はぁ……」
いやあ、大変良いものを見させていただきました、
と手を合わせそうになり、流石にそれは変だろうと慌てて踏み止まる。
ともあれこれで何とか今夜も乗り切れそうなのでラフィ様さまではあるのだけれども。
まあ、本人はそんな事ちらりとも思っていないことだろう。
「そうか、おやすみラフィー。
ベッドから落っこちたりしないようにな?」
そもそもソファベッドを少し広げたくらいの大きさしかない。
この部屋はそもそも研究室だし、泊まるとしても長期間は想定されていない。
当然と言えば当然だけれど、それでも無いよりはマシだろうと買った代物だ。
そんな簡易ベッドの上で毛づくろいをしながらこちらを見つめてくるラフィ。
「……うん?どうした?
俺の顔に何かついてるか……?」
気付かないうちに隈でも作ってただろうか、と頬に手を当てつつ。
■ラフィニエレ > 「ん」
毛繕いと言っても耳と髪、そして両腕をきれいにするだけなので
そんなに時間はかからない。腕なんて腕ごとささっと浄化してしまう訳で。
そのままくるっと膝を抱えて丸くなるけれど……
やっぱり気になる。ああ良い事を思いついた。
小さく頭を振ると上体を起こし、手招きする。
「ななぃ、ねぅ。」
小さい声ながらも有無を言わせぬ口調。
二人で寝るには少し小さいかもしれないが腕を何とかすればいけない事もないし
狭い場所に寄り添って寝るのは慣れっこです。
何なら床でも寝れちゃう。基本野宿ですし。
丸くなっていたせいで姿勢的にセクシーポーズっぽくなっているのは
本人の与り知らぬところです。
■暁 名無 > 「え?」
何か手招きされている。
寝るって言いながら手招きしてるという事は。
……まあ、つまり、ええと、マジでか。
「俺も一緒に寝るの?そこで?」
確かに今日は仮眠もまだだし、落第街での大きな戦闘以外の報告は上がって来ないから多少寝てても大丈夫な気はするけれども。
「や、それは流石に……ねえ……?」
自分でも取り返しのつかない事をしそうで怖い、というのが本音だ。
ただでさえ睡眠不足で普段よりタガが外れやすいわけだし。
■ラフィニエレ > 「ななぃ、ねぅ」
ただ小さく繰り返す。
なんだかんだ睡眠と体調を軽視しがちな傾向があることは
ここしばらく一緒に過ごして理解している。
だからこそもう少し寝るべきな訳で……
こうなるともう実に頑固というか、その通りにしないと多分いつまでも待ち続ける。
……眠気に負けるまで。
「ねぅ」
際どい衣装で悩殺ポーズで異性を寝所に誘うという
誤解されても仕方がないというか傍目完全に誘っているようにしか見えないシチュな訳ですが
哀しいかな、本人は無自覚である。
ただその姿勢のまま、じっと見つめ続ける。
■暁 名無 > 「うっ……」
こちらを真っ直ぐ見据えてくる瞳。
アレは一度決めたら梃子でも動かない意志を秘めている瞳だ。
ラフィがあの目をした時は、ラフィ自身が納得するまで何があっても意思を変えないだろうことをここ数日で思い知っている。
「……し、しょうがねえな。
まったく、どういう風の吹き回しだ……?」
別にラフィに疚しい意図がある訳じゃないのは容易に想像がつく。
けれど何と言うか、自身の体型と服装をもう少し考えて貰いたい。
溜息混じりにベッドに腰を下ろして、靴を脱いだ後そのまま寝転がる。
「……これで良いのか、ラフィー?」
■ラフィニエレ > 「ん」
満足げに頷くと重さをかけないように腕を回してぎゅっと密着するように抱きしめる。
寝具が狭いという事もあるけれどこうしないと
自分が眠ればきっとすぐに立ち上がってしまうから。
自分が異様に寝つきが良い事はさすがに自覚している。
『流離人は西へ旅だった。二つの月を追い、風だけを友にして……』
そうしてその喉から古い歌が零れる。
それは元居た世界で旅人がよく歌っていた歌。
穏やかで何処か切なげな響きのその歌を
か細い、けれど穏やかで切々とした調子で歌い始める。
何故だろう。旅人が子供を寝かしつける時はいつもこの曲を歌っていた。
■暁 名無 > 「ふうぇっ?ら、ラフィーさんっ?」
流石に抱き締められるのは想定外。
思わず上ずった声が出てしまって柄にも無く赤面してしまう。
さっきまで見て楽しむに留めていた膨らみが、何の躊躇いもなく俺の身体に押し付けられているのが解る。
「あの、ちょっとラフィ……」
もう少し離れるように頼もうとした声は、不思議な旋律を口ずさむ声に止められた。
子守唄、のようなものだろうか。遠い異国の情緒を思わせる歌に、自然と心が落ち着いて来る。
それでもまあ、この状況自体は非常に厳しいと言うのは違いないけれど。
■ラフィニエレ > 『思い出だけは消えないと、思い出だけが頼りだと
寄る辺の無い路を歌いながら旅人は去りゆく』
思わず上げたような声にななぃが動転している事が伝わってくる。
大丈夫そのうち慣れるという思いを込めて軽くぽんぽんと叩きながら
優し気な口調で一人ぼっちの旅人の歌を歌う。
最早ほとんど失われた言語であるこれは、きっと理解はできないだろうけれど。
『かくして流離人は一人、荒野を彷徨う。
頼るものもなく、ただ希望と歌を携えて……』
次第に歌は途切れがちになる。
本人はほとんど睡魔に連れ去られているが
その中もあやす様に懸命に歌い続ける。
『巡れ星の子よ。父なる星に抱かれるまで
廻れ月の子よ。母なる月に還るまで……』
ぱたりと声が途切れた。
歌い手は夢の国へと完全に旅立ち
その閉じた瞳から一筋の雫が零れたのは眠気に抗った結果か、それとも……
■暁 名無 > 「ら、ラフィーさん……?」
歌に聞き惚れていたら不意に歌声が止んだ。
そして代わりに穏やかな寝息がすぐ傍から聞こえてくる。
……いや嘘だろ、この状況で先に寝るか?
「……まったく、変に気を使いやがって。」
思わず失笑して、静かに頭を撫でてやる。
そんなに疲れた様な顔をしてただろうか、俺は。
それよりさっきの歌、あれはどういう意味だったのだろう。起きて覚えてたら訊いてみようか。
「おやすみ、ラフィー。ありがとな。」
さて、後はこいつの腕の中から抜け出すだけだ。
がっちりとホールドされてはいるが、抜け出せない程じゃ……
と、試しに軽く身体を捻ってみる。
■ラフィニエレ > すやすやと寝息を立てる様子は
ここ数日で一番落ち着いた様子。
なんだかんだ言って庇護者が近くに居るという事は
彼女自身にとっても穏やかに休める要素のうちだったのだろう。
だいぶ慣れたとはいえ、この世界とつなぎとめているのは今の所まだ独りだけなのだから。
それを守りたいというように
片方20㎏超の巨大な腕が片方は頭を抱える様に
片方が背中に沿うように回されている。
当然ギュっとしているので密着している訳で……
ついでにいつの間にやら足まで絡めていたりするので
抜け出るのには少しコツがいる。
とは言え寝付きと寝相は驚くほど良い上に
体自体は柔らかい(一部柔らかすぎる位な)ので
頑張って下にスライドしていけば抜け出ることは可能かもしれない。
途中で色々顔をうずめる事になるけれど。
■暁 名無 > 「上に抜け出すのは無理、か……」
特徴的過ぎるほど異形の腕が押さえ込んでいるのを確認して、背中に回された腕も振りほどけそうにない。
最終的に残された道はラフィの身体に沿って下へ下へスライドしていくと言うくらいか……。
「頼むから起きないでくれよ……」
切実に祈りながらもそーっと体をずらし始める。
上手く行きそうだ。上手く行きそうだとは思うが。
このままいけば否応にも顔を埋める事になるか……。
さてどうしたものか、と壁にぶつかった俺はまだ気づかない。
身体をスライドさせることでラフィの服が引っ張られ、前を隠す事すら放棄させる結果になる事を。
■ラフィニエレ > 頑張って隙間を作って腕を持ち上げるというのも手ではあるものの
その場合は艶めかしく絡められた足をどうにかしないといけないし
腕を持ち上げないで抜け出す場合は下腹部辺りまで顔をうずめる事になると
健康な男性体には嬉しいやら悲しいやらの状況になっている。
それを役得と喜ぶか動けないと嘆くかは本人と神のみぞ知ること。
下にずり落ちていこうとする部屋主に服が引かれ、
だいぶぎりぎりまではだけるが本人は
深い睡魔に囚われているのか微動だにしない。
■暁 名無 > ラフィを起こさない、という大前提を貫くには。
腕を動かしたり足を動かしたりするよりは静かにスライドした方が良い。
そう判断して進むものの、やはり密着状態だと距離が近い。当たり前だけど。
触れるか触れないかくらいの距離で顔を通過すれば、いよいよ最初にして最大の難関に差し掛かる。
果たして俺は理性を保って通過できるのだろうか。
いやいや大丈夫大丈夫、妙に柔らかいのはきっとリブ生地の所為だからと半ば自己暗示めいて自分に言い聞かせる。
まさかそのリブ生地が引っ張られてあと一押しで解放してしまうとは夢にも思ってない。
「……ぐぬぬ、南無三!」
横たわっている事でじわじわを眠気の侵食を感じ、意を決してラフィの胸に飛び込んでしまう。
……あれ?
さっきまで感じたリブ生地っぽさが無い……よう、な……?
■ラフィニエレ > 眠っている当の本人は呑気なもの。
はんば拘束具の罠と化しているという現実は遠く彼方に
久しぶりの安らかな眠りにすやすやと寝息を立てている。
着衣の乱れなんて気に掛けるほどの余裕はありません。睡魔は強い。
……誘うような衣服でなければ健全と言えたかもしれない。
「んっ、ぅー……」
それは胸元の布越しだった感触が直接触れる感覚に変わっても同じ。
僅かに身じろぎするも、寝起きの悪さに関しては一級品。
元野生の獣としてはどうなのと言う無防備さで起きる気配が微塵もない。
ただ僅かに艶の混ざった声に聞こえるのは
きっと先生がそういう気分だから…だという事にしておきましょう。
■暁 名無 > 「~~~~~っっ!?」
頬に当たる感触は確かに人肌のそれ。
ついでに言えば頬に当たるどころか顔を挟む様に感じるそれ。
此処に至ってようやく自分が体を動かすことによって衣服を引っ張っていたことを思い知るのだった。
「起きっ……て、ない、か……セーフ。」
じゃねえよこれどう考えても。
幸い固く目を瞑っていたから感触だけで済んでいるものの。
………。
……目を開けたら、どうなってるのだろう。
睡眠不足と疲労から普段より倫理のネジが緩んでいた。
そこにこの状況、柔らかな肌の感触と、鼻から抜ける様な妙に艶めかしいラフィの声。
……据え膳というものだろうか。
そんな事が脳裏を過れば、あとは容易く零れ落ちる理性のタガ。
抱き締められた時から心裡で密かに抱えていた滾りが噴出仕掛けていた。
■ラフィニエレ > ――場所移動兼小休止――
ご案内:「幻想生物生態学研究室」からラフィニエレさんが去りました。
ご案内:「幻想生物生態学研究室」から暁 名無さんが去りました。
ご案内:「幻想生物生態学研究室」に暁 名無さんが現れました。
ご案内:「幻想生物生態学研究室」から暁 名無さんが去りました。