2016/08/27 のログ
水月エニィ >  
「あるわよ。」
 
 意志も理由もあるのだが、龍宮が指摘した通りに無自覚な何かを抱えている。
 無自覚な諦観。染みついてしまった負け犬根性、と言うべきか。

 ……支えが無い故に諦観していて、否定され続けてきた故に理由を濁す。
 確かに見方を変えれば、作り続けている様にも見えるだろう。

 とは言えそれが無ければ勝てるかどうかと言えば別の話になるし、
 それを捨てれば可能性が増える事も確かである。
 そうなってしまう理不尽を覚えてしまっている故に歪んでいる節はある。
 
「別に貴方が常勝無敗だなんて思ってないわよ。」

 楽しいのかと問われれば、首を横に振る。

「そう。楽しいのなら仕方が無いわね。
 ……私は、そうね。あんまり楽しくないわ。」

 小さく首を振って遠くを見る。
 負ければ自分が悪いのだ。だけれど、
 ……その先の言葉は心の内ですら呑み込んだ。

「折角だから訊いてみましょうか。何で楽しいの?
 ……蹂躙できるからと挙げたくなるけれど、流石にそうじゃない事ぐらい話してれば分かるもの。」
 
 意識を整えながら問う。
 先程までの彼女の口ぶりと先日の行動を見て取れば、
 勝つのが好きなのではない。戦うのが好きなのだと評する方が則していることは分かる。
 
  

龍宮 鋼 >  
――まぁ、そこは俺の知らんなんかあるんだろうけどさ。
じゃあ、勝ったらどうすんだ。
そこで終わりか。

(外から見えるものが全てではないし、それは見たり聞いたりでわかるものじゃない。
 彼女があるというのならあるのだろう。
 だから、その次の話を振ってみる。
 仮に彼女がめでたく勝ちを得ることが出来たのなら、どうするのかを問う。)

昨日のケンカだってオマエ、俺にオマエの方向かせたんだから、そこは勝ちでいいだろ。
なんでそう楽しくない事続けようとすんだ。

(先ほど彼女は他で勝っている、と言った。
 だったら彼女も自身の中で勝ちの部分とそうでない部分を区別すれば良いのだ。
 単純にそう考える。)

なんで楽しいって、そりゃ楽しいからだろ。
自分のパンチでつえー奴がぐらついたりダウンしたり、つえー奴に殴られて、こんなつえー奴と戦ってんだ、って思ったり。
美味いモンを美味いって思うのと同じだよ。

(理由など無い。
 楽しいから楽しいのだ。)

水月エニィ >  
「勝利の想い出一つで生き続ける気はないわ。
 でも、その先は分からないわね。」

 何しろ勝つ事そのものが大きな壁だ。
 本心を辿れば"答えは出ている事"であったとしてもどうなるか分からない。
 故に、断言することが出来なかった。

「そう。分からないけど楽しそうなのは分かったわ。
 ……本当、欲求に正直だこと。」

 彼女なりに解釈をすれば頷いて見せる。
 ……浸み渡る様な拳を受けた事を思い出して、お腹をさする。
 

龍宮 鋼 >  
ふーん。
ま、俺には関係ねーけどな。
もっと楽しく生きりゃいいのにとは思うけど。

(窓に寄りかかって煙草に火を付ける。
 吸い込み、外へ吐き出した。)

そりゃ我慢したってしかたねーしな。
俺ァ楽しく生きるがモットーでね。

(その結果こんな姿になろうとも。
 楽しい事をやった結果だ、文句はないし我慢するほうがよっぽど嫌だ。)

――オマエ、身体ン中おもしれーことなってんのな。

水月エニィ >  
「少しでも勝てるのなら気兼ねなくそうできるかもしれないけど……」

 先程に比べると明らかに言葉が弱い。
 実際そこそこに学園生活を謳歌している故に突っ張れない。
 
「ええ。ややっこしい事情があるのよ。
 ややっこしく恵まれているものを押し付けられても勝てないから困りものね。
 
 ……楽しく生きるのは結構だけれど、あんまり吸ってると言葉通り煙たがられるわよ。」
 
 何かを得ている と言う形に置き換えて言及した後に睨む。
 楽しく生きるのは良い。だけれど周囲を省みずに好き勝手やることには憤りを覚えるが、今は抑える。
 

龍宮 鋼 >  
はーん。
大変だな、よーわからんけど。
――ま、あんまこだわらねー方がいいんじゃねーか。

(恵まれている、と言う事は勝てる異能と負ける異能を両方備えているという事だろう。
 となれば色々と歪むのもわからないでもない。
 とりあえずアドバイスではないが、思った事を口に出しておこう。)

病院って暇でよ。
煙草吸うぐれーしかやることねーんだ。
――あぁそうだ、連絡先教えろよエニィ。

(まさに暇そうに言うが、喫煙所に行くという発想はない。
 ついでに言うとまだ未成年だ。
 そうして思いついたようにスマホを取り出し、煙草をまた窓の外に投げ捨てて彼女の寝るベッドへ近付く。
 馴れ馴れしく名前を呼び、ベッドの脇の椅子に座り込んだ。)

水月エニィ >  
「そうできたらとても楽でしょうけれど……。」

 小さく首を振る。
 とは言え、それは自分を捨てる事に他ならない。
 少なくとも今はそう思っている。

「物好きね。ちょっと待って……
 ……はい、転送なり打ち込むなり出来るようにはしておいたわ。
 私の連絡先で良ければ持って行って頂戴。暇なら後期に向けて勉強するのもお勧めよ。」

 近付く事にも連絡先を求める事にも拒む事はしない。
 落ち着いていれば、地雷を踏まなければ大分話も聞くらしい。
 自身の連絡先を表示させて、そっと龍宮の近くに添える。
 

龍宮 鋼 >  
そうやって生きてきたんだろ。
――そんなもんすぐにゃ変えられねー事ぐらい、知ってる。

(そもそもそんな風に人に説教が出来る立場ではない。
 自分にだって、変えられないがある。)

ダチに連絡先聞くぐらい普通だろ。
――さんきゅ、メール送っといた。

(自分の中では彼女はすっかり友達扱いになっている。
 ケンカした強いヤツは友達だ。
 スマホを操作し、見せられた連絡先へ、自身の連絡先を書いたメールを送る。)

水月エニィ >  変えられないものはある。
 その様に認められれば、微かにうつむいたような、頷いたような素振りを見せた。

「よもや友達と呼ばれるとは思わなかったわね。
 ………メールを開く前に、改めて名前を聞いても良いかしら。」

 落ち着かなさそうに頬を掻き、
 名を尋ねていないことを思い返せばぽつりと尋ねる。
 
 

龍宮 鋼 >  
何言ってんだ、ケンカしたらダチだろ。

(一部のケンカ族にのみ適応される法則をさも当然のように。)

あ?
言ってなかったっけか。
龍宮鋼。
龍の混血だ。

(言って右手を差し出す。)

水月エニィ >  
「男の子みたいね……」

 頭を抱える。
 記憶を手繰ってみたものの覚えはない。
 激昂していて覚えていないだけかもしれないものの。

「ともあれ、龍宮鋼。半人半龍だとは思わなかったけれど、確かに覚えたわ――と。
 ……そうね。不要かもしれないけど改めて名乗るなら水月エニィ、負け犬よ。
 カラダで言うなら、聖女とも名乗るべきかもしれないわね。不本意だけれど。」

 冗句で誤魔化しながらも備わった性質を零す。

 受け取ったメールから連絡先を読み取って保存する。
 そこまで終えれば、事も有ろうかベッドから降りる。
 車輪付きの点滴棒を左手で支え、ふらつきながらも立ち上がった。

「ちょっと喉が渇いたから、売店で飲物を買ってくるわ。
 じゃ、また後で会いましょう。」

 ボロボロなのが当たり前なのか、回復力が良いのか、
 はたまた麻酔が動ける程度に残っているだけなのか。

 いずれにしてもそのまま大部屋を出て売店に向かってしまう。
 ……暫くすれば、ナースに怒られながら戻ってくる水月エニィの姿を見る事が出来ただろうか。
 
 
 

ご案内:「病院」から水月エニィさんが去りました。
龍宮 鋼 >  
良く言われる。
――あー、アイツに名前言ったときはオマエもういなかったのか。

(昨日のケンカであの男に名前を聞かれた時、彼女がいたかどうかを覚えていない。
 その頃にはもうすでに男しか見えていなくて、彼女がその場を去るところは見ていなかった。)

聖女?
――あぁ、そう言う異能な。
とりあえず退院したらまずオマエと最初にケンカするわ。
それまではほかの奴とヤらねぇから。
――おう、またな。

(聖女と言うには少し、いやかなり荒っぽく見える。
 あまりイメージとは合わないが、そう言う異能だと判断した。
 あの時、また今度相手をすると約束した。
 彼女に取っては迷惑かもしれないが、約束は約束だ。
 ボロボロのままで病室を出て行く彼女を特に止める事も無く見送る。)

――入院なんつーのは、アレ以来か。

(彼女のいなくなった病室で煙草に火を付け呟く。
 思い返す、二年前の出来事。
 ぼんやりと虚空を見つめながら煙草を吸っていれば、やがて彼女がナースと共に帰ってきて。
 病室で煙草を吸っていた自身も、一緒に怒られることに。)

ご案内:「病院」から龍宮 鋼さんが去りました。
ご案内:「病院」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ >  
 ベッドの上で暇そうに端末を弄る。
 手術翌日に売店へと赴いたら怒られた。
 いくら治りが良くても怪我人なのだから安静にしていなさい。
 そう告げられる事に思う所はあるけれど、怪我をして手当てをして貰った事は嘘には出来ない。
 

水月エニィ >  
 内臓類への負担もあり、食事も指定されたもの以外は食せない。

「……暇ね。」

 手厚く看護される事がどうにも落ち着かない。

 インターネットに興じたり、メールを送ったり、アプリで猫を集めたり。
 スマートフォンで気を紛らわしてはいるが……。
 

水月エニィ >  
 小さな欠伸。
 今の所、大部屋ではあるが静かなものだ。

「……。」

 ぽちぽちとスマートフォンを弄っている。
 
 

水月エニィ >  そう言えば。

「花火大会、だったわね。」

 常世花火大会。
 そのような催し物があることを何処かで聞いた覚えがある。
 ふと思い出し、改めてスマートフォンを弄って調べてみれば今日の予定だった。

「……ここから見えるかしら。」

 窓の外を見る。
 場所が場所だけにあまり期待はしていないが……。
  

水月エニィ >  
「……」

 窓の外を眺めたり、眺めなかったり。
 暇を凌ぎながら外の様子を伺っている。
 

水月エニィ >  
 
 とん、どん。
 音こそ微かなものではあるものの、窓の外に光が彩る。
 此処まで届く程には大きな花火なのだろう。

 大部屋の他の怪我人・病人と共に、窓の外に映る花火を眺めている。
 

水月エニィ >  
 時が来れば花火は止み、病室も静寂を取り戻す。
 ……気が付いてみれば夜も更けている。

「安息を取るのも久しぶりかもしれないわね。
 ちょっと、暇を持て余す位だけれど。」

 自然に口元が緩む。
 考えてみれば、良い気分転換になった様な気はする。

「……さて、花火が有ったから延長していたけれど、
 終わったら消灯よね。早い所眠っておきましょう。」

 ……布団に潜って目を閉じる。
 憂いのない当たり前を噛みしめて眠る事にした。
  

ご案内:「病院」から水月エニィさんが去りました。