2016/10/26 のログ
ご案内:「露天温泉」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > ──東雲七生は、その日、空を飛んでいた。
否、飛んではいなかった。滑空しているのともまた違う。
落下、に限りなく近い形で吹き飛ばされていた。

「……うーん、もう一息ってところだったんだが。」

今日は久しぶりに顔馴染である転移荒野に棲む古株の魔獣と一戦交えた。
今までは躱すので精一杯だったところ、異能を使う事でどうにか反撃が可能な域にまで届き、一矢報いれるかと期待した矢先。
七生の心裡を見透かしたかのような強烈な一撃を見舞われて、遠く遠く投げ飛ばされる形で宙を舞っているのだ。

「……にしても、やっぱ今まで手加減されてたんだなー」

胸に大きく三本の傷。肉が裂け夥しい量の血が溢れている。
だが七生はその流れ出る血を糸に変え、傷口の縫合を行っていた。
気を失いそうなほどの激痛が走るが、まあ、悲しいかな慣れたものである。
気絶なんて傷が塞がれば幾らでもすればいい。そう考えていた最中、七生の小さな体は幸運にも温泉に着水した。

東雲七生 > 盛大な水柱を上げて飛び込んだお湯の中で、一瞬七生は気を失う。
しかしすぐに覚醒すると慌てて水面に顔を出した。ただでさえ手負いなのだからこんな所で溺れては死ぬ。確実に死んじゃう。

「……ぷはっ! はぁ、はぁ……ここは?」

どのくらい吹き飛ばされたのだろうか、と辺りを見渡す。
岩と木と湯気。見渡す限りそればっかり。
しかも今身体を浸しているお湯も、薄紫色というか、とても天然ものとは思えない色をしていた。

「……えーと、転移荒野から吹っ飛ばされて、一応未開拓地区だとは思うけど……。」

さてどうしたものか、と考えたところで胸の傷に痛みが走った。
思わず言葉を失うほど悶絶して、再び意識が途絶えかける。