2016/09/10 のログ
■綾瀬音音 > (一人が嫌い、と言うわけではなかったが、元々誰かといるのは好きな方だ。
それが好きな人であれば尚の事であったし、こうした温もりを分かち合える関係の人間であれば言うまでもなく。
大切な人が、大切だと思ってくれる人がそばにいる。
それだけで、それでしか満たせないものは確かにあるのだ。
そういう人とならば、何処へでも、何処まででも。
一緒にいたい、と希うのは当然なことだろう。
現状目の前に転がっているような案件は、幸せに向けてのものがほとんどである現在、気が緩むのもしかたがないだろう。
とは言え、気が緩みすぎると本当に成績は危なくなるので、そこそこにしておきたい。
申し訳ない、と言われれば全然ですよーってなんでもないように笑うのだけれど)
確かに“世界が変わった”出来事の一つですしね、色々と。
先輩って色んな事に詳しいですよね。……ふふ、まあそれは確かにそうですね。
ん――……なら良いですけど。
体壊したりしても嫌ですからね?
(変わってしまって、新たに生まれた文化も失ってしまった文化もあるだろう。
そういうものも伝えていかなければならないわけで、そういうものを保護するのもこう言う施設の役目であったし、歴史もまた都合よく作られていくものでもある。
真実と事実は別物であるように。
取り敢えずはこうして手を繋いでくれる男が解説をしてくれるので、学芸員の手を煩わせる事もなく。
いやまあ実際自分にこう時間を割いたり、委員会の仕事や学業やらがあることを考えれば結構忙しいだろうとは思うのだが、
そう言ってくれるのなら甘えたい。
実際ちょっと一人でいるのは不安な面もあるのだ――身体の変化の所為、と解っていても。
とは言え、健康には気を使って欲しいのは本当なのだが)
それはそうですね。
テレビとかじゃないですけれど、悪霊退散的な陰陽師とか……実際いてもそこまで不思議じゃない気もします。
それこそ家なんかは遡ると平安時代の陰陽師らしいんですけれど、詳しいことは戦争で燃えちゃったらしいので。
(説明を聞きながら年表を眺めて。
自身が古い異能筋の家系であったし、その説明はストンと納得した。
昔は普通で、時代とともに薄れゆき、大変容と共に再び目覚めた――。
そんな事もあるかもしれない。
自分の家はたまたま薄れなかっただけで。
何か起点があって進化したのならば――
大変容もまた、進化のきっかけ、だったのだろうか。
ふと黒い女性の事を思い出したか、それは一度だけ頭を振って追い出して。
忘れるつもりはもないが、今は思い出すこともでないだろう。
会ったことは、傍らの彼には言っていない)
それは聞いたことがありますね。
案外その時代に門が開いてそこから来た異邦人だった――でもおかしくはないですしね。
いやそれはそれで面白い話ではないですけれど。
案外文明の発達が違っただけで、今とあんまり変わらなかったのかも……?
なんて言うのはちょっとおもしろいかもしれないですね。
――人の時代かぁ……。
大変容前は、所謂“普通の人”が殆どでしたからね。
今は簡単にそうとは言えませんけど
(そう言う事を語られればそのように考えるのである。
それこそまだ、黄昏時へと歩いていた頃のように。
あの頃から関係は大分変わったが、変わらない部分もある。
いつかは変わるかもしれないし、変わらないままかもしれない。
それもまだ解らないけれど)
■五代 基一郎 > 着々と、その一人の時間がら帰る準備は積まれて行った。
それこそ今の名前も身分を棄ててとなるが新しい人生も悪くない……
というものでもなく、希望の持てるものだ。
心の底から信じることもできる、愛する人と共に歩む未来がある。
まだ白紙の世界だが未来はいくらでも描けるのだと希望を抱ける。
今後のためにも……例えば高校修了相当ならば後で大学等の教育機関へ入学できることは知っていた。
社会人入学というものだろうが……といってもなるべく今後の為にも
穴は少ないほうがいい。学術的なことやツテが必要な場合は、喜んで頭を下げようと密に思う程に
彼女には自分と何の憂いもない未来を歩いて欲しい。
「職務だったり色々都合上はね。案外知っておくと役に立ったりまぁ立たなかったり。
こうして女性と話すには色気がないけどさ。
まぁほら、そう簡単には壊れないから心配しないで」
実際時間などいくらでも捧げたいところだがそうはいかないのが人間の社会というものだ。
だがこういう経験もまぁ少ないわけで内容はどうなのかとも思うが、一緒に入れることがまだ重要な期間なのかなとも
手からの体温で感じながらゆっくり解説をしながらあるていく。
自分にとって、確かに忙しい時間の中の出もあるが
ここが確かに心の拠り所になっていることは変わりない。
この時間があるから如何様にでも、と思えるからこそ……
「それこそ大陸から来た狐とか鬼が元かもしれないわけだ。」
へぇ、それは。と音音のルーツに相槌を打ちながら
如何にもそれらしい話をしながら笑う。
実際そうだったら本人らにはたまったものではないのだが
今日……いや、大変容前の世界の普通の人間が栄えた世界と比べれば
自ずと異なるものの干渉があったことは思い描くに十分だ。
そうして歩きながら……いや、歩いていく中で
実感として……実態のように湧いてくるものがある。
今こうして手を繋いで歩いてみている人類史。
それを二人で過去を辿るように歩いていけば何も思わないところがないなどと言えるわけはない。
大変容以前のブースまで来て足が止まった。
これは……失われた歴史であり、もう帰ってこない過去ではあるが
未だにこうして存在している価値観や、作り上げてきたものらそのものである。
大変容以前に積み上げられたものが今日でも生きている。
それは当然だ。長い歴史があるからこそ、今がある。
しかしそれは……変わってしまう前のものであり
変る前の普通の人々が作ったものであり、今もその変わる前の者達のために
世界は動いている。彼らにとって都合がいいように、この島があるのは
否定しがたい。
次のブースから大変容以後、常世島の歴史が始まるように
一度混乱した世界ではあるが……ここは、地続きなのだ。
「……そうだね、あまり面白い話ではないか。」
そう。そうであっても、例えば門から来た異邦人でなくても。
それは迫害であり、それを武力で如何にとした話である。
戦争とかではなく異なる存在を排除してきただろう話。
異なるものは、現在で言えば異を持つ持つ異能者や異邦人。
人は……異なるものを排除して歴史を作っている。
勿論融和の、共存のというのもある。それの一つが常世島であろうが
それは異ならざる普通の者達が主であることは否定できないだろう。
「今はそうは言えないし、今後もどうなるかはわからないかな」
それこそ未来がどうなるかもわからないし
未来はどうなるのだろうと、どうであっても幸せに歩んだ行きたいと
また再び歩み始めれば……徐々に、そう徐々に
歩いていけばまるで夢から覚めるように、冷ますように湧いてくる疑念。
果たして、この人類史の先の世界の未来で
俺と音音は幸せになれるのだろうかという
外への懐疑が、背中に立つ自分自身のように現れてくる。
知っているはずだと。
世界は優しくないと。
話しながら歩いていけば、歴史のブースは終わりつつあり
特別展示の行われている近代館の接続口が見えてきた。
現在は江戸工芸展が行われているらしく、根付け等の彫刻や金工のコレクション展示が行われている。
「お土産に何か買って行こうか」
■綾瀬音音 > (例えば、前に彼が語ったような自分の地元に戻って一緒に生活する。
それでなくても良いのだ、一緒にいられて、一緒に生きて、一緒に何処まででも。
そんな生活が出来ればそれでいい。
勿論絵に描いたような幸せな生活が出来れば――、そう思うが、
たとえ人が愚かだと笑うような生活でも別に構わない、とも思っている。
本当に、心の奥で、願っているのは――乞い願い、それこそ何かにひれ伏す様に願うのは、
愛する人と――愛する人達と、一緒にいたい。
それだけなのだ。
とは言え、取り敢えずは学業と自分の身体が優先事項であったし、
そのために彼が頭を下げるようなことはさせたくない、とも思う。
勉学では相当面倒を掛けることもあるとは思うが)
ちょっとした雑学、みたいな感じですかね。
いやまあ、色気ないのは良いですよー、気にしてませんから。
心配しないでって言っても心配はします。
好きな人を好きなだけ心配できるのも特権の一つですしね
(なんて宣いつつ。
好きな人に好きなだけ好きだといえることも、心配を好きなだけすることだって、
恋人の特権だ。
一緒に住むようになれば共にいられる時間は自然と増えていくし、
だから現状は現状で特別な不満はないのである。
ゆるく手を握り返しながら、その幸せを噛みしめるように。
彼がここを拠り所にしてくれているのは解っている。
だから、ここに居ようとも、思えるのであるのだ)
ある日突然ケモミミとか生えたら面白いかもしれませんねー?
(なんて、冗談を言いながら。
いや勿論真っ当にまじりっけなしの人間なのではあるのだが。
大変容前よりも前の時代――それこそ神話がまだ生きていた頃の時代には、
また違った何かがあったのかもしれない。
人類の歴史をたどりながら、ふと思う。
たしかにこの“世界”を作ったのは大変容前の普通の人間だ。
認識され明らかにされて来たとはいえ、まだ異能者/異邦人は少数であり、その人達にとって決して生きやすい世界ではないだろ。
勿論、“普通”に暮らすことは出来る。
自分がそうだ。
異能を持っていても、何だかんだで“普通と思える環境”で生きてくることが出来た。
だけど――――――この、お腹の子供はどうだろう?
勿論、父親でもある彼はこの子を愛してくれるだろう。
自分だってそれは間違いない。
しかし、この子が異能を持って生まれてくる確率は?
決して低くはないのだ、自分も彼も異能者だ、まして自分の血統は異能を受け継いだそれである。
その場合。
この子はどうなるのだろうか。
この子を――
世界は愛してくれるのだろうか――?
どうしても思い出される、黒い女性との会話の数々。
異能者が、異邦人が“普通”の世界のほうが、この子は幸せになれるのではないだろうか。
だけど、何も持たない“普通の人”も。
自分は否定出来ないのだ)
ん……ですね。
まあ可能性の一つです。
(自分と異なるものを人は怖れる。
それは理解できるし、それが普通だとも思う。
だからこそ、理解して共存できればと思うが――普通と普通でないものが混沌として存在しているこの島でさえ、仮初のそれである。
完全に共存できているかと言えば、違うのだ。
少なくとも平等ではない)
そうですね……今後、未来、かぁ……。
(ふと、男の手を握る手に力を込める。
繋ぎ止めるように。
幸せな未来にではなく、
幸せを願う今に。
幸せな未来を作れるかどうかなんて、解らないけれど。
この世界もまた、誰かが幸せであれと願った世界なのだとしたら。
自分の願いが世界を――たとえそれがちっぽけな範囲でしかないとしても――幸せであれと作れるように。
過去は変わらない。
世界の過去も、男の過去も、自分の過去も。
だけど、未来ならきっと、願うことを止めなければ――)
そうですね、江戸切子のグラスとか綺麗ですけど、ちょっと値段するですよね――。
(手を握りながら。
雑談に不安を紛らわせるように。
だけれど、この手を離したくはない。
もう離せないのだから――。
今は、ただひたすらに、祈る)
ご案内:「常世島博物館」から綾瀬音音さんが去りました。
ご案内:「常世島博物館」から五代 基一郎さんが去りました。