2016/11/15 のログ
ご案内:「農業区」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「農業区」に綾瀬音音さんが現れました。
五代 基一郎 > 農業区の多くは機械化された生産で運営されているが、一部では過去から続く農法に基づいて
生産を行っているところもある。
そういうところもまた、過去の風習もというものであり
こうして常世祭の時期には収穫祭のような、行楽をメインにした雰囲気になっている。

収穫期の後であるためか収穫物を使った料理や、そこからでる端材で製作された置物であったり。
収穫物を使った飲食物の販売もある。大鍋で調理された芋煮やら。
また野菜や加工物も多く売られ、それを目当てに来る人間もいる。

その中で、やや肌寒い中……シーズンオフのキャンプ地。
開かれた公園のような空き地にてやれテーブルやら椅子やら焚き火用の機材を使って
半キャンプのような、ピクニックに出てきたわけである。
食べる物などはすぐ近くの出店やらに任せて。

「風もそうはないから、いい行楽日和かな。若干空気が冷たいけどそこはまぁ、お外だからさ」

そうして音音に先日宗教施設郡で購入した異邦人が編んだひざ掛けをかけるように促しつつ
自分は交互に木材が置かれた焚き火機材、その火の具合を見てから。
ヤカンを焚き火にかける吊り下げ器具に取り付けて……先ほど買った茶葉をあけ始めた。
どうやらこの農業区で作った薬草茶らしいのだが。

綾瀬音音 > (常世祭も自身が経験するのは3回目になるが、
学生街や商店街、歓楽街に足を運ぶのが精々であり、先日の宗教施設群もそうだったが、こう言ったところで足を運ぶのは初めてだ。

収穫祭自体は自分の出身地域でも行われていたが、最後の行ったのは一体いつのことだっただろうか。
そんな事を思いながら、彼と見て回り、
芋煮を熱い、と笑いながら食べたり、
とれたて野菜と果物のスムージーを飲んだり、
少々二人暮らしには多い野菜や加工物を買ってみたりとか。

そんな感じにこのお祭りを楽しんでのピクニック。
焚き火の前に座って、促されるまま肌触りの良いひざ掛けを掛けながら、
相変わらずこういうことに手際の良い彼の手つきを見ていた。
ふと以前――夏頃だっただろうか。
異世界に飛ばされた時のことをぼんやりと思い出しつつ。
あの時は、金髪の綺麗な少女も居たけれど、
あの頃はこんな風になるなんて思ってもいなかった)

時期的に仕方ないですよ。
言うとおりお外ですしね。
でもこう、冬が近づいてきている空気って嫌いじゃないです。
雪はまだまだ降らないと思いますけれど。

(家であればお茶くらいは自分が淹れるのだが、ここは彼に甘えてしまおう。
火で照らされる彼の顔を目を細めて眺めながら)

五代 基一郎 > 都会の喧騒から離れた……という表現もどうだか、ではあるが。
同じ島内でも区画によって大きく違うという色が強く出た形になるだろうか。

それが故にか、借りて来た行楽用の車には後部座席からトランクまで
野菜やら何やらが積載されてしまったわけであり。
冷蔵庫に入るのだろうか、という心配も焚き火の炎にあたれば
ゆるく薄れてしまう。

「えぇと……それでどこまで話したっけかな」

ぼんやり火を前にしながら、しかし湯が沸けばヤカンを取り
茶漉し代わりに使われたフィルターと茶葉が乗せられたマグカップに
湯を注いで茶を入れる。
一人分、一人分と終わればヤカンを脇にどけて、音音の席まで歩み寄り
手渡せば自分の席……
その隣に腰掛けて話を続けた。

「人の話を聞くことは多いけど、自分の話をすることはあまりないからね。
 情報戦というわけでもないけど人に知られないということはそれだけで有利ではもあるし」

かといって綾瀬音音に対して何か隠すことがあるか、といえばそうはない。
話したいことはある。話したくないことと言えば、そもあるだろうかと思う程度にはであるが
それを伝えるのは難しい。

「家族のこと、彼らのこと、今までのこと……でいいの?
 三つに別けたけど。
 おもしろい話でもないけど家族には異能に目覚めたときから会っていないし
 あいつらとは別れたし、今まで男女の仲で付き合ってきた存在はいない。
 というものだけど。
 本当にこんなことでいいの?」

綾瀬音音 > (野菜は調理して冷凍庫に入れても良いですし、
加工品系は日持ちしますしね、と、笑いながら積むのを手伝ったのは先程の話だ。
一応日々の食品の管理は確りできているので、無駄にすることはないはずだ。
そこら辺は兼業主婦――学生との兼業では有るけれど。

焚き火の火はストーブとは違う暖かさ――何処か温もりめいたものもを感じつつ。
お茶を礼を言って受け取ると、冷ますように息を吹きかけてから飲んだ。
少し青い匂いのする、柔らかな味だ)

確かに先輩の個人的な話って、あまり聞きませんね。
それは解りますけれど、私達の間で情報戦はあまり必要ではないと思いません?

(一応ではなく、恋人というか家族というか、兎に角1つの小さな共同体なのだ。
そうでなくても、好きな人のことならなんでも知りたい、と言うのは女の子として当然の心理なのだと思う)

ぱっと思い浮かんだのは大体その3つ、ですね。
聞きたいことが出てきたらまたその都度訊きます。
こんなことでいいのって言いますけれど、
先輩だって私の話、なんでも聞いてくれるじゃないですか。
――や、先輩があまり幸福な環境ではなかったのは何となく解るんです。
だから、訊いても良いのかなって思ってて。

なので、聞かせて下さい。
先輩のこと。
話したいことだって、あればいくらだって聞きますから。

(そう、彼にもたれかかって見上げるようにしながら、囁く様に口にした)

五代 基一郎 > 野菜を切る、焼く……などの調理はさておき
味付けについてはだいぶ音音に寄せているな、というのは同棲してからのことだろう。
それはそれとしてなのだろうが、それは根ざした何かがないためでもあり……

「苦手なんだよ。そんなことを話して何になる、だし。
 過去のこと話して可哀想なんて思われたくもない。
 知った顔で慰められたくもない。」

そんな話などはしたくない。
大体己の境遇なんて他にもある。奴隷の鎖自慢ではないが
それを話してどうなるというのだろうかということになるのではないか。
乗り越えて今があるなら……いや、乗り越えているのだろうか。

だから、それこそ。
何かを気にする間でもない。そこにいるのが当然な存在として
口を二度三度、言葉を選ぶように考えて……声を出す。
見上げるずに……もたれかかる、その顔に寄せるように傾けて
呟くように、流すように。

「異能に目覚めた時、自分は選ばれた人間なんだという考えは確かにあったとおもう。
 三つの護衛と共に大変容が起きて混沌としたこの世で蠢く悪を倒す。
 みたいなさ。アニメとか漫画とか、ずっとありえない世界だった世界に入って……
 それで戦って来て、気がついたらそうでもなかった。
 こんな混乱がいつまで続くのか、とか。本当に正しいのかとか……考えるときはあったけど。
 いつかそういう人が出て、そういう人のためになればと走ってきたけど。
 世界はそうじゃなかったし、人間もそうじゃなかった。」

どこに何を期待していたんだろうかとも、呟き
焚き火の火のほうが、もしかしたら人の心なんてものより暖かいのではと思ってしまう。
隣の暖かさを知らなければかもしれないが。

「よく見てたアニメとか漫画でさ。何かの危機に一丸となったり……
 地球政府とか、そういうのが出来て迫り来る困難とか戦ったり
 守ったりとかあったけど……現実はそうじゃなかったなってのが一番良く表してるよ。
 別に、そう……自分ひとりで出来ることなんてそうはなかったんだよ。
 この前、良く出来るように…そうならないように、何かをするのはということに
 何も選ばないなら考えているのを止めているのではないかって聞いてたけど
 考えて、そう思うんだよ。たとえば俺が……それこそ、神の如きとか
 本当に超常の力が使える人間だったとして。
 俺が一つの存在である限り出来ることと出来ないことは存在するんだ。
 俗に神と呼ばれる存在であっても、この世界に現出した限りはそうなると思う。
 どんな存在でもね。いい方向に変えるといっても、それは力での変革だ。
 見えないだけでこの世界はそうして、力により恭順させて、変えることは正しいことなのか……
 未来を変える努力とは違うようなそれは、いくつも見てきた。
 俺も、それが正しいと思って行使してきたこともある。

 でも、それは正しいのか。正しくなかったとして
 じゃぁ異能を持っている俺らは何なのか。どうすればいいのか。
 正しかったのなら……俺は嫌だなって思った。
 世界を変えよう、変わると思っても……いや、出来たとしても
 それは俺がいたい世界じゃない……
 
 なんで異能なんてあるんだろうな……
 異能なんてなければ……大変容もなければ俺も音音も、嫌な思いしなくて済んだのにさ」